姓:百瀬
名:凱
カナ:モモセ ガイ
15歳
身長148cm
体重40kg
生年月日 不明
出身 日本?
住所 不明
所属企業 天才束株式会社
IS 白面金剛九尾イヅナ
第3世代IS
「……」
放課後、僕は自分のプロフィールが書かれた紙を見てため息をついた。
ちなみにこのプロフィールは、織斑先生が何も知らなかった僕にくれた。
何故今更こんなものをもらったかというと、僕は束さんからこの辺の話は全く聞いていなかったからだ。
聞いていたことといえば、僕という存在を世界に公表してIS学園に入るということくらいである。
逆に織斑先生はその辺の込み入った話は全て知っているだろうという思い込みであったらしい。
だから今まで会話にそんなことは一度として出てこなかったのだ。
つまり、お互いの理解に齟齬(そご)があったわけである。
しかし…なんというアバウトなプロフィールか。
第3世代ISって…
イヅナちゃんはそもそもこの世界の住人ではないから、そういう世代とかから一線を画す存在なのに。
「ふん、世代だと?そんなもの我には関係ないのだがな。世間体というものがあるからな、まあ仕方なかろう」
フンと鼻を鳴らすイヅナちゃん。
これ絶対適当に『ま、世界で第3世代移行が本格化してるし、そういう世代にしておこう』とかで入力したよ。
実際イヅナちゃんは世代とか無いのだから。
しかも織斑先生がいうには、僕はちゃんと戸籍があるそうだ。
プロフィールのまま、不明という字が敷き詰められた、それはそれはとても不思議な戸籍だったそうな。
日本?てなんだ、この?は。
よくそれで戸籍作れたな。
……まあ、恐らく束さんがハッキングしてでっちあげた戸籍だろう。
いや、100%そうだ。
それしか考えられない。
「モモンガー、俺達も帰ろうぜ」
「そうだぞガイ。我はもうお腹ペコペコだ」
一夏とイヅナちゃんがいつもの調子で声をかけてくる。
気が付けば、教室には僕と一夏、イヅナちゃんしかいなかった。
教室の外にはまだ僕達を見ようという女子生徒達がいたが。
ああ、変わらない日常が僕の求めていたものなのに……
なんで初日からこんなにドタバタしなきゃいけないんだ……
あの神様(笑)は『好きなようにしていればいい』とか言ってたのに、もうそんなささやかな望みすら叶えられないほど周囲から締め付けられている現状だ。
これは一発殴っても文句は言われないのではないか?
ああもう!
今日は早く寝よう!
ふて寝だふて寝!
「うん、帰ろう」
僕は席を立ち、鞄を掴んだ。
その時、ガラガラと教室の扉が開いた。
「ああよかった、まだいました」
それは山田先生と織斑先生だった。
相変わらずのぽわぽわスマイルだ。
「二人の部屋割が決まりましたよ」
「へ?」
IS学園は全寮制である。
それはまあ、国の見栄や責任の押し付け、さらには中立な施設の建設などいろんな思惑と、一元管理できるお手軽さによるための全寮制であるが、僕と一夏は例外だ。
今までは女子しかいなかったから管理は簡単だったが、そこに男という異物が入り込んできた。
設備や風紀、道徳など、一気に管理が大変になる。
それ等がキチンと整うのに一週間はかかると言われ、それまでは僕と一夏は例外として自宅通学を言い渡されていたのだ。
「それはそうなんですけど……政府から何か聞いていませんか?」
山田先生は僕に耳打ちしてきた。
おふぅ、息がこそばゆいです。
そしてなんかいい匂いがしますよ!
「ふん、お前達は自分の立場を理解しているか?」
山田先生の後ろで腕を組み、呆れた表情の織斑先生が言った。
「要は、俺達に危険が及ばないようにってことだろ?でも自宅はイヅナちゃんが人払いの結界を張ってるから危険はないだろ?それがなんか問題あるのか?」
一夏が首を傾げる。
それに対し、織斑先生は眉をハの字にしてため息をついた。
「…たしかにあの結界のおかげで、家にはやかましいハエは寄り付かなくなった。ご近所も静かになったと喜んでいる。だが、ようするに監視しやすくするために早くこの学園に縛り付けたいのさ」
「なるほどー、常に監視し、計測できるようにですかー。さながら実験動物(モルモット)ですねー」
「………」
僕が笑いながらそう言うと、山田先生と織斑先生は苦虫をかみつぶしたような表情をした。
うっ!?
軽く言っただけなのに、そんな思い詰めないでくださいよ!
よし、話題を変えよう。
「それで部屋割はどうなるんですか?たしか学園の寮って二人部屋ですよね?やっぱり僕と一夏が同じ部屋ですか?」
「ああ、いえ、実は別々なんです。はい、鍵を渡しておきますね」
そう言って山田先生は一夏に『1025』、僕に『1026』と書かれた鍵と、寮生活についての注意事項が書かれた紙を渡した。
「お、モモンガーお隣りさんか。よろしくな!」
「うん、よろしくー」
一夏と僕は笑っていたのだけど、山田先生と織斑先生は笑っていなかった。
「お前達の荷物は必要最低限な物だけ、すでに部屋に送っている。残りの必要な物は休日取りに帰れ。……それと織斑」
織斑先生が一夏を見る目が鋭くなる。
「お前に限ってありえないだろうが………間違いは起こすなよ?」
「…?どういう意味だ?ていうか、なんで俺だけにそんなこと言うんだ?」
「すぐにわかる。さあ、お前達も部屋に戻れ。細かい注意事項などはその紙を見ろ」
そう言われ、僕と一夏は割り当てられた部屋へと向かった。
「…1023…1024…1025、1026と。ここだな」
一夏は部屋番号を数え、自分と僕の部屋を見つけた。
僕は一夏に手を引かれ付いて歩いていた。
「しっかし…モモンガーの方向音痴は相変わらずだな」
「いやー、ごめんねー」
呆れ顔の一夏に、僕はあははーと笑い頭をかいて謝る。
実は部屋探しの過程で、僕の超絶方向音痴が発覚し、紆余曲折の後、やっと目的地である自分達の部屋にたどり着いたのである。
以前、織斑家に居候しているときにもその方向音痴スキルを如何なく発揮し、一夏と一緒に買い物に行って、なんと迷子になってしまい迷子の呼び出しをしてしまうという失態を犯してしまったのだ。
それからというもの、織斑家では僕が外出するときは必ず誰かが同行しなければならないというルールまで出来てしまった。
「いやー初めて一緒に買い物に行ったとき、自分で『野菜は右側』って言っておいて、来た道引き返そうとしたのは正直ビックリしたのを思い出したぜ」
「一夏、許してやってくれ。ガイの『アレ』は本当にマジなんだ、ワザとじゃないぞ。でも我が覚えたから、これからは道は間違えない、安心してくれ」
イヅナちゃんが僕をフォローしてくれてるのか、諦めてるのかわからないことを一夏に言う。
好きで方向音痴じゃないんだぞ!
くすん
とりあえず部屋の荷物を整理したら一緒に夕食に行こうということになり、僕と一夏はそれぞれ割り当てられた部屋に入った。
「おおー!なかなかではないか!」
「…うわぁ…」
まず、部屋に入った感想は『広い』だった。
しかもなんか豪華だ。
ここはホテルか?
そんな豪華な部屋の床に、ポツンと段ボールが一つ置かれていた。
シュールだな…
ベッドは一応二つあるが、どうやらこの部屋は僕だけのようである。
「ガイー!ほらほら、ベッドがふわふわのボヨンボヨンだぞー!」
イヅナちゃんはベッドの弾力を楽しむように跳びはねている。
ううむ、イヅナちゃんは喜んでいるが、一般人スピリットの僕にはこの部屋は落ち着かない…
「さあガイ、早く荷物を片付けて晩御飯だぞ!」
「あ、そうだねー」
僕とイヅナちゃんは、段ボールに詰められた着替えや勉強道具なんかの整理を始めた。
その時
ドゴン!
バキン!
と、何かを叩くような物音が隣の部屋から聞こえた。
隣…一夏だ。
「騒がしいな。何をしとるんだ一夏は?」
イヅナちゃんがぷりぷり怒ってる。
空腹のために、怒りの沸点も低くなっているようである。
まさかこけて壁に頭なんかぶつけてケガでもしていたら大変だ。
「僕見てくるよ」
僕はドアを開け、隣の部屋へ行こうとした。
すると、そこには僕の予想外な光景があった。
一夏が部屋のドアにもたれかかり、何故かそのドアは穴だらけ、そして一夏を取り囲む、普段着を纏った同じクラスの女の子達。
寮内は基本服装自由だからラフな格好がいいのだろうけど、その無防備に見せるふとももとか、屈んだ時に見える胸の谷間とか、チラチラ見える下着とか!
ていうか、もう下着じゃないアレ!?
僕や一夏のような青少年には猛毒です!!
「あ!モモンガー助けてくれー!!」
一夏は外聞もなく泣いていた。