「この男、権現坂!こんなトリックには惑わされん。スサノ‐
「な、なんでこの場所がわかったんだぁ~!?」
ジュニアユースクラスの2回戦1日目の第1試合。
しかし権現坂の勝利を遊勝塾の面々は素直に喜べないでいた。
その理由は次の試合で戦う榊 遊矢と勝鬨 勇雄のデュエルがこれから行われるからだ。
「次は遊矢兄ちゃんの番だね」
「うん・・・」
遊矢の入場を見届けながらも素直に応援できないのは前日に勝鬨と刃のデュエルが脳裏にあるからだ。
勝鬨とデュエルを行った刃は病院送りとまでは行かなくても多少の怪我によって療養が必要になり、痛々しい姿を見せることになったのだ。
関係者としては気が気ではない。
嫁大好きの社長やバイクで何度も転倒しているデュエルキングが見れば「情けない」と渇をいれるかもしれないが、生憎スタンダードでデュエルマッスルを完璧に鍛えている者は少ない。デュエルで怪我をすること自体に疑問を持たない彼等からすれば恐れても仕方のないことだ。
「おいおい、見ているお前達が緊張してどうする?遊矢はその緊張を背にデュエルをこれから行うんだぞ?」
「でも父さん。今日の対戦相手はあの勝鬨 勇雄よ?昨日の試合を見たでしょ?」
「LDSシンクロコースのエース 刀堂 刃があんな一方的にやられるなんて・・・」
「それに勝鬨は去年のこの大会で準優勝」
「優勝者はすでにユースへと昇格している。実質勝鬨が今年の優勝候補ナンバーワンと見て間違いない」
柚子達は心配している様子だが、権現坂にとって遊矢の背は頼もしく見えていた。
昔、自分が守っていた彼は立派に成長している。あの勝鬨 勇雄を相手にしても臆さずに足を進めることができているのだ。人と顔を合わせる事すら出来なかった彼の状態を成長と言わずしてなんと呼ぶのかと。
『さて、それでは始めましょう。梁山泊塾所属 勝鬨 勇雄 対 遊勝塾所属 榊 遊矢選手の試合を開始します。フィールド魔法《
ニコ・スマイリーの掛け声と共にソリッド・ヴィジョン・システムが起動し、雲の上に立つ岩山が姿を現す。
無骨だが適当ではない道の先に竹林が
何らかの拍子で足場を踏み外してしまうと命の保障が出来ないとでもいうように地面から落ちた石がそのまま姿を消した。
「昨日、お前のデュエルを見せてもらったよ。俺はお前のデュエルを認めない。あんなの、デュエルじゃない」
「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが」
「!」
遊矢の言葉を無視し、勝鬨は口上を読み上げる。
それに対して遊矢も言葉を切り、口上を続ける。
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」
「見よ!これぞ デュエルの最強進化系」
『アクション!』
「「デュエル!!」」
勝鬨 LP:4000
VS
遊矢 LP:4000
デュエルが開始される。
遊矢にとってこのデュエルがどんな結果を生み出すのかを知らないまま・・・
◇◆◇◆
「なんだい君は?僕はこれから大会の準備をするんだけど?」
「貴様、エクシーズ使いだな?」
「(話を聞かない奴だ・・・)確かに僕がLDS所属エクシーズコースのエースだけど?僕になにか用かな?」
志島 北斗は会場を歩いているとフードを被った怪しい二人に声をかけられ、足を止める。
人気の無い場所に誘導してくる明らかな不審者に北斗は眉を
しかしその答えが帰ってくることは無く、それどころか
「私とデュエルだ」
剣の形をしたデュエルディスクを構えられ、デュエルを行うように動かれたのだ。
北斗とてLDS所属のデュエリスト。
相手が不審者であったとしても売られたデュエルは買うのが彼のやり方だった。
「いいだろう。後悔するなよ?」
「「デュエル!!」」
北斗 LP4000
VS
?? LP4000
「先行はいただく!僕は手札から《セイクリッド・グレディ》を召喚!」
北斗
手札:5→4
《セイクリッド・グレディ》
星4 光 効果
ATK:1600
「このカードが召喚に成功した時、手札から〔セイクリッド〕と名のつくモンスター1体を特殊召喚できる!《セイクリッド・カウスト》を特殊召喚!」
北斗
手札4→3
《セイクリッド・カウスト》
星4 光 効果
ATK:1800
「《セイクリッド・カウスト》は1ターンに二度、フィールド上の〔セイクリッド〕モンスター1体のレベルを1つ変化させることが出来る。僕はこの効果を2回使い、グレディとカウストのレベルを一つ上げる」
セイクリッド・グレディ
星4→5
セイクリッド・カウスト
星4→5
「僕はレベル5の《セイクリッド・グレディ》と《セイクリッド・カウスト》でオーバーレイ!
星々の光よ!今 大地を震わせ 降臨せよ!
エクシーズ召喚!ランク5《セイクリッド・プレアデス》!」
《セイクリッド・プレアデス》
ランク5 光 エクシーズ/効果
ATK:2500
「僕はこれでターンエンド!」
北斗
手札:3
モンスター:セイクリッド・プレアデス
魔法・罠 :なし
「エクシーズ召喚・・・」
「なんだい、怖気づいたのかい?今ならサレンダーしても僕は一向に構わないけど?」
「温い」
「えっ?」
「私のターン!」
??
手札:5→6
「私は手札から《
??
手札:6→5
《月光紫蝶》
星3 闇 効果
ATK:1000
「そして私は手札から《融合》を発動!私が融合するのは手札の《
月の引力により渦巻きて、新たなる力と生まれ変わらん!
融合召喚!現れいでよ!月明かりに舞踊る美しき野獣《
??
手札:5→2
《月光舞猫姫》
星7 闇 融合/効果
ATK:2400
「融合召喚・・・!だけどそのモンスターじゃ僕のプレアデスの攻撃力を超えることは出来ない!」
「まだだ!私は《月光紫蝶》の効果を発動!このカードをリリースし、自分フィールド上の融合モンスター1体を対象に発動できる。対象となったモンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる」
月光舞猫姫
ATK:2400→3400
「攻撃力が僕のプレアデスよりも上回った!?」
「さらにマジックカード《
??
手札:2→1
《月光蒼猫》
星4 闇 効果
ATK:1600
「このカードの特殊召喚に成功した場合、自分フィールド上の〔月光〕モンスター1体の攻撃力をターン終了時まで倍にする!私は《月光舞猫姫》を対象にし、攻撃力を倍にする!」
月光舞猫姫
ATK3400→6800
「攻撃力6800!?」
「《月光舞猫姫》の効果を発動!《月光蒼猫》をリリースして効果を発動!このターンの間、このカードは相手モンスター全てに2回攻撃が出来る。この時、相手モンスターは1回目の戦闘では破壊されない!」
「さらに2回攻撃だって!?」
「バトルだ!《月光舞猫姫》で《セイクリッド・プレアデス》を攻撃!」
「くっ、まだだ!僕は《セイクリッド・プレアデス》のモンスター効果を発動!1ターンに一度、このカードのエクシーズ素材を取り除き、フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻す!僕は《月光舞猫姫》を選択だ!」
攻撃力6800の二回攻撃を有した融合モンスターを迎撃すべく、北斗はプレアデスのモンスター効果を発動させる。
「無駄だ。私は《セイクリッド・プレアデス》を対象に手札から速攻魔法《禁じられた
「なんだって!?」
セイクリッド・プレアデス
ATK:2500→2900
しかし、相手が発動した聖杯によって効果を無効化されてしまう。
いくらプレアデスの効果が優秀とは言えども効果を無効化されてしまえばただのバニラモンスターである。カードの効果で2900まで攻撃力が上昇しているとは言え、6800という数字を叩き出している相手の融合モンスターを前にすればただの案山子になってしまった。
さらにこのデュエルはAカードを用いるアクションデュエルではない。
緊急時に回収できるAカードも存在しないのだ。
「バトルは継続している!やれ、キャット・ダンサー!プレアデスに2回攻撃、“フルムーンクレスタ”!!」
「ぐわぁぁああ!?」
北斗
LP4000→100→-3800
そのまま月の踊り子の攻撃によって北斗の意識は刈り取られた。
「ふん、拍子抜けだ。アカデミアの潜入者を倒したのはこいつではないな」
北斗を降した人物、声音から察するに女性のデュエリストは目の前で倒れている男に落胆していた。
この次元に潜入していた存在を倒したエクシーズ次元の残党を狙ってきた彼女はその残党の顔を知らないが、それほどの実力を持つのであるならば容易に見つけることが出来ると考えていた。
こちらにやってきたとき、液晶に映っていた――志島 北斗の――セイクリッド・プレアデスを見てある程度の期待を込めて挑んだはいいが、結果はこのザマだ。あまりのあっけなさに拍子抜けしてしまった。
潜入者はアカデミアの中でもトップクラスのデュエリスト。この程度の相手に負けるとは思えない。
目の前の男はただエクシーズを使うことができるだけの存在に過ぎないということか。
「さっさと始末して他の奴を探すか」
そう呟きつつデュエルディスクを北斗に構え、ディスクに搭載された機能を使用しようとして――
「知り合いってほどじゃないけど、顔見知りなんで変なことしないでもらえると助かるんですけど」
投げかけられた声とは逆の方向に跳び、瞬時に構える。
人気が無いことを確認した上でデュエルを行っていたが、どうやってこちらに気づいたのか。
召喚反応によって感づかれたとしても対応が早すぎる。
「何者だ?」
「いや、だからそこで倒れてる人の顔見知りだって」
「何故邪魔をする?」
「だから顔見知りだって」
「そうか、ならデュエルだ!」
「話聞けよ!!」
突然叫び始めた男に視線を定めてデュエルディスクを起動させ、臨戦状態に入る。
男はこちらの行動を確認し、警戒しつつも倒れた男に近づいて担ぎあげる。
男を担いで何をするのかと思いきや、男はそのまま出口へと走り始めた。
「貴様、逃げるつもりか!」
「そちらこそなんでそう好戦的なんだ!?」
あまりの行動に一瞬判断が遅れてしまったが、相手は気絶した男を担いでいるためにそう素早くは動けない。
このまま行けば容易に追いつけることが想像できた。
「バレット!奴に回り込め!」
「御意!」
もしものために念を入れて共に行動していた男 バレットに指示を飛ばすと瞬時に行動に移す。
バレットに退路を塞いで貰って逃げられないようした後、デュエルによって対象から情報を奪いってそのまま隠滅。その後再び身を隠して残党を探し出すつもりであった。バレットは男よりも先に既に出口に回り込もうとしていた。それを確認し、目の前の男がどのような情報を持っているか聞き出す算段を浮かべた。
しかし、その算段も破られることになってしまう。
「サクラ!頼んだ!」
男が声を上げるや否や、眼前に桜吹雪が出現する。
突然の出来事に腕で顔を隠すことしか出来ず、動くことが出来なかった。それは側近の男 バレットも同じ状況だったのか桜吹雪が止んだあとには男は姿を消していた。
「・・・逃がしたか」
「しかし・・・今の現象は一体・・・」
今の現象で考えうるのはモンスターやマジックカードの実体化。
彼女は知らないが実戦で実体化を何度も経験しているバレットにとって、先ほどの男が今後障害の一つになると確信していた。
そしてそれは己が守るべき対象に降りかかる火の粉になりうる存在である可能性も示唆する。
「あの男は今後見つけ次第マークするべきかと」
「あぁ、もしかすれば奴がエクシーズ次元の残党かもしれない」
エクシーズの残党を探しにきた二人は見事に逃げおおせた男を要注意人物として行動を始めることになる。
行動を始めて、再び合間見えるのはそう短くはない。
今すぐ状況から逃げたい聡にとって、退路を防がれるのはとても苦しい。
担いでいる北斗を見捨てて逃げ出しても構わないのだが、自分の考えでは不審者二人組みはアカデミアの人間であると判断、このまま放置しては彼の身の安全はないと考えていた。かといって今の状況だと確実に退路を塞がれ、デュエルで決着をつけるハメになってしまう。
決闘者ならばデュエルに応じるのが筋なのだろうが、もし負けた場合どんな目に会うのかわからない。黒咲 隼がLDS関係者に行っていた行為であるカード化を喰らってしまう可能性も当然ある。さらにデュエル中に気絶している北斗をカード化されでもしたらものすごく後味が悪い。
社長の計画にとっても自分がこの時点で脱落することは当然入っていないであろうし、自分にとってもこんなところで脱落はしたくない。
「流石にこりゃ洒落にならん!サクラ!頼んだ!」
『お任せされました!』
よって確実に逃げるため、常に己の傍に居てくれる存在に助けを求める。
憑いてくれているサクラが周りに被害が出ないようにエネルギーを放出、操作して視界を覆い隠す桜吹雪を現出させる。
追いかけてくる二人が咄嗟に顔を守るため、腕を顔の前に出すのを見計らって通り過ぎ、一先ず安全な場所まで逃げれたことを確認してサクラのエネルギー放出を止めた。
「まさか厄介な状況から逃げれたと思ったらさらに厄介な状況に陥りそうになるとは思わなかった・・・。ありがとうなサクラ。お陰で助かった」
幽香の母親――藤原 雪乃――からの追求(物理)が終わり、ようやく落ち着いたと思った矢先にこの出来事である。ここ最近、本当に厄介事に巻き込まれるようになってきてしまっていた。
北斗を担ぎつつ逃げようにもあのままだと捕まってデュエルをせざるを得ない状況に陥っていただろう。
本当に
『いえいえ、当然のことをしたまでです。もっと褒めてもいいんですよ?』
「素直じゃない人を褒める気は無い」
『もっと褒めてくださいマスター!さぁ!Hurry Hurry!!』
逃げ出すためにサクラの力を借りたがこれで社長さんも異常に気づくだろう。
気を失っている北斗を安全な場所に送ることは大切だが、まず撒いたあの二人に見つからないように動かなくてはいけない。更には今後自分を目標に定めて行動してくる可能性も視野に入れておかなければならないだろう。
(面倒くさいことになっちゃったなぁ)
そう思いながら急かすサクラを撫でつつ、一先ず北斗を医療機関に運ぶことにした聡だった。
ボツ描写
北斗「先行プレアデス、カード3セットエンドで」
セレ「羽箒でセット全てを破壊!」
北斗「スタロで無効に」
セレ「ブラックホール発動!」
北斗「神宣で無効」
セレ「なら融合発動!」
北斗「虚無空間でメタるね」
セレ「えっ。な、ならモンスターをセッt」
北斗「プレアデスでバウンスするわ」
セレ「」
こんなデュエル内容しか考えつかなかったZE