インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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お待たせしました。最近、新しい小説書こうかなと思ってますが、まずはこの作品をしっかり完結させないと。

ふと思いついたシーンを書いたので、今回は短めです。それでは、どうぞ!


52話 保健室での語り合い

 保健室で護と真たちが談笑していると、アリーナの方角から爆音が聞こえた。まさかもうモンスターが襲撃してきたのかと2人は身構えるが、護は笑った。

 

「おそらく、白斗だろう。誰かを鍛えてるんじゃないか?」

「うっわぁ、マジかよ……」

「あの人のは、ひたすら攻撃を避けて、痛みに慣れたり逃げ回る体力をつけたりする修行ですよね……」

 

 誰が受けてるのか分からないが、2人は心の中で合掌した。白斗から直々に鍛えられた2人からすれば、彼の修行は「凄まじい」の一言に尽きるからだ。

 

「拳で殴られたりするだけでもとんでもないのに、パチンコ玉を磁力で撃ってきたりするんだもんなぁ」

「クレーターが出来るほどの威力というおまけ付きですよ……」

 

 真たちは、どこの第三位だと言いたくなった。

 

「ふふっ。だが、何よりもお前たちは愚痴っていたじゃないか。『熱線やナイフが咆哮でかき消される~』ってな」

 

 白斗の修行は、攻撃を当てることも可能だ。だが、それをティガレックスの咆哮でほとんど無効化される。熱線は勢いが弱まり、ナイフは粉々にされる。2人は初めて見た時の事を思い出したのか、ぐったりとしながらベッドに倒れ込んだ。

 だが、何も白斗だけが強いわけではない。2人は目の前にいる護からも修行を受けたし、影夜にリオ、ナナシといったかつての英雄からも修行を受けている。いずれも、勝った事は無い。

 

「どれ、白斗がやり過ぎてないか見てくるよ。お前たちはゆっくり休みなさい」

「ありがとう、父さん」

「……あぁ。どういたしまして」

 

 護が浮かべる微笑みは、真が幼い頃に見た笑みと同じものだった。

 

 

 

 

 

 護が保健室から出て行くと、真は大きく息を吐いた。

 

「あ~っ! 何か、ベッドがめちゃくちゃ気持ち良く感じる!」

「それほど体が……んんっ! 疲れてたんでしょう……ふぅ~っ!」

 

 ミツルも力が一気に抜けたのか、息を吐く。その時だった。グゥ~ッ!という凄まじい音が鳴った。ミツルがジト目で真を睨むと、当の本人は苦笑いしながらポリポリと頬を指で掻いていた。

 

「真さん……」

「悪い悪い。だけど力が抜けたとたんに腹が減ってよぉ」

「確かにお腹は空きましたが……」

 

 真が空腹だと言ったとたん、自分も空腹を感じた。しかし体が痛むために、食堂へ行くことすら出来ない。

 すると、保健室のドアが開いた。そこには本音とラウラがいる。

 

「東風やん~。ご飯持ってきたよ~」

「おぉ、本音! ナイスタイミング!」

「ミツル。持ってきたぞ。私の手作りだ」

「えっ! あ、ありがとうございます」

 

 二人が持っているお盆には、おにぎりの山が出来ていた。普通の人間が見れば、食べきれるのかと疑問に思うだろう。だが、今まで非常識な光景を見て来た彼女たちからすれば、この量は普通の事だった。

 

「護殿から教えてもらったのだ。『二人は大食いだから』とな」

「私たちだけじゃなくて、かんちゃんにお姉ちゃん、セッシー(セシリア)にデュッチー(シャル)も手伝ってくれたんだ~」

「これは……。ありがとうございます」

「ふふん、どういたしましてだ」

 

 確かに簪やシャルロット、セシリアも手伝った。だが、半分以上は本音とラウラが作ったのは秘密である。

 なお、セシリアは鈴や楯無、虚に教えてもらいながら作ったのは余談である。

 

「そんじゃあ、いただきます!」

「めしあがれ~♪」

 

 真が片手で1つ掴むと、その大きな口でおにぎりを食べる。てっきり塩を振ってるかと思ったが、塩の味はしなかった。その代わりに断面から緑色の何かが見えたので、また一口かじる。すると、ポリッという食感と共に僅かな塩味を感じた。

 

「(なるほどな! きゅうりの浅漬けを中に入れてんのか!)」

 

 自然と笑顔になり、もう一つに手を伸ばそうとする。だがその手を本音が優しく止めて、お茶を渡す。

 

「一気に食べると、喉に詰まっちゃうよ? はいお茶」

「お、おう……。サンキュ」

 

 ふと彼女と手が触れてることに気付いた真だったが、本音は気付いてないのかニコニコと笑顔のままだ。少し照れながらも湯呑に注がれた緑茶で一息つく。

 その頃ミツルも、中の具が一つ一つ違うおにぎりを美味そうに食べていた。

 

「んっ、酸っぱい!」

「お? 梅干しに当たったな? 私も食べてみたが、不思議な酸っぱさだな」

「ですが……むしろ食欲が湧きます!」

 

 ラウラからお茶を手渡されて一息ついてから、どれに手を伸ばそうか考える。そして「これだ!」と思った瞬間に真に横から取られた。

 

「あ、それは!」

「へっへっへ。相棒も狙ってたのか? 悪いが先に取ったモン勝ちさ」

「くぅぅ!」

「ふ、ふふっ……」

「くっ、くくっ……!」

「「ん?」」

 

 子供っぽい一面に、本音とラウラは思わず笑ってしまう。それに気づいた男二人は首を傾げた。

 

 おにぎりの取り合いという一悶着もあったが、部屋が壊されるというような大きな被害もなく、完食した。

 

「あ~、食った食った! ごちそうさん!」

「お粗末さまでした~」

「ご馳走様、ラウラさん」

「うむ、お粗末様だ!」

 

 窓を見ると、もう暗い。かなり時間が経っていたようだ。

 

「それじゃあ、私たちも部屋に戻るね……」

「おいおい、そんな寂しそうな顔すんなって。美味い飯も食ったし、あとはグッスリ寝れば明日には回復してるさ!」

「本当~?」

「あぁ。だからほれ……ニパーって笑ってみ?」

「……ニパー!」

「へへっ、やっぱり本音は笑顔が似合ってらぁ」

「あう~。恥ずかしいよ~」

「悪い悪い。……また明日な、本音」

「……うん。おやすみ、東風やん」

 

「私も戻らねば

「そうですね……。そういえば、今日は外でかなり戦っていたそうですが、大丈夫ですか?」

「明日辺りには、レーゲンの調子を見ないといけない。それと、ユカリとか言う人がモンスターの書物を持ってきてくれるらしいから、ちょっとした勉強会も予定されている」

「紫さんが……。あとでお礼しなければなりませんね」

「しっかりと勉強させてもらうぞ。ミツルたちがどのような生き物と戦ってきたのかを……」

「傷が治り次第、私たちもサポートに回りますから、無理はしないように」

「ふっ、分かってるさ。……おやすみ、ミツル」

「えぇ、おやすみなさい」

 

 こうして二人が保健室から寮へと戻っていった。しばらくの間静寂が訪れる。

 最初に喋り始めたのは真だった。

 

「相棒……。お前って、ラウラと仲良いよな」

「そう言う真さんだって、布仏さん……本音さんと仲良いですよね」

「なぁ、相棒」

「なんです?」

「……もしもさ、もしもの話だぜ? 俺たちがモンスター共に負けたら、どうなっちまうのかな?」

「そりゃあ、悲しむ人が出てくるでしょう。本音さんは大号泣間違いなしです」

「じゃあ俺もお返しするぜ。相棒が死んだら、ラウラが泣くだろうな。『馬鹿者が』って言われるかもしれないぜ?」

「それは勘弁ですね」

 

 再び静かになる。だが、こうやって語り合うのは久しぶりだと、二人は偶然にも同じことを思っていた。

 

「白斗さんの修行受けた奴、どうしてるかな?」

「シャワー浴びてベッドに倒れこんでるんじゃないですかね?」

「俺たちも初めの頃はそうだったよなぁ」

「ご飯なんて喉を通りませんでしたねぇ」

「咆哮受けた時のお前、今でも覚えてるぜ? あまりの声のデカさに、気絶した上に漏らしたんだよな」

「ちょっ!? 何で覚えてるんですか!?」

「面白いからに決まってるだろ?」

 

 真はカラカラと笑う。

 

「真さんだって、ナナシさんのモンスター講座聞いてるときに、睡魔に負けて突っ伏しそうになって、墨汁に額を突っ込みましたよね?」

「ちょっと!? それ一夏たちに言うなよ!?」

「さぁ、どうでしょう? 絶対にやるなと言われてやるというのが、外の世界のお約束らしいですからねぇ」

「絶対に言うんじゃねえぞ!?」

 

 昔話に盛り上がるが、やはり疲労のためか大声で笑う程の賑わいは無い。二人ともしばらく黙るが、その日最後の締めくくりは、真の言葉で終わった。

 

「相棒」

「はい」

「……絶対に勝とうぜ」

「……あぁ!」

 

 コツンと軽く拳をぶつけた。




次回には2人とも復活する予定です。再び戦闘にするか、それともつかの間の休息にするか……。

それでは、次回もお楽しみに!
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