インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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~前回のあらすじ~

IS学園のクモの巣騒動の犯人を見つけるため、二手に分かれた真とミツル。真が向かった先で出会ったのは、二人に対して警戒している生徒会長、更識楯無だった。
その後、臨海学校の時に戦った、ラギアクルスことヴァレッタと戦闘になる。楯無との共闘によって、見事倒したのだった。
その頃、ミツルの方は……。



42話 狙われる学園(ミツル視点)

 さて、真さんと分かれた私ですが……

 

「答えろ十六夜。授業をサボって何をしている?」

 

 よりによって最悪な人に捕まりました。真さんのクラスの担任、織斑先生……。この世界では『世界最強』とも呼ばれている人です。

 そんな先生はISスーツらしきものに身を包み、腰にはいくつものブレードをさげ、髪型は箒さんのようなポニーテールにしています。見る人が見れば美しいと思うかもしれませんが、私はそれどころじゃないです。隠密行動のつもりがあっさりバレたということで、足が止まっています。

 

「どうした。やましい事でもあるのか?」

「ぐ……」

「警告だ。すぐに教室へ戻れ。でないと……お前を謹慎処分にしなければならない」

「随分とまぁ恐ろしいことを……。ですが、それは受け入れることはできませんね」

「……ほう?」

「私が教室へ戻れば、敵さんは私を追うでしょう。クラスのみんなを巻き込むわけにはいかない」

「つまり、お前はこの騒動の犯人を知っていると言いたいのか?」

「知ってるというよりは、察しがついてると言いますか」

 

 しかしこうして見ると、ここら一帯のクモの巣の量が多くなってきてますね。しかも、粘度も高くなってるような気がします。これは……もしかしたら当たりを引いたかもしれませんね。こうなると、織斑先生にも私たちのことを話さないといけませんかね。

 

「織斑先生、気付いてますか? 他の場所に比べて、やけにクモの巣が多いことに……」

「薄々気付いてはいたがな。犯人がいる可能性が高いな……」

 

 先生は私を追及しようとしません。どうやら私たちについて考えるよりも、潜んでいるであろう敵を倒すことを優先したようです。

 

「………………」

「………………」

 

 二人同時に足が止まりました。間違いないですね……。居ます。

 

「はっ!」

「っ!?」

 

 張り巡らされているクモの巣の隙間へナイフを投げると、その影は飛び出してきました。

 相手の姿は、言うならば忍者でした。白い装束を着ていて、口元を隠しています。目の色は水色です。

 

「予想外。迅竜の力を持つだけのことはある…」

「私もかなり集中しなければ探れませんでしたがね」

「(敵は十六夜を知っている……。だがこの感じ……敵対関係にあるという事か?)」

「作戦は成功。後はお前たちを殺すだけだ」

「作戦、だと?」

 

 なるほど。やはり、このクモの巣騒動は、私と真さんをおびき寄せるための作戦でしたか……。

 相手が短刀を構えて来たので、私もナイフを構えます。すると、織斑先生もブレードを相手に向けました。

 

「生徒の安全を確保するためだ。その為なら……手を汚そう」

「気を付けてくださいね。相手は人の姿をしてますが、人外の能力を持ってますので」

「ふむ……了解した」

 

 私が駆けると同時に、相手も突っ込んできました。ナイフと短刀がギリギリと音を立てます。

 

「名はシノビ……。影蜘蛛ネルスキュラ!」

「……お命、頂戴!」

 

 腹を蹴ると、シノビの後ろから、織斑先生がブレードを振りかざします。……が、シノビの手から糸が放たれてブレードに絡みつき、その衝撃を吸収されました。

 

「ちっ! 和らげたか!」

「ふんっ!」

「チィッ!」

 

 引き寄せられそうになるのを見た先生は、糸に絡まったブレードを離して予備の物に切り替えます。

 

「なるほど。ただ者ではない、か」

「お前の生徒にも、そのただ者ではない存在が2人もいるがな」

「東風谷と十六夜のことか? 悪いが、例えそうだとしても生徒を守る者に味方するぞ、私は」

 

 後ろから斬ろうとしますが、足元までクモの糸でネバネバしてるため、スピードが思うように……!

 

「ぐ、お……!」

「十六夜!」

 

 振り向いたシノビに、腕を刺されました。しかも目眩もします。これは……毒ですか………。クモはクモでも、毒グモか……。

 

「こいつもくれてやる」

「がっ、はぁ!?」

「っ! 馬鹿な、ISだと!?」

 

 別方向から殴られ、壁に叩きつけられました。見ると奴の背中から、機械の腕……いや、クモの脚?みたいな物が生えています。さっきの先生の発言がその通りなら、あれはIS……?

 

「アメリカの第2世代IS『アラクネ』……! テロ組織に奪われたと聞いたが……」

「使えるものは、例え人間の道具だろうと利用する。そうでもしないと、東風谷真も十六夜ミツルも倒すことはできん。見ろ」

「……っ!? 十六夜、平気なのか!?」

 

 痛む体を無理やり動かして立ち上がりますが、先生が驚愕の表情をしています。それもそうでしょう。I()S()()()()()()()()()()()()()()()()のですから。

 

「体は痛みます……。平気では無いですね……」

「ちっ、ならこれはどうだ!」

 

 アラクネの脚から砲弾が放たれますが、甘い!

 

「らぁ!」

 

 私のISに収納されているブレードで弾きます。ISのブレードなので簡単でしたね。

 

「織斑先生。ISの部分展開の許可を」

「承認の前に武器を展開してるだろう……。まぁ、そうでなくとも承認してるつもりだ。緊急事態だからな」

「ちぃっ!」

 

 シノビがバックステップしながら、糸の塊を放ってきました。ギリギリで避けるも、着弾したところには粘着質の糸が広がります。当たっても駄目、避けると足場が狭められる……。

 いえ、何も床だけが足場ではありませんね。

 

「十六夜!」

「はい!」

 

 2人同時に走り出すと、今度は壁を駆け上がります!

 

「やあぁぁぁぁ!」

「っ! やられるかぁ!」

「ぐうぅっ!」

 

 私が前から、先生が後ろから攻めようとします。しかし、私は短剣で防がれ、先生の方はアラクネの脚で反撃されました。ブレードが盾になったおかげで、何とか助かったみたいです。

 

「くそ! こうなったら……!」

 

 体がどんどん熱くなります。まるで血管にお湯がながれてるような……そんな熱さです。

 

「ガアァァァ…………」

 

 体中からベキベキと音が鳴り、制服が破ける音がしました。すると私の頬には黒い鱗が浮かび上がり、腕には刃のようなもの、そして……尻尾が生えました。

 

「姿を現したか、迅竜ナルガクルガ!」

「グギャアァオォォォォ!」

「(十六夜、お前は……)」 

 

 よっしゃあ! ちょいとばかし口が悪くなっちまうが、能力でぶちのめしてやる!

 

「らぁ!」

「ぐうっ!?」

 

 尻尾を振るって奴の脇腹を殴りつける。そこへ先生が後ろから斬りかかるが、アラクネの脚で防がれちまう。

 

「甘いな」

 

 だが、片手でブレードを取り出して脚の先端に突き刺しやがった! あれってISのブレードだよな? それを片手で振るうとか……。

 銃口の中に突き刺したもんだから、脚の一本が暴発した。

 

「ゴオォッ!?」

「十六夜! アラクネの脚を潰すのが先だ! あれは連射も可能だぞ!」

「了解!」

 

 やらせまいとシノビが襲ってくるが、俺も腕のブレードを構えて飛びかかる。

 ガギィンッ!という音が鳴り、俺とシノビが同時に着地した。

 

「ぐ、がぁぁ!」

「これで……2本!」

 

 最初に見たときは4本だったから、先生のも合わせて2本潰したことになる。

 

「いや、3本だ」

「ぎいぃっ!? お、女ぁ! キサマ本当に人間か!?」

「人間だ。鍛えればこれくらい、どうという事はない」

「父さん達と同じタイプか……」

 

 俺がアラクネの脚を潰し、シノビが俺に集中したほんの一瞬を突いて、3本目を破壊した。にしても、鍛えれば強くなるって言うあたり、父さん達と同類かよ……。

 だけど、むしろチャンス!

 

「はぁぁぁっ!」

「っ! させん!」

「しまっ……!」

 

 俺が腕のブレードで斬りかかった瞬間、シノビは片腕で防いできた。そしてそこへ、今度は黄色い棘を俺の右腕に突き刺してくる。

 

「肉を切らせて骨を断つ、かよ!」

「ぐっ、うぅ……」

 

 あいつも呻き声をあげてるが、俺の方はもっと不味い。刺さった部分から血は流れてるし、そもそも感覚が無い。次は神経毒で、俺の腕を麻痺させたって事か……。

 だぁクソ! ISでやられたダメージと、二つの毒のダメージ、そして血も流し過ぎた! 目の前がグラグラしてやがる!

 

「大人しく……するんだな」

 

 シノビから糸が放たれて、俺は呆気なくグルグル巻きにされる。もうちょっと緩く巻いてくれないかねぇ。

 

「これでトド……っ!?」

「…………」

「織斑……先生…………」

「十六夜、まだ意識はあるな?」

 

 俺にトドメを刺そうとするシノビだが、先生が背中から突き刺したことで動きが止まる。俺には、シノビの腹から血濡れのブレードが生えてるよう生えてるように見える。そして俺のそばへ駆け寄り、糸を斬ってくれた。

 

「助かります……」

「出血が酷いな……。すぐに離脱するぞ」

「そうですね……。ですがっ!」

 

 俺は自由になった右手にラファールのマシンガンを展開し、先生の脇をくぐるような姿勢で撃つ。

 

「ぐ、ぎ、が、あ、ぎゃあああああああ!」

「全弾持っていきやがれ……」

 

 先生に飛びかかろうとしたシノビが、マシンガンの弾を受けてズタズタになっていく。いくら高い再生力を持つモンスターでも、これだけのダメージを与えれば。

 

「っ! まだ動けるというのか!?」

「さっきの神経毒といい、亜種の力も持ってると見た。なら、生命力もかなりのものだろうな」

「十六夜……ミツルぅぁぁぁぁ!」

「らああああああ!」

 

 短剣で斬りかかろうとするシノビと、腕のブレードで走る俺。パキンッ!という音が鳴り、そして……

 

「俺の……勝ちだ」

 

 俺のブレードは短剣を砕き、そのまま奴の頭を切り落とした。目の前には大量の血を流して絶命したシノビの姿があった。

 …………ふぅ。

 

「十六夜!? しっかりしろ、十六夜!」

 

 ダメージを受け過ぎた上に、少しはしゃぎ過ぎましたかね……。

 織斑先生の声が聞こえますが、私は回復のためにゆっくりと目を閉じました。

 




今回なぜシノビが、原作ではオータムが使っている『アラクネ』を所持しているかを説明します。

オータムとスコールは、アラクネを奪う任務中に、アルセルタスの能力を持つ無人機に襲われ、束に拾われました(第8話)
その後、亡国機業が奪取しましたが、モンスター達によって亡国機業は壊滅。シノビにいき渡ったというわけです。

ISコアには自我があるという事で、モンスター達は自らの持つ威圧のようなものでコアを脅し、ISを使用しています。しかし、全ての擬人化モンスターが使えるわけではありません。機体が動きについて行けず、本来の力を発揮できないというやつです。

さて、「狙われる学園」はこれで終わりです。次回は、真とミツルの協力者が増える話になりそうです。
では、次回もお楽しみに!
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