IS - M・od   作:阪本葵

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第7話 織斑家の団らん

 

 

 

家に百瀬凱ことモモンガーと、ISのイヅナちゃんが下宿し始めて2週間ほど経った。

 

 

 

まあモモンガーには驚かされることばかりだった。

 

まずイヅナちゃんが家の四方に貼った『人払いの結界』の効果だ。

 

本当に、誰も家に寄り付かなくなったのだ。

もちろん、それはマスコミや国の役人、研究機関などだけで、友達や近所の人なんかは普通に家に来る。

今までの煩さが嘘のようだ。

 

次にモモンガーの家事スキルの高さである。

掃除、洗濯をそつなくこなすから大助かりだ。

しかもモモンガーの作る料理がまた美味い。

 

別段変わった調理方法をしているわけでもないし、珍しい料理を作るわけでもない。

しいていうなら和食が多いな。

 

だけど、美味いのだ。

 

「僕の料理には”愛”という調味料が入ってるからねー」

 

等と平然というモモンガー。

 

お前は新妻か。

 

たしかに、食べてくれる人の事を考えた料理は格別だとは聞いたことがある。

しかし、まさかそれを味わう日が来るとは・・・

 

ちなみに、千冬姉が珍しく家に帰ってきた日にモモンガーの料理を食べたところ相当気に入ったようで、今までは月に1、2回しか家に帰ってこなかったのに、今では毎日帰ってきてモモンガーの料理を食べている。

 

昼の弁当までモモンガーに頼む徹底ぶりだ。

 

しかし千冬姉は弁当持って何処に行っているのだろうか?

 

職業不詳の姉には謎が多い。

 

 

 

そして俺が一番助かっているのはISの勉強である。

 

はっきり言って、俺はISの事はまったくわからない。

以前までは覚える必要がなかったのだから当然だろう。

 

入学に際して必読と言われた、電話帳ほどの分厚さを誇る事前テキストを間違って捨てそうになったときに気付いてくれたり、ドシロウトの俺にわかりやすくテキストの内容を教えてくれたりした。

モモンガーは短い間だけど、束さんのところでいろいろ教えてもらったそうなので俺よりISに詳しく、しかも教え上手なのだ。

 

モモンガーがいなかったら、俺は学園でどんな悲惨な事になっていたか、想像するだけでも恐ろしい。

 

 

 

 

 

「千冬さん、またニンジン残してますねー。体にいいんだからちゃんと食べてくださいよー」

 

「う……うむ……」

 

「デザートに苺タルトを用意してますよー」

 

「わかった、食べる」

 

……モモンガーは千冬姉の扱いが上手い。

 

見た目は小学生のモモンガーなのに、あのいつも自分にも、他人にも、特に俺に厳しい千冬姉を手玉に取っている。

 

そうか、千冬姉は胃袋から攻めればよかったのか。

 

勉強なるぜ、モモンガー!

 

 

 

食事を済ませ、リビングでくつろぐ俺と千冬姉、モモンガーにイヅナちゃん。

各々やりたいことをやる。

つまり、団欒だ。

 

俺は特にすることもなくテレビを見ながら緑茶をすする。

 

千冬姉はノートパソコンをリビングに持ち込み、凄まじい速度でタイピングしている。

風呂から上がったまま乾かさずにしっとり濡れたぼさぼさの髪に、パジャマ代わりのジャージと片手にビールという、ある意味”女を捨てた”ような格好で。

前にモニタを盗み見しようとしたら脳天に鉄拳が飛んできた。

見られたくないなら自分の部屋でやれよな。

 

モモンガーはイヅナちゃんといつも一緒に最後に風呂に入る。

そして今は風呂上がりに、モモンガーがドライヤーでイヅナちゃんの髪や尻尾を乾かしている。

ブラシをゆっくりとイヅナちゃんの金色の髪に通し、優しく乾かす姿はお母さんのようだ。

イヅナちゃんも気持ちいいのか、目を細めうっとりしている。

 

当たり前の光景

 

この光景が、最近の夜の定番となっている。

 

この家にモモンガーとイヅナちゃんはいて当たり前な存在。

 

いつの間にかモモンガーとイヅナちゃんは俺や千冬姉にとって、家族のような存在になっていたのだ。

 

 

 

そんな雰囲気の中、千冬姉がモニタから目を離すことなく口を開いた。

 

「一夏、凱、学校の準備はどうだ?」

 

「ああ、バッチリだよ」

 

「そうですね、問題ないかとー」

 

千冬姉は俺とモモンガーの返答に満足したのか、「そうか」と言って小さく笑った。

千冬姉はモモンガーを苗字の百瀬から、名前の凱に呼び名を変えた。

もう家族同然だから当たり前か。

しかしモモンガーと呼ぶのは頑なに拒否していた。

理由はわからなくもない。

俺も千冬姉がモモンガーなんて言っている姿が想像できないし、言ってほしくない。

 

そして俺は自信満々に現状を千冬姉に報告した。

 

「モモンガーってすごいんだぜ!ISのこと俺にわかりやすく教えてくれて、本当に助かるよ!これでIS学園でもバッチリだぜ!」

 

「いやいや、一夏の吸収力がすごいんだよー。それに今は机上学習だけだから、基礎だけだしねー」

 

モモンガーの言葉に、俺は固まった。

 

「え!?……基礎?……あんな量で?」

 

マジか。

電話帳みたいな分厚さのテキストにのっている事が基礎のみだと!?

 

「まあ、それを学ぶための学校だからねー。別に焦ることないんじゃないかなー?」

 

「そ、そうか。うん、そうだよな!」

 

そらそうだ。

学校は学ぶところなんだ。

これから頑張ればいいんだよ!

 

あ、千冬姉が呆れてため息ついたぞ。

 

「凱、学園でも一夏の事、見てやってくれ」

 

千冬姉……その諦めというか、憐れんだ目で俺を見ながらモモンガーにお願いしないでくれ……

 

「まかせてくださいよー。僕は一夏の親友ですからー!えっへん!」

 

「うむ!ガイにまかせておけば、万事解決だぞ!えっへん!」

 

フフンと鼻をならし自分の胸をドンと叩いて、任せとけ!とアピールするモモンガー。

そして横でモモンガーと同じ動きをするイヅナちゃん。

 

「あ、ああ」

 

そんなモモンガーを見て、どもる千冬姉。

 

……何故かな……モモンガーって男なのに、見てるとドキドキする……

 

あ、千冬姉も顔を赤くして、何かに耐えるようにしてる。

 

そうか、千冬姉もやられたんだな?

 

 

モモンガーとイヅナちゃんの発するプラチナイオン(マイナスイオンからレベルアップ)に!

 

 

 

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