インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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全くと言っていいほど出番の少なかった、箒の登場です!

今回は独自解釈も含まれてます。ご了承ください。


44話 開花

 夏休みに入り、いろんな奴らが帰省を始めた。だが一夏たちは、学園に残ることになった。モンスター共が物量作戦で来たときのために、そして、ISを使ってきたときにも対応出来るようにするためだ。

 だが……

 

「どうしたよ一夏。そんな気難しい顔して」

「ん? えっとな……」

 

 一夏が気難しい顔をしていた。尋ねて見ると、意外な奴の名前が出て来た。

 

「箒の様子がおかしい?」

「あぁ。まるで避けられてるような気がして……」

「そういや、俺や相棒に対してはビビってるような反応してたなぁ」

「何があったのか聞いても、『何でもない』の一点張りで……」

「なるほどねぇ」

 

 一夏の幼馴染みで、束さんの妹である箒。彼女の様子がおかしい。まるで何かに怯えてるような、そんな感じだという。

 何かに怯えてる、ねぇ……。

 

「見えないものが見えるようになったとかか?」

「そうかもしれない。だけどそれって、幽霊が見えるようになったとか、そういう感じか?」

「幽霊かどうかは分からないけどな。仮にそうだとしたら、俺と同じように能力が目覚めてるかもしれない。まぁ、変身することは無いかもしれないけどな」

「そっか。にしても、今日は全然姿を見ないな……」

「う~ん、声かけてみるか?」

「そうしよう」

 

 と言う事で寮へと戻り、箒の部屋のところへ。一夏がノックする。

 

「箒ー。いるかー?」

『い、一夏か!?』

「あぁ。今日は姿を見てないけど、どうかしたのか?」

『ま、待ってくれ! その前に、外に何かいるか?』

「外? いや、ここにいるのは俺と真だけだけど……」

『そ、そうなのか……?』

 

 何だ? やけに怖がってるような声だが……。

 俺がそう怪しんでいると、ゆっくりと扉が開かれた。その表情は少し怯えている。

 

「っ! ひぃぃぃぃぃ!」

「箒!? どうしたんだ!?」

「おい、どうした!?」

「止めろぉ! 近づくなぁ!」

 

 俺たちの姿を見た瞬間、顔を青ざめてジタバタと暴れ始めた。ど、どうしたんだ!?

 

「も、靄が! 靄がぁ!」

「落ち着け箒! 靄なんて無い!」

「うわぁぁぁぁぁ!」

「ちっ! 箒、すまねえ!」

「あっ…………」

 

 箒の首の後ろを強く叩いて気絶させた。当て身ってやつだ。

 一夏は困惑した表情になっている。箒のこんな姿を見たことなかったんだろう。

 

「箒……。どうしちまったんだよ……」

「うーむ……ん?」

 

 箒から不思議な力を感じた。俺は彼女の額に手を置いてみる。この暖かい感じ……まさか!

 

「原因判明だぜ、一夏」

「分かったのか!? それで、箒は一体……」

「……霊力が高まってやがる」

 

 

 

 

 

 その後、箒を保健室へ運び、相棒も呼んだ。男子三人で話し合う。

 

「それで、霊力ってのは何なんだ?」

「まあ、言っちまえば生命力みたいなもんだな。だから霊力が高まると、気配とかに敏感になるんだ」

「ですがそれは、今まで普通に生活していたのが、突然幽霊などが見えるようになってしまったようなもの。箒さんは、自身に何が起きているのかよく分かっていません」

「つまり箒は、俺たちの気配に敏感になったって事か?」

「あぁ。オーラみたいなのが見えてしまってるんだろうよ。特に俺や相棒は、モンスターの力も持っているからな。無意識に放ってるオーラを見ちまったのかもな」

「ひとまず、私たちはオーラを抑え込みましょう。そうすれば、彼女も話しやすいはずです」

 

 俺と相棒は大きく息を吐いて、体の力を抜く。ちょうどその時、箒が目を覚ました。

 

「ん、んぅ……」

「箒!」

「いち、か……?」

「よう、お目覚めみたいだな」

「っ! 真……それにミツルも……」

「少々説明したいことがありましてね」

 

 箒と向かい合うように、俺と相棒が座る。彼女の隣には一夏が座り、少しでも安心させようとしている。

 

「箒。お前、最近変なもの見えてるだろ? 例えば、人の体から滲み出てる靄のようなものが」

「な、なぜそんな事が分かるんだ!?」

「お前が喚きながら言っていた『靄が』って言葉から、察したんだ」

「……あぁ。臨海学校が終わった頃から、一夏や真、千冬さんや山田先生からも変なものが滲み出てるのが見えたんだ。特にその、真やミツルなんかはとても濃くて……」

「やっぱりな……。それも、お前を運ぶときに感じ取ったんだが、お前からは俺の母さんと似たような感じがしたんだ」

「早苗さんと、ですか? という事は、まさか!?」

「相棒の思ってる通りだぜ。箒には、神の加護がかかってる」

「ま、待ってくれ二人とも! 話が飲み込めない!」

 

 一夏が慌てて止めたから、いったん話すのを止めた。

 しかし、さっきも俺が言ったように、箒には神の力に近いものが流れてる。となれば、これは強力な力だ。暴走すればどうなるか分かったもんじゃない。

 

「さっきの説明の前に聞きたいことがある。箒の家って、神社だったりするか? だとすれば納得のいく話だ」

「あ、あぁ。私の実家は神社で、剣道場もやっていた」

「今は道場は開かれてないけど、神社の祭りはまだやっていて、箒は神楽舞をやってるんだ」

「………………」

「ま、真?」

「ドンピシャじゃねえかよ……。ここまで仮説が合いすぎると逆に怖いな」

 

 ひとまず深呼吸をして、自分を落ち着かせた。

 

「神様ってのはな、信仰心がエネルギー源なのさ」

「信仰心? 祈ったりとかか?」

「それだけじゃない。参拝に来てくれるだけでも、神様にとっては嬉しいのさ」

「なるほど、分かりましたよ。ISの登場で、篠ノ之という名は有名になりました。観光スポットみたいな感じで、遠くから神社を訪れる方もいますね」

「そうだ。地元の人からも親しまれてる上に、遠くの地方、それも外国まで篠ノ之という名は広まってる。神社で祀られてる神様にとってはウハウハだろうな」

「その、千冬さんや一夏は、私の父さんが開いていた道場で剣道をやっていたんだ。それも影響してるのか? 二人は世界で有名だから……」

「間違いなく、影響はあるだろうな。だが何より……箒が神楽舞をやっていることの影響が大きい」

「箒が神楽舞を?」

「どういうことです?」

 

 これには、相棒も小さく首を傾げていた。

 

「神楽舞ってのは漢字で書くと、『神様を楽しませる舞』だ。神様が楽しい事好きなのは昔からさ。天照大御神だって、外でのどんちゃん騒ぎに興味を持って、天の岩戸からひょっこり出てきたんだからな」

「では私は、神楽舞をやっていたから、さっき真が言っていた『神の加護』とやらを授かったと?」

「そう言うこった。神様や仏様に仕える人ってのは、何かしらの加護やご利益を得てる。だがな……」

 

 俺が少し声のトーンを低くしたら、箒と一夏の顔は真剣な顔つきに変わった。大事な話だってことを分かってくれたみたいだ。

 

「神様の力ってのは、それはそれは強大だ。扱い方を間違えれば、とんでもねえ被害が出ることもある」

「ではどうすれば……」

「だから、俺と相棒がいるんじゃねえか」

「ふふっ、幻想郷のことを知るメンバーがまた一人、増えましたね」

「え、え? 一夏、どういう事なんだ!?」

「ははは……。信じられかもしれないけど、二人は実は……」

 

 前とは違って、今度は俺と相棒、そして一夏の三人で説明した。普通ならありえないような事の説明に、箒の反応は驚きという、当然の反応だった。

 

「そうか……。どうりで、霊力とか神とかに知ってるような口ぶりだったのか」

 

 こんな感じで、最後は納得してくれたけどな。

 

「さて、ひとまずはアリーナで修行するのが一番かもな」

「幻想郷へ行かせることは出来ないんですか?」

「あー、出来るかもしれねえけどよぉ……。霊力の扱いが不安定な奴を、妖怪やモンスターがうろうろしてる世界へ放り出すのか?」

「あ……」

 

 ったく、相棒は……。

 すると、箒が少しおかしそうに笑っていた。

 

「ぷっくく……。何となく真がボケで、ミツルがツッコミ役かと思ったが……。ミツルも抜けてるところがあるんだな……あははは!」

「なぁっ!? そんなに笑わなくても良いでしょう!?」

「そういや、臨海学校で風呂に入ってる時だったんだがよぉ……」

「真さんも言わなくて良いですから!」

 

 俺と相棒が箒と笑っていたが、この時は気付かなかったんだ。

 

「(……あれ? 何で、俺……)」

 

 一夏が、少し羨ましそうに俺と相棒を見ていたことに。




箒は、専用機は無いけど霊力などを持つようになったという設定にしました。後で『紅椿は無し』といったタグ編集などをします。

次回は、簪とラウラの話にしようと思っています。それでは、次回もお楽しみに!
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