グラビオスを纏ってアリーナに出ると、セシリアが蒼いISを纏って俺を見下していた。
「逃げ出さずに来た事は、褒めて差し上げますわ」
「そいつぁ、どうもよ」
「ここで、英国淑女である私から、チャンスをあげますわ」
「チャンス?」
「えぇ。ここで貴方が許しを請うのでしたら、この戦いを無効にしてあげてもよくってよ?」
「・・・・・・」
警告音が聞こえる。どうやら、IS『ブルーティアーズ』が射撃体勢に入ったようだ。
一方俺は、セシリアを見上げながら武器の欄をチェックする。
超大型砲に、これは・・・剣斧?射撃武器よりも、近接武器が多めだな。
「沈黙ですか。それならば・・・舞台から退場させてさしあげますわ!」
「おおっと、退場はご勘弁!」
蒼いレーザーを避けて、剣斧『ファイアテンペスト』を展開する。
え?射撃武器を使えよって?武器欄にあったマニュアルによると、大型砲は反動がデカイらしい。ちょこまか動きそうなブルーティアーズには、相性は最悪だろ?
しかもこのISはゴツゴツした鎧だから、機動力も向こうが上だ。だったら、一気に間合いを詰めて早めにケリをつける!
俺はブースターを全開にして、一気にセシリアとの距離を詰める。
「なっ!?その技術は・・・どうやって!?」
「あ?ブースターを全開にしただけだ。名前でもあるのか?」
「くっ・・・。『インターセプター』!」
「させるかよ!」
剣斧は、あくまで別名に過ぎない。父さんの友達であるナナシさんから聞いた話だと、こいつは『スラッシュアックス』というらしい。斧のモードで斬りつけるとエネルギーが蓄積されていく。ある程度溜まったら、剣モードに切り替えて、重い一撃を食らわせる。それがスラッシュアックスだ。
斧モードのファイアテンペストを、セシリア目掛けて振り下ろす。
「オォォラァァァァァァァ!」
「お、重い・・・!」
バキバキバキバキ!
「イ、インターセプターが!?」
短刀みたいなので防ごうとするセシリアだが、威力だったらこちらが上。あっけなく砕け散った。
俺は構わずに、斧を振り回す。
―――エネルギーが、基準値を超えました。剣モードに移行できます。
よっしゃ!剣モードに移行するコマンドを入力し、一気に構える。とびっきりのを食らわせてやるぜ、セシリアさんよぉ・・・ん?なんでセシリアは、余裕のある笑みを浮かべてるんだ?
その瞬間、背中に衝撃が走る。
「があああ!?」
「掛かりましたわね!このブルーティアーズの十八番であるBIT兵器に、貴方は引っ掛かったのです!」
「確か脳波で動かす武器だったか、コンチクショウ!」
「さあ踊りなさい!この『ブルーティアーズ』の奏でるワルツで!」
「あいにくと、神楽舞と盆踊りしか踊れないんでね!」
ちょっとした冗談を言ってみるが、これはマジでキツイぞ・・・!恐らくコイツは、死角さえあればそこに回りこんで攻撃するつもりだ。ファイアテンペストは隙が大きい。ちょとでも大技を出そうものなら、BIT兵器でシールドエネルギーを削られてしまう。
クッソ・・・。こんな時、父さんならどうする!?
『肉を切らせて骨を絶つ、という言葉がある』
『だが、それで相討ちという結果になっては元も子もない』
『真。・・・信じろ。何をとは言わん。何かを信じるんだ』
・・・・分かったぜ、父さん!グラビオス!お前を信じる!
《任セテ!》
―――警告。BIT『ブルーティアーズ』を後方に確認。
「そこだぁぁぁ!」
俺は後ろへ意識を向ける。すると、肩に装着されてる竜の頭みたいなものが分離し、レーザーを防いだ。
何々?肩部装着型浮遊盾『グラビド・ヘッド』か・・・。
「なっ!?まさか、貴方もビットを!?」
「驚いてる場合か?」
「しまっ・・・!ティアーズ!」
右、左、下と様々な方向からレーザーが飛び交う。俺は必死で避けるが・・・
「くそ!速いな!」
「当然ですわ!私のBIT適性を舐めないでくださいな!」
セシリアの奴はBITに命令で高みの見物か。いい身分・・・いや、待てよ?もしかしたら奴は、命令をしてるだけというわけじゃない。きっと、動けないんだ。
考えれば簡単なことだ。BIT兵器は、脳波で動かす武器。動かすだけでなく、相手の手の予測や、自身の機体の制御もあるため、動きながらの操作は難しいんだ。
だったら、懐へ潜り込んでやればいい!
「動いていない分、捉えることは簡単だぜ」
「くっ・・・。こんなところで・・・」
「剣モード。さぁ、ぶちかますぜぇぇぇぇ!」
―――警告!敵機腰部に、熱源反応!
・・・え?
バゴォォォォォン!
それは、情報不足によるものだった。
ミサイル型のブルーティアーズ。物凄い爆音の正体はそれだ。
これは完全に、油断による敗北だった。父さんに「慢心はするな」って言われてたのに・・・・・。
結局俺は・・・武器の最大攻撃を見せることなく・・・負けた。
・・・・・・・って言うと思ったか!
「危ねえ!グラビド・ヘッドを展開してなかったら死んでたぞ!」
「そ、そんな・・・。隠してた切り札まで・・・」
「さあさあさあさあ!ぶっ飛ばしの時間だぜ!」
剣モードのファイアテンペストで斬りつける。こいつは膨大な熱を秘めていて、いわば某機動戦士に登場するザ〇のヒートホークみたいなものだ。相手の装甲を溶断する。
・・・あ、このままだとエネルギーが切れてしまう。そうすると、またエネルギーを溜めなおさなくてはならない。
「そんじゃあ、そろそろフィニッシュだ!」
「くっ!ティアーズ!収束ですわ!」
「おおっと!?」
さすが候補生。残ったやつを一気に集めて、攻撃の威力を上げたのか。目の前にいきなり現れ、目の前で太い光線が放たれる。
グラビド・ヘッドは肩に収納してしまったから、シールドエネルギーが大幅に減らされる。
・・・・・どうやら俺は、セシリアを「ただの慢心している代表候補生」と侮っていたようだ。やっぱり実力は向こうが上。ISを動かして少ししか経ってない俺とは違うんだ。
だけどよぉ・・・!
「諦めきれるわけ・・・・・・ねえだろうがよぉ!」
「も、もう堕ちなさい!堕ちろぉ!」
「うおおおおおおお!」
『格上の相手と1対1で戦ってるとき、きっと差を見せ付けられるだろう。だが・・・諦めるな!』
BITを斬りおとし、シールドエネルギーを削ろうとしたところで・・・・試合終了のブザーが鳴った。
【勝者―――――セシリア・オルコット】
結構攻撃を食らってたので、負けてしまいました。本当は武器を何個か出したかったんですけど・・・お楽しみということでw
では、次回もお楽しみに!