インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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お待たせしました。いよいよです。

ようやく、ここまで来れた……!


66話 決着

 目の前で、異形が吠える。まるで全ての苦しみを背負ってるかのごとく。

 真は悔やむ。己の浅はかさに。だが、いつまでも悔やんではいられない。最後まで責任をとるべく、拳を構える。

 ミツルも構える。隣の相棒をサポートするために。

 

 いま、本当の最終決戦が始まった。

 

 

 

 

 

「ギシャアアァァァァァァ!」

 

 白亜が変貌した拳を地面に打ちつける。真とミツルは避けるが、叩きつけた衝撃が凄まじかったのか、大量の石礫が飛んでくる。

 

「くっ、なんて威力……!」

「石ころ自体は大したことねぇだろうが!」

 

 降りかかる礫から身を守りつつ、白亜のもとへと突撃する二人。最初に攻撃を仕掛けたのはミツルだった。

 

「はあぁぁっ!」

 

 腕のブレードで切りつける。白亜は刃を掴んで止めようとする。

 

「かかった!」

「ッ!?」

 

 その瞬間、生物らしさのあったブレードから、機械じみた刃が展開された。掴もうとした手のひらは切り裂かれ、血が噴き出る。

 

「シャアァァァァァッ!?」

「炎のパンチを、食らいやがれぇ!」

 

 ミツルと入れ替わるように、拳に炎を纏わせた真がパンチを決める。傷から炎が染み込み、尋常じゃない痛みを与えた。

 しかし、ただ黙ってやられる白亜ではない。口に黒い霧を溜め込むと、球状にしてブレスを放ってきた。近くにいた真が食らってしまい、吹き飛ばされる。

 

「がぁぁっ!」

「真さん!」

 

 ミツルが瞬時に真の後ろへと飛び込み、体を受け止める。すぐに態勢を立て直そうとすると、ミツルはナルガクルガの毛が逆立つのを感じた。

 

「回避!」

「っ!」

 

 二人が瞬時に飛び退くと、さっきまでいた場所に紫色の雷が落ちた。だがホッとするのも束の間。真が飛び退いた先には白亜が待ち構えていた。

 

「ぐふっ!?」

 

 古龍のパワーで首を掴まれる真。モンスター能力を使用している影響で骨が折れることは無かったが、息が出来なくなり意識が朦朧としてくる。

 

「真さん! その手を……放せぇぇぇぇぇ!」

 

 ミツルがIS用ブレードを手にし、自身の瞬発力とISのブースターで距離を詰めようとする。だがミツルを狙うかのように雷が落ちてくるため、自慢の速度も活かせていない。

 

「(くそっ、近づけない! このままでは……!)」

 

 さらに白亜はミツルの方に顔だけ向けると、その口から狂竜ウイルスのブレスを吐いてきた。それが近づくのを一層困難にさせている。

 

「くっ、かっ、はっ……」

 

 真の目の前が、白くなった。

 

 

 

 

 

「(ここは……?)」

 

 目の前は真っ白で、何も見えない。体全体は、まるで風呂に浸かってるかのような心地よい暖かさだ。

 すると、赤ん坊の泣き声が聞こえた。

 

『旦那様、産まれました……』

『よく頑張ったな、早苗』

 

「(この声……母さんに、父さん?)」

 

 真っ白な空間に、愛する両親の声が聞こえた。

 

『……産まれてきてくれて、ありがとう』

『ふふふっ。旦那様、とてもやさしい顔になってますよ?』

『そ、そうか?』

 

 真は理解した。これは、自分が赤ん坊の時に聞いていた会話なのだろう。

 

『旦那様、この子の名前はどうしましょうか?』

『……実はな、決まってるんだ』

『まぁ、そうなんですか?』

『この子の名前は……真。真実の(しん)と書いて、(まこと)だ。』

『まこと……』

『人間は、真の強さだとか、そういう物にたどり着くのは困難かもしれない。だが、その過程を経て強くなることは出来る。真という場所まで目指して成長してほしい。だから、真だ』

『なるほど……。ふふっ、良い名前ですね』

 

「(父さん……母さん……!)」

 

 涙があふれそうになる。自分の名前に込められた意味を、今この時に知ることが出来たのだ。そして、どういう思いで名前を付けたのかも。

 

「(そうだ。俺はまだ……戦える!)」

 

 白い空間が眩しくなっていく。その時に頭に浮かんだのは、まだ想いを伝えていない少女だった。

 

「(負けてられねぇよ! 本音のためにもな!)」

 

 そして、目も開けられないほど眩しくなった。

 

 

 

 

 

「グ……?」

 

 白亜は、己の腕に何かが触れているのを感じた。己の腕の先には、息絶えようとしてる獲物がいる……はずだった。

 

「……………………っ!!」

 

 その獲物は生きていた。しかも、腕をつかみ返してるではないか。その指先から炎があふれ、あまりの熱さに放してしまう。

 

「グギィィッ!?」

「ゲホッ、ゲホッ! あー……ようやく放しやがったな」

「良かった……。無事だったのか!」

「相棒、感動の涙はまだ早いぜ!」

 

 白亜は拳を地面に打ちつけ、再び礫を飛ばしてくる。真は熱線を放つ。その時にミツルにアイコンタクトを飛ばしていた。

 

「(ふっ、そういうことか! 付き合うぜ真!)」

 

 ミツルはIS用ブレードをブーメランのように投げつける。だが、白亜を通り過ぎてしまった。

 

「本命はこっちだ!」

 

 真が手のひらから熱線を放った。その威力を察したのか、簡単に避けられてしまう。だが真はニヤリと笑った。

 

 その瞬間、白亜の背中から熱線が当たった。そう。ミツルが投げたブレードで熱線を反射し、命中させたのだ。

 

「ギャアァァァァアァァ!」

「よっしゃ、ヒット! 今度は正面からだぜ!」

 

 炎に苦しむ白亜の頭を掴み、勢いよく地面に叩きつけた。大きなクレーターが出来る。

 

「ウゥゥゥ……! グォアァァァァァ!!」

「ごふっ!? 痛いなぁ、オイ!」

 

 頭から大量に血を流しているにも関わらず、白亜は傷付いた腕で真を殴る。左の眼窩に浮かぶ赤い点は、まるで全ての者に恨みを込めているかのようにも見えた。

 

「……相棒。終わらせるぞ」

「……承知」

 

 真の機体の武装である『グラビド・ヘッド』が展開される。ミツルの機体も、持てる限りのブレードやマシンガンが展開された。

 

「これで終わりだ……トライ・ファイアァァァァァァァ!!

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 二つの砲門と右手から放たれる巨大な熱線。ブレードから放たれる斬撃波と弾丸の雨。

 

 これらが、白亜に降り注いだ。

 

 

――――――あぁ、ボレアス様……。

 

 

 まるで長年待ち続けて再会したかのような声。それが二人の耳にした、白亜の最期の声だった。

 

 

 

「……こいつ等はさ、自分の住処を求めて戦ってただけなんだよな」

「えぇ、そうですね……」

「何というかさ……。あんまり嬉しくない勝利だ」

「……はい」

 

 

 

 学園を覆っていた暗雲は晴れ、太陽の光は、浮かない顔をする二人を照らしていた。

 




読んでいただき、ありがとうございました。

次回から、エピローグです。
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