本格的に決戦突入です! それでは、どうぞ!
白亜が翼を広げた瞬間、紫色の粒子が辺りに広がった。禍々しい色をしているソレは、翼を広げたことによる風圧によって真たちに襲い掛かる。
「うおぉっ!?」
「これは……!?」
避けようとするも、範囲が広いために粒子を体に浴びてしまう。ダメージは無いものの、すぐに体から生じる違和感に気付いた。
体が重く感じる。さらに、体の内側が熱い。まるで体内を熱湯が駆け巡っているような熱さだ。ミツルが真に声を掛けようとすると、その異常さに驚いた。
「真さん、体が!」
「相棒もどうした!? 体から黒い煙出てるぞ!」
「慌てることはあるまい。お前たちは一度、それを見ている」
「なに?」
自身が放ったものを知っているのか、白亜はほくそ笑みながら、ソレが何なのかを教える。
「銀髪の娘……。ラウラと言ったかな? かつて彼女に与えたものと同じだよ」
「っ! 貴様かぁぁ!」
懐からナイフを取り出して白亜の喉を切り裂こうとするミツル。だが、翼脚で腕を掴まれると地面に叩きつけられた。背中から押さえつけられ、メキメキという音が響く。
「うっ、があっ……!」
「相棒ぉぉぉぉ!!」
真が拳を鎧化させて真が殴り掛かる。だが、それも空いている方の翼脚で押さえつけられた。ミツルと同じく地面に叩きつけられると察した真は、瞬時に全身を鎧化させて体重を重くする。
白亜がその重さに一瞬だけ動揺した隙を見て、ミツルが脱出する。
「燃えやがれ!」
「ぐっ、ぬうぅっ!?」
全身から可燃性のガスを噴出させると、白亜は顔をしかめて翼脚を引っ込めた。
「(なんだ? やけに大人しく引っ込めたな……)」
その様子を訝しげに思いながら、蹴り上げつつ足を鎧化して白亜の顔を攻撃する。
「この鈍重が!」
「言いやがったなこの野郎!」
再び翼脚を開いて真を叩き潰そうとするが、それを掴んで攻撃を中断させる。だが、いくら怪力を誇る真でも古龍のパワーはすさまじいもので、腕がプルプルと震える。
「(くっ! 思うように力が出ねぇ……!)」
「真さん!」
体勢を立て直したミツルが走り出し、真を踏み台にして腕のブレードで切りつけようとする。普通の人間ならば気づかないような速さで接近したのだが、相手は古龍。反応してガードの姿勢を取る。
だが、それはフェイク。切りつけると見せかけて、ナルガクルガの尻尾を薙ぎ払うように振るう。そのまま横に吹っ飛ぶ白亜。ミツルは緩めることなく、その尻尾から棘を発射する。そこへ追い打ちをかけるように真が熱線を飛ばす。
「……倒れてるとは流石に思えねぇな」
「むしろ、ここからが本番でしょう……!」
ミツルの答えが正解と言わんばかりに、土煙から紫色の光が輝いた。
一夏は荒い息を吐いていた。自分を取り囲む無人機たちは手足を切断され、地面に倒れ伏している。好きだと意識している人のもとへ駆け付けたいのに、それが未だに叶わない。
「畜生、まだ動けるってのかよ……!」
一夏の愚痴をあざ笑うかのように、無人機はギシギシと無機質な音を立てる。長期戦を考慮して零落白夜や雪羅を使わないでいた。だというのに、シールドエネルギーが少なくなっている。
「空が暗くなってから、他のみんなと通信が出来ない……」
箒たちが居るであろう校舎を中心に暗雲が立ち込めてから、まるでノイズが掛かったかのように通信が出来なくなった。遠くに見える空は青く晴れているから、この人工島だけに雲がかかってるのだろう。
「さすがにヤバいか……」
機体の状態からして、既に絶望的。だが死ぬわけにはいかない。自分が死ねばどれだけの人が悲しむか。「生きて帰ってきてこそ、本当に守り切ったと思えるのだ」と、自身を鍛えてくれた白斗も言っていた。
「俺が生きるためにも……まずはお前らが倒れろぉぉぉぉ!!」
そう叫んだ、その時だった。
「よく言った、一夏」
凛とした声がしたかと思うと、周りにいた無人機の上半身と下半身が切断された。無人機を次々と切りつけていく様子は、まるで影が襲い掛かってるかのようだ。
しばらくして、影の動きが止まる。その正体に一夏は目を見開いた。
「ち、千冬姉!」
「遅くなってすまない。封印の解除とフィッティングに時間がかかった」
世界最強が、再臨した。
読んでくださり、ありがとうございました。
次回もお楽しみに!