鋼殺しの魔王 <凍結>   作:フィル

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五日連続での投稿。

では、本編へ。


4話 神々の襲来 4

 

 

 

「我が名は軍神マルス。この地にはびこる神殺しを一掃しに参った」

 

空中で鎧を着た美青年は馬を引いた戦車に乗り、涼やかに宣言する。

 

「さぁ、神殺し。我が刃を受け止めるがいい」

 

大百足を刺した槍が独りでに動き、武に襲い掛かる。

 

武は回避する。

 

そんな武を上からみながら、ゆっくりと剣を上にあげる。

 

「出でよ。神獣」

 

大きな狼と猪が現れる。

 

二匹は同時に襲い掛かる。

 

武は先に掴みやすそうな猪を捕えた。

 

―――やばい。後ろから狼が、

 

振り返るとアテナが狼を屈服させていた。

 

「……どういうつもりだ? アテナ」

 

「どうもこうもない。貴方のやり方が気に食わないだけだ」

 

「なるほど、アテナは宇宙の理を乱す神殺しの味方をするのか。いくら城壁の守護者だからと言って、力を振るうべき時を間違ってはいけないよ」

 

マルスは戦車で突撃してきた。

 

「お……るああああああああ!!!」

 

武は掴んでいた猪をマルスの方へ投げ飛ばす。

 

「ぬ?」

 

避けきれず、戦車ごと体を崩した。

 

武は震脚で足場のコンクリートを破壊する。

 

破壊されたコンクリートの塊を投げ飛ばす。

 

「我を護れ神獣よ!」

 

神獣はアレスを護るように盾となり、突進してくる。

 

突進してきた猪の牙を掴み、今度こそ絶命させる。受け止めてから、手を離し、正拳突きを喰らわせる。尋常ではない怪力が猪の頭部を粉砕する。

 

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

「やはり、神獣ごときでは相手にならぬか」

 

マルスはいつのまにか馬が引く戦車に乗って空を飛んでいた。

 

「貴様ら神殺しは人間の罪悪そのもの、絶対の滅ぼさなければならない」

 

上空に無数の矢が出現する。

 

「我は護国の守護者、救国の英雄。邪悪から天津神、国津神を守り、日ノ本、高天ヶ原の安寧を守りゆく」

 

聖句を告げる。

 

【天照】から頂いた権能。

 

空を飛ぶ。

 

「!? おのれ神殺し。神の領域に手を伸ばすか!」

 

矢は放たれ、武は回避していく。

 

「……ほう」

 

武の戦いぶりにアテナは感嘆した。

 

さきほどの神殺し……草薙護堂は騙し討ちしたので、実際には戦わなかった。

 

しかし、目の前の神殺しはどうだ?

 

マルスとよく闘っている。

 

草薙護堂も奴の様な戦いぶりをするのだろうか。

 

アテナは口元を歪めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小さき太陽ッ!」

 

手の平に光を疑似的な太陽を作り出す。

 

マルスに放つ。

 

マルスは辛くも避ける。

 

「まだだ。我は軍神にして勇敢なる英雄。父よ。我に目の前の悪を滅ぼす力を」

 

上空に矢、剣、槍と無数の武器が出現する。それが一斉に発射される。

 

「やばい!」

 

武はすぐに離れようとするが、遅かった。避けきれず、腕、足と剣が刺さる。

 

「ぐ…あああああああああ!!!」

 

鋭い痛みが武を襲った。

 

武具は武器は打ち止めらしく、攻撃は一時的に止んだ。しかし、また上空に武器を出現させる。

 

「死ね……神殺し」

 

武器が発射される。

 

全弾武を襲った。

 

砂埃が視界を覆った。

 

「仕留めたぞ。神殺し、所詮は大罪人の人間。弱いな」

 

勝ち誇るマルス……その油断が敗北につながった。

 

砂埃が熱気と風で一瞬にして散った。

 

先ほどより呪力の大きい小さき太陽が両手を光らせる。

 

「これで……終わりだぁぁぁぁぁぁあぁあああぁぁぁ!!!!」

 

光がマルスに放たれた。

 

「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!???」

 

されど、神。戦車と腕を犠牲にし、辛くも避けた。

 

しかし―――

 

「炎熱だと? 我ら鋼の神を溶かすほどの焔……!」

 

マルスは顔を歪ませる。

 

「神殺しの大罪人よ! この屈辱は忘れぬぞ!」

 

マルスは憎々しげに武を睨みつけて飛んでいった。

 

「……はぁはぁはぁはぁはぁ」

 

この時の武は幸運としか言いようがなかった。

 

矢と剣と槍が体中に刺さっていた。最早死に体である。この時の武を見ていればマルスは躊躇なく抹殺しに行っていただろう。

 

武は足元から崩れ去る。気絶したのだ。

 

傍観していたアテナは武の元へ降り立つ。

 

武の血だまりを気にせず、座り込んだ。

 

「鋼を溶かすほどの炎熱。鋼殺しの魔王か……」

 

どうすべきか。傷を負った神殺しを倒すのは簡単だ。けれど、それはアテナの誇りが許さない。しかし、アテナの機知が危険だと告げる。

 

「貴方も草薙護堂と同じく度し難いほど甘い男なのだろう」

 

この男は大百足からアテナを救った。なにとなく霊視を見たが、あの大百足の伝承と自分を重ね合わせて薄く笑った。

 

「名も知らぬ神殺しよ。今は殺さぬ。戦士たる者、妾の前で気絶するとはどうしようもない愚者であるが、許そう」

 

アテナは気絶した武にその可憐な唇を押し付けた。

 

数秒間。キスをしていただろう。唇を離す。

 

「我を救った礼だ。傷は癒えるだろう。運が良ければ助かる」

 

立ち上がり、武に背を向けて歩みを進める。

 

アテナを完全なるアテナにするために、ゴルゴネイオンと取り戻すために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今日は連休の最終日ですが、次に投稿するのは神々の襲来編の最後です。
区切りがいいので、もし、今日中に読みたい人がいれば、夕方あたりにもう一度投稿します。
どちらにしても今日以降は不定期更新になります。

では、また近いうちに……
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