東方境壊伝 【完結】   作:翠月茉弥

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執筆中もくしゃみが止まらなかった翠月茉弥です。今回はやっと異変の元凶の下へとたどり着きます。長かったですねえ。では本編の方をどうぞ〜


第29話 散り雲

妖怪の山の麓の方の奥の更に奥、そこに不自然な苔むした洞穴があった。不自然と言われれば不自然だが、この洞穴は人工物では無い。この山が出来た時から存在する洞穴。その由緒正しい洞穴の前にスキマ妖怪と現人神と鴉天狗が立っていた。

 

「・・・本当にここにいるんだな?」

「ええ。彼は嘘をつかないですから。」

「その人が本当に嘘をつかないならそうだろうな。」

 

既に雪羽と文の間にはピリピリとした張り詰めた空気が流れていた。その空気に押し潰され早苗は言葉を発する事すらできなかった。そして、その空気を変えるかの様にある人物がここに来た。咲夜だ。彼女はここに降り立つとすぐに雪羽達の方へと向かって来た。

 

「あら雪羽と早苗と文屋じゃない。あなた達も異変の解決に?」

「おやおや咲夜さんじゃないですか、なんで私は名前で呼んでくれないんですかねえ?」

 

名前で呼ばれなかったのが不満だったのか、文は咲夜に聞いたが咲夜はそんな事に耳を傾ける事も無く、そのまま話を続けた。

 

「あなた達も物好きね。いつもなら博麗の巫女が解決する異変を主役である霊夢を無視して解決しようとするなんて。」

「それはあんたも同じだろ?咲夜。」

「博麗の巫女って言いましたけど、一応私も守矢の巫女なんですからね!」

 

自分が巫女である事を忘れられたと思い早苗は、胸を張りながらそう言ったが、この状況だ。早苗の言った事など簡単に、スルーされてしまう。それどころかジャック・ザ・リッパーとして目覚めた咲夜の殺意を向けられる始末である。

 

「何かさっきから殺意を咲夜さんから感じるんですけど・・・。」

「そうかしら?私は解決前のウォーミングアップの相手にしようと思ってたのだけれど。」

 

咲夜は笑顔でそう言った。まあ、本音は殺そうとしていたのだがこの場には雪羽や文がいる。ここで殺してしまえば自分が殺される可能性がある。だから彼女は隠したのだ。そのジャック・ザ・リッパーとしての殺意を。だが、雪羽は気付いていたらしく咲夜を見て、こいつ本当に咲夜か?どちらかと言えば、昔存在した殺人鬼ジャック・ザ・リッパーに似ている・・・。と思っていた。似ているのでは無く本人だが。

 

「さてと、無駄話はここまでにしてさっさと解決しようぜ?」

「そうですね。」

「ええ。」

「分かりました。前みたいに無茶しないでくださいよ?」

 

4人は目を合わせる。そして同時に中へと駆け込んだ。中は薄暗く、所々に松明が置いてあるだけだった。見た感じあと20mくらいか?と雪羽は、走りながら考えていた。そして2分後、最深部へと4人は辿り着いた。そして文はそこにいた人物を見るなり絶句した。

 

「え・・・?嘘・・・?あなたは死んだ筈でしょう!?」

 

文は焦りながらも問う。そんな文を見て雪羽は驚いていた。早苗はなんとか文を落ち着かせようとしていた。咲夜はナイフを既に構えていた。黒髪で着物を着ている女性は文の方を見て微笑みながらこう言った。

 

「久しぶりね。文ちゃん。」

「なんであなたが生きているんですか?茉弥さん!」

 

団扇を茉弥に突きつけながら文は大声で聞く。茉弥は少し悲しそうな顔をすると、文に話し始めた。

 

「ごめん文ちゃん。私にも分からないんだ。だけどねこれだけは分かる。私は文ちゃんとお友達のいや、この幻想郷の敵って事を。」

 

そう言った後、茉弥は狂った様に笑うと背中から木の太い枝の様な触手を生やした。そしてそれを4人に向けるとこう言った。

 

「アハハハッ!ねえ?4人ともかかってこないの?なら私から行っちゃうよ!?」

 

そう言うと茉弥は触手を雪羽達の方へと叩きつけた。今刀華は腕輪のままだ。雪羽はまだ茉弥に対抗できない。そして雪羽は刀華の名前を呼んだ。

 

「刀華!出番だ!」

「分かりました!」

 

刀華は白く美しい刀に変化する。文は避けた後、ボーッとしてしまっていた。伸びる小さい触手を断ち切る咲夜と早苗。雪羽に襲いかかってきた一本を雪羽は踏み台にすると、茉弥の所まで飛んでいった。茉弥は触手を構えると、飛んできた雪羽をはじき飛ばした。威力が強かったのか雪羽は着地と同時に血を吐き出した。

 

「グッ・・・!」

「大丈夫ですか!?」

「ああ。そんなことより文を!」

 

雪羽はそう言うとすぐに戦闘へと戻った。早苗は慌てて文のフォローへと向かう。咲夜は触手を切るのを楽しんでいる様だ。文も戦ってはいたが時々ボーッとしてしまい、早苗にフォローしてもらうしかなかった。戦い始めて5分後、段々雪羽は早苗を守る様な戦い方になっていた。そんな雪羽を見て、茉弥はニヤッと笑うと早苗に触手を伸ばした。触手に早苗は締め付けられる。締め付けられる度に早苗からは苦しそうな声が聞こえる。

 

「てめえ・・・!さっさと早苗を離せ!」

「アハハ!そんなにこの子が大事?ならさあ・・・この子の為に命賭けれる?」

「クッ・・・!雪羽・・・さん・・・こんな奴の・・・言う事なんて・・・聞かないでください・・・!」

「うるさい。」

 

茉弥は真顔になると更に強く早苗を締め付けた。その度に雪羽の顔が青ざめていく。

 

「もうやめてくれ・・・!早苗を離してやってくれ・・・!」

 

茉弥は少し考えた素振りをすると再びニヤッと笑った。そして早苗を離した。早苗が雪羽の所へ向かう。その横を触手が通り、雪羽の体を貫いた。早苗と文と咲夜は驚く。急いで刀華は白狼の姿に戻り雪羽の所へと走る。そして茉弥は再び高笑いを始めた。その床には血が大量に流れていた。薄れゆく意識の中確かに雪羽は見た。泣きながら自分の体を抱く早苗を、そして雪羽の意識は完全に途絶えた。




はいというわけで第29話どうでしたか?
「俺流石に今回は死んだんじゃね?」
じゃあ今回で最終回ですかね?
「流石にダメじゃないですか?」
そう?まあ、雪羽が生きてるかなんて私が決める事だしね。
「うわ〜・・・なんかムカつく。」
まあ許してくれ。では次回も良ければ見ていってくださいね(見ていってくれ)
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