インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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間髪入れずにラスボスとの戦闘にしようかと思いましたが、流石にそれはどうかと思い、この話にしました。

つかの間の休息みたいな話だと思ってくれれば、幸いです。


58話 男子たちの想い

「お前たちは馬鹿か!?」

 

 ドナーとの戦いのあと、俺と相棒は正座させられていた。怒ってるのは織斑先生で、俺たちを取り囲むように山田先生や一夏たちがいる。

 

「モンスターの襲撃があったからと言って、お前たちは『報・連・相』も出来ないのか!」

「い、いえ、緊急だったため……」

「ミツル、変に言わない方が良いわよ。先生かなりご立腹だわ」

 

 相棒が言おうとするのを、鈴に止められる。チラッと見ると本音も怒った顔をして、「しっかり説教を受けろ」と目が言っている。

 ちなみに、父さんも同じように正座させられて、影夜さん達から説教を受けている。何て言われてるのかは、よく分からないけど。

 

「テメェは馬鹿か! 紫さんから貰った通信札で、いつでも呼び出せただろうがよ!」

「いや、本当にスマン……」

「……まぁ、俺たちも異常に気付いてすぐに駆けつければ良かった。俺も悪かったよ」

 

 俺と相棒、そして父さんは、他の人たちからの説教を受けた。言ってることが正論だから言い返す事も出来ないし、何より、本音にまで怒られたのがメチャクチャ心にダメージを受けちまった……。

 

 

 

 

 

 

 説教から解放された後、俺と相棒と一夏の3人は、食堂で話をしていた。ドナーが最期に言った事が気になるからだ。

 

「この世界にいるモンスター達を、従えている存在か……」

「はい。私たちはともかく、人間である一夏さん達をも脅威と見ている可能性がありまして」

「俺たちが? なんで?」

「お前たちは、モンスターの能力が封じ込まれた無人機たちを倒してきただろ? いくら能力の元となったモンスターが雑魚とは言え、それは野犬の群れを全滅させるような事だぜ」

「そうか……。ISのおかげとは言え、敵からしたら兵力を潰された訳だからな。俺たちが脅威に思えるのか……」

「最悪、前回よりも大量の小型無人機だとかを投入してくるかもしれませんよ。セシリアさん達のような専用機チームだけでなく、護さん達をはじめとした能力者も戦う可能性が……」

「能力者も? ま、まさか!」

 

 一夏の顔が青くなる。

 

「まさか、箒も戦うのか……!?」

「恐らく、な」

「何でだよ! 箒は確かに能力を持ってるけど、戦いに出てた訳じゃないだろ!」

「そんな事を、敵さんが知るわけ無いだろうが!」

「そんな事……? 箒が『そんな事』だと!!」

 

 その瞬間、俺の右頬に痛みが走る。何されたかはすぐに分かった。一夏が俺を殴ったからだ。

 

「…………っ! ご、ごめん!」

 

 一夏は怒りに満ちた顔から一転し、すぐに青ざめた顔で俺に駆け寄る。まるで、「何で殴ったのかわからない」と思っているかのような顔をしていた。

 おそらく、これは……。

 

「気にすんな。俺も、言い方が悪かった。すまん」

「本当にごめん……。でも、何か、箒のことを考えたらこう、頭に血が昇ったと言うか……」

 

 困惑した表情で、自分の両手を見る一夏。その様子に、俺と相棒は一瞬だけ顔を見合わせて、頷く。

 

――――言うべきでしょうね。

――――そうだな。後悔しないためにも。

 

「なぁ、一夏。お前は箒のことをどう思ってるんだ?」

「え? 何でそんな質問を」

「前に読んだ漫画に、こんなセリフがあります。『質問を質問で返すな』……でしたかね。こちらの質問に答えてくださいな」

「ご、ごめん。箒のことをどう思ってるかだよな。そりゃ、箒は幼馴染で……あれ? でも……」

 

 箒のことを言おうとする一夏だが、自分で言っておきながら再び困惑し始める。

 

「何でだ……? 俺にとって幼馴染で、親友で……、でも、何か違う……」

 

 これは、もう少しかもしれない。俺は発破をかけることにする。

 

「箒がモンスターに殺されそうになったら、お前はどうするよ?」

「そんなの、絶対に助けるに決まってる! ……あっ」

「ようやく、気付きましたかね」

「ったく、遅いんだよ」

 

 自分の気持ちに気付けたようだ。これで、一夏も少しは生き残るために戦うことが出来るだろう。

 

「俺は、みんなを守りたい……。でも、それでも俺は……!」

「良いんですよ、全部言わなくて」

「それに、ちょっとくらい独占欲があってもいいだろ?」

「そういう、ものなのか?」

「そうですよ。ここでハッキリ言いますが、私はラウラさんが好きです」

 

 ……ん!? 今、相棒の奴サラッととんでもない告白しなかったか!?

 

「相棒!? 薄々感じていたけど、マジか!?」

「マジですよ。正直言って、大声で叫びたいくらいです」

「お、おぉ……。ミツルがここまでハッキリ言うのも珍しい気がするな」

「もう、とっとと戦いを終わらせて、告白したいぐらいです」

「真面目な顔して、凄いことを言うんじゃねえ! 本人がいたらどうする!」

「大丈夫です。ラウラさんの気配を感じないから、ここで言っています」

 

 相棒の奴、目がマジだ……! 本気と書いてマジと読む奴だ……!

 

「それよりも、真さんはどうなんです? 本音さんと随分仲が良いみたいですが」

「あ、それは俺も気になる」

「相棒!? それに一夏まで!」

「もう、この際言っちゃったらどうです? 本音さんも今ここにはいませんよ?」

「ミツルも言ったんだしな~。これは真も言う流れだろ~」

 

 相棒と一夏め、ニヤニヤした笑みを浮かべやがって!

 

「だ、だけどよぉ、ここで言ったら死亡フラグってのが出来たりしないよな?」

「大丈夫ですよ。常識をぶち壊すのが真さんでしょう?」

「そうそう。『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ』みたいなことを言わなければ、大丈夫だって」

「そ、それなら……良いのか?」

 

 それなら大丈夫、なのか?

 それから俺は深呼吸をして、叫ぶほどではないが、ハッキリと言った。

 

「そうだな……。俺は、本音のことが好きだ。彼女とまた学園生活が送れるようにするためにも、この戦いは負けられない」

「……そうですね。私も同じです」

「俺も今、ハッキリと言える。好きな人を守るために、俺は戦う」

 

 男子三人が、一斉に頷く。それぞれが好きな人を意識した今、もう俺たちは逃げることが出来ない。

 だけど、上等だ。だったら徹底的に抗ってやる。相手が古龍だろうが何だろうが、ぶちのめしてやる。

 

 人間の意地ってやつを、モンスター共に見せてやる!

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます。

次回も早めに投稿出来るように努力します。
それでは、次回もお楽しみに!

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