IS - M・od   作:阪本葵

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第30話 ご近所迷惑

 

 

ドタン!

 

『……!』

 

『………!』

 

バタン!!

 

「……また一夏の部屋か……うるさいのう……」

 

イヅナちゃんはいらいらしている。

夜も更けて、シャワーを浴び終えたイヅナちゃんは静かに僕のブラッシングを受けてたのに、そこに騒音が割り込んできたのだ。

 

暴れてるのと、くぐもって聞こえないけど何かの言い合いと、とにかくうるさい。

 

怒るのも無理はないかな?

 

 

ダンッ!!

 

ガキンッ!!

 

『…………!?』

 

「……さすがの我ももう辛抱たまらんぞ……」

 

わなわな震えてるイヅナちゃん。

ていうか、今金属音しなかったか?

 

 

 

『…………!!』

 

 

 

「最っっっ低!女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて、男の風上にも置けない奴!犬にかまれて死ね!!」

 

 

バターンッ!!

 

 

 

プチンッ

 

 

 

「ぎゃーぎゃーやかましい!隣近所のことも考えんか!!」

 

ぱこーん!

 

凰さんが一夏の部屋から飛び出したのを待ち伏せして、イヅナちゃんのカミナリという名のゲンコツが凰さんの頭に落ちた。

 

「ぐううぅ~!い、いきなり何なのよ!?つーか、あんたそんなちっこいナリでなんつー力持ってんのよ!」

 

凰さんは頭を押さえながらイヅナちゃんを非難する。

うん、わかるよ。

イヅナちゃんの力はもしかしたら僕より上かもね。

けど、イヅナちゃんはそれを倍返しした!

 

「小さいのは貴様も同じだろうが!このペチャパイ!」

 

「なっ、なんですってー!!ソレはあんたもでしょうが!!」

 

「ふん残念だな!我は解放状態

バーストモード

になれば”ないすばでー”なんだぞ!!」

 

「はあ!?言ってる意味わかんないし!」

 

「そうだろうよ!胸だけでなく脳みそも貧相ならわからんだろうなあ!!」

 

「きー!!あんた生意気よ!!」

 

 

 

 

 

 

凰さん、イヅナちゃん、近所迷惑ですよ?

 

 

ほら、一夏と箒さんもドアの隙間から呆れた表情で見てるし……

 

 

 

 

とりあえず、二人を落ち着かせるために僕の部屋へ招き入れた。

 

あれ?

こんなこと前にもなかったっけ?

 

「イヅナちゃんは緑茶、凰さんはオレンジジュースでいい?」

 

「あ、うん」

 

しばらくイヅナちゃんと言い合いをしていた凰さんだけど、それがストレス解消になったのか今は大人しい。

 

僕は冷蔵庫からオレンジジュースを取り出しグラスに注ぐ。

 

凰さんはちょこんとベッドに座っている。

 

僕がいうのもなんだけど、小さいなあ……

どこがとは言わないよ!

 

次にイヅナちゃん専用の湯呑みに熱い緑茶をいれる。

とはいえ、イヅナちゃんはお茶にうるさい。

お湯も70度まで冷まさないと緑茶の味がしないだとか、ちゃんと一人分の湯をいれてしっかり使いきれとか、とにかく細かいのだ。

 

それにこの湯呑み、なにやらかなり高価なものらしい。

信楽焼とかいうらしいのだけど、僕はよく知らない。

IS学園入学前にイヅナちゃんがこの湯飲みを骨董品屋で見つけ、それを千冬さんに買ってくれとねだっていた時の渋った表情の千冬さんが印象的だった。

 

 

「はい、どうぞー」

 

「あ、ありがと……」

 

小声でボソボソとお礼を言って凰さんは僕からグラスを受け取る。

 

「はいイヅナちゃん」

 

「うむ!」

 

イヅナちゃんは僕から湯呑みを受け取るや、ぐびぐびと豪快に飲みだした。

熱くないのかな?

 

「ぷはー!ガイがいれた緑茶は格別だぞ!」

 

「ありがとー」

 

まあ、本人が平気そうだし、ていうか喜んでるし、いいか?

 

「ふう、で?なんで近所迷惑な騒音をだしていたんだ小娘?」

 

「ぐっ、小娘って……な、生意気な口を……ふ、ふん!そんなことあんた達には関係ないでしょ!」

 

凰さんは一夏の部屋での言い合いの理由を言うつもりはないらしい。

 

ということは、よほど重要な内容だったんだろう。

まあ言いたくないならそれでいいんだよ。

僕も人のプライバシーに立ち入るつもりはないし。

 

「でもね、いくら腹が立ったからってご近所さんに迷惑かけるのはダメだと思うんだー」

 

「う……そ、それは悪かったと思うわよ。でも、そもそも一夏が悪いんだから!」

 

ううむ、言いたくないとか言いながら、サラリと原因が一夏にあると暴露しだしたぞ。

実は聞いてほしいのかな?

いや、でもなあ……

 

「ふん、本人が話したくないなら側に居たものに聞けばいい」

 

イヅナちゃんはふんと鼻を鳴らして言った。

まさか、今から一夏に聞きに行くのかな?

なんかそれも出刃亀みたいでイヤラシイなあ……

ほら、凰さんもなんか「あんた、そこまでするの?サイテー」みたいな冷めた視線をおくってるよ?

 

「小娘、あいえすを貸せ」

 

「はあ?ダメに決まってるじゃない、何言ってんのあんた」

 

そういえば凰さんは専用機持ちだったっけ?

専用機をホイホイ他人に貸すなんてとんでもないよね。

凰さんの反応は当然だと思う。

 

「ならばガイに触れさせろ。安心しろ、なにも悪い話しばかりではない、貴様にも恩恵はあるぞ」

 

恩恵?

初耳ですよ?

はて、なんですかそれは?

 

凰さんも胡散臭そうな顔してるし。

 

「ガイはな、”あいえすに好かれる体質”なんだぞ。厳密に言えばそれだけではないのだが、まあそれはそれとして、お前のあいえすに触れれば、お前達のいう第二次形態移行、さらにその先の覚醒を促すことも出来るぞ」

 

「なっ!?」

 

ベッドから勢いよく立ち上がる凰さん。

そしてそれを聞いてもイマイチピンとこない僕。

僕そんな体質なのかー

 

知らんかったわー

 

おっと、また関西がでてしまった。

 

ていうか、ISに好かれる体質ってなんだそれ?

それを言うなら一夏もじゃないかな?

 

「……それを信じろっての?」

 

「現に我はガイと共に究極に至っておるのだぞ?何処に疑う余地があるのだ?」

 

「………」

 

なんか無言で睨む凰さんに、それをサラッと受け流してるイヅナちゃん。

なんでこんなふざけた内容でシリアスな展開になってるんでろう?

 

ううむ、わからん……

 

「……はい、くれぐれも、く・れ・ぐ・れ・もっ!壊さないでよね!あと、変なとこ触ったら殺すからね!!」

 

凰さんは腕を出し、待機状態のISを見せてくれた。

ほほう、凰さんのはブレスレットですか。

 

「では失礼しますー。……へー、鳳さんは白くて綺麗な肌してるんだねー」

 

「……!?よ、余計な事言うな小動物!!」

 

褒めたのに怒られた。

そしてイヅナちゃんにポカポカ殴られた。

 

まあいいや。

 

えーと、どうすればいいのかな?

 

とりあえず心の中で話しかければいいのかな?

 

 

 

(……どーも、こんばんはー。聞こえるかなー?)

 

 

 

 

 

 

(……私に話しかける貴方は誰?)

 

 

 

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