それでは本編、どうぞ!
1話 視線という攻撃は、思った以上に辛い
幻想郷からIS学園へ入学した俺、東風谷真は、自分の机で項垂れていた。なぜかと言うと……
「(ぐおおお……。これはマジでキツい)」
とんでもない視線攻撃を受けていたからだ。いきなり現れた2人目の男性操縦者。しかも保護者代理人は篠ノ之束という、強力な後ろ盾。注目するのも無理はないだろう。
隣に座ってる奴は織斑一夏。たぶんこのイケメンが、束さんが言っていた「いっくん」って人だろうな。束さんから聞いた話だと、彼の姉である「ちーちゃん」こと織斑千冬は、ISの世界大会で優勝した経験を持っているらしい。一夏が注目されるのは、そんな姉の存在もあるからなんだろうな。
今思い返すと、入学手続きの間は大変だった。
入学式の前に束さんが学園に連絡を入れたらしく、俺を待っていたのは不機嫌そうな顔をした千冬さん……じゃなかった。織斑先生だった。一夏に加えて俺という存在。余計仕事を増やしてしまったんだろう。
軽い筆記試験を終えたあと、ISを使った実技試験が待っていた。相手は、外の世界に染まりきった女。すなわち、女尊男卑主義の女だった。ちなみにそいつが乗っていたISはラファール・リヴァイブで、俺は打鉄だ。
俺がまだ少ししかISの操縦をしていないのを良いことに、その女はマシンガンで集中攻撃。かなりエネルギーを削られた。まぁ、必死に避けまくって近接ブレードで斬りつけたけど。
その女には負けてしまったが、試験監督の織斑先生曰く、「教師を相手にあそこまで立ち回れるのは、評価に値する」だそうだ。
「皆さんちゃんと席に着いてますね。それではSHRを始めますよ~」
過去の回想から現実に戻ると、童顔眼鏡の巨乳教師が教壇に立っていた。おいおい……。何がとは言わないが、かなりデカくねえか? 母さんのを上回ってるんじゃないか?
おっと、イカンイカン。先生の話をしっかりと聞かないとな。昔はよく、友達と喋ってばかりで慧音先生に頭突きを食らってたっけ……。
「私は、一年一組副担任の山田真耶です。皆さん、一年間よろしくお願いしますね」
「はーい」
『『………………』』
なっ!? 返事をしたのは俺だけだと!? お前らは「先生の言う事には返事をする」って教えられなかったのか!?
若干涙目になりつつも、生徒の自己紹介を始めさせようとする山田先生。ドンマイっす……。
とりあえず五十音順に自己紹介が始まって、今は『お』。つまり、一夏の番だ。
ん? おーい。お前の番だぞ、一夏。ボーっとしてるなよー。
「織斑一夏くんっ」
「は、はいっ!?」
「ご、ゴメンね?自己紹介、『あ』から始まっているんだ。今は『お』の織斑くんなんだよね。ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな?」
「あ、いや、その……自己紹介しますからとりあえず落ち着いてください」
山田先生がぺこぺこと頭を下げる。先生は悪くないと思いますよ?さぁ、先生が落ち着いたところで、一夏の自己紹介が始まるぞ…………
「織斑一夏です!」
ほうほう?
「…………以上です!」
終わりかよ! 思わず、他の女子達と一緒にずっこけてしまったぞ。
なんとか椅子に座り直すと、一夏のやつが出席簿で叩かれてた。うん?あの人は……
「げぇっ、関羽!?」
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
バシィンッ! うわぁ。あれは痛い。
だけどさすが織斑先生。一般人には出来なさそうな事を平然とやってのける。そこに痺れる、憧れるぅ!
「東風谷。変な褒め言葉を考えなかったか?」
「気のせいです」
俺も食らいたく無いからね、出席簿。すぐにはぐらかす。
黒いスーツに、戦いのときの父さんのようにキリッとした目付き。この人が、織斑千冬さん。でも俺は織斑先生と呼ぶ。
「織斑先生。会議はもう終わられたんですか?」
「ああ。面倒事を押し付けてすまなかったな、山田君」
「いえ、副担任の仕事ですから……」
山田先生、顔が赤くなってまっせ? いや、でもあの凛々しい態度は、一種のカリスマがあるんだろうな。レミリアさんみたいに。
「諸君、私が織斑千冬だ。君達新人を、一年で使い物になる操縦者に育てるのが私の仕事だ。私の言う事はよく聴き、そして理解しろ。出来なかったら出来るまで指導してやる。逆らってもいいが、後悔はするなよ?いいな?」
一瞬、どこの軍隊だよ!って突っ込みそうになったが、織斑先生の言う事は良いことだと思う。
ISは、変な操縦をすればパイロットごと砕けてもおかしくない。それに今では兵器の一種にもなっている。
しっかりと教師の言う事を聞き、道を間違えたIS操縦者になるな。織斑先生はそう言いたかったんだろうな。きっと先生は不器用なだけだと思うな。
「き…………」
「ん?」
「「「キャアアアアアアアア!!」」」
「「ぎゃああああ!?」」
突如響き渡る歓声。辛い声を上げているのは俺と一夏。山田先生も耳を塞ぎ、織斑先生は一瞬仰け反ったが、すぐに体勢を立て直し、呆れた表情になる。
「よく、これだけ騒げるものだな。あれか?私のもとには馬鹿しか来ないというのか?」
「本物の千冬様よ!」
「私、千冬様に会うために北九州から来ました!」
「私を躾けてください!でもたまには優しくして、また激しく躾を……」
「静かにしろ馬鹿どもが!」
すげぇ。女ってときには変態的な思考を持つ事も出来るのか。男と同じだな。いたんだよなぁ。人里に、女に虐げられる事で喜びを感じる、罪って書いた袋を被った男の集団が。
あれ? 織斑先生がこっちに視線を向けてらっしゃる。
「他の女子も、もう一人の男子が気になるだろう。東風谷、自己紹介をしろ」
「了解です」
俺は席から立ち上がる。おうふ、好奇な視線が強くなりやがった。でも俺は負けない!
「俺の名前は東風谷真。趣味は木々を眺めたり読書をする事。ISはまだ少ししか動かせてないが、頑張って物にしようと思う。これからよろしくな」
「(教師を相手にあそこまで立ち回っておいて、よく言う)」
「きゃああ! 格好いい!」
「織斑君とは違う格好よさ! なんだろう?ワイルド系?」
「一緒に木々を眺めて、そのまま東風谷君に膝枕をしてもらって……キャアアアア!」
「うがぁぁぁぁ!うるせぇぇ!?」
もうホント、何なんだろう。女子っていうのは。
ひとまず、織斑先生の一喝で、SHRは幕を閉じた。
真は、幻想郷の色々な住民と弾幕ごっこをしているので、教師とある程度は渡り合えます。しかしISの操縦に慣れていないため、経験が上である教師が勝ってしまうんですねぇ。
次回は、箒とセシリアを登場させる予定です。
どうしよう……。原作キャラの特徴を活かせるかな……。
それでは、次回もお楽しみに!