八雲親子の作り出したスキマに入ってから早苗の目に写ったのは夕焼け色に染まる教室だった。黒板に落書きがしてあったりするだけの何の変哲もないただの教室。だがこの教室は早苗と雪羽にとっては忘れることのない場所なのだ。一年前の夏のある日、早苗が幻想郷に行く為別れを告げた教室である。何故教室に入れたのかと言うと早苗が補習を受けていてそれに雪羽がほぼ強制的に連れてこられたからである。・・・何やってんだろ私。あの時から本当に私は変わっていない。そんな私が助けに来た所で雪羽さんは喜んでくれるだろうか。いや、そんなことを考えるのはやめよう。一度顔を叩いて気合を入れ直す早苗。そしてドアに手をかけた瞬間思い切りドアが開いた。突然の出来事に思い切り尻餅をついてしてしまう。恐る恐る前を見ると二人の男女が立っていた。
「あ、ごめん早苗ちゃん。」
「東風谷に怪我させたらどうすんだよお前。」
「その時はその時でしょ?」
「まあな。」
「え・・・ええと遼河さんとどちら様ですか?」
遼河の顔は早苗が知っている通りの顔だったが隣の女性の顔は見た覚えも無いし、会った記憶も無い。必死に人の顔を思い出せる限り思い出していると女性が苦笑いして早苗に手を差し出した。まだ思い出せていなかったが手を掴み立ち上がる早苗。すると女性から急に自己紹介された。
「初めまして!私は望月 来衣!雪羽君と一緒にいてくれてありがとね。」
「お前は親か。」
遼河に頭を小突かれる来衣。ええーと・・・助けに行かなくていいんでしょうか?この場の和やかな空気に流されそうになってしまうがなんとか目的を忘れずにいた。
「さて、行くか。」
「そうだね。」
「急ですね、本当・・・。」
小声で文句を言う早苗。幸いにも二人には聞かれてなかった様で廊下へと歩みを進める。そして遼河が後ろを向くとそのまま話し始めた。
「とりあえず雪羽はあいつが引き篭もってた部屋にいるんだがそこまでが難しいんだよなあ・・・。」
「難しいとは・・・?」
「ほら、あれ。」
遼河が指さした先を見ると何やら傀儡のような物がぎこちない動きでこちらに歩いてくる。まさか・・・これって・・・。
「あれに捕まると確実に殺されちまうからな。バラバラにされて。」
「ですよね!?確実にバラバラにするような鋸腹部に付いてますもん!」
「はいはい、落ち着いて。遼河も気をつけろという事だけ言えば良かったのに。早苗ちゃんが怯えて大声出したせいであいつら集まってきてるよ?」
その言葉を聞き辺りを見回すと教室の方に二人、前から三人、階段から五人、後ろから三人迫ってきていた。声を聞きつける性質なんですかこれ!?私大声出したの今後悔しましたよ!入って早々絶体絶命のピンチに追いやられる三人。果たして雪羽を無事に助けられるのか。
はいというわけで第93話どうでしたか?
「余裕で死ねるぞあれ。」
しゃあない。雪羽がそれほど拒絶してるんだよ。
「なるほどとは納得出来んがな。」
というより遼河、どこか大人びたね。
「梨花が死んでから変わろうと思ったからな。」
なるほど。少し雪羽っぽいのは気にしないでおこうか。では次回も良ければ見ていってくださいね(見ていってくれ)