ハイスクールD×D 邪神に拉致された元普通の高校生   作:真庭猟犬

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第0章完結! 次話から原作一巻が始まります。


邪神龍と猫又姉妹の旅 その⑥

「主が主なら眷属も眷属か」

 

「なんとなく何があったのか解ったけど、お兄ちゃん鬼畜かつ暴君っぽい殺し方するよね」

 

「翔悟。早くそれ消して。白音には見せたくないから」

 

 

黒歌が言うそれは黒歌と白音を助けた時に雷で消滅させた悪魔の眷属の死体だ。

姫島家まであと数kmってところでどうやったか俺のことを色々調べて『主人の仇だ』とか言って襲い掛かったので返り討ちにした。かなりえげつない殺し方で。

そのため完全にモザイクをかけないといけない死体が積みあがった。黒歌は白音の目を隠しているが、死体をみているのため、死体の消失を頼んでいる(リネットは俺の殺し方に引くだけで死体に関しては普通に見ている)。

 

 

「それはもっともだな。(ゴオオッ←(ブレスの音))で、そこで隠れてるのはいい加減出てきたらどうだ?」

 

「「「えっ?」」」

 

 

チート能力というか体質で気づいたが、死体ができるまでにこっちを観察するような視線が少し離れた木から向けられていた。指摘すると、フードを被った胡散臭い雰囲気が合う者が木陰から出てくる。

 

 

「兄ちゃん中々鋭いな。気配は結構隠してたつもりなんやけど」

 

「殺意に満ちた視線に交じって観察する視線は不自然すぎるっての。キモいし」

 

「おおいっ!? 初っ端からキモいって何やねん!!」

 

「私もお兄ちゃんと同じ~」

 

「兄妹で嫌な連携すんなや!! はあ、会ってたった一分で弄られるとは思わんかった」

 

「それよりあなた誰にゃ?」

 

「おお! 忘れとった! ワイは黒木良哉。一応あの下種の元眷属だった転生悪魔や。ちなみに神器(セイグリット・ギア)持ちやで」

 

「関西弁とはまたキャラが立ってるな。で、お前の目的は何だ?」

 

 

態々物陰に隠れて観察してた奴だ。そう思い変な事を企んでいたら殺すつもりで構えると、黒木は青褪めて後退した。

 

 

「いやいやそんな物騒なもんを出す構えをしなくてもええやん!? 確かにあいつらけしかけたのはワイだけど、あいつらのやり方に嫌気がさしてたから下種をぶっ殺した兄ちゃんに他のも殺ってもらいたかってん!!」

 

「やっぱりああいう奴だったね……」

 

「塵にして正解だったか。一つ訊くが、お前の神器は千里眼みたいなものか?」

 

「近いようでちょいと違う。ワイの神器、『人生日記(ミスティック・ノート)』は周囲の人間かワイ自身の未来や過去をノートに写す能力を持ってるんや。それであの下種がどうやって死んだか、その時周囲に誰がいたかが解ってただけっちゅうわけ」

 

「○来○記じゃねえか」

 

「「「「未○日○?」」」」

 

「いや俺だけしか知らないもんだから気にするな」

 

 

元いた世界の事は後で黒歌達に話すか。バラキエルさん達にも話したし。

 

 

「構えた方がええな。あいつら最後の悪足掻きをしておるで」

 

 

黒木が俺達の後ろを見て顔を険しくする。振り返れば、真っ黒な何かが蠢いていた。

 

 

「確かに。俺に対する怨みと塵になった体で魔獣を造ってやがる」

 

「……気持ち悪い」

 

「何にゃのあれ?」

 

死霊術(ネクロマンシー)と黒魔術の組み合わせだね。この感じ、大きいのが来るよ!」

 

『ギュアアアアアアアッ!!!!!』

 

 

俺が殺した悪魔達は腐敗したドラゴンとなって吼えた。その目には怨恨・憤怒・復讐・狂気に満ちている。

 

 

「理性は欠片もないってか? 俺を殺したければ殺してみな。ただし、殺されるのも考慮する脳があればの話だがな」

 

『ギュアアアアアッ!』

 

「遅いって《ドゴォン!》ウゲッ!?」

 

「「「(ニャッ/エッ/うおっ)!?」」」

 

 

咆哮とともに振り下ろされた右前足を避ける。足が当たった地面は大きく穿てられ、一気に腐っていく。俺達が驚愕する中、リネットだけが冷静だった。

 

 

「この腐敗……。死霊術で禁忌に入るものだよ」

 

「どういうこと?」

 

「普通、死霊術は予め死体や臓器等を用意して使うんだけどあくまで使えるのは魔術師か魔力の高い人間のものと竜の骨ぐらいなの。それに死霊術を使うのに効率がいいのは戦場跡や墓地とか死が多い場所。ここは普通の山道に加えて神社があるから効率が悪い。だから普通なら死霊術は殆ど使えないの」

 

「だけどあの地面は腐っているにゃ」

 

「だから禁忌って言ったの。死霊術で禁忌の存在となっている死を加速させるものがあるの。あいつ等は自分達の死とお兄ちゃん狂気を利用してそれを引き出したとしか考えられない」

 

「根本的な原因は俺かよ……」

 

 

マスター・ブーの二の舞だなと思いつつもゾンビの竜を見据える。(あいつらの襲撃を受けた時から張られている)結界があるので一般人はこの場所に来れないから良いとして、問題は死を加速させる術と相手が『死』そのものである事だ。一応『大嘘憑(オールフィクション)』があるから死ぬのは免れるとして、良哉以外は全員10歳以下だから長期戦は不利。故に短期決戦が有効と思うが、『死』をどうやって滅するかが重要だ。『始まりの混沌と終焉の現世からの解放(バースデイ・エンディング)』は全力の状態でしか発動出来ない上に卷族が隠蔽の為に張っただけの結界が耐えきられる保障がない。

 

 

「次、来るで! 今度は触手っぽいのや。あれもあいつの足と同じ術を得ているで!!」

 

 

良哉の言うとおり、ゾンビの背中から触手らしきウネウネしたものが8本出て俺目掛けて襲いかかる。黒歌達は眼中に無いのか俺に攻撃が集中されているようだ。

 

 

「チッ、俺だけが狙いみたいだな」

 

「兄ちゃん、悪いが十分だけ時間稼いでくれへんか?」

 

「何だよっ!《ドゴン!》ウォワッ!?」

 

「ワイに秘策があるんや。だけどな、その秘策となる神器は発動するのに時間が掛かるねん」

 

「そうかよ! だったらとことん稼いでやるぜ!」

 

 

半龍モードになり、マスター・ブーの記憶から創った神器を発動させる。死そのものには生も死もないものだ。

 

 

「『感情なき混沌の眷属(ノーフェイス・マーセナリィ)』!」

 

 

影や地面から陶器で出来た大人とほぼ同じ姿の駒が多数現れる。こいつらは自立起動で敵に攻撃したり護りに徹したりと戦闘面では大いに役立つ。

 

 

「それじゃ、私も『殺戮と呪いの人形劇(マサカー・パペット・ショータイム)』!!」

 

「うにゃ…。私達は補助に回るにゃ」

 

「……ですね」

 

「すまへんな、皆。んじゃま、行きまっせ! 『封魔龍の鎧脚(チェインズ・アルマトゥーラ・レガース)』!!」

 

 

良哉が発動した宝玉が鎧の足の部分に似た神器。それにはドラゴンの力が宿っていると俺は確信した。そして、脛部分にはめ込められている宝玉から淡々とした女子の声が聞こえた。

 

 

『良哉。敵?』

 

「そんなとこや。死そのものなんやけど、封印出来そうか?」

 

『可能。十分必要』

 

「え、神滅具(ロンギヌス)?」

 

「何にゃの、そのロンギヌスって?」

 

「神を殺す事が可能な神器って事だ。《ブオン!》っと、てか封魔龍って聞いたことないが《ドドドドドド!!!》のわぁっ!?」

 

 

段々とゾンビの攻撃の隙が出来るのが減っていき、視線を向ける暇がなくなっていく。回避し、駒をぶつけていると白音が呆れが混じった声を出した。

 

 

「兄さん、器用すぎです。それで封魔龍とはどんなドラゴンなのですか?」

 

「嬢ちゃんも嬢ちゃんやな。(汗)封魔龍はミゲルの肩書きや。『賢者たる封魔龍(エンシェント・ズィーゲル・ドラゴン)』っちゅうて、ミゲルは魔法や能力、敵を封印する力を持っておるんやで」

 

『混沌龍。封印。不可能』

 

「………あの兄ちゃんと一部のドラゴンは例外やけどな」

 

「流石は翔悟にゃ。歩くチートは伊達じゃないにゃ」

 

「のんきに会話しないでよー!! こっちは大変なんだからぁっ!!!」

 

 

リネットが外野の会話にツッコミを入れる。リネットはいいが俺はこ俺で手一杯な状態だ。何せゾンビの猛攻が某奇妙な冒険の主人公が放つラッシュと変わりなくなったので、身体を液状にしたり、影に潜り込んだりして回避している。リネットはモンスターを特攻させるのを諦めて距離を取ってのブレスなどを命令させているがあまり効果がない。

 

 

「忘れとった!? ミゲル! 後どんくらいや!」

 

『残り三十秒。混沌龍。手伝い』

 

「ツッコまへんで、それは。けどま、好都合やな」

 

「………《二ィィ》」

 

 

回避しながらニヤッと笑う。良哉は「貸し一つ渡したる」と言いつつも右足を揚げた。

 

 

「いくで! 『逃れ得ぬ永遠の閉鎖空間(アンリミデット・ノクターン・チェイン)』!!!」

 

 

良哉の右足が地面を強く踏み込むと、ゾンビのいる場所に銀色の魔法陣が浮かび、そこから多くの鎖と封印の力を持っていると思われる布が出てきてゾンビを縛っていく。が、ゾンビは抵抗の意志として大きく体を動かして拘束から逃れようとしている。

 

 

『ギャアアアアアアアアアッ!!!《ブチブチブチィッ!!》』

 

「逃さねえよ。『鮮血の拷問杭(ブラッドフォルター)』!!」

 

『《グサグサグサ!》ギィ……、ギ…………ィ……ッ!!』

 

 

血でできた杭をゾンビにブッ刺して拘束を強くする。ゾンビは最期までどす黒い感情宿った目で俺を睨みながら全身を布と鎖で覆われ、球体となった。

 

 

「ふい~、封印完了や。お疲れさん」

 

「まったくだ。つうか、リネットは生きてるか?」

 

「………《プスー》」

 

「湯気が出てるにゃ」

 

「生きてますけど、暫くは動けないみたいです」

 

「そうか。じゃ、ここいらで休憩するか」

 

「「「おう/はい/わかったにゃ」」」

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「着いた着いた。ここが姫島家さ」

 

 

リネットが回復し、十分に休憩を取った後で歩き続け、ようやく姫島家にたどり着いた。思えば結構濃い体験だったと思う。黒歌と白音を下衆な悪魔から救ったのに始まって出会いと別れ、戦闘をしてきた。そして家族が増えて仲間も増えた。こういうのは元の世界じゃ実現できないだろうな。

 

 

「ねえねえ、翔悟。ほんとに私達も居候になってもいいのかにゃ?」

 

「何言ってんだ。またあんな下衆に手をだされちゃ困るだろ? それに、家族は多い方が良いしさ」

 

「軽いなぁ。ま、そういうとこは個人的に好きやけどな」

 

「それがお兄ちゃんの美点だよ」

 

「私もそう思う」

 

「サンキュー」

 

「にゃはは。にゃんか不安を抱いてた私が馬鹿らしいにゃ」

 

 

長い階段の前で笑い合う。黒歌にはさっき見せていた不安は一切なかった。俺は皆の事を話すために先に行くことを伝えて階段を上がる。上がりきった先に見えたのは神社の前で箒を持って掃除している巫女服を着た朱乃と朱璃さん。朱乃は俺に気づくと箒を放り出して走り、俺に飛びついた。俺は朱乃を抱き止めたが仰向けに倒れるが、そんな事は気にしない。

 

 

「お帰りなさい!」

 

「ただいま。朱乃」

 

 

目の前の朱乃の笑顔見てやっと帰れたんだと実感するのが大事だったからだ。

 

 

 

 

 

 

*あの後、バラキエルさんを連れて来た朱璃さんに黒歌達の事を説明すると、快く受け入れてくれた。黒歌と白音は姫島の性を名乗り、良哉は良哉で恩返しとして『神の子を見張る者』でバラキエルさんの書類整理とかに励んでいた。




オリキャラの良哉とオリドラゴンのミゲルの紹介は第1章から出します。
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