久しぶりに書いたので、文章が拙くなってるかもしれません……。
今回は第三者視点、さらに独自解釈もあります。ご了承ください。
さて、真たちが温泉を楽しんでいる間、箒たちは千冬がいる部屋で女子会を開いていた。
なぜ彼女達が、怒らせると恐ろしい千冬の部屋にいるのかというと、そもそも部屋に入ることを千冬本人が許可したからだ。現に今も、生徒の前であるにもかかわらずビールを片手に楽しんでいる。(もっとも、口止め料として箒たちもサイダーなどを飲んでいるが)
箒たちも、本当は一夏や真やミツルと話をしたかったが、まぁ一夏をどう思ってるか等で盛り上がったから寧ろ温泉に行ってて良かったと思っている。
こうして楽しい時間は過ぎていったのだが、きっかけは鈴の一言から始まった。
「真とミツルってさ、何者なのかしら?」
部屋にいる全員は「何言ってるんだコイツ」みたいな目をしているが、鈴は気にせずに続ける。
「この間ミツルと話したんだけどさ、彼、スカーレット家っていう家に仕えてるんだって。どんな家かなーって調べてみたんだけどさ……。そんな貴族は居なかったのよ」
今でも栄えている名門の貴族なら、それなりに情報はあるはず。だが、鈴が調べた範囲では、スカーレット家という貴族は存在してないという。
だが、そこへ口を挟んだのはセシリアだった。
「スカーレット家ですって!?」
「何か知ってるの?」
「スカーレット家は、今はとっくに消えてしまった貴族ですわ。私の家に、僅かですが資料がありますの。ですが……」
途中から、セシリアは口を震わせる。
「情報が少ないのは……その家は、吸血鬼の館と言われているからですわ」
「吸血鬼ぃ? 血を吸ったり、日光を浴びると灰になるっていうあの?」
鈴は信じられないような顔になる。
「はい。まるで血のように赤い館、あそこに入った人間は帰ってこない。そう言われてますの。あのジャック・ザ・リッパーは、実はスカーレット家に血を与えるために仕えてた者じゃないかと考えられてる程ですわ」
全員が息をのむ。殺人鬼が従者……。と言うことは、ミツルは切り裂きジャックの子孫? そんな考えが浮かんでしまう。
「突然消えたという事もあって、謎が多いのです。だから情報が規制されているのです。それにミツルさんの名字は十六夜……。日本名ですわ。なんでスカーレットという家名を……」
セシリアはすっかり考える姿勢に入ってしまい、ブツブツと呟いている状況になった。
一方、少しばかり酒が入って酔ってきた千冬も、思っていた事を口にする。
「私が気になるのは、東風谷のことだ」
「真……ですか?」
シャルロットは千冬の言葉に首を傾げる。
確かに、真は身体能力的に常識外れな所があるが、それ以外は普通だ。どこがおかしいと言うのだろうか?
「今まで東風谷の戦い方を見てきたが、あれは相手を倒し、生き残ることを優先にしたやり方だ」
「教官も気付いていましたか」
「あぁ。だが問題は、そのような戦い方を得るような人生とはどういうものだったのかという事だ」
このご時世、戦わなければ生き残れないという環境は限られている。だが真は明らかに日本人だ。そのような環境に居たというのは、信じがたい。
「もしくは親に鍛えられた、と言うことだな」
「それはあり得ますね。真は、よく父親の事を話しますから」
「確かに、箒の言うとおりだ」
千冬の仮説に、箒とラウラが頷く。
だが、シャルロットだけはまだ納得がいかないような顔だ。
「真はさ、海を知らなかったんだよね?」
「あぁ。初めての海に感激してたな」
「山奥の田舎で育ったと言っていたぞ」
「テレビでも海の映像が流れるのに、海を全然見たことがないって、あり得るの?」
箒とラウラは難しそうな顔になる。疑問が解決したかと思えば、別の視点からの疑問が出てくる。今まで一緒に勉強してきた仲間への疑惑は、まるで湧き水のようにどんどん出てくる。
「本当に……何者なんだろう?」
鈴の一言で、部屋は静かになった。
しかし、すぐにその沈黙は破られる。
「あー、サッパリしたー……ん? どうしたんだよ、お前ら?」
真とミツルが、風呂から戻ってきた。部屋が静かになっていることに首を傾げている。
「真、ミツル。お前たちはムグムグ」
「な、何でもありませんわ! 少々真面目なお話をして、何も言えなかっただけですわ!」
「あ、あぁそうだぞ! それよりも、風呂はどうだった!?」
ラウラが率直に聞こうとしたのを、セシリアが抑える。さらに箒が別の話題をすることで、話を逸らそうとした。
「いやー、良い湯だったぜ! なんつーか、身体のこってる部分がほぐれたって感じでよぉ!」
「景色も最高でした。いやー、下見をしてくれた山田先生に感謝ですねぇ」
どうやら、逸らすことに成功したようだ。奥で鈴とシャルロット、千冬が小さく安堵のため息をもらす。
そんな三人の事に気付いてない真は、時計を見てあることを伝える。
「にしても、部屋に戻らなくて良いのか? そろそろ消灯時間だぜ?」
「えっ? うわ、ホントだ!」
「では、お先に失礼しますわ」
「おやすみ、真! ミツル!」
箒や鈴は慌てて部屋に戻り、セシリアは丁寧に挨拶をし、シャルロットはラウラと一緒に戻っていった。
「ところで、一夏は?」
「俺たちが先に上がったんで、少し遅く来ると思いますよ?」
「ふむ、そうか……」
「さーて、明日は実習だし、歯磨いて寝ようぜ?」
「えぇ、そうしましょう」
洗面所へ向かう2人を、千冬はほんの少し疑惑を込めて、見つめていた。
~IS学園、生徒会室~
「どういうことかしら……」
その日の昼間、生徒会室で『ある生徒』の書類を睨む女子がいた。
彼女の名前は更識楯無。IS学園の生徒会長である。女子高生でありながら、対暗部用暗部『更識家』の当主でもある。
彼女が見ていたのは、学校で補完しているデータと、特殊経由で手に入れた詳細なデータ。書類の記名欄にはそれぞれ、『東風谷真』と『十六夜ミツル』と書かれている。
「人間じゃないのが混じってる……。何者なのかしら?」
ミツルの血液検査の結果を見ると、人間以外の生物の遺伝子があったという。さらに、視力や瞬発力も全国平均を越えていた。
「おまけにこの東風谷くんは……」
東風谷真のデータを見る。真の出身中学校を見ていた。だが、別のデータで見たところその中学校は……
「五年前に別の中学校と統合、校舎は解体……」
どうしてそんな昔のデータを書いているのか? そんな疑問が浮かんでくる。
「学園の敵ではないことを祈るしか無いけど……」
「それは、あなた方次第ですわ」
「っ!?」
突如聞こえる謎の声。楯無は辺りを見回す。だが、部屋には誰もいない。普段は側にいる幼馴染も、今は席を外している。
「誰!?」
「私が信頼するものにしか、あの二人の素性を教えられません。ですがもし、あなた方が二人に害する行動を取ろうものなら……」
「祟られる、かもしれませんわね」
どこか冷たさを感じる謎の声に、楯無は震え上がった。生徒会室全体の温度も、心なしか下がってる気がする。
「それでは、時が来たら……二人が立てなくなった時にでもお会いしましょう。その間は、陰から協力させてもらいますわ」
すると、部屋全体を包んでいた重苦しい空気が、一気に軽くなった。
「っ!? ハァ、ハァ、ハァ…………」
体から汗がドッと噴き出る。足もガタガタと震えていた。
殺されるかと思った。見えないものほど、恐ろしいものはない。自分はそれなりの実力があると思っていたが、相手は自分より遥かに上の存在。本能がそう告げていた。
「……でも、敵対しなければ良いのよね?」
だからこそ楯無は燃えてきた。自分はIS学園の生徒会長。生徒を脅威から守らなければならない。相手が何者なのか……。まだ敵と決まったわけではない。ならば、調べてやろうじゃないか。
「その前に、シャワー浴びてこないと……」
取りあえず、汗をかいた体を何とかしようと、生徒会室を後にした。
真たちを疑うヒロイン達、さらに楯無まで……。二人はどうなってしまうのか?
次回から戦闘に入るかもしれません。上手く書けるといいなぁ……。
それでは、次回もお楽しみに!