驚いた。
一体何に驚いたのかと言われるだろうが、スタンダード次元とそれ以外の次元にここまでの差があったことに驚いた。これは明らかに戦争と言っても差し支えはないだろう。
「みんな遊びで君達を狩っているんだ!狩られるのは常に君達なんだ!やれ!マッド・キマイラ!」
申し訳ないがフトシ達や遊矢達のデュエル描写は全く同じだったためにカットさせてもらう。
だが玩具と隼の戦いは別だ。なんだこの迫力は、なんだこの光景は。
「俺達は常に最悪の事態を想定して戦ってきた。共に戦ってきた仲間を連れ攫われることも考えながらだ」
これが本物のデュエルだということなのだろうか?
よくカードゲームで人が死ぬとか、怪我するとかネタで言うことはある。が、今回ばかりはそうも言ってられなさそうだ。
「だが奪われても俺達は決して見捨てない。仲間は、必ず奪い返す!」
結合魔獣の手によって奪われた
「いけ、レヴォリューション・ファルコン!革命の火に焼かれて、散れぇ!!」
リアル・ソリッド・ヴィジョンで生み出された隼が引き起こした空爆の雨。
それによって破壊されていく街並み。
そして破壊兵器を従えていた素良でさえも、為す術もなく爆風に飲み込まれた。
その場の当事者ではなく、観戦者であっても如何にここがぬるま湯だったかを改めて実感させられる。あれは下手しなくても確実に生死に関わるレベルだ。
ある程度の知識を知っている自分ですらこの様なのだ。他の観客達は呆然と立ち尽くしている。共に見ていた幽香は俺の袖を握りつつ少し怯えていたし、精霊達もこの現状を真面目に見つめている。
赤馬 零児の計画に手を貸すと約束した手前、自分は確実に侵略してくる者と戦わなければならない。つまり、あのレベルの戦いを乗り越えなければならないのだ。
「サクラ、アキ。どう見る?」
己の傍にいる二人に心境を聞いてみる。
普段自由に生きている彼女らも立派な精霊だ。力を実体化できる彼女達にとってこの現状はどう映っているのだろうか。
『...正直なところですが、ここまでとは思ってなかったですね。それでも私達にとっては範囲内、と言った所でしょうか』
『ええ。あれならばまだやりようはありますね』
「そっか。ならなんとかなるだろ」
現状を把握しながらも問題はない。そう彼女達が言うなら、なるようになる。
そう決めてそれ以上考えるのを止めた。課題が出来たのならば、解決するために努力するだけだ。
「聡様...大丈夫なのですか?」
「ま、心配は要らないさ。世の中何とかなるように出来ているんだから」
幽香の頭をなで回しつつ、素良が担架で運ばれていくのを静かに見届ける。暫くの間、呆然としていた観客達も我に返り、元通りになっていった。
『え、えぇ~勝者はLDS所属の黒咲 隼選手です。それでは次の試合へと参りましょう!』
ニコの誘導によって再び元の状態に戻り、何事もなかったように大会は続けられていった。
プルルルルル
携帯の機能も有したとても便利なデュエルディスクが聡の元で鳴り響く。電話先は赤馬 零児だ。
『もしもし、九条ですけど』
『赤馬 零児だ。突然だが今から私の元に来てくれないか?重要な話がある。』
『わかりました。今から向かいます』
通話を切り、幽香に声をかける。
「ちょっと社長さんの所に行ってくるよ。幽香は遊矢たちと合流していてくれ」
「待ってください、聡様。私も・・・ご同行しても宜しいですか?」
「え・・・うーん・・・どうしよ」
正直な所、困った。
確かに幽香にデュエルを教えて、デュエルの腕は着実に上がっている。しかし、それはあくまで自衛のためだ。
赤馬社長の計画に賛同するということは自ら死地に入っていく覚悟が必要であり、真っ先に命を狙われる可能性が上がってくる。
そんなところに彼女を連れて行ってしまっても良いのだろうか。確かに護るべきものを自らの手が届く場所に置いておくことは大切だ。しかし、相手は自分の実力が通用するかもわからない大きな存在になるのだ。手元に置いてしまったが故に危険と隣り合わせにしてしまうこともある。
「今の私は足手まといかもしれません。ですが、私は知りたいのです。聡様が消えてしまうのであるならば私は共に消えたいのです。自分が信じる道を歩みたいのです」
幽香は自分の考えを述べる。こんなことを言い切れる人は一体どれだけいるだろうか。
自分が死ぬのなら己も死ぬと言っているのだ。冗談で言っていい言葉ではない。ましてはそんな状況ではない。
「・・・自分で決めたのなら俺からは何も言わないよ。ただ、後悔はするなよ?」
「はい。貴方に師事を願った時から私は変わると決めております。後悔などいたしません」
そのまま二人はその場を後にしたのであった。
「・・・・・・で、どういうことなのかね?」
部屋に入ってきた二人を見て零児は男に問いかける。
「いやぁ~彼女がこの件に関わりたいと言ってきましてね。俺から色々言える立場じゃないので社長さんに説明していただこうかなっと」
「貴様!社長を一体なんだと思っている!」
「気にするな中島。しかし、このタイミングで君に会う事になるとは思わなかったよ、藤原 幽香」
「お久しぶりですね、赤馬 零児さん」
どうやら幽香と零児は昔に面識があるらしい。だが良い関係と言える感じではなさそうだ。
「単刀直入に言わせていただきますと私もこの件に加えさせていただけませんでしょうか?」
「ほう・・・デュエルを毛嫌いしていた君がか?」
「デュエル自体を毛嫌いしていたわけではありませんよ?ただ私は講師を嫌っていただけの話ですわ」
「あれでもLDSで教える講師の中では良いほうなのだがな・・・」
はっきりと断言する幽香の態度に零児が苦笑する。仮にも舞網市だけでなく、世界的に有名なLDSに所属する講師を不要と言わんばかりの態度で切り捨てられればそんな反応にもなってしまう。
「まぁいい。昔がどうであろうと君は優勝塾に所属し、戦績は測定し始めてから無敗・・・これに関しては何も言うまい。君が九条 聡の傍に居るということは彼に師事したという感じか。それならばその成績も納得はいく。だがしかしそれだけで今回の件に関わるという理由にはならないと私は考えるが君の
「理由でしたら至極単純です。女性である私が男性である聡さんについていく、そう考えていけば自ずと答えは出ると思いますが?」
参加したい理由をきっぱりと言い切る幽香を見て零児はその理由で納得してしまった。
元々零児と幽香のつながりはそれほど深くはない。彼女と直に会った事も数えれる程度でしかないが、それでも彼女がどのような人間かは理解していた。
一度決めたことはやる。それが彼女の本質であり、それがとても厄介だった。
お淑やかそうな印象を与える外見だけにとても悪質だ。中身は頑固であり、自分の殻が固い。
デュエルを教える立場からしてみれば本人が嫌だと言えばその日は部屋から絶対に出てこないこともあり、両親もその我の強さに頭を抱えていたほどなのだ。
講師を送れば物理的に追い返されることしばしば。ようやく対面できたと思えば講師顔負けの知識をぶつけて心を折っていく始末。あの時の対応には本当に手を焼いたものだ。
そんな彼女に目をつけられた目の前の男に零児は同情の目を向ける。
「なるほどな。九条、君も大層貧乏くじを引くようだな」
「そうですかね?俺は今の所この出会いに感謝してますよ」
「そうか。とにかく君がこの件に関りたいという理由は納得した。覚悟も当然出来ているのだろう?ならば話そうか、私の計画・・・そしてその目的を」
そして零児は彼女に自分に話したことと同じ内容をしっかりと話した。
この大会を使ってこの世界を護る守護者となるランス・ディフェンス・ソルジャーズ
――――――【
その者達を使って零児の父親である
「これが私の目的であり、この舞網チャンピオンシップを開いた理由だ。これを聞いた上で君にはこのまま残るか降りるか選ぶ権利がある・・・が、それは愚問のようだな」
「勿論です。私は一度決めたことはやりきるのを信条としておりますので」
話終えた零児は幽香に選択させようとし、彼女の顔を見て自ら言葉を切った。それに同調するように幽香も言葉をつなげる。
幽香も零児の話を聞いた上で尚更降りるわけにはいかないと確信していた。これも大切なものを手元に置きたいという考えに近い、至極単純な理由だ。
先程起こった黒咲 隼と紫雲院 素良の戦いでは驚き、恐れてしまったが覚悟を決めれば気にすることはない。自分の力を信じてぶつかっていくだけだ。
「私のことはこれぐらいで良いでしょう。私のせいで話の本筋を逸らしてしまいましたが本当であればどのような話をするおつもりだったのですか?」
「・・・九条を呼んだのは他でもない、紫雲院 素良の件だ。私は前々から彼に目をつけてはいた・・・が、先のデュエルで確定した。紫雲院 素良はアカデミアのデュエリストだ。先日までの態度を見るに私達の世界への敵情視察と言った所だろう。そこでデュエルをしたことがある九条に彼のレベルが如何ほどのものかを聞こうかと思っていた。それと今後についての話し合いだな」
「なるほど。それなら時間もあんまりないですからささっとやりますかね」
社長室での話し合いが始まる。
紫雲院 素良が病室から抜け出し、遊矢がそっくりな人物であるユートと相対する3時間前の出来事であった。
◇◆◇◆
舞網チャンピオンシップが開催されて現在4日目。
正規ではしっかりと紫雲院 素良が強制送還され、エクシーズ次元からやってきたユートが遊矢の中に取り込まれている。
彼の仲間である黒咲 隼を落ち着かせるのがとても大変であった。
『皆様お待たせいたしました。舞網チャンピオンシップもすでに4日目!遊勝塾所属の九条 聡選手 対 梁山泊塾所属の阿木 焔選手の対戦を開始致します!』
歓声が起こる。4日目であるというのに観客の勢いは衰えるどころかより一層凄みを孕んでいた。
『梁山泊塾に所属している阿木 焔選手は前回のユースクラスでベスト8に入った猛者であります。本日こそは優勝を梁山泊塾に届けると意気込みを語ってくれました!』
そんなインタビューをされていたのか。こっちには来ていないからあんまり気にも留めていなかった。
それよりも数多くのデュエリストがいる中でのベスト8か・・・気を引き締めねば。
「サクラ、アキ。魅せようか」
『いぇっす!お任せを!』
『マスターには私達が憑いております。お任せを』
「聡さん、御武運を」
「聡兄ちゃんがんばれー!!」
「気を引き締めていけ!」
こんな騒がしい場であるというのに自分に対する声援が聞こえてくる。
それだけで十分元気が出てくる。
相手の説明を終えたのか今度はこちらに顔を向けた。でも自分のインタビューなんてされてないんだけど・・・
『対する遊勝塾所属の九条 聡選手。この人物は今大会の主催者であり、天才プロデュエリストであるあの赤馬 零児さんが推薦しており、さらに「彼には期待している」というお言葉を頂いております!』
・・・・・・・・・・・・社長、一体どうしてくれやがるんです?
LDS社長直々の推薦となってはいくら無名の選手とは言え、警戒せざるを得ない。
あんまり目立たないようにデュエルする予定が一気に崩れ去ってしまった。観客の視線が一気に集まるのが肌で感じる。
貴賓席にいる社長と目が合う―――
―――目を逸らされた。
俺は悪くない。そう言っているように感じた。
・・・うん。後で無言の腹パンを食らわせてやる。
『更に世間を賑わせたペンデュラム召喚を生み出した榊 遊矢選手が所属する遊勝塾です!一体どれほどの実力を有しているのでしょうか!?この戦いに勝つのはべスト8の実力を持つ阿木 焔選手か!実力が見えない九条 聡選手か!本日最初からクライマックスです。それでは始めましょう。
アクションフィールド・オン!フィールド魔法《絶海の孤島》!』
ゴンちゃんと暗黒寺が対戦したときに用いられたフィールドだ。しかしリアル・ソリッド・ヴィジョンなんていう技術をよく完成させたものだ。この水も本物に触れているように感じる。
『戦いの殿堂に集いし、デュエリスト達が!』
「モンスターと共に血を蹴り、宙を舞い」
「フォールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞ」「デュエルの最強進化系」
『アクショーン!』
「「デュエル!」」
聡 LP:4000
VS
焔 LP:4000
「先行は私からだ。私は手札から永続魔法《陽炎柱》を発動!このカードがフィールドに存在する場合、〔
焔:手札5→3
《陽炎獣 ペリュトン》
星6 効果
ATK:1600
「更に私は手札の炎属性モンスター1体を墓地へ送り、このカードをリリースして《陽炎獣 ペリュトン》の効果を発動。デッキから〔陽炎獣〕と名のついたモンスター2体を特殊召喚する。現れよ!《陽炎獣 スピンクス》《陽炎獣 ヒュドラー》!!
焔:手札3→2
モンスター:陽炎獣 スピンクス
陽炎獣 ヒュドラー
魔法・罠 :陽炎柱
《陽炎獣 スピンクス》
星6 効果
ATK:1900
《陽炎獣 ヒュドラー》
星6 効果
ATK:2300
「【陽炎獣】か・・・かっこいいよな」
「フッ・・・当然だ。だが、それで加減はせんぞ。私は《陽炎獣 スピンクス》のモンスター効果を発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にモンスター・魔法・罠のいずれかをを宣言して発動できる。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、宣言した種類のカードだった場合、自分の手札・墓地から炎属性モンスター1体を選んで特殊召喚できる。私はモンスターカードを宣言する」
デッキトップのカードは――《陽炎獣 ヒュドラー》
「宣言したカードが当たっていたため、墓地に落ちたヒュドラーを特殊召喚する!いくぞ、これが私が達した境地だ!私はレベル6の《陽炎獣スピンクス》と《陽炎獣 ヒュドラー》2体で、オーバーレイ!
燃え盛る焔を従えし獣王よ。甘美なる毒を持ちし眼差しで
眼前の敵を抹消せよ!エクシーズ召喚!
現れよ、ランク6《陽炎獣 バジリコック》!!」
《陽炎獣 バジリコック》
ランク6 効果/エクシーズ
ATK:2500
『来ましたぁ~!阿木 焔選手、前大会にはなかった新たなカードを召喚しました!』
「まだだ!エクシーズ召喚に使われた《陽炎獣 ヒュドラー》2体のモンスター効果!こいつは自身を素材としたエクシーズモンスターにある効果を与えることが出来る。それはエクシーズ召喚に成功した時、自分の墓地から「陽炎獣」と名のついたモンスター1体を選択し、このカードの下に重ねてエクシーズ素材とする事ができる効果だ!ヒュドラーの効果指定は名称指定ではないため重複も可能だ。よって私は墓地に眠っている《陽炎獣 ペリュトン》とペリュトンの効果で始めに落としていた《陽炎獣 サーベラス》をエクシーズ素材に加える!」
バジリコック ORU3→5
「バジリコックはエクシーズ素材の数によって用いる効果が増える。3つ以上ある場合、攻撃力・守備力をエクシーズ素材の数×200ポイントアップする。4つあるときこのカードは相手のカードの対象にならない。5つあるとき、このカードはカード効果で破壊されない!私はカードを1枚セットして、ターンエンドだ!」
焔 手札2→1
モンスター:陽炎獣 バジリコック
魔法・罠 :陽炎柱
セット1枚
《陽炎獣 バジリコック》
ORU:5
ATK:2500→3500
DEF:1800→2800
『効果破壊耐性に対象にも取られない攻撃力3500のモンスターを召喚した焔選手に九条選手は一体どのような反撃を見せるのでしょうか!』
「司会も期待しているし、魅せてやりますか。俺のターン、ドロー!」
聡 手札5→6
「まずは推理の時間と洒落込もうか。魔法カード《名推理》を発動!まず始めに相手はモンスターのレベルを宣言する。そのあとこっちは通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキからカードをめくる。出たモンスターが宣言されたレベルと同じだった場合はめくったカード全てを墓地に送り、宣言と異なっていた場合はそのモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは墓地に送られる。さて、宣言してもらおうか」
「このカードの効果・・・つまりは高レベルのモンスターを出すための手段の一つか!ならば私はレベル8を宣言する!」
「OK。めくるぞ」
スーペルヴィス
増草剤
ソウルチャージ
薔薇の刻印
薔薇恋人
「
聡 手札6→4
モンスター:薔薇恋人
ローンファイア・ブロッサム
《薔薇恋人》
星1 効果
DEF:800
《ローンファイア・ブロッサム》
星3 効果
ATK:500
「《薔薇恋人》をリリースして《ローンファイア・ブロッサム》の効果を発動。デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。俺は2枚目の《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚し、自身をリリースし、再び効果を発動。デッキから呼ぶのはエースの一人だ。
冬を司る花姫よ、花々狙いし者に静粛なる鉄槌を!
現れよ、《椿姫ティタニアル》!!」
《椿姫ティタニアル》
星8 効果
ATK:2800
「更に墓地に存在する《薔薇恋人》を除外して自身の効果を発動!このカードを除外することで手札の植物族モンスターを1体特殊召喚する。更にこの効果で特殊召喚したモンスターはそのターンの間トラップカードの効果を受けない。俺はこの効果で手札のこいつを呼ぶ。
夏を司る花姫よ、同胞を汚すものに裁きを下せ!
現れよ、《姫葵マリーナ》!!」
聡 手札4→3
《姫葵マリーナ》
星8 効果
ATK:2800
「そして魔法発動《死者蘇生》!この効果によって俺は墓地から《ローンファイア・ブロッサム》を特殊召喚し、このカードをリリースして効果発動!
口上なんて以下省略!
現れよ、《桜姫タレイア》!!」
『私の扱いが酷い!』
聡 手札3→2
《桜姫タレイア》
星8 効果
ATK:2800
折角召喚したというのにサクラが不満を漏らす。なにさ、何回も言ったから良いじゃないか。
『ぐぬぬ・・・』
なにがぐぬぬだ
『九条選手、一気に高レベルモンスターを3体も自分のフィールドに並べました!これは凄いです!』
「これが遊勝塾の実力・・・だがしかし!そのモンスターでは私のバジリコックを越えることは出来ない!いくら並べても効果で死なず、対象もとられない3500の獣王に勝てる道理はない!」
対戦相手は己のエクシーズモンスターに対して絶大な信頼を持っているようだ。まぁその気持ちもわかる。対象にならない効果破壊耐性持ちってかなり強いもんね。
だがしかし、これでこちらも勝ちになってしまった。
君の敗因は盛大なフラグを建ててしまったことだ。
「それはどうかな?」
「何!?」
「確かに今の状態の姫ではそのモンスターに勝てない。しかし自分がエクシーズ召喚を使うのであるならば、この状況を見て何かを思わなくちゃな」
「何だと・・・君のフィールドに同レベルのモンスターが3体・・・・・・っ!?まさか!?」
「そのまさかさ。いくぜ、俺はレベル8の《桜姫タレイア》《姫葵マリーナ》《椿姫ティタニアル》3体でオーバーレイ!
3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!
姫君の祈り届きしとき、銀河よりかの龍が放たれる!
現れよ!ランク8《超銀河眼の光子龍》!!」
《超銀河眼の光子龍》
ランク8 効果/エクシーズ
ORU:3
ATK:4500
『でましたぁ~!九条選手、ランク8のエクシーズモンスターです!』
現れたのは3つ首の龍。
その圧倒的な存在感に司会は興奮し、観客の歓声が上がる。
「攻撃力4500・・・だと・・・」
「《超銀河眼の光子龍》の
「なんだと!?」
《陽炎獣 バジリコック》
ORU:5→0
ATK:3500→2500
《超銀河眼の光子龍》
ORU:3→2
ATK:4500→7000
「攻撃力7000・・・しかもバジリコックから取り除いたORUは5つ・・・」
「こいつでチェックメイトだ。バトル!《超銀河眼の光子龍》で《陽炎獣 バジリコック》を攻撃!“
「私は諦めない!トラップカードオープン!《聖なるバリア‐ミラーフォース‐》!」
光子龍の轟砲が放たれるも生み出されたミラーフォースに防がれる。相手はまだ諦めていない。
《陽炎獣 バジリコック》も含めた破壊耐性・対象耐性を持ったカードを越える方法は物理で越えるか、《氷結界の龍 トリシューラ》などの対象を取らない除去を行なう。《皆既日蝕の書》などで封殺するしかない。この世界のカード的に対象を取らない除去自体があまり出回っておらず、皆既日蝕などのカードは使う人が限定的だ。相手はそれを理解した上で一番とられやすい対策である戦闘破壊対策をしっかりと行なっていた。
だがしかし、同じデッキを組む身として相手のエースカードを見るとそのモンスターを護る防御札は大まかに限定されてくる。例えば戦闘・効果で破壊されない《魔王龍 ベエルゼ》をエースとして、さらにベエルゼを出すことに特化したデッキを組んだとしよう。そのベエルゼを護るための防御札にミラーフォースなどの迎撃罠は基本入れないだろう。なぜなら戦闘で死なないのだから。効果でも破壊されないのだから。ならばどのようなカードを入れるのか?それは対象になることを防ぐ《スキル・プリズナー》や相手の動きを妨害する《激流葬》などが主体で入ってくるだろう。
さて今戦っている相手のエースはどうであろうか。
仮にバジリコックを主体に置き、それに特化したデッキならば入れる防御札は妨害札か今回のような戦闘迎撃罠を入れることは大体予測がつくだろう。であるならばそれの対策も自ずとわかってくるものだ。
それを肯定するようにミラーフォースによって跳ね返されようとしていた轟砲は跳ね返されず、逆に飛んできた槍によってミラーフォースが割られる結果になった。
「なっ!?」
「ミラーフォースの発動に対して俺は《禁じられた聖槍》を発動した。このカードはフィールド上の表側モンスター1体を対象に発動する速攻魔法だ。対象になったモンスターはターン終了時まで攻撃力が800ダウンするが、そのターンの間このカード以外の魔法・罠カードの効果を一切受け付けなくする。よってミラーフォースの効果は無意味だ」
《超銀河眼の光子龍》
ATK:7000→6200
「これによってバトルは継続。やれ、《超銀河眼の光子龍》!」
「うわぁぁぁあああ!?」
焔 LP4000→300→-3400
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ」
『決まったぁぁあ!!九条選手、全大会のベスト8相手に勝利しました!それもワンターンキル!これがあの赤馬 零児さんに認められた実力かぁ!!』
その声に同調するかのように歓声が大きくなる。
聡はその歓声を背に阿木 焔に近づき、手を差し出す。
「立てるか?」
「敗者に手を差し伸べる・・・か。・・・ありがとう」
素直に手を取って立ち上がる焔は対戦するときよりも表情が晴れているように感じた。
「このエースを出せばそうそうに負けることは無いと思っていたが、どうやら慢心だったようだ。1ターンで決着・・・それもあそこまでされると逆に爽快だな」
「運よく動けただけさ。こっちだって1ターンで最強バジリコックを出されるなんて思ってなかったよ」
「ははっ、それは良かったよ。そして感謝する。上には上がいる。それをしっかりと理解させてもらったよ。また鍛えなおさねばな」
「リベンジ、楽しみにしてるぜ」
「言ってろ。次は負けんぞ」
この選手とはうまくやれる気がする。
歓声が未だに鳴り止まぬなか、聡はそのまま会場から離脱した。
選手用の部屋に入っても聞こえてくる歓声に元気だなと苦笑する。モニターを眺めていた幽香がこちらに気づき近づいてくる。
「聡さんお疲れ様でした。モニターから応援させていただきました、お見事です。」
「そこまで言うもんじゃないさ。幽香はいつだったっけ?」
「心配なさらずとも、聡さんの次ですよ。聡さまの顔に泥を塗るような真似は命に代えてもいたしません。見ていてくださいね!」
「お、おう。後悔しないようにデュエルを楽しんでいきなさいな」
ガッツポーズをしながら次の対戦に備えて気合を入れる幽香に少し戸惑いながら聡は声援?を送る。続くように幽香とその対戦相手に指定の場所に来るようアナウンスが流れ、幽香は指定された場所に向かい、部屋から退出していった。
聡も部屋から出る。目指すは遊勝塾関係者が応援していた会場の最前席。
人生初めてできた己の弟子の晴れ舞台をこの目で収めるべく、聡は目的地へと足を進めた。
閲覧していただきありがとうございます。
最近《RUM-七星の剣》の初手率がありえないほど高い筆者の〇坊主と申す者です。
気ままに書いていたのですが気づけば文字数がかなりの量になってしまいました。デュエルとストーリーを入れ込んだからなのですが、こういうのはしっかりと分けたほうが良いのでしょうかね?
そんなことを考えつつ次のお話を書いていこうと思います。
今後もこの作品を楽しみにしていただければ書いている身としてとてもうれしいことですね。それではまた次回にお会いしましょう。
お楽しみは、これからだ!