IS - M・od   作:阪本葵

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第53話 シャルル君と僕はキャラ被ってる?

 

 

「じゃあ、改めてよろしくねーシャルル君」

 

「うん。よろしく、凱、イヅナちゃん」

 

「うむ」

 

夜も更け、夕食を終えた僕とイヅナちゃん、シャルル君は部屋に戻ってきた。

 

ちなみに、昼に僕が弁当を作って皆で食べたことを知った織斑先生は、なんか悔しそうな顔で僕を睨んでいた。

そんなにお弁当が食べたかったのか…なんか申し訳ないことをした。

というわけで、明日は織斑先生にお弁当を作ってあげることになり、それを聞いた織斑先生はどこかうれしそうだった。

僕のお弁当を楽しみにしてくれるなんて、うれしいなあ。

 

さて、現在僕とシャルル君は同室になり、今は食後の休憩をかねて僕が入れた日本茶を飲んでいる。

僕とシャルル君が同部屋になった理由は…まあ、一夏のせいなんだけど。

 

織斑先生と山田先生がまだ一夏のことを勘違いしているんだよねえ…

二人が言っていた理由はこうだ。

 

「シャルル・デュノアと一夏を同部屋にするのは、女子と同部屋にするより危険だ」

 

「そうですね、そんな非生産的な思考は矯正しないといけませんね!」

 

…もう何がなにやら…

 

本当は放課後、一夏達といつもの特訓をする予定だったんだけど、シャルル君の引越しの手伝いがあるため中止にした。

明日はしなければ。

でも、その引越しの手伝いなんだけど、シャルル君の荷物が鞄一つしかなかったため、ほとんど手伝うことなくすぐに終わった。

僕も荷物なんかはほとんどないから、人の事いえないけど、少ないなあ…

 

 

「紅茶とはずいぶん違うんだね。不思議な感じ。でもすごくおいしいよ」

 

「気に入ってもらえたようで何よりだよー。イヅナちゃんがお茶にこだわりがあるから、お茶を淹れるのにはちょっと自信あるんだー」

 

「へーそうなんだー」

 

「そうだぞ!ガイの淹れる緑茶は格別だぞ!心して飲めよ!!」

 

「うん」

 

「紅茶は飲んで優雅な気分になるけど、お茶は飲んでほっこリするんだよねー」

 

「ほっこり…うん、そうだね。ほっとするね」

 

柔らかな笑みを浮かべるシャルル君は、男だとわかっていても一瞬ドキッとしてしまう。

一夏のことバカに出来ないなー。

これは過ちが起きてもおかしくない。

 

「ねえ凱」

 

「ん?なにかなー?」

 

「実践訓練のとき、ボーデヴィッヒさんと同じグループになったけど、どうだったの?」

 

「どうだったって?別に何にもないよ?ああ、セシリアさんがすんごい睨んでて、ラウラさんがびっくりしてた!」

 

「あ、ああ、うん。あれは僕もびっくりした。すごいねセシリアさん。でも、凱は初対面で殴られたんだよ?しかも勘違いで」

 

まあ、そうなんだけど、僕は全然気にしてないからわだかまりもなく和解できたしね。

 

「過ちは誰にでもあるよ。それにラウラさんにもなにか理由があるんだと思う。人を殴るとか暴力はやめて欲しいけど…まあとにかくラウラさんは謝ってくれたし、仲直りしたよ」

 

「そっか…凱は強いね」

 

柔らかい笑顔で微笑むシャルル君。

おおう、紳士笑顔(ジェントルマン・スマイル)だー!

やだ、どきどきしちゃう!

 

「そうかなー?僕は弱いよ?僕は人に助けてもらわないと生きていけない自信あるし」

 

「そうやって、自分を見極めれるのが強さだよ」

 

「あ、それ織斑先生にも言われたよー」

 

「へえ」

 

シャルル君は穏やかな性格で、会話をしていてもとても緩やかに時間が過ぎてゆく。

こういう時間もいいもんだなあ。

 

「それじゃあ同部屋になったんだし、いろいろ取り決めをしようか?シャワーなんかの順番とかはどうする?その日その日で決めてもいいけど」

 

「あ、僕が後でいいよ。凱が先に使って」

 

「いいの?実習終わって、すぐにシャワー使いたい日だってあるんじゃない?」

 

「ううん、平気だよ。僕あまり汗かかないし」

 

あまり汗をかかないって…うらやましいなあ…

うん、まあシャルル君はそんな汗だくな姿は想像できないなあ。

仮に汗をかいたとしても、薔薇をバックに、汗もキラキラ輝いてそうだ。

 

「わかったよー。ありがたく使わせてもらうよー。それと、別に遠慮とかしなくてもいいよー。僕たちはもう友達だからねー」

 

「え!?」

 

何でそこで驚くんだろう?

 

ちょっと傷つくなー。

 

「えーっと…迷惑だったかな?」

 

「そっ、そんなことないよ。すごく嬉しい。ありがとう」

 

とても嬉しそうに笑う。

もしかしたら向こうでは友人といえる人間がいなかったのかな?

こんなにかっこいいのに。

…ああ、そういえばシャルル君は前の学校で虐められてたかもしれないんだった。

主に男性のシンボル的な意味で!

ならこれから一夏と僕、シャルル君の三人で友情を深めよう。

この学園で男は僕たち三人だけなのだから。

 

「あっ、そういえば凱や一夏達ってさ、いつも放課後にISの訓練してるって聞いたけど、そうなの?」

 

おや情報が早いですね。

誰から聞いたんだろか?

まあいいけど。

 

「うん、そうだよー。とはいえ、僕は一緒に居るだけでほとんど別行動だけど、セシリアさんとはいつも訓練してるかな?まあ、一夏はみんなと比べてかなり遅れてるからねー。それに僕もまだまだ未熟だし、少しでもみんなに追いつく為に少しでもってね」

 

僕はもっと強くなるって誓ったんだ。

だから、今日はお休みしたけど、頑張らないと!

それは一夏も同じ気持ちのようで、特訓に取り組み姿勢は真剣そのものだ。

それに今月は学年別トーナメントもあるから、さらにがんばらないといけない。

 

「それならさ、僕も加わっていい?何かお礼もしたいし、専用機もあるから少しは役に立てると思うんだ」

 

「うん、いいよー。一夏も喜ぶと思うし、僕も嬉しいよー」

 

正直、箒さん達の教え方はわかりにくい。

あれはISをそれなりに理解している人とか、フィーリングが合った人じゃないとわからないと思う。

それに、皆一夏のことで揉めて訓練がまともにできないし。

だから、いつもイヅナちゃんが雷を落として、皆を正座させて特訓が終わるんだよなあ…

 

「うん。任せてよ!」

 

シャルル君の紳士笑顔がまぶしい!

でも、これで明日からはちゃんとした訓練ができそうだ。

 

 

それからはすこし世間話をして、寝ようということになった。

おお、もうこんな時間か。

楽しい時間が過ぎるのは早いなあ…

 

「ガイよ、寝る前に厠に行っておけよ」

 

「うん、わかったよー。シャルル君も行く?」

 

「僕はいいよ、大丈夫」

 

「本当?おねしょしてもしらないよ?」

 

「しないよ!」

 

シャルル君、顔真っ赤にして否定するけど、その慢心が命取りなんだからね!!

 

寮の男子トイレはすごく遠い。

というか、部屋にシャワールームがあってトイレが無いっていうのはどういうことだろうか?

前に寝ているときにおしっこに行きたくなって、あまりのトイレの遠さに漏らしそうになったくらいだ。

あれは本当にギリギリだった…

 

「じゃあ、行ってくるよー」

 

僕は一人部屋を出てトイレに向かった。

 

 

 

部屋にはイヅナとシャルルの二人しかいない。

 

「まったく…凱はデリカシーがないよね」

 

「…」

 

「…えーと…」

 

「…」

 

シャルルが気軽にイヅナに話しかけるがイヅナは無言だった。

お互い近付くことなく、イヅナは凱のベッドに座りシャルルに背を向け、シャルルもこの沈黙に俯いていた。

 

(…僕、イヅナちゃんに嫌われてるのかな?)

 

シャルルはごちる。

今日一日、どうもイヅナはシャルルを見るとき、若干睨んでいるように見るのだ。

 

「シャルル・デュノアよ」

 

「な、なに?」

 

いきなりイヅナから話しかけられたので少し驚くシャルル。

イヅナの瞳は、まっすぐ、そして心を見透かすような透明な色だった。

 

「貴様―――」

 

 

そして凱がトイレから帰ってきたとき、イヅナとシャルルの間に何か微妙な空気が流れていたが、凱は気にすることなく寝ることにした。

この日凱は、IS学園に入学して初めて部屋にイヅナ以外の誰かがいるという喜びに興奮して、なかなか寝付けなかったのだった。

 

 

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