東方境壊伝 【完結】   作:翠月茉弥

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夏休みが近付いてきましたね翠月茉弥です。今回は久々に紅魔館での話となります。タイトルから誰が主役かは分かりますね多分。では本編の方をどうぞ~


第27話 ジャック・ザ・リッパー

春香が影を倒して6時間後、辺りはもう夜と化していた。珍しくレミリアは落ち着けないティータイムを過ごしていた。

 

「…どうかなさいましたかお嬢様?」

 

不安になった咲夜がレミリアに聞く。その横ではパチュリーが紅茶を飲みながら本を読んでいた。

 

「いや何も。ただ嫌な予感がしてね。」

「嫌な予感とは?」

「貴女が昔のように戻ってしまうとかね。」

 

突如パチュリーの口から出た言葉に咲夜は黙り込む。そんな咲夜を見て、レミリアは話を切り替えようとする。

 

「そういえばフランはどう?」

「妹様ですか?最近は雪羽にまた会いたいと言っております。」

「また雪羽を家に呼んであげようかしらね。」

 

レミリアが微笑みながら言う。咲夜も落ち着いたのか、いつも通りに戻っていた。パチュリーは相変わらず本を読んでいる。咲夜がレミリアに新しく紅茶を淹れようとした瞬間─事件は起こった。

 

「…申し訳ございませんお嬢様…。」

 

突如、美鈴が傷だらけになりながらレミリアの元へと来た。

 

「どうしたの美鈴?」

「何か黒い物が5人で襲い掛かってきまして…」

 

その言葉を聞くと咲夜はナイフを構えた。構えてすぐにそれは来た。

 

「やっぱりここにいたのね。」

「なっ…!?」

 

現れたのは紅魔館のメンバー5人の影。その光景に咲夜は驚いていた。

 

「相変わらず完璧ね咲夜。いや、ジャック。」

 

突如出されたジャックという名前に、影以外の全員が驚いた。

 

「え?咲夜さんがジャック?咲夜さんは、咲夜さんですよ?」

「……」

 

咲夜は黙り込む。封印していた過去。その全てが咲夜の頭の中でフラッシュバックする。泣きながら命乞いをする女性の顔。そして血に染まったナイフ。

 

「うわあああ!」

 

咲夜は叫び出す。影はそれを嘲笑うような顔で見る。美鈴は、ボロボロながらも影を倒そうと構える。

 

「本当にいい様ね、私。」

「貴女は…?」

「私は貴女。そしてジャック。」

「それは捨てた名よ。」

「貴女には永遠に捨てられない。捨てようとしても、永遠にまとわりついてくる。」

 

そう言うと影は黒いナイフを構える。過去を知っているレミリアとパチュリーは、悲しそうな顔で咲夜を見る。

構えていた美鈴が咲夜に言う。

 

「咲夜さん下がっててください!」

「嫌よ。お嬢様を守るために敵前逃亡は許されない。」

 

咲夜はフラつきながらもナイフを構える。美鈴はそんな咲夜を見て諦めながらもこう言った。

 

「分かりました。でも危なくなったら下がってください。」

「分かったわ。」

「行きなさい。」

 

そう言うとレミリアの影は咲夜の影と美鈴の影を向かわせた。影に吹っ飛ばされる美鈴。咲夜と影はナイフでつばぜり合いになっていた。

 

「いい加減諦めなさい。貴女はどうあがいてもジャック・ザ・リッパーという過去は捨てられない。大人しく私に殺されなさい。」

「お断りするわ…!」

 

咲夜のナイフが弾かれる。影のナイフが首元に届こうとした時、時を止めて回避した。

 

「もうジャックには戻らない!」

「残念ね。さようなら。」

 

気付くと咲夜はナイフに囲まれていた。能力も動揺してまともに扱えない。もうだめかと咲夜が思った瞬間美鈴が目の前に飛び込んで来た。そしてナイフが全て美鈴に刺さる。

 

「言ったじゃないですか…咲夜さんは咲夜さんだって。咲夜さんがどんな人だっただろうと私達にとってはメイド長の咲夜さんですよ。」

 

そう言うと美鈴はバタリと倒れた。咲夜はそのまま立ち尽くす。そしてレミリアに咲夜はこう言った。

 

「お嬢様。お願いが二つごさいます。」

「ええ。何?」

「一つは、今回の異変の解決に行かせてください。」

「分かったわ、行っていいわよ。で?もう一つは?」

「もう一つは…ジャックに戻ってもよろしいでしょうか。」

 

その言葉にレミリアは驚く。封印していた過去をこうもあっさり復活させるとは。ただただそれに驚いていた。

 

「…ええ。いいわよ。」

「ありがとうございます。」

 

咲夜が礼を言ってすぐ、咲夜の手にはいつものナイフとは違う、柄が少し太く、切ることに特化しているナイフが握られていた。そして、咲夜の影がまばたきをした時。咲夜の影以外の全員の影が真っ二つになっていた。咲夜の影が焦って咲夜の方を見ると咲夜は高笑いしながらこう言った。

 

「私の名前はメアリー・ジャック。またの名をジャック・ザ・リッパー。貴女に本当の殺人鬼の戦い方を見せてあげるわ!」

 

咲夜がナイフを構え直す。咲夜にはさっきまでの完璧なメイド長としての姿は無かった。今の咲夜はイギリスで怯えられた殺人鬼、ジャック・ザ・リッパーへと戻っていた。

 

「さあ、そんなに大きな口を叩いたのだから私を楽しましてくれるのかしら?」

「くっ…!」

 

咲夜の影がナイフを構えたが、時既に遅し。咲夜の影は真っ二つになっていた。

 

「くだらないわね…所詮は口だけ。」

 

そう言うと再び咲夜は高笑いをし始めた。呆然とする美鈴。それを横目に見ながら咲夜は空へと飛び立った。




はいというわけで第27話どうでしたか?
「咲夜の本名ってメアリーだったんだな…」
どっちかというとジャック・ザ・リッパーに食いつきません?
「まあ…確かにそうですよね…」
でしょ?
「でもなあ…咲夜がジャック・ザ・リッパーってよくあるじゃないか」
それを言っちゃあいけません。
では次回も良ければ見ていってくださいね(見ていってくれ)
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