インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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モンスターハンターワールド・アイスボーンのPVを観ました。

まず一言。ナルガクルガ復活おめでとう! 自宅の環境の都合でワールドはやったことありませんが、嬉しいです!

それでは、どうぞ!


60話 襲撃と悔しさ

「先ほど、レーダーが無人機の存在を掴んだ。数は不明。しかし確実なことは、無人機の集団が学園を取り囲んでいるということだ」

 

 織斑先生の説明に、俺たちは唾を飲み込む。モンスターの能力が付与された無人機が、人工島である学園を取り囲んでる。つまり、相当な量の敵が来ているということだ。

 

「今は護さんたちが先行し、防衛に当たってもらっている。お前たちもすぐに合流しろ」

「織斑先生」

「どうした、十六夜」

「それほどの数ならば、指揮をする存在が近くにいてもおかしくないのですが、レーダーは無人機以外の存在をキャッチしなかったのでしょうか?」

「私も気になってはいた、しかしレーダーに反応しなかったということは、レーダーの範囲外で指揮を執っている可能性が高い。おそらく、東風谷と十六夜、そして護さんたちを疲弊させるのが目的だろう。二人は出来る限り前へは出ず、指揮官を発見次第、対応を頼む」

「「了解!」」

「篠ノ之。お前は、実戦は未経験だ。専用機組が撃ち漏らしたものを迎撃するだろうが……山田先生の下を離れるなよ」

「分かりました。よろしくお願いします、山田先生」

「無理はしないでくださいね。あなたは生身で戦うことになるのですから。いざとなったら私を盾にしてでも逃げてください」

 

 こうして俺たちは、再び無人機の群れを迎撃すべく、外へ走って行った。

 

 

 

 

 

 

「るおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 父さんの叫びと共に、脚を掴まれた無人機が振り回される。そのまま投げ飛ばされて、四足歩行の無人機に激突し、爆発した。その爆発に他の無人機も巻き込まれる。

 

「俺様をなめんなっつうのぉ!!」

 

 ティガレックスの爪を光らせた白斗さんが、別の機体を突き刺して、そのままディオレックスの電気を流し込む。回路をズタズタにされた無人機は、そのまま片手で投げられて、別の無人機と共に爆発四散。当然、他の奴もお陀仏だ。

 

「遅い! 遅すぎます!」

 

 影夜さんは腕のブレードで複数の無人機の胴体を一気に傷つける。無人機は影夜さんを捕えようと動くが、よっぽど深く斬られたのか、そのまま倒れこむ。父さんや白斗さんに比べると地味かもしれないが、一度の攻撃で倒してる数は二人と同等だ。

 

 

「なっ……」

「これが護さん達の戦闘……」

 

 父さんたちの戦いを目の当たりにしたセシリアやシャルは驚いているが、この状況はまずい。俺たちよりも先に戦って敵を倒してるのに、それでも数は尋常じゃない。いくら父さん達でも厳しいかもしれない!

 

「驚いてる暇はねえぞ! 父さん達と交代だ!」

「分かった!」

 

 俺の掛け声で一番に飛び出したのは一夏だ。だが、ただの突撃じゃない。無人機が鋭い爪を振り下ろそうとするのを避けながら、父さんたちの所へ向かっている。

 

「俺たちも負けてらんねえな! 行くぜ相棒!」

「えぇ!」

 

 俺は拳に炎を纏わせ、相棒はIS用のブレードを展開する。するとラウラが、肩のレールカノンを相手に向けた。

 

「道を作る! 行ってくれ!」

「助かります!」

 

 リミッターを外されその威力が凶悪なものになったレールカノンの砲弾が、後ろにいる無人機ごと胴体に風穴を開ける。

 

「今だ! 突っ込めぇぇぇ!」

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

 俺と相棒が突っ込んでいく。他の無人機が爪で俺を切り裂こうとするが……かすり傷を少し付けたに過ぎない。

 

「邪魔だぁ!」

「どけぇ!」

 

 俺のパンチが無人機を吹き飛ばす。相棒の持つブレードが敵の腕や足をぶった切る。だが、数が減らないことに苛ついた相棒が、刃こぼれしたブレードを取り換えながら声を荒げた。

 

「あぁぁぁ! 面倒くさい!」

「相棒!?」

「一気に行きますよ!」

 

 相棒の腕の装甲から、ナルガクルガのブレードを模したような刃が現れる。まさか、それで一気に敵を切りつけながら突っ込むのか!?

 

「遅れないでください!」

「分かってるっての! セシリア! 背中は任せる!」

「お任せくださいな!」

 

 俺と相棒は瞬時加速で一気に突き進む。無人機は後を追おうとするが、上空から遠距離の敵を狙撃していたセシリアが、その無人機を撃ちぬいて妨害する。

 

「行ってください、お二方……。空は私がやります!」

 

 セシリアの視線の先には、ブナハブラやランゴスタ、ガブラスといった小型無人機の飛行タイプがいた。

 

「ブルー・ティアーズ、全機稼働! 絶対に……絶対に仲間をやらせませんわよ!」

 

 セシリアの頼もしい声を背に、俺たちは父さんのもとへ辿り着く。

 

「父さん、下がって!」

「っ! 影夜、白斗!」

 

 父さんの合図と同時に、影夜さんと白斗さんが下がる。

 

「ツインファイアァァァァァ!!」

 

 グラビド・ヘッドから放たれる2本の熱線が、父さんたちの相手になっていた無人機を貫く。当然、一機を貫いて終わりではなく、その後ろにいた無人機を10機ほど巻き込んだ。

 

「一旦下がろうぜ、護! 数が多すぎる!」

「そのつもりだ! 真、ミツル君! 下がるぞ!」

 

 父さん達の言葉で、俺たちも撤退する。

 

「援護するよ!」

「吹っ飛びなさい!」

 

 上空にいたシャルと鈴が、マシンガンや衝撃砲で周りの無人機を妨害する。

 

「しかし、これほどの数…………」

「父さんも怪しいと思うの?」

「モンスターが居ないことも気掛かりだが、俺の気にしてることは、これほどの数を動かすためのコアをどこから手に入れたかだ……」

「っ!」

 

 言われてみればそうだ……! モンスター能力を付与させた無人機のコアは、竜玉と呼ばれる宝石で代用されている。だけど竜玉は、モンスターの体内で長い時間をかけて生成される物だ。これほどの数を動かすには時間が足りな過ぎる。

 

「それによぉ、心なしか、前に一夏たちを襲った奴らよりも弱いな」

「白斗さんもそう思いますか? 確かに、今ここにいる無人機たちは爪とかを使って襲い掛かってくるだけで、遠距離の攻撃をしてきませんね。ジャギィやランポスをモデルにしてるようですが……」

「何だ……? 無人機の指揮者は、何を企んでいる……?」

 

 父さん達の疑問が膨れ上がるが、ゆっくりと考える暇がないほどに無人機が襲い掛かってくる。

 

「東風谷くん、校舎の方まで下がって、そこでエネルギーを補給して! 私たちが食い止めるから!」

「多すぎ……! 倒しても、どんどん出てくる……!」

 

 ガトリングランスで敵を蜂の巣にする会長と、薙刀で相手を切りつけていく簪。すぐにでも加勢したい所だが、いつ敵の親玉が俺たちを狙ってくるか分からない以上、従うしかない……。

 

「クソ……! 歯がゆいったらありゃしねえ!」

「真さん……」

 

 みんなは、俺や相棒がいつでもモンスターと戦えるように前に出て戦っている。理由は分かる。でも……それじゃあ俺は、何のために父さん達から修行を受けてきたってんだよ。

 

 俺は、俺を守ろうとする仲間に傷付いてほしくないから、死んでほしくないから強くなろうって決めたのに……!

 

「クソ……! クソ……! クソぉ…………!」

「……………………」

 

 悔しい声を抑えきれないまま、俺たちはエネルギーの補給へ向かった。

 




読んでくださり、ありがとうございました。

悔しさに震える真はどうするのか……。次回をお楽しみに!

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