おっす
オラ百瀬凱!
あだ名はモモンガーだよ!
……
………
……目覚めるとそこは機械の山だった。
僕にはガラクタにしか見えない。
ああ、体中が機械に当たってチクチク痛い……
さて、ここは何処だろうか?
キョロキョロ見渡すがガラクタの山しか見えない。
「おお、ガイ!目が覚めたか!」
横ではイヅナちゃんがニコニコ微笑んでいた。
ああ、このヒマワリのような笑顔……
癒されるで~
「ガ、ガイよ、そんなまじまじと見ないでくれ……その、恥ずかしい……」
急にモジモジしだすイヅナちゃん。
めんこいの~
「あれ~?何君達?」
不意に遠くから声をかけられる。
若い女性の声だ。
僕とイヅナちゃんは声のした方を見た。
そこには、うさぎの耳のようなものをつけ、のんびりした表情の女性が立っていた。
ロングヘアーに、エプロンドレスを着ている。
……年相応の服装をしたほうがいいと思いますが、これは口に出さないでおこう。
しかし……
うむ、ご立派なおっぱいですね!
「こらガイ!なにいやらしい目で見てる!」
イヅナちゃんが怒りだして僕の髪を引っ張る。
痛いですよイヅナちゃん。
「なに君!?AIじゃないよね!?まさか……どんな仕組みで動いてるの!?」
ウサミミの女性はイヅナちゃんに興味津々のようで、一瞬で距離を縮めてきた。
「なんじゃお前?その耳……獣人族か?」
イヅナちゃんはウサミミに反応したが、その女性はイヅナちゃんをガッと掴んだかと思うと、あれこれ触りはじめた。
「こら!やめろ!我に触るな!!」
イヅナちゃんはジタバタもがくが女性は手を止めない。
というよりなんか目がヤバい。
ぐるぐるの目になってる。
見兼ねた僕は隙をついてイヅナちゃんを奪い返した。
「やめてください。イヅナちゃんが嫌がってるでしょう」
僕はイヅナちゃんを抱きかかえるようにギュッと抱きしめる。
「ああ……ガイに抱きしめられてる……幸せ……」
イヅナちゃんがなにやら言っているが、僕はウサミミの女性に集中しているのでよく聞こえない。
すると、先程まで目がぐるぐるだった女性は途端に醒めた表情になり、僕を見下すような行動をとりだした。
「何なの君?私はその子に用があるの。君には用なんてないの、君なんて知らないし、興味もない。ほらどっか行け」
えらく辛辣な言葉を投げ掛けられた。
スゲー見下してるし、なんか濁った瞳してるし。
まあ僕の事はいい。
でもイヅナちゃんに危害を加えようとしているのは明らかだ。
だから僕は引かない。
「イヅナちゃんは僕のISなんだ。(仕事的な意味で)パートナーなんだ。(一人は淋しいし唯一頼れる)大切な存在なんだ。だから見ず知らずのあなたには渡さない」
たしか神様はイヅナちゃんが僕のISだと言っていたから間違いではないだろう。
未だにISというのが理解できないが……
しかしくさいセリフを吐いてしまった。
ああ、恥ずかしい。
「ガイ……我は……我は……」
なにやらイヅナちゃんが顔を真っ赤にして涙目になり震えている。
よほど怖い思いをしたのだろう。
よしよし、落ち着くまで抱っこしてあげるよ。
僕はイヅナちゃんから視線を外し、ウサミミの女性を見た。
すると、女性は驚いた顔で僕を見ていた。
「……僕のIS?……君男だよね?」
「はい、そうですけど?」
僕は首を傾げる。
この人はなんでこんなに驚くのだろうか?
そういえば神様なんかそのあたりの事を言われたような気がするが、忘れた。
まあ忘れたということは大したことじゃないんだろう。
……あれ?
女性の顔がだんだん笑みに変わってきたよ?
「君、名前は?」
「え?ああ、百瀬凱です。あだ名はモモンガーです」
僕が名前を言うや、女性は僕に抱き着いてきた。
「やーん!よろしくがーくん!私はみんなのアイドル天才の篠ノ之(しののの)束(たばね)さんだよー!!」
ウサミミの女性、束さんは僕の頭を自分の胸に引き寄せた。
束さんは僕より身長が高いためである。
うむ、まったくご立派なおっぱいですね!
幸せです!
「こらー獣人族!ガイに近づくなー!ガイもデレデレするなー!!」
イヅナちゃんが喚くが、もう少し堪能させてください。
ビバ、おっぱい!
とりあえず束さんから引きはがされ落ち着いた頃合いをみてお互いの情報交換をした。
彼女は篠ノ之(しののの)束(たばね)
この世界で”女性しか動かす事が出来ない”ISを開発した張本人だそうだ。
そのせいで、この世界のバランスは崩れ、女尊男卑が成り立っているのだという。
ああ、そんなことを神様(笑)が言ってたな…
で、ISのコアという動力源のようなものは彼女しか作れないらしく、そんな彼女は467個のコアを作ったあと行方をくらまし、人知れず研究を続けているのだという。
物事はギブアンドテイク、まあ自己紹介も兼ねての情報共有だからそんな堅苦しいものではない。
とはいえ、こちらは話せることはほとんどない。
実際僕は記憶喪失同然であり、僕自身ここにいる意味が理解しかねるのだから。
いくら限りなく変態寄りの天才、束さんに『神様からこの世界に行けと言われました』と言っても信じてくれないだろう。
いや、もしかしたらあっさり信じてさらにややこしい事態になりかねない。
神様とかそのあたりの事は避けつつ、僕は束さんに話した。
「ふんふん~、気がついたらここで寝ていて、以前の記憶も曖昧、そしてイヅナちゃんが自分のISである理由や入手経路も不明……」
ふんふん鼻息荒く僕の話しを聞く束さんは、目がキラキラしている。
この短い時間でわかったことだが、どうやら束さんは自分に興味があるもの以外にはまったく反応しない人のようだ。
カタカタと忙しく空間に現れたキーボードを叩く束さんは、僕とイヅナちゃんに興味津々なご様子。
束さんはキランと目を光らせ僕を見る。
「ん~、全てを話してくれてない感じだけど、嘘は言ってないね」
おや鋭い。
「まあいいや、じゃあ今度はイーちゃん調べさせて♪」
すごくいい笑顔でお願いしてくる束さん。
イーちゃんとはイヅナちゃんのことである。
ちなみに僕はがーくんだ。
やはり天才の思考回路はわからない。
イヅナちゃんはビクッと体を硬直させた。
「い、いやだ!我はお前に調べられたくない!」
イヅナちゃんは僕の背中に隠れる。
「なんでー?束さんはISの生みの親、つまりは君のお母さんだよ?」
ふむ、たしかに。
「我は”あいえす”とかいうカテゴリに当て嵌まるかもしれんが、貴様に作られた存在ではない!そもそも我をそこらのモノと一緒にするな!!」
「私の作ったISのコアじゃない?……うふふふ……ますます興味沸いちゃったなー!!」
「ぎゃーっ!?くるな変態がー!?」
束さんとイヅナちゃんが追いかけっこをはじめた。
正直、僕もイヅナちゃんの事を知りたいから、束さんに任せるつもりだった。
でもここまで嫌がる姿を見てしまってはそういうわけにもいかないだろう。
ここは別の話題をふって空気を変えるべきだろう。
そこで僕は疑問のひとつを束さんに聞いてみた。
「ところで、ISってどんなものなんですか?」
途端、追いかけっこしていた二人が立ち止まり、信じられないといった表情を僕に向けた。
ん?
なんかおかしい事聞いたかな?