IS - M・od   作:阪本葵

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第17話 一夏の多難な一週間のはじまり

 

 

「……どういう事だ」

 

「何が?」

 

「どういう事かと聞いている!なんだこのていたらくは!お前は今まで何をしていたんだ!?」

 

「この一年は受験勉強。中学三年間帰宅部、皆勤賞だぜ」

 

「鍛え直す」

 

「は?」

 

「IS以前の問題だ!鍛え直す!」

 

「いや、俺はISの操縦を……」

 

「だから、それ以前の話しだと言っている!」

 

 

 

以上、道場での一夏と篠ノ之さんのやりとりでした。

 

 

 

 

 

この発端は一夏が篠ノ之さんにISについて教えてくれと泣きついた事からだ。

 

最初は僕に縋り付いてきたのだけど、イヅナちゃんがそれを一蹴。

 

「男が簡単に人に頼るな。まずは自分で考え、もがき苦しめ。それが血となり肉となるのだぞ」

 

なんとも体育会系な発言である。

これに篠ノ之さんも同意のようで、うむ、とか言いながら頷いていた。

 

だけどそこは一夏、そんな男のプライドなど知らないといった風に今度は篠ノ之さんに泣きついたのだ。

ミスオルコットには反発したのに、篠ノ之さんには擦り寄る……まあ幼なじみだからということだろうけど……

 

一夏、カッコ悪い。

 

篠ノ之さんも「安い挑発に乗るからだ」とか辛辣な事を言って渋っていたのだけど、そこに、どこからか一夏とミスオルコットとクラス代表決定戦をすると聞き付けた三年生のお姉様が登場、私がISを教えてあげようか?と誘惑してきたのだ。

 

僕にも誘惑してきたのだけど、イヅナちゃんが尋常じゃない殺気をお姉様に放ち、すぐに僕の事は諦めた。

そんなに怒らないでよイヅナちゃん。

 

しかし……うらやましいぞ、一夏!

 

ISだけじゃなく、イロイロな大人の階段を登るような勉強も教えてもらうんだろう!!

三年生の先輩は大人の女性って感じでなんかエロいしな!

 

僕と代われ!

 

とか思っていたが、それは叶わなかった。

 

「結構です。私が教える事になってますので」

 

先程まで拒んでいた篠ノ之さんが掌を返したような発言。

 

「でも、あなたも一年でしょ?私三年よ」

 

尚も食い下がる三年生のお姉様。

 

そして、ここで篠ノ之さんはトドメの一撃を放った。

 

「私は篠ノ之束の妹ですので」

 

これには三年生のお姉様もぐうの音が出なかったようで、そそくさとその場を離れて行った。

 

 

うん、なんとなくわかったよ。

篠ノ之さんは一夏に好意を抱いているんだ。

だから、三年生のお姉様が寄ってきたとき牽制したんだ。

 

でも自分からはおおっぴらき言えない奥ゆかしさ。

 

『和』だね!

ここに『和』の様式美があるよ!

 

これを俗にツンデレと言うらしい。

 

 

 

 

まあそんなこんなで篠ノ之さんが一夏にISについて教える事になり、その前に一夏の腕を確かめるとかで道場に行き、剣道をしたのだけど……

 

 

結果は一夏の惨敗。

 

中学全国優勝の篠ノ之さんには敵わないにしても、あまりにもふがいない。

 

一夏は三年間帰宅部だと言っていたけど、それは仕方がないことだ。

一夏は家計のためにバイトをしていたのだから。

中学生ができるバイトなど新聞配達くらいなものだし、バイト代も微々たるものだ。

それでも

少しでも家計の足しになればと一夏はバイトに勤しんだのである。

 

だから三年間帰宅部とはいえ、バイトで鍛え上げられたナチュラルな筋肉の鎧を纏い、無駄な贅肉もないのだ。

 

 

一夏はそれを言い訳にしない。

 

バイトで剣道の腕が鈍っていたのは事実だけど、それを理由にしても何も変わらない事を理解しているから。

 

自分が選んだ道だから、後悔なんてない。

ただ、このIS学園に”入学させられた”ことは未だに納得していないようだが。

 

結局、クラス代表決定戦までの一週間、一夏は篠ノ之さんとマンツーマンで特訓した。

 

で、僕はというと、一夏の手伝いをイヅナちゃんから止められた。

 

頼ってきても手を差し延べるなと言われた。

 

「最近の一夏はガイに依存しているきらいがある。ここは心を鬼にして一夏の自己成長を見守るんだ」

 

イヅナちゃんが言うことももっともだ。

一夏は、この学園に入学してから何かと僕を頼るようになった。

勉強然り、昨日の部屋割然りだ。

それはIS学園で男二人という環境故の仕方のないことなのだけど、イヅナちゃんはそれがダメだと言った。

 

「今はまだ高校生という縛りがあるからガイと一夏は共に行動できる。しかし高校を卒業したらどうなる?それぞれ別々の場所、職種、国へと別れるのだ。それはガイと一夏も例外ではないのだぞ」

 

うーん、まだ高校生活が始まったばかりなのに、もう自立心を促すなんて、イヅナちゃんはスパルタだね。

 

「それに、箒の恋を成就させるための大事な”いべんと”だ。邪魔せず、影ながら見守り、時に手助けしてやるのだぞ」

 

おおっと、イヅナちゃんはなんと一夏と篠ノ之さんをカップルにする気満々だ!

まあ僕も篠ノ之さんには一夏と仲良くなってもらいたいので、そこはなんら問題ない。

応援してるよ、篠ノ之さん!

 

でも僕もイヅナちゃんにかなり依存してるからなー。

イヅナちゃんを頼らなくて済むように頑張らないとね!

 

「ガ、ガイは今のままで良いのだ!わ、我とガイは一心同体だ、我を頼る事になんの問題もないのだぞ!」

 

急に焦りだし早口でまくし立てるイヅナちゃん。

 

なんか一夏に言った事と、僕に言ってることが真逆だな・・・

 

「それに!ガイはまだまだ終極因使の力を完全に扱いきれていないぞ!ガイも特訓だ!」

 

「うん、そうだね。僕頑張るよ!」

 

「うむ!は、はやく我をガイの色に染めてくれ!!」

 

顔を真っ赤にしてとんでもないことを言うイヅナちゃん。

 

 

 

 

結論

 

 

 

イヅナちゃんはかわいい!

 

 

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