遊戯王。
MDしてますし現実でもデッキを持っているんですが、混ぜ物デッキが楽しい。
知り合いに見せたら大体意味が分からない構築をしていると言われます。
「《
雪乃は聡が特殊召喚したカードを見て呟く。
女優として世界各地で活動を行う彼女のデュエルスキルは世界でも有数の実力者であり、当然一般人と比べれば数多くの戦略やカードを見てきた経験がある。
それでも聡が出したカードは雪乃にとっても初見の存在だった。…もっともカードを創造したり、いつの間にかデッキに入っていたりがある世界なので、自分が知らないカードが存在する事は当たり前なのだが、あのカード…と言うか聡が操るカード達が他のカードとは何かが違うように感じ取ったという方が正しい。
「幽香…貴女は何か知っているかしら?」
「いいえお母様。あのカードは
聡のデュエルを静かに観戦していた幽香は聡と共にいた時間も長いはず。
それでも彼女が知らないということは聡はまだまだ自分達に対しても実力を隠していたということだろう。
「ふふっ、まぁいいわ。幽香、彼のような男は早々見つからないわ…わかっているわね?」
「勿論ですわお母様」
(…なにやら寒気を感じたけど、風邪かな…?)
そんな会話をしているとは考えてもいない聡はデュエル中に感じた寒気を風邪の引き始めなのかもしれないと考え、今度寝る時はしっかりと身体を温めて寝ようと決めた。
「《円環妖精キクロス》は召喚・特殊召喚に成功した場合に手札を一枚捨てて効果を発動できる。デッキからキクロス以外の昆虫族・植物族のチューナーを一体手札に加える」
「チューナー…!!」
「シンクロまで出来るのか!」
デッキからの特殊召喚によって発動した効果で加えられたチューナーモンスターに遊矢と権現坂は聡がシンクロも容易に出来ることに驚く。
そう言えばあまり見せたことが無かったなと考えながら、聡は前のターンで加えていた《リビングデッドの呼び声》を捨てて《
「《円環師フェアリ》は互いの墓地に植物族か昆虫族が存在していれば1ターンに1度特殊召喚が出来る。よって特殊召喚」
「星は3のチューナー…つまり11の大型シンクロを…!」
「いや、《円環師フェアリ》は昆虫族・植物族のシンクロ素材にする場合、自身をチューナー以外として扱うことが出来る」
「なんだって!?」
「俺はレベル3の《円環師フェアリ》にレベル4の《円環妖精キクロス》をチューニング!
シンクロ召喚レベル7!我が地に来たれ、《
名前もかっこよく、イラストも良い全植物族使いが待望したシンクロ7のモンスター。
レベル7という大型であるが、攻撃力1600守備力2400という控え目なステータスをしている。
だが大事なのはステータスではない。
「ペリアリスの攻撃力はこのカード以外の植物族モンスターの数×400上昇する。今は3体いる為1200上昇して攻撃力は2800だ」
「だがそれでも《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力4000には遠く及ばない!!」
「だからこうする。ペリアリスの効果を発動。これは自身のメインフェイズに手札か墓地からレベル5以上の植物族モンスターを選び守備表示で特殊召喚が出来る。よって甦れ《椿姫ティタニアル》!」
こうして蘇った事で己の盤面に四季姫が4体とペリアリスが並ぶ。
最高にふつくしい盤面が出来たことで満足できるのだが、今は戦いの最中。
そして遊矢が言う通りペリアリスの攻撃力は更に400上がって3200になっているが、今の盤面では《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の攻撃力4000を真正面から突破することは出来ない。
本当ならばこの盤面のまま勝ちを極めたい所であるが、攻撃力を爆上げする植物族の最強速攻魔法である《狂植物の氾濫》は手札にない*1。
なので堂々と素通りさせていただくのだ。
「このままバトルに入る。俺は《秋姫チルビメ》で《
「止められない…!」
「戦闘破壊されたことで《秋姫チルビメ》の効果をチェーン①、《姫葵マリーナ》の効果を《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を対象にチェーン②で発動する」
《秋姫チルビメ》は植物族の最上級モンスターの中でも防御よりの効果を持ったモンスターだ。
その効果は相手によって墓地に送られた場合、デッキから植物族モンスターを一体特殊召喚できる効果。
墓地に行けば手札からだろうがデッキからだろうが発動する為、先行で守備にしておけば基本的に後続へバトンを繋げてくれる頼もしいカードである。…除外やバウンスは勘弁な!
そしてこの効果、墓地に行けばよい為に当然戦闘でも発動する。
これは相手のモンスターによって墓地に送られたという判定である為であり、相討ち――それも自分から殴りに行く所謂自爆特攻という方法であっても問題ないのだ。
「逆順処理によってマリーナの効果で《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を破壊し、チルビメの効果で《
マリーナが魔法弾のようなものを飛ばしてダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを破壊する傍ら、チルビメはせっせと精霊馬を作成してから消えていった。
どこからキュウリを取りだしたのだろうか…?
「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が…」
攻撃力が高いだけであればあらゆる攻略手段があるのが遊戯王。
遊矢はそこで漸く聡が様々な方法で相手の攻撃を往なしていたのかを思い出したのだろう。
呆然と立ち尽くしている姿から見て、ここから逆転できるカードは握っていない様子。
「これで終わりだ。残ったモンスターで、遊矢にダイレクトアタック」
「う、うわぁああああああ!!」
こうして怒りに身を任せたことで始まったデュエルは聡の勝利という形で決着したのであった。
「では先程のデュエルで反省会をしますか」
「といっても根本的な問題はボウヤが冷静さを欠いていたからに他ならないでしょう」
「うっ…」
デュエルが決着したことで最初と比べてある程度落ち着きを取り戻した遊矢は雪乃からの容赦ない切り捨てに言葉を詰まらせる。
それも仕方ない。遊矢自身思い返してももうちょっと展開を増やせたのだろう。
怒りに任せて《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を召喚する前に、他に持っているカードで他のカードを手札に加えるなんてことも恐らく可能だったはずだ。
多分「怒り」という感情がカードと呼応した結果あんなプレイングに繋がったのだろう。
「貴方もよ。あのターンで負けていたら笑い話にもならないわ」
「うーん手厳しい…」
雪乃もセットカードが《リビングデッドの呼び声》ではなく、通常魔法である《コズミック・サイクロン》だとは思っても見なかったのだろう。
実際遊矢の手札が《ライトニング・ボルテックス》*2であれば、アイガイオンの火力を吸われた後に敗北していた。
様々な可能性を考えれば指摘も御尤もだろう。
「それにこれから相手をする融合次元のデュエリスト…【オベリスク・フォース】と言ったかしら。彼等の戦い方はバーンも多用する戦術。ライフをいたずらに削ってたらあっと言う間にやられるわ」
【
アニメでもメイン級のキャラクターが使用しており、それもあって人気が高いテーマの一つ。
そんな中でこれから戦う事になる相手は3対1を狙ってくるだけでなく、戦闘以外にもバーンを多用しながら撃破を狙ってくる相手。
ただ防御を固めているだけでは勝てない相手であることは明白だった。
そういう意味では聡が愛用する攻撃誘導の《秋姫チルビメ》や効果破壊耐性付与の《桜姫タレイア》にとって、【古代の機械】は相性が悪めの相手である。
「そういう意味でも冷静にデュエルをする必要があるんだよなぁ…。多分向こうに行ったら気分が悪い事なんて沢山見ることになるだろうからなぁ…」
「それってどういうことなんだ」
聡の言葉に遊矢が反応する。
まだまだ幼い遊矢にとって気分が悪いというぼかした言い方で察する事も難しい。
「有無を言わさずに侵略行為してくるだけでなく、遊び感覚でカードに変えてくる相手でしょ?ならやられたり、捕虜にされた人の扱いとか考えるとまともな扱いをしている気がしないしなぁ…」
「そんな…なら、柚子は…!」
「だからそこでまずは落ち着けって。冷静さが欠けた結果がさっきのデュエルだろ」
また怒りを面に出そうとする遊矢を諫めながら、聡はこれからどう動くかを考える。
零児の案はいきなり融合次元に飛ぶのではなく、まずはシンクロ次元とエクシーズ次元に赴いて同盟関係を取り付けることで戦力を増強させることだ。
すでに侵略を受けているエクシーズ次元はレジスタンスがゲリラ戦を行って抵抗しているとのことだが、時間をかければかける程彼等の負担が増えて被害が拡大し続けるだろう。
シンクロ次元からやってきたユーゴの言葉では【オベリスク・フォース】のような者達はやってきていないらしい。ただ融合次元からの干渉があったせいでユーゴの幼馴染であるリンは攫われてしまっている。
目標を確保したから侵略をしていないのか、それとも何らかの意図で動いていないのか。
ある程度知っていたとしても、今現在が全く同じ流れになるとも思っていないので進言するのも憚れるのだが、色々考えてしまうものだ。
「まぁ他の次元に向かうとしてもちょっとは時間があるだろうから、そこは他の人たちに色々習った方が良いかもな。とりあえずは
遊矢は基本的に
『Aカード発動!《回避》!!』
たまになら良いが、流石に頻度が多いと相手だって利用してくる。
というかピンポイントで引けるって豪運すぎないか?…いや、今更か。
エンタメデュエルを目指すということでパフォーマンスを重視した構築にしているのかもしれないが、それではAフィールドを展開出来ない場面では非常に守りが薄いデッキになってしまう。
あっちではいつ機械不良が起こるかわからない為に、そう言ったスタンダードなデュエルに慣れておくだけでもデッキ構築上考えれる事が多いだろう。
「貴方は帰るのかしら?」
「そうですね。こっちも準備しとかないといけないでしょうし、デッキを再度調整してきますよ」
「わ、
雪乃さんに投げるようになって申し訳ないが、幽香のデッキ調整も兼ねていることを察している為許してくれるだろう。
相手が相手なだけに本格的な構築を目指していくが、それは目を瞑っていて欲しい。