真たちがいる場所は、地面が抉られたり壁が破壊されたりと、悲惨な状態になっていた。真とミツルの制服はボロボロになり、傷や出血も目立っている。
「はぁ、はぁ、はぁ…………!」
「相、棒……ぐあぁ!」
「ふっふっふっ。近づけまい?」
白亜はニヤリと笑う。彼が真たちによって大ダメージを受けてから、学園上空にある暗雲が更に厚くなった。
そこから2人は、手を出すのが難しくなった。真が得意の殴り合いに持ち込もうとした瞬間、紫色の雷が命中したのだ。
「ウザってぇな! ビリビリビリビリよぉ!」
もちろんタダでやられる訳もなく、時には接近して殴ろうとする。しかし、バリアのような物が真の拳やミツルのナイフを防いだ。
「これは……まさかISのバリア!?」
「首から下げてるそのネックレスか!」
「使いようによっては、人間の兵器も役に立つな」
鼻で笑いながら、翼脚で真を殴り飛ばす。強烈な一撃に、真は意識が飛びそうになる。
「(クッソぉ! ちまちまとしか攻撃出来ないなんてガラじゃねえ!)」
再び起き上がり、自分の専用機に呼びかける。
「一気に詰める。行けるか?」
≪任せて!≫
学園に来たばかりの頃はカタコトだったグラビオスが、今ではすっかり流暢に喋れている。そのことに少しだけ笑みを浮かべると、ブースターを一気に点火させる。
「うっ、おぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ダメージ覚悟の突進か! 無駄なことを!」
真の拳と白亜のバリアがぶつかり合い、バチバチという音と青白い光が発生する。真が苦し気な顔をする一方で、白亜は余裕そうな笑みを浮かべていた。
「モンスターと言えども、この壁は突破できまい」
「俺を……なめんじゃねぇ……! 俺を誰だと思ってやがる……!」
体を支える足が、地面を抉る。そんなことも気にせず、真は拳を打つ姿勢を崩さない。
「俺は、常識をぶち破る男だあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その瞬間、バリンッ!という音を立てて、バリアが砕け散った。白亜の目が驚愕に見開かれる。
「なっ!?」
「相棒ぉ! 今だぁぁ!」
「はあぁぁぁぁぁっ!」
真がバリアを攻撃している隙に、ミツルは後ろへと回り込んでいた。IS用のブレードを持つ両腕は制服の袖が破けるほどの筋肉で膨れ上がっている。
「スラッシュ!」
白亜の背中に、大きなXの字が切り刻まれる。それは翼脚の付け根を完全に寸断し、大きいダメージを与えた。さらにその衝撃で、白亜は前へとよろめく。
「ぬっ、うぅぅ……」
「ふんっ!」
「があっ!? こ、東風谷真ぉ! それは……角だけは……角だけは止めろぉぉ!」
やけに慌てふためく白亜。その様子に真は『あること』について確信を得る。
「ナナシ先生が言っていた。『古龍と呼ばれる生き物の特異的な能力は、角が関係しているかもしれない』って。どうやら本当だったみたいだな!」
そして、角を握る右手に炎を纏わせる。白亜の表情が苦痛に歪む。
「ぎっ……!
「そして俺の炎の攻撃に対しての怯み……。お前は炎が弱点だな!」
「や、めろ……! 俺を見るな……! 見るなぁ……!」
「これで終わりにしてやるよ!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
バキンッ!
「う、あ……あぁ……」
「これで決着だ。こうすれば無人機たちも―――――ん?」
白亜の異常に気付き、怪訝な顔になる。白亜は頭を抑えながら、真から一歩二歩と下がっていく。その間に白亜に向かって黒い霧が集まっていく。
「真さん……これは、もしかして……」
「やっべぇ……。もしかしたら俺、やらかしたかもしれねぇ……!」
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
おぞましい叫び声と共に、霧は渦となって白亜を包み込んだ。
渦が晴れた瞬間、その異様な姿に二人は鳥肌が立った。
髪は黒と白で半分となり、右手の爪も黒く染まっている。顔は左半分が焼けただれ、真によって砕かれた角の付け根がその痛ましさを増大させていた。何より――――左側の眼球が無くなっていた。元々は眼球があった窪みの中は黒く、中心に光る赤い点が不気味さを醸し出している。
では右半分は無事かというと、そうでもない。右目から光はなくなり、口の端からは狂竜ウイルスに感染したもの特有の黒い煙があふれている。
白亜は、角を砕かれたことによってウイルスのコントロールが出来なくなってしまったのだ。
「何てこった……! 最悪な展開だぞ、何やってんだ俺は!」
「言ってる場合じゃないでしょう!? 行きますよ真さん! 本当の本当にラストバトルです!」
「お、おう!」
ミツルはブレードの刃を入れ替え、最悪な事態を招いてしまったと後悔した真は拳を構えなおす。
理性を失った白亜は、再びおぞましい叫び声を放った――――!
白亜は、混沌に呻くゴア・マガラと化しました。ゲームとは設定も容姿も異なっていますが、真たちにとっては本当の本当にファイナルバトルです。
それでは、次回をお楽しみに!