春香を倒した後の精神世界。どういう訳か倒してから少しして早苗が入ってきた夕焼けに染まる教室へと移動していた。・・・なんでここなんだ?後悔しないよう最後の選択をしろとでも?そんなのは決まっている、帰るつもりは無い。かつての自分の席に座っていると気がついた早苗から呻き声が聞こえた。
「ん・・・。雪羽さん?」
「どうした?まだどこか痛むか?」
「いえ・・・。」
良かった、骨が折れてたりは無さそうだ。折れてる可能性は0ではないけど。早苗は立ち上がり彼女のかつての席に座ると雪羽に話しかけた。
「懐かしいですね。」
「ああ。」
「・・・本当に私たちの所に帰ってくれないんですか?」
「そうだ。」
泣きそうな顔をしながら下を向く。・・・この選択が正解なんだ。雪羽は泣きかけの早苗の頭を撫でると隣の席に座り、話し始めた。
「泣くなよ。俺が人食いになってお前が苦しむよりかはマシだ。」
「それでも・・・私は雪羽さんを絶対に連れて帰ります・・・!」
「もう子供じゃないんだ。そんなわがままは通じないぞ?」
泣き出した早苗の目をしっかりと見て今までの感謝を伝えるかのように手を握った。そして離そうとする。だが早苗が手をガッチリと掴んで離そうとしない。絶対に・・・死なせない・・・!雪羽さんを・・・!涙で顔をグシャグシャにしながら思いをそのまま雪羽に伝える。
「絶対に・・・死なせません・・・!貴方を待っている人達がいるんだ・・・!絶対に皆の所に・・・帰します!」
「何回言ったら分かるんだ・・・!皆を犠牲にしない為に・・・。」
「そんなの知りません!」
「!?」
本当にわがままだなあ今の私。自分で言っている事が子供っぽく感じちゃうよ・・・。驚いている雪羽の顔を涙を拭いながら見て、再び思いを伝える。聞く気が無くても何回でも言ってやる・・・!雪羽さんが折れるまで何度でも何度でも!
「皆を犠牲にしないようにする方法は紫さんと話し合いましょ?」
「それでも・・・!」
「それでもじゃない!貴方と一緒に居たい!それだけの理由でも駄目なんですか!?」
気づけば雪羽の手は早苗の涙でぐしょ濡れになっていた。・・・本当に居てもいいのか?俺は皆を犠牲にしなくてもいいのか?早苗の手を掴み返すと早苗に聞いた。
「本当に俺が人食いになっても一緒に居ていいのか?」
「ええ。暴走したら皆でもう一回貴方を元に戻してあげますよ。」
本当に居ていいのか。皆・・・俺を嫌ったりしないのか。絆も優さんも。はは・・・なんだかさっきまで自分が馬鹿らしくなってきたな。早苗は涙の残る笑顔を浮かべ雪羽をスキマまで引っ張っていく。スキマをくぐると、全員が笑っていた。
「どうしたんですか?」
「早苗ちゃん。一旦顔を拭いたほうがいいわよ?」
「え?・・・あ。」
早苗の顔が紅潮していく。しまった、涙でぐしょぐしょだ私の顔。化粧とかはしてないからお化けになってなくて良かった。桜花に差し出されたハンカチで顔を拭くと雪羽の方を向き全員でこう言った。
「おかえりなさい。」
はいというわけで第98話どうでしたか?どういう訳か自分の作品で初めてうるっときましたよ。気持ち悪いですね。
「本当だ。」
「でも良かった・・・!」
バッドエンドは避けられたね。雪羽のアホ。
「悪かったよ。皆に迷惑かけちまったしな。」
「あはは・・・。でもこうして無事に帰ってきた訳ですし!」
そうだね。では次回も良ければ見ていってくださいね!(見ていってくれ)