東方境壊伝 【完結】   作:翠月茉弥

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また執筆中クシャミが止まらなかった翠月茉弥です。今回は刀華がいない間の守矢神社での話です。では本編の方をどうぞ〜


第42話 空白

姉妹喧嘩と姉弟喧嘩が終わってから3日後。雪羽は守矢神社でいつもより1人足りない1日を過ごしていた。守矢神社に住んでいる全員はその事に深くは触れず帰ってくるまで待つ事しか出来ない。雪羽は毎日永遠亭に行き状況を確認しに行っているが、未だに目覚める気配は無くただ死なない事を祈る事しか出来なかった。

 

「・・・刀華さんはどうでした?」

 

突如後ろから掛けられた声に雪羽は驚く。後ろを向くと少し悲しそうに微笑んでいる早苗がいた。早苗は雪羽の心境が痛いほど良く分かる。だが掛けられる言葉がこれしか見つからないのだ。雪羽は少し俯くと早苗に向かって話し始めた。

 

「なんとか危険な状態は超えたってよ。・・・ただこのまま目覚めず死ぬ可能性が少なからずあるらしい。」

「・・・そうですか。」

 

何も言えず黙り込む2人。このまま黙っていると雪羽が煙草を吸い始めた。咳き込む早苗に気づきすぐに雪羽は火を消した。一応雪羽は刀華が死んでいなくなってしまうという事に対する覚悟はしていた。だが刀華が重症を負いしばらく目覚めない事に対する覚悟はしていなかった。こう言っては酷い話だがまだ刀華が死んでしまった方が雪羽がここまで思い詰める事は無かったかも知れない。しかし命には変えられない。雪羽にとってはこれで良かったのかも知れない。だが冬華にとっては何事にも変え難い深い後悔に、刀華が目覚めるまでずっと苛まれる事になる。この事により何度か冬華は死のうと喉に小刀を突き立てたがその全ては雪羽と桜花に止められた。刀華が目覚めた時に冬華がいなければ意味が無い。ずっと黙り込んでいると夜になってしまった。さっさと夕食の準備をし夕食を食べ食器を洗うと雪羽は元いた場所に戻った。雪羽は空に映る美しい満月を見る。いつもならば幼馴染みの姿が頭に浮かぶのだが今日は浮かばなかった。代わりに浮かんだのは刀華の姿だった。そしてあの時刀華が言った言葉を思い出す。

 

『嫌です。絶対放しません。たった一人の私の大切な家族ですから。』

 

やはり刀華は妹思いの良い姉だったのか。その事が雪羽の頭の中に浮かんだ。普段の行動から分かるように刀華は人を傷つける事を嫌い無闇に命を奪ったりせず争いを好まない性格という事が良く分かる。だがその性格は自分の受けた仕打ちによって出来た物かも知れない。これが刀華の本来の性格なのだろうがなぜか信じられない自分がそこにいた。その事を悔やんでいると首筋に何か冷たい物を当てられた。

 

「何1人でずっと悩んでいるんだい?」

「私等もいるんだから少しくらい話してくれてもいいんじゃないかい?」

「そうですよ。何も雪羽さん1人で抱え込む事では無いですよ。」

「・・・すいません。」

 

諏訪子によく冷えた酒瓶を首筋に当てられながら雪羽は謝る。神奈子と早苗は少し安心した様な顔をすると雪羽の横に腰掛けた。

 

「というよりいい加減俺の首に酒瓶当てるのやめてもらいませんかね?」

「ん〜?ああ忘れてたよごめんごめん。」

「手に持ってるんですから忘れないですよね!?」

「まあまあ早苗それが諏訪子なんだよ。」

「確かにそうですけど・・・。」

 

全員で諏訪子の持っていた酒を飲み始める。案の定一番最初に早苗が酔い潰れ雪羽に抱きついていた。雪羽は顔を真っ赤にしながら飲んでいたがどこか少し嬉しそうだった。神奈子と諏訪子はこの2人を見ながら酒を飲んでいた。この出来事で雪羽の心は少し晴れたようだ。




はいというわけで第42話どうでしたか?今回も前回に引き続き刀華はお休みです。
「とりあえず今すげー恥ずかしいんだけど。」
そうだろうね酔った勢いとはいえ彼女に抱きつかれてるんだもん永遠に無いとは思うけど私もそんな状況になったらフリーズしちゃうと思うからね。
「お前の話は誰も聞いてない。」
知ってた。では次回も良ければ見ていってくださいね(見ていってくれ)
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