ジェスターを倒してから30分後。どうやらお燐は混乱しているようでその日に案内してもらう事は叶わなかった。刀華を背負った雪羽は刀華を椅子に座らせると思い出したかの様にスキマを開き何処かへと行った。時刻は23時。もうさとりやこいしは眠っているだろう。雪羽はジェスターを背負って帰ってきた。
「え?雪羽なんでこの人持ち帰って来てるの?」
「ちょっと考えがあってな。刀華は?」
「疲れて寝ちゃったよ。」
「そうか。さてこいつの正体は分かったし明日全員に教えるか。」
雪羽は腕を組むと部屋へと歩いて行った。お燐がまだ少し戸惑っていたがまあじきに落ち着くだろう。とりあえずジェスターは椅子に縛り付けておく事にした。起きた時のあいつの反応が楽しみだ。そして翌朝。さとりが起きて早々大声をあげた。理由を知っている雪羽は少し笑いながら食堂に入ってきた。
「なっ・・・!これはどういう事ですか雪羽さん!」
「お燐を攫おうとしてた奴を捕まえたんだよ。全員来たらこいつの正体を明かす。」
「はあ・・・?」
5分くらいすると全員が集まった。雪羽以外今の所全員寝間着だ。さとりはピンク色の普通の寝間着。こいしは水色の薔薇の刺繍が入った寝間着。咲希は黒色の寝間着だが何故か肩の方がはだけていた。お燐は黒色の普通の寝間着。皆それぞれ違う寝間着を着ていたがそれは気にしない事にする。今大切なのはジェスターの正体だ。するとジェスターから起きたのかうーんと声がした。
「おっと。お目覚めか?」
「なっ・・・!外しなさいよこれ!」
「今は出来ねえな。さてなんでこんな事をしたのか教えて貰おうかジェスター。いやベルちゃん。」
「ベルちゃん言うな!私はベルフェゴールだ!」
「知ってるよ。首につけてたネックレスにそう書いてあったからな。」
雪羽はポケットから銀色の写真の入っているネックレスを出した。そして写真の入っている所を開くと右に写真、左にベルフェゴールと英語で書いてあった。
「右の写真見ていないでしょうね。」
「見たよ。右に写っている人は彼氏か?」
どんどんベルフェゴールの顔が赤くなっていく。雪羽は真顔のままだったが咲希は口元がニヤけてきていた。恥ずかしさからかベルフェゴールは俯いていた。
「・・・お兄ちゃんだよ。」
「・・・亡くなったのか?」
「うん。」
一気に空気が重くなる。雪羽もこれは不味い事聞いたなと思い腕を組んで横に立っていた。すると咲希が手を上げてこう言った。
「あの~・・・そろそろ朝ごはんに致しませんか?ベルちゃんも一緒に。」
「だからベルちゃんって言うな!」
「・・・ああ。後提案があるんだがベルちゃんをここの使用人として雇ってくれないか?」
「だからっ!・・・はあ。」
そろそろ疲れてきたのかベルフェゴールは力なくうなだれた。咲希が朝食の用意をしに厨房へと歩く。雪羽は腕を組んだままじっとさとりの方を見ていた。さあここでどう出る。するとさとりはため息をつくとベルフェゴールの方を向くと縛っている縄を外し、ベルフェゴールに手を差し出した。意味が理解できず手を出すベルフェゴール。さとりはベルフェゴールに向けて笑うと全員にこう言った。
「これで今日から彼女はこの地霊殿の使用人になりました。・・・これでいいのでしょう?」
「フッ・・・流石さとり妖怪話が分かるね。」
そしてすぐに暖かい朝食が運ばれてきた。全員席につくといただきますと一言言い好きな物を皿に運んだ。ベルフェゴールは昨日から何も腹に入れてなかったのかかなりの量の料理を皿に運んでいた。それを見て咲希は嬉しそうに笑う。ベルフェゴールは凄い勢いで皿にある食べ物を食べるとまた新しいのを取っていた。普通に咲希の料理は美味しい。流石は咲夜の妹だ。和洋中色々なバリエーションがあるのにも関わらずその全ては味と栄養のバランスが取れており見た目も華やかだ。雪羽も料理はできるが咲希に及ぶ程ではない。だが何故だろう。鮭の塩焼きが少し塩辛い。普通のならそこまで塩辛くない筈なのだが・・・?まあベルちゃんは構わず食べてるけど。それどころか骨まで食べてるが。たくましいな悪魔は。
「ん?さっきから雪羽全然食べてないじゃん。」
「お前が食い過ぎなだけだ。太るぞ?」
「私はお腹空いてるんだも~ん。」
何処か春香に似た態度をとりながらベルフェゴールはまた鮭の塩焼きを骨ごと食べた。骨が引っかからないのか?すると案の定えづき始めた。可哀想なので背中を撫でてやると骨が出てきた。ツケが回ったな。悪魔のいる所に魚はいないのだろうかベルフェゴールは魚が入っている物を積極的に食べている。まあ、あるか無いかは小悪魔に聞けば早い話だが。雪羽は箸を置くと皿を持ち、椅子から立ち上がった。
「何処へ行くんですか?」
「少し買い物にな。ごちそうさまでした。」
雪羽は朝食を食べた後地底街に出ていた。地底街というのは雪羽が名前無しでは分かりにくいと思い勝手に自分の中で名付けた名前である。雪羽は変わった露店まで歩いて行った。
「おはようございます。2日前ぐらいに売っていた白いコートはまだありますか?」
「ん?あるよ。3000円ね。」
「はい。」
外の世界では少し有り得ない値段で良さそうなコートを買う事が出来た。このコートにはフードが付いており雨も何とか防げそうだ。まあここは地底だが。いつものスーツの上に白いコートを羽織る。長さは膝ぐらいまでか。かなり長い方かな?かなり着心地は良く暖かい。地底では少し暑いくらいだが。肩に赤色で何かマークが書いてあるがなんだろうか?少し剣に似ている気がするが・・・。まあ気にしても意味は無いので気にしない事にする。さて買い物は済んだしお燐に案内の続きをしてもらわないとな。
「・・・変な事にならないといいが。」
はいというわけで第52話どうでしたか?
「なあ白いコートって汚れが目立たないか?」
それを気にするか。まあ大丈夫ですよ。・・・多分。
「まあ私の服も白いですし大丈夫ですよ。」
ナイスフォロー。おかげで助かった。さて次回から本格的に地霊異変が進んでいきます。果たして雪羽は地底か地上どっちの味方につくのか?次回も良ければ見ていってくださいね(見ていってくれ)