インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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~前回のあらすじ~

学園にクモの巣が大量に現れるという異常現象が起こった。それは、ISにも付着し使用が禁止される程の多さであった。
これをモンスターの仕業と見た真とミツルは、犯人捜索のために二手に分かれる。
そのとき真が出会ったのは、生徒会長である更識楯無だった……。


41話 狙われる学園(真視点)

 楯無と名乗った先輩。先輩は生徒会長だと言ったが……まさか、犯人に目星がついているのか?

 

「逆に聞きたいんスけど、そういう先輩こそこんな所で何してるんスか?」

「私は生徒会長。生徒の安全を確保するために、会長権限を使ってこの騒動を調べてるの♪」

 

 いったん扇子を閉じて、また開く。そこには『会長の務め』と書いてあった。すげぇ! どうなってんだソレ!?

 

「まさか会長とは思いませんでしたよ」

「入学式の時もいたわよ? 忘れられてたなんて、お姉さんショック~。ヨヨヨ……」

「泣き真似だと分かってるんで、止めてください」

「それなら、どこへ行こうとしてるのか教えてもらえないかしら、東風谷真くん?」

「………………」

 

 実はこれ、歩きながら話してるんだよなぁ。話を逸らそうとしてたんだが、気づいてたのか……。てかどうしようか? 俺の勘じゃこの先にモンスターが居る感じがするんだよなぁ。会長にまだ俺の能力のことは話してないし……。

 

「ちょいと喧嘩売られたんで、買いに行くだけっスよ」

「あら、随分なものを買うのね。私も買ってみようかしら?」

「……まどろっこしいのは嫌いなんスよ。単刀直入に『お前は何者だ』って聞いたらどうなんスか、会長?」

「………………」

 

 おっ、黙り込んだ。俺も黙り込んでたし、おあいこだ。

 一方で会長は、少しだけ表情が険しくなる。

 

「分かってますよ。声は明るくても、視線は明るくねえ。……会長権限とやらで俺や相棒のこと、調べたんでしょ?」

「……鋭いわね。えぇ、そうよ。あなた達の出身校に血液データ、全てにおいて怪しすぎる。そして今年起きている騒動。まさかとは思うけど……」

「それについての関与は、否定できるっス。断言できる」

「その証拠は?」

「……目の前っスよ」

 

 俺は歩みを止めている。そして俺の視線の先に居るのは……

 

「臨海学校の時以来だな、ヴァレッタさんよぉ!」

「あの時の続きをしに来たぞ、東風谷真ぉ!」

 

 ラギアクルスこと、ヴァレッタだった。そういやここは人工島だから、海を泳いできてもおかしくないな。

 

「知り合いかしら?」

「敵という意味で、ですね。……そら来た!」

「っ!?」

 

 俺と会長が後ろに飛び退くと、青白い光がバチバチと走っていた。電気の球でも放ったんだろう。その証拠にヴァレッタの手の平から、煙が見えている。

 

「あの時はISに邪魔されたが……今度こそ貴様を殺す!」

「俺の首持っていっても、腹の足しにもならねえよ!」

「安心しろ、人間だろうが何だろうが食い尽くす奴もいるからな!」

「うわぁ、安心できねぇ!」

 

 口で言い争いながら、ヴァレッタが放つ雷の攻撃を避けていく。

 

「東風谷くん!? 相手は何者かしら!?」

「見りゃ分かるでしょ! モンスターっスよ!」

「……まぁ、あんな攻撃できる時点で人間なのか怪しいけど……」

 

 会長も必死になって避けている。やっぱり、IS学園の生徒会長だけあって実力も確かなのかもしれないな。

 これは、俺たちの戦いに力を貸してもらったらかなりの戦力になるかもしれない。なら、能力を隠す必要もないよな?

 

「会長ぉ! ちょいと暑くなるぜぇ!」

「へ!?」

 

 腕を鎧化させて、一気にヴァレッタとの距離を詰める。そこから可燃性ガスを噴出と同時に、霊力で腕を包み込ませる。狙いは奴の顔面だ!

 

「だらぁ!」

「ブグァ!?」

「東風谷くん、離れなさい!」

「っ!」

 

 急いでバックステップで離れる。すると、水のようなものがヴァレッタに纏わりついた。何だ……ありゃ。

 だが会長はそんな俺の様子を気にせずに、指を鳴らす。

 

「ポチっとな♪」

 

 その瞬間、ヴァレッタに纏わりついていた水が爆発した。……はぁ!?

 

「ちょ、会長! 何なんスかあれ!」

「私のISの武器の一つよ。ナノマシンが入った水と言えば良いかしら? さて、結構な爆発だったから倒したと思うけど……」

「……会長、そんなんで倒せるんだったら、今ごろ俺はダイナマイトとかで倒してるっスよ」

「え?……っ!?」

 

 そう。爆弾だけで倒せるなら苦労はしない。爆発の煙が晴れると、体をバチバチと発光させているヴァレッタがいた。会長は、驚いたように目を見開いている。

 俺はすぐさま飛び蹴りを放つ。当たると同時に鎧化させて、威力を上げる。だが、片腕で防がれた。

 

「甘いわぁ!」

「ぐ、がぁぁぁぁぁぁ!?」

「東風谷くん!」

 

 奴は放電を利用して俺を痺れさせる。鎧化してるのは足だけだったから、体に凄い激痛が走る。そんな俺を見た会長がランスのようなものを展開して、そこから弾丸を放つ。

 

「馬鹿が!」

「っ! しまっ……」

「がぁぁぁ!?」

 

 俺を盾にして会長の攻撃を防ぐ。鎧化したから何とかなったが、これは痛いなチクショウ……! 頑丈ってのも考え物だぜ……。

 

「あ、あぁ……」

「ふっ、仲間を撃ってショックか?」

「ならば!」

「むっ……」

 

 俺は倒れこんでしまうが、会長は不思議な剣でヴァレッタに戦いを挑む。普通の剣とは違い、鞭のような形をしている。

 

「はぁっ!」

「ぐ……巻き付いてくるか。厄介だな」

「無闇に引きちぎろうものなら、その右腕はズタズタになるわね」

「……だから人間は愚かなのだ」

「なっ……」

 

 ヴァレッタは左手で、右腕に絡みついた剣のような物を引きちぎった。もちろんその手は傷だらけになるし、左腕からは肉が斬られる音が響く。金属製であろう床、つまりヴァレッタの足元には血だまりが出来る。

 だが、それもつかの間。シュウゥゥという音を立てて傷が塞がる。

 

「ラスティ―・ネイルを無理やり……。確かに、ただの人間ではなさそうね」

「そこに倒れてる男もな」

「東風谷くん……?」

「場を乱そうとすんじゃねえよ、馬鹿野郎……」

 

 痛む体に鞭を打って起き上がる。にしても、ヴァレッタが変な言い方するもんだから、会長の俺を見る目がまた険しくなっちまった。

 

「幻想郷が狙えなくなったなら、今度はこの世界を作り変えるつもりか?」

「(幻想郷……? 世界を作り変える……?)」

「我が主の無念を晴らすためだ!」

「我が主我が主とうっせぇんだよ!」

「黙れぇ!」

 

 ヴァレッタの野郎は拳に雷を纏わせると、俺へと殴りかかる。顔を鎧化させて防ぐが、ピリピリと肌をなぞるような感覚がうっとうしい。すぐに足に炎を纏わせて蹴りを放つが、同じように雷を纏った足に防がれる。だが、俺の炎が聞いたのか苦痛の表情を浮かべる。

 

「東風谷くん、離れて!」

「うおっ、またかよ!?」

 

 会長が、スライムのように動く水を操ってヴァレッタを包み込む。俺は距離を取りつつ、熱線を撃てるように手に炎を溜め込む。すると、奴は体を青白く発光させた。すると水はあっけなく蒸発した。

 

「何度も食らうと思うか? 消えろ、女」

「っ!」

「会長ぉ!」

 

 俺は会長をタックルで突き飛ばすと、その雷を受け止める。鎧化しても痛いが……白斗さんの容赦ない攻撃に比べたら、どうってことねえ!

 

「ガルァァァァ!」

「ルオォォォォ!」

 

 竜の雄叫びを上げると、俺は奴の横腹に蹴りを放つ。その足を掴まれると、ジャイアントスイングで投げ飛ばされた。すぐに口から熱線を放つ。ついでに手から放つ火の玉もくれてやらぁ!

 

「むんぬあぁぁぁぁ!」

 

 結構大きめの雷の球が、ヴァレッタから放たれる。それが着弾すると……距離を取っていたはずの俺まで、電撃が届いた。

 

「グガガガガガガガ!?」

「オァァ!」

「グウッ!」

 

 体がダメージを受けた所に、奴のタックルがぶち当たる。俺の体は水切りの石のようにポンポンと跳ねる。これは結構効くな……。

 だが倒れるわけにはいかねぇ。俺が倒れたら……俺が死んだら、父さんや母さんが悲しむ。神奈子さまに諏訪子さま、相棒に、俺を鍛えてくれた様々な師匠たち、そしてこの世界で出会った一夏たち……。

 何より……笑顔で俺といつもおやつを食べるアイツ。彼女の泣き顔だけは絶っっ対に見たくねえ!

 

「死ぬわけには……いかねえだろうがよぉぉぉ!」

「っ! なるほど……それが竜の血を継ぐ人間の強さか! 我らモンスターと渡り合える強さなのか!」

「グオォォォォォォ!」

 

 俺は立ち上がり、奴の顔面に拳をめり込ませる! 鎧化した拳はもはや一種の鈍器だ。さらに鎧化した頭を、奴の頭にぶつける! 頭突きというやつだ。

 ふと、ヴァレッタの背後に会長の姿が見えた。ランスを展開し狙いを定めている。

 

「会長も決心がついたみたいだな……!」

「グウッ!?」

「撃てぇ、会長!」

「ハアァァァァァァァ!」

「ブ……グゥゥ……!」

 

 ヴァレッタの肩を掴み、逃げられないようにする。俺が叫ぶと同時に四門のガトリングガンが火を噴いた。今度はヴァレッタが俺の盾になってるから、こっちには少しだけ流れ弾が当たる程度だ。銃声が止むと、血にまみれたヴァレッタの姿があった。

 

「グ……ググ……」

「東風谷くんと違って随分なダメージね」

「俺は鎧化してダメージを軽減してましたから」

 

 投げ捨てるように手を放すと、ヨロヨロとおぼつかない足取りで歩き、俺の方へ振り返る。そして拳を構えた。

 

「構えろ東風谷真……。死ぬならば……貴様の拳を受けて死にたい……」

「……上等だ。テメェの全力で来やがれぇぇ!」

「ラアアアアアアア!」

 

 俺の炎の拳と、奴の雷の拳がぶつかり合う。その時に生じた衝撃波によって、会長は髪を押さえて片目を閉じていた。

 一瞬だけ沈黙が訪れるが、ヴァレッタの腕から血が噴き出ることですぐに終わりを告げた。

 

「ふ……ははは…………」

 

 彼は小さく笑うと、そのまま倒れた。俺はサムズアップするように親指を立てる。

 

「お前が先に倒れたから……俺の勝ちだぜ、ヴァレッタ……」

 

 すると、ランスを収納した会長が歩いてきた。その目は疑いの目ではなく、幻想郷について尋ねた一夏たちのような目をしていた。

 

「東風谷くん……」

「お疲れっス」

「……あなた達のことについて教えてちょうだい。この敵についても」

「ははは……。とりあえず、このクモの巣騒動を解決してからにしましょうや」

「え? 今の男が犯人じゃないの?」

「だったら、戦いでクモの巣を利用してるはずっスよ。本当の犯人は……」

 

 ……相棒が相手をしているはずだ。

 

 




次回は、ミツルの視点を書きます。

それでは、次回もお楽しみに!
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