感想の一つに、好評だったので明日もう一度投稿します。
では、本編へどうぞ。
「おらあああああああああッ!!!」
「ぐああああああああああッ!!!」
はっきり言って王様の方が断然強い。そういうしかないほどの一方的な光景だった。
最初に倒してから十回、大百足を殺した。しかし、大百足はその度に再生した。
四回ほど最初のやり方で倒し、それ以降は頭だけを拳で粉砕する方法をとっていた。
「ちッ! しぶといな」
武は毒づいた。
百足はしぶとい。二つに切っても長時間生きる生物なのだ。神ならなおさらだ。
しかし、それを別にしてあの大百足の不死身ぶり……ぶっちゃけ恵那には心当たりがあった。
「おのれ! 神殺し!」
再生した大百足は武に噛みつく。
武は回避する。
百足には毒がある。百足の毒は人を殺すほどのものではないがこれは神の大百足、どんな毒があるかわからない。
「どうすればいい……どうすれば……」
退却を考える武。その時遠く離れたところで恵那の声が聞こえた。
「王様ーーー!!! こっちきてーーー!!!」
恵那が遠くから叫んでいた。
武は直観的に恵那の元へ向かう。
「ははははッ!!! 我の不死身ぶりに恐れをなしたか、退却するは武士に非ず。潔く我の牙の餌食と為れ!!!」
大百足は走り出す。
一っ跳びで跳んでいく武。
恵那の元へは数秒もかからなかった。
「どうした? 倒し方がわかるのか?」
「うん。王様」
恵那は恥ずかしそうにしながらも言う。
「あの大百足の不死身は条件付き、それを突破する呪術をかけるね」
そういうと恵那は……武の拳に接吻した。
「死ねィ!!!」
後ろから大百足が噛みついてきた。
ガキンと牙を鳴らす音が響いた。
武は恵那を抱きかかえ、跳んだ。
「くたばれ」
重力を利用して呪力が巡る拳で突く―――粉砕。
「ぎゃあああああああああああああああああッ!!!!????」
今度こそ、大百足は絶命の叫び声を上げる。
全身を直立させるとそのまま海の方へ倒れこんだ。
海水と砂浜が舞った。
「やったか……」
「やったね王様」
今度こそ恵那は武に抱き着いた。
大百足の正体は俵藤太……藤原秀郷が退治した大百足である。
大百足は琵琶湖の三上山に住み、際限なく琵琶湖の魚を食い散らかした。
そこで龍神一族の娘は蛇に化身した自分を踏みつけた勇気ある武士、藤原秀郷に助力を求めた。
快藤原秀郷は諾し、剣と弓矢を携えて大百足に立ち向かった。弓矢を射るが大百足の甲殻に命中しても弾いてしまう。
最後に残った矢を放つ時、八幡神に祈願し、鏃に己の唾をつけて矢を射った。
矢は大百足の眉間に当たり、絶叫して絶命した。
藤原秀郷は龍神の娘から珍しい宝物を貰ったという。
この伝承から大百足は唾をつけた鏃でないと退治することはできないという不死を得ていた推測できる。
……つまり恵那がやったことは弓の代わりに拳を用いて、唾をつけたのである。
武自身の唾でもよかったのだが……清秋院恵那は言わなかった。
「あ~、やったやった」
武は肩を回しリラックスしていた。
いつの間にか甘粕が側にいた。
「お見事です。王よ」
かた苦しく言う。
この時、失念していたことがある。
当たり前だ。この中で神が死ぬ時を見たことあるものは武だけ、しかも一度しか見ていないので、こういうものか……と思っていたのだ。
歩きながら大百足から離れ、十分な距離が空いた時を狙い、大百足は動き出した。
「へ?」
「な?」
「あ?」
大百足は大海を泳いで、逃げて行った。
「恵那と甘粕さんは車で移動してくれ」
武は海の方向へ走り出し―――
「逃がすかよ」
駆ける。
「我は護国の守護者、救国の英雄。邪悪から天津神、国津神を守り、日ノ本、高天ヶ原の安寧を守りゆく」
聖句を告げ、空を飛んだ。
恵那と甘粕は茫然と見送った。
「……王様、空飛んじゃったよ」
アテナは草薙護堂を騙し討ちし、遺体を持ち去られてすぐに海の方向に気配を感じた。
蛇殺しの神、そして―――
「神殺し……!」
どうやら蛇殺しの神は神殺しの手によって死に体らしい。おそらく我が身を喰らい力を得ようという魂胆か。
さて……どうする。おそらく、このままでは勝てない。しかし、敵を恐れてこの場から去るのも癪だ。
「……む?」
嫌な気配が増えた。それは急速に近づいてくる。
「何者だ? 妾の知る気配ではあるが……」
「きしゃああああああああああああ!!!」
海から蛇殺しの神が現れた。
しかし―――
「いい加減―――死ねッ!!!」
神殺しが空中蹴りを放った。
頭部が砕かれる。
足には唾をつけていないので殺し切れなかったが、それでも一度は致命傷を負わせたのでダメージを負った。
アテナの前に神殺しが降り立つ。
「……貴方がこの国にいるもう一人の神殺しか?」
「あぁ?」
振り返って億劫そうに武は言った。
「あんたは?」
「妾はアテナ。この国にあるゴルゴネイオンを取り返しに来た」
「……なにしに来てもいいが、用が終わったら日本から出ていきな」
ゴルゴネイオンの意味が理解できず適当に答える。
「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ―――
神殺しィ!!!」
大百足は怒り狂い。今度こそ、命を賭して、武を殺そうとする。
「蛇の小娘!!! 貴様の肉を喰わせろ!!!」
大百足はアテナに襲い掛かる。
「ふん。醜悪な」
大地母神や鋼の英雄でもない。同族殺しの神。
アテナは不快そうに顔を歪めた。
死の息吹。
弱った神ならこれだけで死ぬはず……それが甘かった。
大百足は同族殺しの神。
かつて女神は高い地位にあった。しかし、時代が下るにつれ、男神が武力を手にし、女神の地位は零落した。やがて女神は英雄に討伐される竜やつき従う乙女になる。
大百足も同じ英雄に討たれる悪。西洋より龍に対して良い印象を持つこの国は龍を娘にし、討たれる龍を大百足に変えた。
だから、大百足も根本は同じ、いや、純粋に同族を殺す神なのだから、より穢らわしい。
しかし、純粋な同族殺しの神だからこそ、蛇に対して強い。
「な!? これは?」
身体が動かない。
「これが貴方の権能か!?」
大百足が一方的に龍の一族を追い詰めた権能。
あらゆる龍に対して有利に戦うことができる。
ましてや、神格を失っている小娘。少しの間だけなら動きだって止められる。
大百足の牙がアテナを襲った。
―――やられる!?
アテナは思わず目を閉じた。
しかし、やわらかい衝撃がやってきた。
抱えられて後ろへ移動する感覚。
「……なぜだ?」
神殺しがアテナを助けたのだ。
「神殺しィ!!!」
大百足はもう一度アテナを喰らおうと首を伸ばした。
武はタイミングを合わせて、低空で跳び、全身を横に回転させながら全重力で拳を振るった。
今度こそ、致命的な恵那の加護の一撃が大百足を襲う。
頭は木端微塵になり、生命の神としてはもう生きれない。蟲であるから長い時間を生き続けるだろうがこれ以上何もできない。
ビクビクと震える大百足をよそにアテナは問う。
「……何故妾を助けた」
神と神殺し。けっして交わらぬ関係。
「……反射的に」
そう……もともとが常識的な部分を持っている武なので、アテナが危ない目に合っているから助けただけなのだ。
この国の神殺しは甘いのか? と疑問を持つがアテナは強大な呪力を感じる。武も感じ、両人ともこの場から退避した。
巨大な槍が大百足に突き刺さった。大百足は今度こそ死に絶える。ぼろぼろと土に還った。
「貴方は……!」
アテナはかつての敵と会ったかのように敵意をつのらせ、武は新たな敵を睨みつけた。
ふぁっふぁっふぁっふぁ。
いいぞ~、その調子だ。どんどん閲覧したまえ。
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……などと思うなどあろうはずがございません。
ただいま一生懸命書き進めております。(パラガス口調)
さぁ、新たに顕れたまつろわぬ神。一体どんな神なんだ?(すっとぼけ)
ヒント……ギリシャ・ローマ系の神です。
では、また近いうちに……