インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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お待たせしました。気付けばお気に入り登録者数が前作「東方竜人帳」を超えていてビックリです。
本当にありがとうございます!


51話 父の懺悔、一夏たちの願い

 保健室まで父さんにおんぶされ、今はベッドの上。俺は、相棒と共に父さんから話を聞いていた。え? さっきまで泣いてなかったか? き、気のせいだ!

 

「人化モンスターの狙いは、竜玉をコアにしたISもどきを作って人間世界を崩壊させる、か……」

「そうだ。俺たちは出来るだけ勘づかれないように紫さんのスキマを利用し、様々な国へ行ってその進行を抑えてきた。それでも、完全に止められたわけじゃない」

「なぜ、そんなコソコソとやるんですか?」

「この世界へ来て感じたことだが、ISというのは既に、世界経済を支える『柱』の一部になっている」

「経済を支える『柱』?」

 

 父さんが言うには、今は『IS経済の時代』らしい。ISの装甲や武器に使われる合金の開発・研究、コンピューターや計測機器の他に医療技術の発達、国家代表および代表候補生の雑誌にISのテレビゲームと、『IS』という存在は、とてつもない金を動かしているのだという。非合法な人体実験やISの軍事利用、男性と女性の溝という問題もあるが、もはや『ISをこの世界から無くす』という考えは危険らしい。

 

「『柱』の一部が無くなればたちまちバランスが崩れ、最悪の場合、今までに無いほどの大不況が起こるだろう。失業率も高くなり、最悪、暴動や戦争が起こる可能性もある」

「ヤバいじゃねえか……!」

「そうだ。俺たちとしてもそれは防ぎたい。目立つような対処をしてしまえば、ISに関してのトラブルを巡って世界中が騒ぎになる。今の時代は、どんな疑惑もあっという間に世界に広まってしまう時代だからな」

 

 どうやら他の国でISもどきが暴れたって話は無いから、まだ世界は混乱してないみたいだ。だからといって、油断も許されねえ状況だが。

 

「モンスター達は、真やミツル君、そして俺たちを消すことを優先しているようだな」

「へっ! 今回は情けない姿見せちまったが、次はこうはいかねえ!」

「えぇ! せっかくの学園生活を壊されてたまるものですか!」

「……すまない。二人とも」

 

 突然、父さんが頭を下げて来た。俺と相棒は顔を見合わせる。

 

「俺たちがもっと早く対処に出ていれば、こうはならなかった。お前たちを巻き込んで、本当にすまない」

 

 深く頭を下げる父さん。

 

 ……何言ってんだよ。

 

「父さんは、俺を鍛えてくれたじゃねえか。色々とバカなことをやった俺を見捨てないで、むしろたくさんの事を教えてくれた。謝る事なんかねえよ」

「そうですよ。それに、こういうのも何ですが、この戦いが無ければ、私たちは常に能力を持っていることを隠さないといけませんでした。皆さんは私たちを信じて戦ってくれてるんです! むしろ護さんたちに協力させてください!」

「お前たち……」

 

 父さんは俺たちを驚いた表情で見ている。だが、すぐに苦笑いした。こういう時の父さんの苦笑いってのは、たいてい『ありがとう』って言う時の笑みなんだ。

 

「全くお前たちは……。協力も何も、まずは怪我を治すのが先決だろうに。だが……ありがとう」

 

 ほら、言っただろ?

 

 

 

 

 

 

 その頃白斗は、片手に持った竜玉を見せていた。

 

「これが、敵がコア代わりに使っていた竜玉だ。長い年月を生きてきたモンスターの体内で結晶化して出来る奴だ。言っちまえば、モンスターから採れる宝石だな」

「これがコアになるのか……」

「最初に襲撃してきた機体のコアを解析しても、エラーが出るわけですよ」

 

 千冬と真耶は、竜玉をまじまじと見る。機械油のせいか少し汚れているが、それでも美しいと思えるほどの光を放っていた。

 一方、楯無は戦闘時に駆け付けてくれた時の事を話す。

 

「あの時はあなたが来てくれましたが、素手で破壊して、その……竜玉を抉り取りましたよね?」

「まあな。聞けば、無人機ってのはシールドエネルギーとやらが無いんだろ? だとしたら後はただ動き回る鉄屑だ。遠慮なくぶち抜かせてもらったぜ」

 

 その発言に、少しだけ顔が引きつる楯無。ISの装甲というのは特殊合金で出来ている。ミサイルや銃弾を受けても搭乗者の傷を少なくするのは、それのおかげでもある。だが目の前の男は、ISをスクラップにするのを、をまるで普段から行ってるかのように答えたのだ。

 その規格外な答えに反応を示したのは、楯無だけではなかった。箒は、思ったことを口にする。

 

「白斗さん。あなたも、能力を持ってるんですか?」

「お、真とミツルから聞いたのか? だとしたら話が早い。その通りだぜ」

 

 白斗は右腕の爪を鋭くして、青白い電流を走らせる。その頬はトカゲのような鱗に変わっていた。その変貌に、箒たちは目を見開いた。

 

「俺は、轟竜ってモンスターの力が扱えるらしい。まぁ、一口に轟竜と言っても色々種類があるらしいけどよ」

「その、辛く……なかったんですか? いきなり異能とも言えるような力が手に入ってしまって……」

「そりゃあ、辛かったさ。ガキの頃に能力が目覚めたから、ちょっと怒ったり泣き喚いたりするだけで辺りに電気をまき散らしちまう」

 

 聞いていた全員は、黙ってしまった。幼い頃というのは、良い意味でも悪い意味でも純粋だ。変だと思うものを弾いてしまう。白斗もそうだったのだろうかと思ってしまう。

 

「だが、影夜……ミツルの親父の場合は、俺よりももっと酷いぜ? 両親を殺された挙句家も燃やされ、周りからいつも痛めつけられて、助けてくれた女も殺されたって言ってたな」

「そんな……!」

「護は護で、信じていた人間に裏切られたって言うしよ。だから、あんなに子供を溺愛するんだろうな」

 

 少し寂しげな顔をする白斗。再び語り始める。

 

「だが、能力をもって後悔はしてねぇ。そうでなければ幻想郷に来ることもなかったし、護たちに会うこともなかった。そして……今の妻と暮らすこともなかったさ」

 

 白斗の先ほどまでの大人な顔が一変し、デレ~と顔が緩んだ。しかしすぐに引き締まった顔に戻る。

 

「要は、力を持つってのは気持ち次第さ。誰かを守りたい・支えたいと思えば、あとはそれが成し遂げられるようにひたすら特訓だ」

 

 あくまで俺の場合はな、と付け加えた。その言葉は箒たちの胸に……特に一夏の胸に響いた。

 

「(誰かを守りたいのなら、成し遂げられるように特訓……)」

 

 白斗が他の質問に答えてる中、一夏は一人で悶々と考える。

 

「(俺は、自分が弱いせいで誰かが悲しむのが嫌だ。だけど俺はまだ弱い。だから、せめて皆の足を引っ張らないようになりたいんだ)」

 

 でも、本当にそのままで良いのか? 一夏の頭にそんな声が響く。

 

「――――い! おい、一夏!」

「ん、んっ!? ほ、箒か……」

「ボーっとしていたぞ。どうしたんだ?」

 

 目の前で、箒が心配そうに一夏を見ていた。周りを見ると、セシリアたちは専用機を修復するために整備室へ向かうところだった。

 

「一夏は行かなくて良いのか?」

「いや、俺は……まだ大丈夫かな。セシリア達のダメージが大きいみたいだし、後で良い」

「そうか……」

 

 すると、足音が遠くなるのが聞こえた。白斗がどこかへ行こうとしてるみたいだ。慌てて呼び止める。

 

「は、白斗さん!」

「ん? お前は……確か、一夏だったか?」

「はい。あの、これからどこへ?」

「んー、護の野郎が話し込んでるみたいだし、来なかったことについて文句でも言いに行くつもりだったが」

「そ、そうですか……」

「だが、そっちのポニーテールの嬢ちゃんは用があるみたいだな」

 

 すると、箒が一夏より前に出て、頭を下げた。

 

「お願いします。私を鍛えてください!」

「……へえ? お前も能力持ち……それも目覚めたばかりだな?」

「はい。真たちにも鍛えてもらってるのですが、モンスター達が今回のように攻めて来たのであれば、もう猶予はないんです!」

「なるほどねぇ。一夏くんはどうするよ?」

「お、俺ですか?」

「どことなく、嬢ちゃんを心配してる目をしてたからな。俺の特訓はキツイぜ? 昔、真やミツルを鍛えてやった時には、二人そろって吐いてたからな」

 

 白斗の笑みは、獰猛な笑みだった。敵に回したらヤバいと、一夏と箒の本能が訴えるほどだ。

 一瞬、足がすくんだ。だが、二人の答えは決まっていた。

 

「箒だけじゃないです。俺も、鍛えてください!」

「一夏もか? 俺の能力もある。ISとか大丈夫なのか?」

「今のままでは駄目なんです! たとえ白式を手にしていても!」

 

 白斗は一夏をじっと見つめる。だが、一瞬だけ笑うと二人に背を向けた。

 

「ついて来い。モンスターを相手にした時の立ち回りを自分で考えな」

「「は、はいっ!!」」

 

 二人の気合の入った返事に、白斗は再び笑った。

 




次回の内容はまだ決まっていません。白斗たちの話にしようか、それとも真たちとヒロインの話にしようか……。
ですが、完結に向けて頑張ろうと思います。
では、次回もお楽しみに!
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