雪羽と閻哉は薄汚い咬蛇組の事務所の組長の部屋の前まで来ていた。部屋の中からは煙草の匂いが漂い、更に怒鳴り声が聞こえていた。怒鳴り声が聞こえる度に雪羽は驚き、帰ろうとしていたが閻哉が肩を掴み止めていた。もうやだ帰りたいつーかなんで俺こんな事になったんだっけ?えーと確か閻哉が不安になってきて…雪羽は閻哉の手を外そうと暴れながらこれまでの事を思い出していた。
「ああーもう!雪羽ちゃん暴れんなや!そろそろ組長と会うんやで余計に体力使わさんといてくれ!」
閻哉は暴れる雪羽に呆れながら組長の部屋のドアノブに手をかける、雪羽は閻哉がドアを開けようとする度に暴れるからキリがないのだ。
「失礼します俺は白月組の若頭を務めさせていただいてます白月 閻哉と申します。そしてその横に居るのがうちの若衆の残月 雪羽と言います。」
部屋に入って分かったのが煙草の匂いの割に灰皿に煙草が入っていないこと、そして組長本人があまり怒鳴り声を発さない様な雰囲気を醸し出していた。
「おう大阪からよく来たなまあ座れや」
咬蛇組長は煙草を吸いながら、雪羽と閻哉に目の前にある椅子に座るよう勧めた。
「「失礼します」」
雪羽と閻哉は同時に椅子に腰掛ける。雪羽はさすがにこれはまずいかと思ったが、このまま話が進みそうだったので気にしないことにする。閻哉の方は緊張した顔で咬蛇組長に話し始めた。
「ここに来たのは他でもありません。俺等白月組が東京にこの度進出するのでその挨拶に伺いました。」
閻哉は頭を下げてそう言う。咬蛇組長はそれを見るとニッと笑い閻哉の頭を優しく叩き始めた。
「御苦労さん。所で白月さん元気か?」
いきなりの質問に閻哉は驚き少し間を開けてしまうが、すぐに答えた。
「ええ元気ですよ、むしろ元気すぎて母親が手に負えないくらいです。」
その言葉を聞き、雪羽は白月さんって意外と伯母さんに色々管理などしてもらってるんだなと緊張感の欠片も無いことを考えていた。その正面で咬蛇組長が黒い笑みを浮かべた。
「さて、長い話もあれだしお前等にはちょっとついてきてもらいたい所があるんだ。」
そう言うと咬蛇組長は雪羽達の後ろを向きながら顎をクイっと出した。雪羽達の口がハンカチで塞がれる。塞がれた瞬間は雪羽と閻哉は抵抗していたが、閻哉はもう寝てしまい雪羽は辛うじて意識を留めていた。
「くそっ!離せ!」
雪羽は自分を掴んでいた男を肘でどかし閻哉を起こし逃げようとするが、首筋に電流が走り気絶してしまった。
「ちっ…手間取らせやがってこのガキが…」
薄れ行く意識の中雪羽は、閻哉と自分が何かビニールの様な物に包まれていくのを見ていた。
──────────────────────
「う~ん…閻哉大丈夫か!?」
雪羽が目を覚ますとそこは倉庫の中の様だった。雪羽と閻哉は柱に縄で縛られ動けないようになっていた。コツコツと足音が聞こえる。そして目の前にドスを持った咬蛇組長が歩いてきた。
「ようやく起きたか?ここはな俺の拷問場でなここでお前等に拷問しようと思ってよ。」
咬蛇組長はニヤっと笑う。その目の前で雪羽は閻哉を必死に起こしていた。
「おい!閻哉起きろ!今ちょっとやべえ状況になってんだよ!」
雪羽は焦った様子で閻哉を揺らしながら、大声で起こそうとする。そのおかげか閻哉はようやく目を覚ました。
「う~ん…どないしたんや雪羽ちゃん?…ってなんじゃこりゃ!?」
閻哉は今自分が置かれている状況を理解し驚いた。この状況の雪羽一人なら逃げれるが、今は閻哉もいる。しかもよりにもよって外の世界だ。妖怪としての力を使うわけにもいかない。
「さ~てどっちの目玉から抉ろうかな?」
咬蛇組長はドスを雪羽と閻哉交互に向けながらそう言う。その度にドスの先は光り、二人の恐怖を煽っていた。
「決めた。そっちの金髪の方からだ。ほら早く左目出せよ。」
雪羽は戦慄する。いきなり自分に矛先を向けられたこと、そして初めて感じる蛇の様なまとわりつく恐怖に。もう雪羽は迷ってられなかった。ちくしょう!もうどうなっても知らねえからな!雪羽は一か八かの賭けに出る。雪羽は自分の手と足を縛っていた縄を自分の力でちぎると、咬蛇組長に向かって走り出した。雪羽のその行動に驚いた咬蛇組長は、ドスを慌てて離してしまい決定的な隙を作ってしまった。
「はっ!」
雪羽の渾身の蹴りが咬蛇組長の鳩尾にクリーンヒットする。その一撃に咬蛇組長は悶絶し、腹を押さえてのたうち回っていた。
「ふう…さて閻哉逃げるか。」
雪羽は一息つき、閻哉の縄をちぎるとそう言った。そしてその呼び掛けに閻哉は
「もちろんや!雪羽ちゃん行くで!」
雪羽と閻哉は倉庫の中を走り回り、やっとの思いで出口を発見した。
「はあ…もう出来ることならお前には関わりたくねえな」
「なんでや俺は雪羽ちゃんとおって楽しかったで?」
「俺の命がいくつあっても足りねえんだよ」
雪羽は溜め息をついてそう言う。さて急いで帰らなければ、早苗が心配する。雪羽はそう思い閻哉に別れを告げる。
「またな。閻哉、死ぬなよ。」
「縁起でもないこと言うなや、雪羽ちゃんこそ死ぬなよ。またな。」
雪羽と閻哉は手を振りそれぞれ逆の方向へと歩き出す。雪羽は20歩ほど歩いた後スキマを開いた。
「久々の外も終わりか…さて帰るか、守矢神社に。」
雪羽はスキマの中に消えていく。─が幻想郷の方が外の世界より遥かに危険な事になっているのは、雪羽は気付いていない。そう影離異変はまだ終わっていないのだ。
はいというわけで第24話どうでしたか?書き方変えて見ましたがちゃんとどんな状況か分かりますかね?まあ早い投稿になりましたが次回も良ければ見ていってくださいね