IS - M・od   作:阪本葵

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第16話 一般常識のない男

 

 

「あの、篠ノ之さんて、篠ノ博士之の関係者なんですか?」

 

授業が始まり、ISについての説明がされている時、女子が山田先生に質問した。

女生徒の質問に、チラリと篠ノ之さんを見た織斑先生は、一呼吸おき…

 

「そうだ、篠ノ之はあいつの妹だ」

 

なんと、いとも簡単に個人情報をバラした。

 

「えええー!ホントなの!?このクラス有名人の身内が二人もいる!」

 

「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人!?やっぱり天才なの!?」

 

「篠ノ之さんも天才だったりする!?今度ISの操縦教えてよっ」

 

「お姉さんて今行方不明だよね?何処にいるのか知らない?」

 

姦しいというか、騒がしいというか、女子はこういう噂話やゴシップネタが大好きなのだ。

授業中だというのに篠ノ之さんの元にわらわらと女子が集まる。

キャーキャー騒ぐクラスに、織斑先生はため息をついた。

 

「あの人は関係ない!」

 

途端、篠ノ之さんが大声を出した。

それによってクラスはシーンと静まり返ってしまった。

 

「……大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。教えられるようなことは何もない」

 

そう言って、篠ノ之さんは窓の外に顔を向けてしまう。

女子は盛り上がったところに冷水を浴びせられた気分のようで、それぞれ困惑や不快な顔をしていた。

しかし、何か思い出したのか、一人の女子が僕を見て言った。

 

「そういえば、百瀬君は篠ノ之博士のところで助手してたんだよね?」

 

そう言うと、また女子達は目をキランと輝かせた。

ターゲットを篠ノ之さんから僕に変えたようだ。

 

「そうだねー。まあ助手とは名ばかりの雑用、家事手伝いだったけどねー」

 

僕が肯定すると、またきゃいきゃい騒ぐ女子。

 

ああ、ホントにもう女子校のノリだ。

 

「じゃあ百瀬君は篠ノ之博士の所から来たんだよね?居場所知ってるんだよね?」

 

この質問に、何故か織斑先生と山田先生がピクッと反応した。

だけど残念、僕に教えられるような情報はありません。

 

「残念だが、ガイは超が付く方向音痴だ。この学園までの道程など全く当てにならんし、そもそも途中まではロケットでの移動だったから我もわからん」

 

イヅナちゃんが僕の代わりに説明してくれた。

でも超が付くって……イヅナちゃんしどい…

 

「迷子で泣きじゃくる百瀬君…」

 

「方向音痴…すごい萌えポイントね…」

 

何か女子が呟いているが僕には意味がわからない。

ミスオルコット、何故あなたもハアハア言ってるんですか?

 

「じゃあ連絡先とかは?携帯とかメアドとか」

 

どうしても束さんの情報を聞き出したいのか、女子はなおも食い下がる。

しかし、僕は根本的なところで理解していなかった。

 

「携帯?メアド?なにそれ?」

 

僕が逆に質問すると、女子達は「え?」と目を点にした。

 

「携帯って言ったら携帯電話だよ、携帯電話」

 

「メアドはメールアドレスだよ?」

 

「携帯電話?メールアドレス?イヅナちゃん知ってる?」

 

「いや、知らないぞ。めーるとは食べ物か?ラーメンの仲間か?」

 

僕はさらに首を傾げる。

イヅナちゃんも同じく首を傾げる。

 

ざわ…

 

クラスに変な緊張が走った。

窓の外を見ていた篠ノ之さんも驚きの表情で僕達を見ていた。

 

「……そういえば、モモンガーが携帯電話触ってたり持ってるところ見たことない」

 

隣で一夏が呟く。

 

「百瀬、携帯電話とはその名の通り、携帯できる電話だ。コレで様々な事が出来るし、先程言っていたメール、つまり電子手紙をやりとり出来るのだ」

 

織斑先生が二ツ折の黒く小さな箱をポケットから取り出し、僕に見せてくれた。

 

僕はそれをパカパカ開けたり閉じたり、イロイロな角度からマジマジと見たりした。

 

「へー、これで電話や手紙のやりとりが出来るんですかー。便利な世の中ですねー」

 

「本当だな!」

 

僕とイヅナちゃんは感心しきりだ!

 

「…百瀬、お前はISについては知ってるな?」

 

「え?はいー、束さんにレクチャーしてもらったので、教科書に載ってる程度の事ならバッチリですよー!」

 

「なんでISを知っていて携帯電話を知らんのだ……」

 

織斑先生は呆れているというより、驚愕といった表情で僕を見る。

 

「え?これってそんなに有名なんですか?」

 

僕が首を傾げると、クラスの全員がポケットや机、鞄の中から各々の携帯電話を取り出し僕に見せた。

 

それを見た僕とイヅナちゃんは驚いてしまった。

 

「すごいですねー、ごいすーですねー!皆文明の利器を使いこなして!さすがエリートの集まるIS学園ですねー!」

 

「うむ、我も感服したぞ!」

 

素直に驚き、感心している僕とイヅナちゃんを、クラスメイトや先生達の眼差しはすごく生暖かいものだった。

 

「…それで、この携帯電話は電話線を何処に付けて通話するんですか?」

 

「そこからかよ!」

 

すごいツッコミを一夏からいただきました。

 

携帯電話とはまさしく携帯できる無線の電話だとか。

ううむ、ハイテク時代の流れに付いていくのは大変だ。

 

 

 

ちなみに、僕の知っている電話とはどんなものかと聞かれたので、僕の知る電話を言った。

 

「黒くて、真ん中に穴の開いた円盤みたいのがあって、その円盤をジーコジーコと指を入れて回すんでしょ?」

 

「………百瀬、お前は本当に15歳か?昭和生まれの間違いではないか?」

 

織斑先生にまたもや呆れられた。

 

昭和?

 

なにそれ?

 

「モモンガー、それって黒電話だろ?博物館で見たことあるぜ」

 

「…百瀬、お前は記憶喪失である事はわかったが、常識や知識にかなり偏りがあるな。もうIS以前の問題だ」

 

 

なんか怒られた。

 

 

何故だろう?

 

 

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