東方境壊伝 【完結】   作:翠月茉弥

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バレンタイン特別編 苦いも甘いも

2月14日。この日は多くの人間が色々な思いを持つ日だろう。だが雪羽にはそんな日など関係ない訳で。というより幻想郷にいる男性陣は殆どバレンタインデーに関心や興味などが無いわけで。女の子からの好意だけは受け取っとけよ朴念仁共。いつもと変わらず寺子屋で仕事をするが何やらクラスの男子陣の気の張り詰め様が凄い。最早授業など聞いてないだろう。

 

「おい男子〜!授業だけは最低でも受けろよ〜!」

 

返事を返さない男子陣。話ぐらい聞けよ!苦笑いしながら全く聞かれてない授業を進める。殆ど誰も聞いてなかったが何とか一日の授業が全て終わった。話聞けよあいつら。つかなんで皆いつかの遼河みたいになってんの?煙草を吸いながら人間の里を歩く。そのまま歩いていると後ろから声が聞こえた。

 

「ちょっといいかしら雪羽?」

「誰だと言いたい所だが何用だ玲。」

「少し頼み事があってね。」

「エイトクラウドはもう辞めたぞ?」

「あらそうなの?残念。」

 

 

声が全く残念そうじゃない玲がそのまま話を続けようとするがその前に雪羽が後ろを向き、玲の方を見る。少し身長差が気になるがとりあえず話し続ける。

 

「で?何をすれば良いんだ?」

「占姫にチョコレートの作り方を教えてあげてくれない?」

「あ〜。なるほど今日はバレンタインか。」

 

バレンタインだったなそういや。俺には縁のない行事だったから覚えて無かったが。縁のないとは言っているが毎年かなりの数のチョコを貰っている為、言っている事は完全に嘘である。とりあえずそれを了承し玲の屋敷へとスキマで移動する。というよりこの幻想郷にチョコの材料なんかあんのかよ?案内されるがまま台所まで行くと手作りチョコの材料がぎっしりと並んでいた。思わず感心する雪羽。

 

「こんな量の材料どこで揃えたんだよ?」

「紫様に頼んでね。」

 

流通ルートは母さんか。ただ一つ問題があるとしたら肝心の玲がいない事なんだよな。キョロキョロと見回しながら玲を呼ぶ。

 

「おーい。出てこい玲。九天 玲ちゃーん?」

「ちゃん付けするな!」

 

喉元に包丁を突きつけられる。だがその状況でも冷静な雪羽が何故か不気味に見られる。

 

「吸血鬼宛てにチョコでも作る気か?」

「そのまま殺されていいならそうしよう。」

「はいはい。とりあえずその包丁を下ろせ。作り方は教えてやるから。」

 

言われるがままに包丁を下ろす。あー怖かった。こいつ殺ろうと思えば確実に殺ってくるもん。吸っている煙草をスキマの中に入れ手を洗い始める。スーツとコートが汚れても困る為スキマにコートとスーツを入れシャツ姿になる。

 

「で?何を作るんだ?」

「チョコに決まっているだろう。」

「チョコと一口に言っても色々あるだろう?」

「うーむ・・・優さんが好きそうなのは知らぬのか?」

「え!?そういやあいつ何食うんだろうな。」

 

・・・あっ優チョコ食えねえじゃん。まあいいか。占姫の頑張りを無駄にしたくないしな。今頃紅魔館では葉ーちゃんが絆にチョコ渡してる所だろうし。というわけで貰う本人は食べられないチョコ作りが始まった。開幕早々占姫がチョコをダイナミックに砕いている所には驚いたが。

 

「・・・お前料理下手くそだろ。」

「なっ!?何を・・・!」

「だってチョコすらまともに作れてねえもんお前。いきなりチョコを包丁で細かく切らずにダイナミックに砕いている奴初めて見たわ。」

 

料理下手な春香でもここまで行かなかったぞ。呆れながら作り方をもう一度教える。こりゃあ素材全部尽きそうだな。占姫への指導は約2時間にも渡った。

 

「出来た・・・!」

「ああ・・・うん。おめでとう・・・。」

 

雪羽が完全に疲れきっているがまあ・・・察してあげよう。結局作ったチョコの種類はトリュフチョコレート。急いで占姫が優へ渡しに行ったが誰が食べるかは分からない。優が頑張って食べるかその他の奴が食べるか。まあどっちでもいいんじゃねえかな。あいつの気持ちは伝わるだろうし。一瞬だけ優しい表情をすると玲が突然胸元に何かを投げた。慌ててキャッチする雪羽。

 

「お礼よ。ありがたく受け取っておきなさい。」

「ありがとさん。態度がでかいのが気に入らんが受け取っとくよ。」

 

そのままスキマを開き守矢神社まで帰る。はあ・・・疲れた。意外と占姫は料理下手だったんだな。ため息を吐きながら歩き守矢神社の玄関へ入る。すると突然早苗と刀華が飛び込んできた。

 

「ちょっ・・・!どうした!?」

「「ハッピーバレンタインです雪羽さん!」」

「ああ・・・うん。ハッピーバレンタイン?」

 

訳が分からないがとりあえず返事を返しておく。ハッピーバレンタインとか初めて聞いたぞ。服についた埃を払いながら立ち上がる。そしてそのまま連れられるがまま居間に行くと何やら凄い光景になっていた。

 

「チョコレートフォンデュ?よくもまあこんな設備を用意したもんだ。」

「えへへ・・・。」

「まあ褒めては無いが、お前らがそれでいいなら良いや。」

 

とりあえず近くにあったイチゴにチョコを付ける。いつもとは違うがまあこれも良いかもな。しばらく何も無いだろうし。この後チョコレートフォンデュで刀華の髪の毛が少し茶色くなったのはまた別の話。




はいというわけで特別編どうでしたか?玲からのは美味しかった?
「まああいつは料理上手だからな。普通に美味かったよ。」
へえー羨ましいなー。Twitterの方で誰から貰いたいかやったんだけど2票ある内玲と占姫から貰いたいって人がいたからね。これを見た方出来れば投票お願いします(宣伝)
「玲はともかく占姫は・・・。」
もう一度教えてあげたらいいじゃん。また凄い事になるけど。
「もうあいつに教えたくねえ。」
では次回の本編の方も見ていってくださいね(見ていってくれ)
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