IS - M・od   作:阪本葵

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第46話 凱とイヅナはファース党

 

一夏と箒さんが、やっと別部屋になった。

 

部屋割りの調整がやっとついたそうで、箒さんが部屋を出ていく事になった。

だけど、箒さんは納得していないというか、一夏と別の部屋になるのが嫌みたいだ。

気持ちはわかるけど、やっぱり道徳的にマズイと思うのでそこは割り切ってもらうしかない。

一夏は当然というか、なんというかそんな箒さんの気持ちなど知る由もなく「やっとくつろげるぜー」とか思っていることだろう。

うん、すごく明確に想像できるよ。

ていうか、今言ってそうだよね。

ちなみに、僕と一夏は現状維持の別部屋、つまり今まで通りお隣りさんだ。

最初から僕と一夏を同部屋にすれば簡単に解決する話なんだけど、これは政府からの要請でそれぞれ別部屋にという…まあ束さんがなにかしらちょっかいを出したとは、イヅナちゃん談。

ううん、別にいいんだけど、僕の部屋も二人部屋で、一夏の部屋も二人部屋で…なんかもったいなくないかなあ?

そして、最近何故か一夏が僕に対して妙にベタベタするというか、えらく構ってくる。

まるで”恋敵”を牽制するかのように。

そんな一夏を、すんごい睨むセシリアさんがメチャクチャ怖い。

それで、そんな一夏の行動を危惧し始めた千冬さんが、何か間違いが起こってはいけないと進言、山田先生も即承諾して僕と一夏は別部屋のままらしい。

ううむ…考えすぎじゃないかな?

 

男同士で間違いなんか起きるはずないじゃないか!

 

まあとにかく、山田先生が苦心してやっと一夏と箒さんを分けることに成功。

お疲れ様でした。

そして、箒さんは一夏と暮らしていた1025号室から出ていき、しばらくすると部屋に引き返し、一夏にこう言った。

 

「ら、来月の、学年別個人トーナメントで…わ、私が優勝したら―――つ、付き合ってもらう!」

 

おお!

 

告白ですよ!

素晴らしい、箒さん!

僕はあなたにスタンディング・オベーションを贈ろう!

 

パチパチパチパチ!

 

―――と、何故僕がこんなに事細かく知っているかというと、答えは単純です。

 

僕の部屋にまで聞こえてきたからだ。

だって部屋隣だし。

あんな大声だしたらそりゃ聞こえるよ。

そして、同じく顛末を聞いていたイヅナちゃんが箒さんを部屋に呼び込んだ。

イヅナちゃん、アグレッシブすぎ。

 

「なんだイヅナ」

 

箒さんは訝しんだ顔でイヅナちゃんを見た。

先程の告白の余韻があるのか、まだ若干頬が赤い。

そんな箒さんを無視するように、イヅナちゃんは満面の笑みでグッと親指を立てた。

 

「箒よ!”ぐっじょぶ”だぞ!!」

 

「はぁ?」

 

まだよくわかっていない箒さん。

イヅナちゃんGJ!

 

「お前があんなに度胸のある女だとは、いやはや我も見抜けなんだわ!」

 

「な、何を言ってるんだ?」

 

カラカラと笑うイヅナちゃん。

天晴れ天晴れ!と扇子まで持ち出してきた。

日の丸の扇子なんて、どこで売ってるんだろう?

 

「箒さん一夏に告白したじゃない、大声で」

 

「な、何で知ってるんだ!?」

 

途端顔を真っ赤にする箒さん。

何でって…ねえ?

 

「大声だから、お隣りさんの僕達には筒抜けだよー」

 

「あ…う…」

 

湯気で出てると錯覚するくらい真っ赤な顔の箒さん。

ううむ、かわいいですなー。

 

「箒よ、我はお前を応援するぞ!」

 

「…ふぇ?」

 

イヅナちゃんの意外な言葉に、箒さんは変な声を出す。

 

「箒よ、我はお前と一夏が恋仲になるのを応援する!もちろん助力も惜しまん!!」

 

「僕も応援してるよー。頑張って一夏をモノにしちゃってよ!」

 

やる気満々で拳を握るイヅナちゃん。

鼻息が荒いなー。

 

「あ、ありがとう…イヅナ、モモンガー」

 

嬉しそうな箒さん。

少し照れてる。

 

うむ、かわいい。

 

「鈴には悪いが、一夏には箒が一番似合っていると我は思っている!」

 

「そ、そうか?」

 

「うん、幼なじみだし、一緒にいても自然だし、違和感ないしねー」

 

「そ、そうかそうか、違和感ないか」

 

イヅナちゃんと僕の賛辞に、段々いい気分になってウンウン頷く箒さん。

うん、単純だ。

 

「いいか、箒は他の女より一夏との距離が近いしお互い気が知れている分有利だ。まあこれは鈴にも言えることだが、しかしこのIS学園での同居生活で箒が一歩先行している。だが、それで満足するな、油断するな、慢心するな。その心の隙が命取りだぞ」

 

「う、うむそうだな」

 

「はっきり言うが、女の魅力という点では箒も皆と大差ない。それに、一夏はそういうところに鈍感だ。ここはだな…」

 

「フムフム…」

 

なにやらイヅナちゃんがレクチャーを始めた。

段々声が小さくなり、イヅナちゃんと箒さんはゴニョゴニョと囁き声で会議を始め、頭を突き合わせている。

時々箒さんが「な、な、なぁ!?」とか「は、破廉恥だぞ!」とか言っているところを推測するに、僕が聞いてはダメな内容っぽい。

 

…しかし、もし一夏が箒さんと付き合うようになって、そのままゴールインしたとしたら、僕は箒さんを何と呼ぶのかな?

以前千冬さんは僕に”お姉ちゃん”と呼んでいいと言っていた。

じゃあ一夏は?

うーん、見た目からすると、一夏は僕のお兄ちゃんになるのかな?

呼んだことないけど。

ということは…

 

「…近い将来、箒さんを義姉さんという日が来るかな?」

 

「ね、ねねね義姉さん!?モ、モモンガー!?それはまだ早いぞ!?」

 

僕の呟きに敏感に反応する箒さん。

わたわた慌てながらも、ハアハア息遣い荒く、鼻から血が流れている。

もう何がしたいのだろうか?

でも”まだ早い”っていうことは、つまりいつかはそうなりたいと考えているわけだよね?

うん、やる気出てきた!

 

「よーし、箒さんと一夏をカップルにするぞー!」

 

「おー!!」

 

僕とイヅナちゃんが拳を振り上げ気合いを入れる!

 

「あ、ありがとう…」

 

こらこら、箒さん。

喜んでるだけじゃダメだよ。

 

「箒さんも気合い入れよう!エイ・エイ・オー!」

 

「エイ・エイ・オー!」

 

「え、えいえい、おー」

 

気合いが足りない!

 

「エイ・エイ・オー!」

 

「エイ・エイ・オー!」

 

「えいえい、おー」

 

 

「エイ・エイ・オー!」

 

「エイ・エイ・オー!」

 

「…えいえい、おー…は、恥ずかしいんだが…これいつまでやるつもりだ?」

 

箒さんに気合い注入できるまでだよ!!

 

 

とりあえず、明日から実行だ。

 

まずは…

 

 

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