では、本編をどうぞ。
六月の上旬。
神が現れた。
清秋院恵那の電話はそういうことらしい。
何故護堂に伝えないのかは疑問に思うが、武は恵那の元へ向かった。
今、とある山中を登っている。
恵那と武はゆっくりと登っていた。
「この山に大きな呪力を確認されたらしくて、甘粕さんがお願いしてきたの」
「へー」
なにとなく無駄話をする。
「ところでさ。王様」
「なんだ?」
「正史編纂委員会で話題になって、甘粕さんに遠まわしに聞きたがっていたんだけど、空を飛んだのって別の神様の権能?」
さて困った。別に話してもいい。しかし、最近のカンピオーネの権能は隠したいものらしい。武もその流儀に乗るか。なんとなく意味深げに言ってみる。
「俺の最初の権能は神を殺して奪った者じゃない」
「? どういうこと?」
「詳しい話はもっと仲良くなってからな」
恵那は頬を含まらせたが、すぐに機嫌がよくなる。
「じゃあ、王様と仲良くなったら教えてくれるのね」
「……おう」
恵那は機嫌よく鼻歌を歌いだした。
登っていくと、木々がなくなっている場所に着いた。
「完全に何者かが木を切ったな」
「そうだね王様」
こんな山深い場所で木を切る。尋常ではない。
周囲を見渡すが誰もいない。
「どうしよっか」
恵那は武に聞いてくる。
「ん~~~~」
武も考えた。
その時、殺気を感じた。
「危ないッ」
恵那を抱き寄せて跳ぶ。
武と恵那がいた場所には刀が刺さる。
刀は休むことなく武たちに襲い掛かる。
「天叢雲剣」
恵那は天叢雲剣を手にし刀を弾いていく。武は全て回避する。走り出し、恵那と距離を空けた。刀は標的を武に絞り襲ってくる。
「王様ッ!」
恵那は不安そうになったがすぐに強気な恵那の目になる。
[俺から離れて、刀が放たれる場所を確認してくれ]
念話である。限られた呪術しか使えない技術。武は呪術の書物を読み、力ずくでその呪術を使っている。
[わかったよ。王様。]
恵那はこの場所から離れた。
武は回避し続ける。というか慣れてきた。単調な攻撃に飽き飽きしてきた。
刀を一本抜き、その刀で襲い掛かる刀を弾いていく。
すると、刀はぴたりと止んだ。
「……」
警戒すると今度は槍が襲い掛かる。
速い。
刀は投げる武器ではないが、槍は投げられる道具だ。
槍に持ち替えようとも考えたが、弾くという意味で使い勝手の良い刀のままにした。
数合の槍の追撃を弾いていく。
だんだんと回避が難しくなる。
[恵那、見つからないのか?]
[ちょっと待って王様。全方位で槍が放たれているからわからない]
この敵は難敵だなと感じる。剣を使うくせして真っ向勝負をしない……なぜだ? 軍神とかではないのか?
[わかった! 王様、一つの方向だけ、異常に槍が来ない? たぶんその方向に来られて欲しくないんだと思う]
「! わかった。ありがとう恵那!」
武は駆けだす、恵那が言った異常なほどに槍が襲ってくる方向に向かう。
武がその方向に走り出すと、槍や剣、矢、鉄製の武器がやたらめったらに放たれる。
「ビンゴ!」
猿飛の術と【天手力】の権能を併用した体術で一瞬のうちに距離を詰めた。
「もらった!」
敵を目視した。
異様な神。
まるで農民の百姓の格好の神。面をつけている。たしか「ひょっとこの仮面」
その異様な神を捻り潰す為に武は仮面に手を触れた。
名前での誤字があったので修正しました。大変申し訳ありません。
では、また近いうちに……