東方境壊伝 【完結】   作:翠月茉弥

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どうも翠月茉弥です。今回は雪羽さんと春香さんを歓迎する宴会でのお話ですそれでは本編の方をどうぞ~


第7話見習い剣士と亡霊の姫君

騒がしい。何故か守矢神社の中が異常に騒がしい。言ってしまってはあれだが普段はそんなに動かない神奈子までもが動いている。いや・・・まあそんな事を言ったら御柱でぶっ飛ばされるんだけどさあ。気になった雪羽は動いている神奈子に聞いた。

 

「あのー…今日は何かあるんでしょうか?」

 

ん?目の前がいきなり暗くなったぞ?犯人は大方予想がついてきたけどとりあえず黙っておく。すると聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「あなたとあなたの妹を歓迎する宴会の準備よ。」

「母さんか。宴会って未成年ばっかなのに酒飲むのか?」

「あら?神奈子か諏訪子から聞いてなかったの?この世界ではお酒は未成年でも飲むのよ?」

「は?駄目だろそれ。」

 

ちょっと待て。未成年が飲酒したら色々悪影響しか無いはずだぞ?

 

「早苗は恐ろしいくらい弱いけどね。」

「うわぁ!?諏訪子様早苗が弱いってどれくらいお酒に弱いんですか?」

 

急に下から出てきた諏訪子に戸惑う雪羽。でも早苗がすぐ酔うかあ・・・どれくらいなんだろ。すげえ気になる。そのまま諏訪子の話を聞いていると予想外の弱さだった。

 

「日本酒一瓶でベロベロに酔う。」

「弱っ!」

 

あ。ヤバい大声出してしまった。聞こえてたら神奈子様に怒られる…。流石に気分がいいのにそれを害されたらいい気分しないもんな。

 

「神奈子なら大丈夫。あいつはそう簡単に怒らないよ。」

「そうなんですか。」

 

宴会か。なら俺も手伝わないとな…。とりあえず雪羽も宴会の準備をしに倉庫へと歩いていった。

場所は変わって寺子屋の算数の時間。6限目の為子供達はまだかまだかと授業の終わりの鐘を待ちわびている。そんな事も気にせず授業を続ける春香。何故か白衣を着ているが気にしたら負けなのだろう。

 

「で10と6を掛けたら何になるでしょう?」

「うーん…」

 

なんだろう。これを言うと酷いけどこの子達こんな簡単な問題も分からないっていうのが酷いなー…。一人くらいは分かりそうだけどねえ・・・。10を6個足せばいいのに。

 

「答えは60でした。」

「えー!?」

 

バカでしょー…。そんな事言っちゃったら絶対慧音さんに頭突き食らうなー・・・。一応私も教育者だしやらかしたら最悪保護者に報告されてクビもありえる・・・。やめよそんな事考えたら今日の晩御飯が不味くなっちゃう。すると終了のチャイムが鳴った。子供達の顔が喜びに満ちていく。うんうんいい顔だ。こっちも仕事したかいがあるよ。

 

「じゃあこれで終わり!皆気をつけて帰ってねー。」

「はーい!」

 

やっぱり皆帰るとなると元気になるね。さっきまでのやる気の無さや寝てる子はなんだったのか。慧音さんの授業は誰も寝てないのに。疲れた様子で椅子に腰掛ける。すると慧音が数分経って誰もいなくなった教室に来た。

 

「春香ちょっといいか?」

「はい。なんですか?」

「今日は宴会があるんだが行けるか?」

「行けますが…なんでですか?」

「君等を歓迎する宴会を守矢神社でやるんだ。」

「守矢神社ってお兄ちゃんがいる所ですよね。」

 

そういえばあの時以来お兄ちゃんの顔を見てないなあ・・・。

 

「ああ。宴会は6時からだから遅れるなよ。」

「はい。・・・って私慧音さんの所に居候してるんですから知らしてくれれば良いじゃないですか。」

「そうだったな。」

 

慧音はそう言って微笑んだ。やっぱり美人だこの人。胸も大きいし性格も良い。この人と並んだら自分が完全に劣って見えるよ。まあ元々自分に自信なんて無いけどさあ・・・。女として悔しいじゃんなんか。

 

「じゃあ家で待ってるぞ。」

「わかりました。ではまた後で。」

「ああまた後でな。」

 

宴会かー初めてだから楽しみだなあ。そう言えばお兄ちゃんにお礼も言わなくちゃ。・・・って宴会ならお酒飲むのかな?ソフトドリンクとか置いてないの?そんな事を考えながら白衣を脱ぎ腕に掛け家まで歩いていく。

6時になり宴会が始まった。周囲はお祭り騒ぎで妖精達が弾幕ごっこをしたり三姉妹が音楽を奏でたりしていた。その中で宴会に馴染めない雪羽。それも無理は無いだろう。何故なら今から初めての飲酒なのだから。

 

「えー…本当に俺もお酒飲まなきゃいけないんですか?」

「当然だよ。あんたを歓迎する宴会なんだから飲まなきゃ損だよ!」

「そりゃ神奈子様は慣れてますもんね…。俺なんてもう気分で吐きそうですよ。」

「神奈子~。もうちょっとご飯ないの~?」

 

誰だ?なんかすごい優しそうな声だな。それでいて食いしん坊ってすごい外の世界で受けそうだな。声の方を向くと桜色の髪をした水色の着物を着た女性が立っていた。

 

「あら?あなたが紫の息子?」

「あっ…はじめまして俺は八雲 雪羽って言います。」

「はじめまして。私は西行寺 幽々子って言うのよ。よろしくね~。」

「幽々子さんですか。よろしくお願いします。」

「幽々子でいいわよ。」

「あっ!幽々子様何処にもいないと思ったらここにいたんですか!」

 

白髪の緑色の服を着た少女が幽々子の方に走ってくる。・・・刀って。怖すぎるだろ、酔って刀を抜いたらそれこそ大惨事だよ。ただでさえ小さい子達が弾幕ごっこをするんだから。

 

「妖夢~この子が紫の息子よ。挨拶しておきなさい。」

「はじめまして魂魄 妖夢と申します。幽々子様の所で庭師をさせていただいております。」

「はじめまして八雲 雪羽って言います。えーと・・・庭師という事はお屋敷に支えているんですか?」

「はい。」

「幽々子さんはお金持ちなんですね。」

「アハハ・・・でも経費の半分以上が幽々子様の食費で占めているんですよ。」

 

そう言って妖夢はふふっと笑った。苦労してんなあこの子も。って本当になんかうろちょろしてるのが鬱陶しいな。気になった為妖夢に質問してみる。

 

「さっきから飛んでる白いのはなんですか?」

「これは私の半霊です。」

「半霊?」

「はい私は半人半霊って種族なんです。」

「へぇー。」

「幽々子様は亡霊なんですけどね。」

 

ふーん・・・って、え!?

 

「え!?あんな若そうで元気で美人なのにもう死んでるんですか!?」

「雪羽すぐそばに幽々子がいるのに幽々子のこと美人ってあなた結構大胆なのね。」

 

突如後ろから紫が出てくる。なんだこれ。色々集まりすぎだろ。

 

「なんで大胆なんだよ。母さんてかいつの間にここにいたんだよ?」

「いつからだろねー?」

 

紫はわざとらしく扇で口を隠すと幽々子の方を向いた。幽々子も紫の方を向き話し始める。

 

「あら紫久しぶりね。こうやって見ると本当にそっくりねあなた達親子。」

「あらそう?」

「少しだけ照れてんなよ。」

「あ、お兄ちゃんここにいたんだ。」

 

春香が雪羽を見つけ雪羽の方へと歩く。待て待て人口密度が大変な事になってるから。まだ春なのにちょっと暑いから。それでも平静を装い春香と話す。

 

「おう春香か。もう体は大丈夫なのか?」

「うん大丈夫。あの時はありがと。」

「気にすんな。でも無理はすんなよ。」

「分かってるよ。」

「おーい雪羽飲んでるか?」

 

久しぶりに聞いた声の主が前から歩いてくる。相変わらず魔法使いの衣装なのなあいつは。

 

「おう魔理沙。一滴もまだ飲んでねえよ。」

「たまにしかない宴会なんだ。飲まないと損だぜ?」

「そうよ。こうやってご飯もお酒もタダで飲めるんだから飲んで食べないと損よ?」

 

知らぬ間に魔理沙の横に霊夢も立っていた。いつの間にいたんだお前。

 

「霊夢は金無いだけだろ。」

「うるさいわね。」

「ってか俺こないだお前の所に一万くらい賽銭置いてったぞ?」

「そうなの!?」

「嘘はついてない。」

 

段々霊夢の顔が紅潮してくる。・・・悪い事した気分なんだが。何も変な事は言ってないはずなんだけどな。セクハラとかしてないし。

 

「やったこれで少しは生きてける…。」

「大袈裟だな〜霊夢は。」

 

魔理沙がやれやれといった様子で器に入った酒を飲んでいると横からかなり出来上がった早苗が歩いてきた。

 

「なにしてるんれふか?」

「ちょっ!?お前かなり酔ってんじゃねえか…。」

「ぜんぜん大丈夫れふ!」

 

早苗は胸を張ってそう言った。うん。大丈夫じゃないよね。完全にハイってやつだよね。それ。

 

「全然大丈夫じゃねえよ!」

「とりあえず雪羽も飲め飲めー!」

 

魔理沙が酒瓶を雪羽の口に突っ込もうとする。死ぬ死ぬ!急性アルコール中毒で死ぬから!

 

「うわっ!?ちょっ魔理沙やめろ…!」

「ほらほらー飲みましょうよー!」

「がばがばがば!(どさくさに紛れて早苗も飲まそうとすんなー!)」

「やめてあげなさいよ~。」

「あわわ!どうしたらいいんでしょう!?」

 

妖夢が慌てている間に酒瓶に入っていた酒は全て無くなり雪羽はなんとか生きていた。雪羽は口に付いた酒を拭いながら妖夢の方を向くと大丈夫という代わりに笑った。

 

「本当に大丈夫なんですか!?」

「ああ。大丈夫だ。ただ、今酸素が欲しい。」

 

何回か深呼吸をしていると妹紅が春香の方に歩いてきた。春香と話したいのかね?できれば別の所で話してほしいんだけどなあ・・・暑いし。

 

「春香少し来てくれないか?」

「良いですけど…?」

 

そう言われて春香は妹紅に連れていかれた。・・・どこ行ったんだ?誘拐?でも妹紅はそんなのやる人じゃないしな・・・。

守矢神社の庭。そこに春香と妹紅は立っていた。連れてこられた理由が分からず妹紅に聞く春香。

 

「こんな所に連れてきて何するつもりなんですか?」

「あんたを少し鍛えようと思ってね。」

「鍛える?」

 

言葉の意味が分からず思わず聞き返してしまう春香。何も宴会中にやらなくても・・・。そう言っても止まる気配は無かった為そのまま聞いておく。

 

「ここは幻想郷。強くなっとかなきゃ人間なんかすぐ死んでしまうよ?」

「なるほど…。でどう鍛えるんですか?」

「それはこうだよ!」

 

そう言って妹紅はいきなり春香の目の前に拳を飛ばしてきた。紙一重の所で躱す春香。避けなかったら顔が無くなってた・・・!本気で殺す気だこの人!

 

「危なッ!殺す気ですか!?」

「そこまでしないとやる気出ないと思ってね。」

「そこまでしなくても出ますよ…。じゃあ負けても文句言わないでくださいよ!」

 

そう言いながら蹴りを妹紅に入れる。それを腕で防ぐとニヤッと妹紅は笑った。

 

「へーいい蹴りじゃないか。でもこれじゃまだ死ぬね!」

 

お返しと言わんばかりに妹紅は蹴りを鳩尾に入れてきた。思わぬ一撃に意識を手放しかける春香。

 

「カハッ…!」

「あっ…ちょっとやりすぎたかな?」

「まだまだ!」

 

拳を妹紅の顔面に続けざまに入れる。猛攻にも関わらず妹紅は全ての拳を捌き春香の腕を捻り投げた。

 

「おりゃ!」

 

春香が妹紅にカウンターとして倒れたまま巴投げをする。投げた瞬間骨の折れる音が妹紅の左腕からした。・・・やっちゃった。

 

「うわわやってしまった…大丈夫ですか?」

「全然大丈夫だよ。」

 

あれ?確実に左腕は折れてたはずだけど?有り得ない出来事に思考がついて行かない春香。妹紅はハハッと笑うと春香に説明し始めた。

 

「驚いてるって顔してるから説明するけどね。私は怪我をしてもすぐ治ってしまうんだ。」

「それじゃ勝ち目ないじゃないですか・・・。」

 

ため息をつきながら地面に倒れる。強すぎるでしょ妹紅さん。本気でやり合ったらやられるのは私の方だった。そう思うと何故か自分が情けなかった。妹紅は服に付いた汚れを払うと春香に手を差し出した。それに掴まり立ち上がる春香。

 

「まあ春香がここで生きてける実力があるのは分かったから安心したよ。それじゃあ宴会に戻ろうか。」

 

守矢神社へと戻る春香と妹紅。一方その頃守矢神社では・・・。雪羽が酒豪と化していた。

 

「ふー…日本酒って結構いけるもんなんだな。」

「ちょ…雪羽お前強すぎないか?」

 

こんなのは見た事無いと言わんばかりの顔をした魔理沙が雪羽に聞いた。何も言っては無いが霊夢も呆気に取られていた。

 

「え?強いのかこれ?」

 

そう言って雪羽は5本置いてある瓶を指差した。もちろん全部俺が飲んだ。というよりどれくらいが強いでどれくらいが弱いか分からないんだよなあ・・・早苗はめちゃくちゃ弱いけど。すると早苗が雪羽に飛び込んできた。

 

「えっ!?ちょっ早苗近い近い!」

「良いじゃないですかー♪」

「お前が良くても俺は全然良くない!」

「よし!雪羽お前早苗にキスしろよ!」

 

急な魔理沙の意味不明発言に混乱する雪羽。そんな中でも常識に囚われない巫女早苗は平然としていた。酔っているからどうとも言えんが。

 

「はあ!?魔理沙お前なに言ってるんだよ!?酔ってんのか!?」

「顔赤くなってんぞ~。」

 

魔理沙がニヤニヤしながら雪羽のほうを見る。マジかよ・・・。あいつこんなキャラだったっけ?

 

「なっ…!?」

「良いじゃない。しなさいよ~。」

「幽々子様はしたないですよ!」

「ほら~皆見てるわよ?」

「マジかよ…。」

 

母さんまでノってくるか・・・。もういいや諦めよ。そう思いながら雪羽は早苗と唇を合わせた。




はいというわけで第7話どうでしたか?正直キスシーン書いててもかなり恥ずかしいです…では次回も良ければ見ていってくださいね
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