流星のロックマン プレアデスの絆   作:UMA_SS

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ボツになったサブタイトル:星河スバルの憂鬱
ボツじゃない方も結構てきとーになってしもうた
今回は、オリキャラの本格登場回です。でも今回はあんまり気に入らないな。文章表現とか。


(4514文字)


10、策士な姉と気弱な弟

 どうやらスバルたちが思っていた以上に、彼らの経験した事件は重大なものだったらしい。スバルと会話したサテラポリス隊員の他にも続々と隊員が事件現場に集まってきて、コダマ小学校と養護施設の子供たちは軽い事情聴取を受けた。事情聴取、といっても重苦しいようなものではない。ただ事件の状況と被害の把握をするために、被害者に質問をする程度のものであった。

 確かにそれほど緊迫した空気にはならなかったものの、スバルたちはサテラポリスたちや地元警察、担任の育田や児童養護施設の保育士などに質問攻めにされた。彼らの質問はスバルたちの疲労を考慮してか、一人一人の分は簡潔で短いものであったが、同じ質問が延々と続いた。そのためスバルたちは疲れはててしまった。

 サテラポリスや警察は事件現場の調査に向かい、育田や保育士は生徒や児童の安全を確認してから他の場所で遊んでいるコダマ小学校と養護施設の面々を呼びに向かった。一時間ほどにおよぶ事後処理の騒動が終わってようやくスバルたちは解放され、今に至る。

 解放されたとはいえ時刻は夕方に近づいている。元々のスバルたちがこの施設に訪れた目的である、「養護施設の子供たちとの戯れ」の刻限も間近だ。さすがの子供たちも今さら遊ぶ気になれないのか、施設の庭のベンチや遊具に腰かけて話を交わすのみであった。

 

『ま、なんだ。なんだかんだで楽しい奴らだったよな』

 

 子供たちとキザマロが背比べをしているのを眺めながら、ウォーロックが呟く。彼とスバル、ルナにモードは施設の縁側に腰かけて庭ではしゃぐ子供たちを見つめていた。スバルは施設の子供と一緒にいると、どうも自分の正体についてボロを出すようなので、一度だけ休憩のために離れて眺めることにしたのだ。

 

「あら、ずいぶんとまともなことをいうじゃない、ウォーロック」

『オレはいつでもまともだぜ』

「……前言撤回するわ」

『いまのが一番まともじゃなかったってことか!』

『まぁまぁ二人とも……』

 

 些細なことで喧嘩を始める二人をモードが止めに入る。そんなスバルたちの元に、歩み寄る子供が二人。

 

「あれ?」

 

 スバルたちが振り替える。その目の前には、先のウイルス事件で危なくウイルスの攻撃を喰らいかけた、あの少女少年二人組が立っていた。燃えるような赤毛のロングヘアの少女と、短い茶髪の少年だ。

 

「どうしたの?」

「いえ、改めて謝罪とお礼を言いたいと思ったので……」

 

 赤毛の少女が相変わらずの落ち着き払った口調で言った。その後ろで茶髪の少年がこくこくと頷く。

 

「そこまでかしこまらなくてもいいよ。みんな無事だったんだし、それでいいんじゃないかな?」

「特に謝罪なんて必要ないじゃない。ね、ウォーロック?」

『なぜオレに振るんだ。あと、目が怖ぇよ委員長』

 

 スバルのあとにルナが続けるが、ウォーロックは不満そうだ。しかし反論すれば先程と同じ目に遭うことが目に見えているため、ウォーロックはルナとそれ以上の言葉は交わさなかった。

 

「……ほっ」

「…………」

 

 その様子から、もう怒られないと悟ったのか、茶髪の少年は胸を撫で下ろす。対して赤毛の少女はなぜか、三人に探るような視線を送っていた。

 

「分かりました。それでもお礼だけは……。()()()()()()助けて下さって、どうもありがとうございました!」

 

 赤毛の少女がうやうやしく頭を下げ、茶髪の少年も半テンポ遅れて頭をペコリと下げた。

 

「そんなに深々と礼を言わないでもいいよ、顔をあげて。ボクだって必死だっただし、ウイルスから守りきるのもギリギリだったんだし」

「な、ななな……」

 

 スバルは礼を言われたのが照れくさかったのか謙遜した態度と言葉を返す。しかしそんな彼を見つめるルナは信じられない、とばかりに口をあんぐりと開けている。

 そして、赤毛の少女もスバルの発言に驚いたように顔を上げ、穴が空くほどに彼の顔を見つめている。

 

「え? ボク、なにかまずいこと言っ――

「言ったわ」

 

 スバルがルナと赤毛の少女の顔を交互に見つめながら問おうとしたが、それを言い終えるより早くルナがピシャリと遮った。

 

「なるほど、やっぱりそうだったんですね」

 

 赤毛の少女はといえば、先程までの礼儀正しさはどこへやら。とたんに、してやったりと言わんばかりの顔を浮かべた。

 

「あの、どういうことか説明してくれないかな」

 

 赤毛の少女はそれを聞いて得意げに、

 

 

「はい、もちろん説明しますよ、ロックマンさん?」

 

 と、言葉の爆弾を放り投げた。

 

「――ッ!?」

「ハァ……」

 

 弾けるように驚いて立ち上がるスバルと、呆れたようにため息をつくルナ。ウォーロックは驚きで唖然としているし、モードも同様の反応を示している。茶髪の少年も少女の傍らで彼女を見つめて目を見開いていた。

 

「あ、や、な、なんで……」

「気づかないの? あなた、鎌をかけられたのよ」

 

 急に確信めいた口調で正体を暴かれたスバルは開いた口が塞がらないようで、そんなスバルにルナは説明する。

 

「だから、『ウイルスから』って強調したのね?」

 

 ルナが今度は赤毛の少女に問う。少女はいたずらっぽく笑ってそれに応えた。

 

「はい。それでも確実に答えてくれるって確証はなかったんですけど。スバルさんが素直な方で助かりました♪」

 

 この女の子は、謝罪ついでにロックマンの正体を割り出そうとしたのだ。あのウイルス騒動において、子供たちを助けたのは実質的にはロックマンのみだ。ルナやゴン太やそのウィザードたちは、子供たちに戦闘の被害が及ばないようにしていただけなのだから。「ウイルス」を強調したのも、礼を言う対象から協力者を除外し、ウイルスと直接対峙したロックマンに限定するため。だから、彼女の礼を受けることができるのはロックマンと、その素体となる人間のみなのだ。逆に言えば、礼を受け入れた者がロックマンの正体の人物となる。

 

「大体スバルくんは、“建前上は”ウイルスに腰を抜かして一人でトイレに逃げ込んでたんだから。さっきみたいな『ボクも必死だった』、なんて言葉が言える訳がないのよ」

「…………」

 

 スバルは、縁側に腰かけてがっくりと肩を落として、真っ白に燃え尽きていた。ほぼ自白してしまった悔しさと自分の不覚さに落胆中である。

 

「で、でも、正体はみんなに黙っておきますよ、もちろん」

「……ぜひそうして欲しい……」

 

 予想以上に落胆しているスバルに申し訳なさを覚えたのか、赤毛の少女は慌てて言った。しかし、スバルの声は暗い。少女はますます気まずい渋い顔をして、おろおろしている。

 そんな二人を見かねて、ルナが声をかけた。

 

「スバルくん、もうこのままブラザー結んじゃいなさい」

「「えっ?」」

 

 スバルと少女、二人で声を揃えて聞き返す。二人を見つめ返し、ルナは続ける。

 

「もうスバルくんの一番の秘密はバレたわけだし、この子たちとだったらいいんじゃない? ブラザーなら、スバルくんの正体を知っていても何も不思議はないわよね。同じ事件を乗り越えたよしみってことで」

 

 スバルと少女は互いに見つめて、口を開く。

 

「そうだね、それが一番いいや」

「いいんですか!? ……えと、お願いします」

 

 仮にも世界を救った英雄とブラザーを結ぶことに緊張したのか、赤毛の少女は急にモジモジし始めた。

 

「よろしく、……えっと……」

「あ、わたしたち、まだ自己紹介してませんでしたね」

 

 名前を言おうとして言いよどんだスバルを見て少女はハッと気がついて、背後にいた茶髪の少年をぐいっと隣に引き出した。そして、姿勢を正して向き直る。

 

「わたし、桂城(かつらぎ)ヒオリっていいます。それと、……ほら、あなたも」

 

 名乗ったあと、赤毛の少女――ヒオリは、茶髪の少年を催促するように小突いた。少年は、おずおずと口を開いた。

 

「お、弟の桂城(かつらぎ)マサトです。……ヒオリが迷惑なこと言ってすみません」

「マ、マサト……」

 

 マサトの言葉で、ヒオリはずーんと暗いオーラをまとってしまう。スバルとヒオリの仲直りのためにブラザーを結ぼうとして、そのための自己紹介なのに、ここでどちらかが気落ちしては元も子もない。

 

「弟、ってことは君たちは姉弟(きょうだい)なの?」

 

 ヒオリのためにも話題を変えようと、スバルは気になったことを聞いた。とたんにヒオリは頭を上げる。実にリカバリーの早い子である。

 

「そうですよ。双子なんです、わたしたち。ちなみに小学三年生です。二卵性だからあんまり似てないでしょう?」

「に、『二卵性』ってよく知ってたわね……」

 

 小学三年生なら二卵性双生児、なんて単語は知らない子がほとんどだろう。先程のスバルに対して行った誘導尋問といい、ヒオリは頭の良いタイプらしい。

 

「で、でもヒオリ、なんでスバルさんを追い詰めるようなことしたの? 後からそんなに気を使うなら最初から言わなきゃいいじゃん」

 

 マサトが改まってヒオリに聞くと、ヒオリは顔を赤くして手をもじもじと動かし始めた。

 

「だ、だって……スバルさんがロックマンだってバレバレだったし、自分の推測を言い当てるのって、なんだか推理小説みたいで気持ちいいじゃない?」

「バ、バレバレ……」

 

 今度はスバルが暗いオーラをまとう。やはり、誤魔化せたように見えてヒオリのように勘づいた子は他にも要るのかもしれない。彼らはキング財団が集めた子供であることを忘れてはいけない。

 

「わっ? スバルさん、ごめんなさい! 今のなし!」

「…………」

「わたしは何も言わなかった! 言わなかったよ! スバルさんバレてない!」

「…………」

「げ、元気だして、スバ――

『だぁぁああーーっ!! いい加減さっさとブラザー結べ! お前ら!』

 

 話が弱冠、ループを始めたのを見かねて、今度はウォーロックが叫んだ。その叫び声に、

 

「ヒッ!?」

 

 ヒオリはビクリと肩を震わせて押し黙った。

 

『……あれ?』

 

 急に静かになったことに不安を覚えたウォーロックは思わず辺りを見直す。そのウォーロックの目の前には、瞳が潤んで見えるほど目に涙を浮かべて口を食いしばっている赤毛ロングヘアの少女が立っていた。

 

『お、おい、お前、』

「……こわい……っ……」

 

 泣き出す一歩手前で嗚咽をもらすヒオリ。口調が小学生とは思えないほどに大人びているヒオリも、やはり精神は小学生の女の子だったようだ。

 そして、聞こえる嗚咽は一つではなかった。

 

「ま、また怒ったぁ……ひぐっ……」

『なんでお前まで!?』

 

 ヒオリの隣でマサトまで同じように瞳を濡らす。マサトにとってはウォーロックの説教はウォーロック自身が思う以上にトラウマになっていた。主に顔が怖いからかもしれない。

 

『お、おい、落ち着けって。なっ? オレも怒鳴って悪かったからよ……』

「うっ……うわあぁぁん……」

 

 ウォーロックの必死の制止も虚しく、二人は泣き出してしまった。それと同時に、ウォーロックの背筋に悪寒が走る。

 

「ウォーロック? 覚悟は出来てるわよね?」

『……できてない場合はどうすればいい?』

「問答無用ッ!」

 

 ルナの冷たい笑顔を前に、ウォーロックはどうにもならなかった。スバルはヒオリとマサトの頭を撫でたりしてなんとか泣き止ませようと頑張って、ウォーロックは悲鳴を上げて逃げ惑う。そんな混沌とした空気の中、夕方はふけていった。

 




「そうですよ 双子なんです わたしたち」 桂城ひおり

 この小説では、オリキャラの名前に漢字表記があっても本文中ではカタカナで表記しようと思います。流星のロックマンの原作のキャラはカタカナ表記の名前のキャラが多いので、少しでも彼らと雰囲気が馴染めるようにしたいなと思うので。ちなみに、ヒオリの漢字表記は「火織」、マサトの漢字表記は「将士」です。
 施設の子供たちの年齢は、小学一年生~三年生のつもりです。キング財団の施設の子供たちの中にはもちろんそれ以上の年齢の子供もいますが、今回はスバルたちがお兄さんお姉さんとして接することのできる年齢の子供たちの集まる施設を選んで訪問しているため、スバルたち以上の年齢の子供はいません。
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