妖精と狸と悪戯の   作:ねくら

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今回は完全オリジナルストーリー


05 White Dragon (上)

 

 

 むふふふふ。

 

 こんな怪しい笑い方をする人がいたら普通は敬遠してしまうだろう。それが通用するのは漫画や劇といった演出の中だけだ。第一に、そんな不審者よろしくな行動をすれば周りの目が痛くなるのは間違いない。

 しかし人というのは、一つのことに夢中になりすぎると周りが見えなくなるというものまた事実。

 

 

 むふふふふ。

 

 現にここに、路地とはいえ少なくない周囲の注目を集めながらほくそ笑む俺がいる。

 俺は今、通行の邪魔にならない場所に荷を下ろしバッグの中からいくつかの植木鉢を取り出していた。

 

 バッグの中は拡張魔法のおかげでものすごい量を収納しているのだが、如何せん整理をしなかったためにかなりごちゃごちゃしている。

 つい数分前に買った栄養剤を使おうと目的の鉢植えを手探りしたところ中々見つからず。

 もう面倒だからと中身をひっくり返している途中なのだ。

 

 そうして出てくる出てくる多くのマイ鉢植えちゃんたち。

 

 

 

「けっ。まるで花園だな」

 

 

 

 道端に広げられる鉢植えたちをじと目で見やりながら呟く彼は、俺の相棒ポン太。

 全体的にむっくりとした茶色の体躯に、短い手足と大きく手触りの良い尻尾。これだけなら可愛い狸だね、と言えるのだけどその幻想は顔を見た途端崩れ去ること必至。

 まるでどこぞの凶悪犯ですか、ともいえる鋭い眼光をお持ちなのだ。

 誠に残念無念な相棒様なのである。

 

 

 

「ひぃ、ふぅ、みぃ。鉢植えも七個目か。随分作ったなー」

「作り過ぎだ。そんなんで魔力保つのかよ」

「ぶー。心配性だなぁ、へーきだもん」

 

 

 

 そう。無造作に取り出してしまったが、ここにある鉢植えは全て悪戯魔法(カラクリ・マジック)そのもの。

 ここになっている低木にできた葉がすべて魔法発動のキーとなる。

 一つの植木に一つの悪戯魔法、といった具合だ。

 

 この魔法は、緑の魔法(プラント・メイク)で一から種として育てる。だからそれなりに時間はかかるし、世話も手間取るし、なにより魔力をかなり使うのだ。

 

 悪戯魔法は第三者が使うときその魔力を必要としない。

 それは俺がそれぞれに魔力を分散しているから。

 

 逆にいえば、俺が魔力の供給をやめてしまえばその瞬間それらはただの葉っぱと成り果てる。

 そして分散供給しているということは、常時俺の手元にある魔力はそれだけ少なくなるということ。

 これが、ポン太が心配するところなのだ。

 

 

 いざって時に魔力切れを起こすなんてしゃれにならない。

 多様性があってエンターテイメント性ある魔法だけど、その代償も地味にでかいというわけさ。

 

 

 

「そーら、栄養だぞ。もっと大きくなーれっと」

「趣味もほどほどにしておけよ」

「わかってるよ」

 

 

 けちんぼポン太め。魔法を面白可笑しく使うための追求こそが、俺の生き甲斐だというのに。

 そのために大嫌いな労働をしているといっても過言ではない。

 そして出来ることならニートになってみせる。

 

 無職で趣味に爆走とか、ああそんな未来が来てくれたらな。

 

 沸々と妄想を思い浮かべながら、今期一番の自信作に購入した栄養剤を振りまく。

 そんな時だった。

 

 

 なにやら声と足音が聞こえてきたのは。

 

 

 

「……この先からだな」

 

 

 

 ポン太は少し警戒しながら路地の奥に目を光らせる。

 尚も足音は近づいてくる。

 それは思ったよりも早い。

 

 俺も栄養剤を投与しながら、体を仰け反る形で路地を見つめようとする。

 

 刹那、もの凄い速度で飛び込んできた小さな影。

 

 

 えっ、と思う暇もない。

 そいつは置かれていた鉢植えに足を引っかけ、盛大に体勢を崩すと俺の顔面に体当たりしてきたのだ。

 

 

 

「うわっ」

「は、は、鼻がああ」

 

 

 

 俺の顔面にヒットをかましたのは金髪の男の子。

 彼は倒れ込んでからすぐに起き上がり、俺を一瞥すると舌打ちをして通りへと飛び出していく。

 

 一方のこちらはあまりの痛みに鼻を抑えながら地面に突っ伏し状態。

 うおおお、と悶絶してしまう。

 

 だってしょうがないじゃん、痛いもんは痛い。

 体は丈夫だけどこうピンポイントでこられるとそれはそれで辛いものがある。

 

 

 

「ポン太氏ポン太氏。俺の鼻とれてない?」

「阿呆、避けろ」

 

 

 

 ぐわりと襟首をつかまれる。

 乱暴に放り出されて今度は尻を打ちつけてしまった痛いよポン太。

 

 俺が悶絶していた場所を何人もの男たちが通り過ぎて行く。

 姿格好から推測するに、随分と粗暴な輩のようだった。

 

 「どっちに行った!?」とか「あんのガキぜってぇ逃がさねえ」などと言葉遣いも荒々しい。

 

 

 

「助かったよポン太ありがとう」

「けっ。に、してもあいつら一体」

「ああああああ!!」

「……なんだ」

 

 

 

 絶叫する俺に、ため息混じりに視線を寄越す相棒。

 しかしそんな彼に声をかける余裕もなく。

 俺は倒され、踏みつけられ、ぐちゃぐちゃに散乱した植木鉢たちを呆然と見つめるのであった。

 

 ぐすん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ」

 

 一人の少年は痛む腕をさすりながら悪態をついた。

 つい先ほどまで男たちに殴られ蹴られの暴行を受け、少年はぼろぼろだった。

 

 彼らはこの街のギャング。住民たちに所場代などと言ってお金を脅し取ろうとしたり、物を壊したりと随分と好き勝手にしている連中である。

 

 街の人からつま弾きにされていた自分に、何かと絡んでくる連中のため鬱陶しく思っていた少年。

 そしてお返しとばかりに喧嘩を吹っかけたが数に勝てず逃走、追いつかれ袋だたきにあったというわけなのだ。

 

 

 そのため少年の機嫌はすこぶる悪い。

 

 

 

「嘘つき、か」

 

 

 

 少年は孤児である。現在は、ということで育ての親はいるが今は一人だ。

 住人たちは彼をほら吹きな面倒な孤児、として認識している。

 故にその態度や視線も冷たい。

 もともとはよそ者のために、それは仕方のないことなのかもしれない。

 

 けれど、と少年は先ほどのことを思い出す。

 

 

 街を歩けばひそひそと嘘つき、だとかほら吹きだとか囁かれる日常の中で。

 今日はある店がギャングによって破壊行為がなされていた。

 店主はやめてくれと懇願していたが、奴らが止めることはなかった。

 

 そこで少年は思ってしまったのだ。ここで加勢すれば、街の人たちに認めてもらえるんじゃないか、と。

 

 

 結果的に、少年の淡い期待は外れることとなる。

 

 店主は勇猛果敢にギャングに向かって行った少年に罵声を浴びせ、頭に血が昇ったギャングたちはより一層行為をエスカレート。最終的には少年は大人数に追われリンチに合うことになった。

 

 

 きっと街での自分の評判はさらに悪くなっていることだろう。

 

 

 

「もう、面倒になってきたよ。バイスロギア」

「バイス…なんだって?」

「なっ」

 

 

 突然振ってわいた声に驚き振り向けば、しゃがみ込んで目線を合わせる年上の少年がいた。

 その横にはもの凄い眼光でこちらを睨み据える狸。

 

 

「やあ、少年。鉢植えを台無しにしてくれたお礼をしようかと思って来たんだけど…どしたの、その傷」

「だ、誰だお前っ」

「俺かい? 俺はごぼあっ!?」

 

 

 嫌われものの自分に声をかけようだなんて、怪しい奴に決まっている。

 現に今までがそうであった。

 

 故に少年は相手が体勢を低くしていることをいいことに、顎下へ強烈なアッパーをくらわせたのだった。

 

 見事に決まったそれは、年上の少年を後ろへと吹っ飛ばす。

 それを冷静に見送る隣の狸に違和感を覚えた少年だったが、脱兎のごとくその場を走り去っていく。

 

 

 今日は、随分と(せわ)しい日だと柄にもなく思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 痛い。本日二度目の痛いだ。

 俺はひりひりと熱を持つ顎をさすりながら、逃げ去っていった少年のことを考える。

 

 どうみても大丈夫そうな怪我ではなかった。

 アッパー決めたとき僅かに顔をしかめていたから、右腕を傷めているのは明白だ。

 

 そしてそれを成した先の男たち。あれはきっと堅気じゃないな。

 

 

「ほらよ。湿布だ」

「おお、さんきゅポン太。…さっきの子に危害を加えた奴らのこと、どう思う?」

「さぁーな。ただ依頼には関係してるとは思うけどよぉ」

「やっぱしそう思う?」

 

 

 子供によってたかるなんて随分と勇まし奴らだことで。

 むかむかと胸にくすぶる思いを抱えながら大通りへと出る。

 そこでは何か騒ぎがあったのか、店が何件か破壊されていた。

 

 その中には魔法で打ち壊したような痕跡も見て取れた。

 

 

「まったく、いい加減しろってんだあいつら…!」

「よしな。誰が聞いてるとも知れない」

「かまうもんか! それにあの嘘つき小僧が入ってきたことで余計にひどくなった! もう我慢ならねぇ、次来たときはとっちめてやる!」

「まあ、まあ。もしかしたらあの子もあんたのためを思って行動したのかもしれないし……」

「嘘つき小僧がそんなタマかよ! ドラゴンを倒したとか宣っているらしいが、さっきのあの様を見ただろう!? 結局嘘だったんだよ!」

「た、確かにねぇ」

 

 

 店を壊されたらしい店主がやりようのない悔しさを暴言として喚き散らし、それを周りのひとたちが宥めている。

 途中ものすっごい単語を聞いた気がしたけど、今回はギルドの依頼で来てるからね。

 そっち最優先で。

 

 

「ポン太。こいつは急ぐ必要がありそうだよ」

「なんだ、意外に乗り気だな。依頼受けた当初は嫌そうな顔してたじゃねぇか」

「大道芸人は夢ある子供たちの味方だからね」

「つまりはあのガキをなんとかしたいってわけか。面倒くせぇ」

 

 

 とか言いつつ、さっき怪我だらけの少年を目の前にしてこっそり包帯類を取り出していたのを俺は知っている。

 そう。俺は目撃しているのだ。

 

 

「さすがはポン太氏。ツンデレですな」

「一度腹割って話す必要がありそうだなぁ。ええ、オイ?」

「スミマセンデシタ」

 

 

 本当にお腹を割られそう。

 今日も今日とて相棒の凄みは恐いのであった。

 

 

 

 

 

 翌日。

 清々しい空気を伴う夜明けを過ぎ、人々が起き出し活動を始める時間も通り過ぎた。

 そしてちょうど太陽がてっぺんへと昇りかけたという頃合いに俺はむくりとベッドから起き上がる。

 

 昨日は早々に情報収集を引き上げ宿へと戻ってきた。

 本格的に動くのは今日から。

 

 ちなみに俺たちがこの街へとやってきた理由だが。

 もちろんギルドのお仕事だ。

 

 

 今回はマスター経由ではないものの、そこそこ厄介で危険な依頼。

 なんでもこの街にやたら強いギャングが住み着き、悪事を働くのだとか。

 

 そこで俺のところへ話が回ってきたのだ。

 本当のところなら断っちゃおうかな、とか思ったんだけど報酬の額と追加報酬でもある魔道書に惹かれたのが受けた理由だ。

 

 

 そんなこんなで今日は情報収集と敵情視察をする予定。

 なの、だが。

 

 

「すっっごい眠い」

 

 

 実のところ俺って寝起きが弱かったりする。

 前世の俺も随分目覚まし時計を破壊していたからこの性質はそこから引き継がれているんだと思う。

 

 とにかく眠くて、眠くて。

 枕を引き寄せて顔をこすりつける。

 せめてもう少し。もう少しだけ癒しのひと時を。

 

 もふもふと柔らかい肌触りを堪能しながら、不意に左手が厚ぼったくしかしふわっとしたものを掴んだ。

 寝ぼけ眼になんだこれ、と握ったり叩いたりしてみる。

 

 つーかちょっと待て。よく見たらこれ、枕にしては随分と生暖かい気がす……っ。

 

 

 直後飛来する痛烈な痛み。

 は、腹に何かとてつもないのを食らった。

 

 なんか昨日からやたらと痛めること多くないか俺。

 うおおお、とうねる俺を余所にそいつは優雅に暢気にシーツにくるまっている。

 

 

 俺の寝起きは悪い。だけどもポン太は、俺以上に寝起きの悪い狸なのだった。

 

 

 

「そんで、随分と快眠してたけどそこんとこどうなの」

「お前もさほど変わんねぇじゃねーか。昼まで寝こきやがって」

「君も言えた立場じゃないからね!?」

 

 

 

 ようやく起き出して街の通りを歩く俺たち。

 他愛ない会話をしながら、それとなく街の雰囲気や聞こえてくる話に耳を傾ける。

 

 この街は大きいというわけではないが、物流はそこそこ。

 だから市場とかもけっこう開かれているのだけど、店員たちはどこか浮ついている。

 というよりも、住民全体が何かにびくびくしているような印象を受けた。

 

 なるほど、依頼の通りギャングに営業を邪魔されないか恐れているのか。

 相手は魔法も使うと聞くから、魔法を使えない一般人からしたら恐怖そのものだろう。

 

 

 

 一通りの偵察を終えた俺たちは、さてどうやってギャングを片付けようかと思案しながら階段を下りていく。

 両脇の建物から伸ばされた紐に洗濯物が括り付けられている様子を仰ぎ見、視線を前に戻す。

 その時、金髪の少年が走っていくのを見た。

 

 かなり急いでいるのか、抱える荷物から物が落ちているが気にも留めていない。

 

 

「……行くのか」

 

 

 面倒だ、といわんばかりの相棒のため息に思わず苦笑する。

 

 

「そだね。気になる事もあるし」

 

 

 こうして俺たちは金髪の少年を追うべく、走り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 金髪少年に追いついたのはすぐのことだった。

 かなり傷を負っているようで、入り組んだ路地で倒れ込んでいたのだ。

 

 ちょっと焦りながら抱え起こし、仰向けに寝かせる。

 

 

「ポン太。どう?」

「骨に異常はねぇ。内蔵も平気だろ。打ち身に擦り傷、打撲といったところか」

「そっか。にしてもこれは」

 

 

 かなりひどい。

 十そこらの子供にこんな傷負わせるなんて、やり過ぎだ。

 

 思わず眉間にしわが寄る。

 

 ポン太が軽い手当をする間、何度か身じろぎをしていた金髪少年。

 それからうっすらと目をあけると現状把握ができていないのか、ぼんやりとこちらを見つめてきた。

 

 

「ども。また会ったね少年」

「!?」

 

 

 カッと目を見開いたかと思うと飛び起きる少年。

 ものすっごい睨まれてるんですけど。

 まるで警戒心剥き出しの獣みたいで、年上のはずの俺が萎縮しそうになる。

 

 ま、負けるな俺っ。

 

 

「他に痛いところある? 俺の相棒は応急処置ならできるから、遠慮しないで」

「うるせぇ。あっち行けオッサン」

「おっ……」

 

 

 オッサン。

 俺、もうそんな風に呼ばれちゃうお年頃だっけ。

 いやでも前世の精神年齢を考慮するとそういう事になるのか。

 

 えええ。なんだか認めたくない。

 

 

「とにかく座れガキ。怪我をあまく見んな」

「……放っといてくれ」

「座れ」

 

 

 ぽ、ポン太さんさすが鬼の睨み。

 いかにも口の悪そうな金髪少年を従わせている。

 

 っていうかなんか少年、急にしおらしくなってるぞ。

 人に世話されることに慣れていないのかな。

 おずおずと腕を出す彼の目からは戸惑いを感じる。

 

 

 手当が一段落したところで、俺は金髪少年に昨日を含め何があったのか尋ねた。

 最初は口ごもっていた彼だがポン太をちらっと見た後少しずつ話し始めてくれた。

 今のちら見は何だったのかなとも思ったけどここは自重しておく。

 

 

 最近ここらを縄張りにし始めたギャングたちに目をつけられ暴行を受けていること。

 それが悔しかったから自分からも喧嘩をふっかけていること。

 

 

「アグレッシブだね少年」

「あんたらよそ者だろ。とっととこの街から出てったほうがいいぜ。あいつら悪党だけど、実力は本物だ」

「なるほどね。でも君は果敢に挑んでいるんだろう?」

「俺はちょっとだけ魔法使えるから。…それに」

 

 

 ぐっと拳を握る金髪少年。

 何かを堪えているのかな。握り込みすぎて血が滲んでいる。

 

 苦悶の表情を浮かべる彼を見て、俺は話題を転換することにした。

 子供にそんな表情は似合わない。

 

 やっぱりがきんちょならがきんちょらしく笑ってないとさ。

 

 

「そういえばさ、自己紹介してなかったよね。俺、ミズイ。こっちは相棒のポン太だ。君の名前を聞いてもいいかな」

「……」

「まあ、言いたくなければ言わなくていいよ」

 

 

 沈黙する金髪少年に手を振ってショックを誤摩化す。

 そんなに警戒されてんのか俺。

 

 少しだけささくれた気持ちを抱きつつ、鞄の外ポケットから葉を数枚取り出す。

 

 

「少年。ここは一つ、大道芸を勤しむ俺の芸を見ていかないかい?」

「芸?」

「そう。本当は見物料とかも取りたいとこだけど、少年は特別にね」

 

 

 俺の言葉に興味を持ったらしい金髪少年と視線が合う。

 まずは意識を向けさせることには成功っと。

 内心笑みをこぼしながら、最近の十八番となりつつある演目を思い浮かべる。

 

 

「そうだな、少年の左耳についているピアス。綺麗なホワイトだね」

「えっ。ああ、コレ。貰ったんだ。すげぇ大切な奴に」

「そっか。ではそれに因んだ色の、伝説上の生き物を呼び出そう。ほいさっ!」

 

 

 葉を破り効果を発揮する悪戯魔法。

 悪戯魔法第五番、幻影遊び(カーニバル)

 

 もくもくと立ち込める霧。少し湿ったそれらを薙ぎ払うは、白き鱗に覆われた一頭の竜。

 その体躯は見る者を圧倒し、艶やかに光沢を放つ鱗は何人の攻撃をも弾く。

 そして鋭く光る瞳は心の奥底まで見透かすだろう。

 

 まさに伝説上の生き物とされる竜そのものだ。

 

 さすがに街中なので、等身大にはできないけど。

 これだけでもかなり迫力がはるはずさ。

 

 

 どうだい驚いたろう、と金髪少年の顔を覗き見れば。

 

 

 

「ば、バイスロギア……」

 

 

 驚いたような。懐かしむような。それでいて悲痛そうな表情で白い幻影の竜を見上げていた。

 この反応に違和感を覚えた俺だったけど、今は演目に集中することにする。

 

 芸は次へと移る。

 

 

「さあ、さあ少年。竜はその大きな翼を広げて空を駆け巡ることは知っているだろう?」

「あ、ああ。」

「体感してみたいと、思わない?」

「できるのか!?」

 

 

 興奮した金髪少年が俺の白衣を引っ張る。

 さき程とは打って変わり少年さを取り戻した様子に少しだけ驚きながら、俺はもちろんと答える。

 

 まあ。本物とはちょーっと勝手が違うかもだけど。

 

 

 束ねた葉を同時に破く。

 

 

「お待ちかね、悪戯魔法第七番だ」

 

 

 そして俺たちの姿は一瞬にしてそこから掻き消える。あるのは残像する魔法陣と、破り捨てた葉っぱのみ。

 

 それ以外は跡形もなく路地から消え失せてしまった。

 

 

 

 

 




そして次回へつづく

まだ名前出てないですけど、わかっちゃってる人いるかと思われます。このキャラ作者てきにはフェアリーテイル大好きキャラの中で三番目くらいにランクインする奴でして。どうしても書きたかった次第なのです

ユキノとくっつけええとか、プールのシーン見た瞬間叫んだ

ほんと、挙式呼んでくれ
全力で駆けつけるわ


前回投稿からかなり間が開きましたけど、お気に入り登録ほんとにありがとうございます。とっても嬉しかったです。それから評価をつけてくださった方々も、ありがとうございます

更新ペースは相も変わらずスローかと思いますが、頑張りますゆえどうぞよろしくお願いしますです


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