東方境壊伝 【完結】   作:翠月茉弥

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第75話 月に叢雲、花に風

満月の光が夜を照らす中、古くからの知人である二人は決着をつけようとしていた。片方は家族を助ける為。もう片方は目的を遂げる為。この戦いがどのような結果になっても幻想郷はそれを受け入れる。残酷だがそういう物なのだ。雪羽が玲に向かってブルーローズを撃つ。それを壁を作り防ぐ玲。雪羽はようやく玲の能力を理解した。

 

「月の光を変化させるのか。」

「ええそうよ。知った所で何かが変わるとは思えないけどね。」

 

そのまま月の光を玲は突剣に変化させ構える。そういえば玲はフェンシング部に助っ人として出たことがあったな。なら確実に恐ろしい攻撃になるだろう。玲は剣を雪羽の喉目掛けて突き刺す。それを刀で防ぐと横に斬り払う。だがその一撃は誰にも当たらなかった。それどころか腹を剣で貫かれた。デビルトリガーを発動している為それ程重傷ではなかったが確かな一撃である事には変わりなかった。口から血を吐き出す雪羽。今の雪羽の表情は悪魔に隠されている為分からない。だが少なくとも悲しい顔をしているのだろう。出会ってからずっと仲良くしている幼馴染み。自分のこの手で彼女を倒す、もしくは殺さなくてはならないのが雪羽には耐えられなかった。躊躇いながら玲にブルーローズを向ける。だがその引き金を引けなかった。

 

「どうしたのかしら?あなたに引き金を引く程の勇気が無いのかしら?」

 

ただ黙る雪羽。この引き金を引けば異変は解決し春香が助かる。だがそれをして春香や凉兄が喜ぶのか?その考えと玲を撃つことに対する躊躇いが雪羽に引き金を引かせなかった。その隙に玲は笑みを浮かべスペルカードを使っていた。

 

光符『月零閃華(げつれいせんか)

 

5本のレーザーが雪羽に向けて飛ぶ。スペルカード宣言を聞き我に返った雪羽が急いで後ろへと飛ぶ。だが躱しきれずレーザーが頬を掠める。更に躱したレーザーが石を弾き飛ばし雪羽の額に当たる。雪羽の視界が血で赤く染まる。ダメージが軽かった為、瞬間で回復したが目に入った血までは消えない。・・・レーザーなのに石を弾き飛ばすってどういう事だよ。ポケットに手を突っ込みスペルカードを取る。そして宣言をする。

 

黒符『リフレティングノワール』

 

黒色のレーザーが複数飛ぶ。それを玲はまた壁を作り防いだ。レーザーが反射し雪羽の方に飛んでいく。飛んできたレーザーを全て刀で斬ると玲が再び突剣で雪羽を刺し殺そうとする。間一髪カカト落としを入れ玲を地に伏せさせる。だが玲は倒れたまま雪羽の足を斬った。刃が骨まで達する。その痛みに耐えながら玲の手を刀で突き刺す。そして顔を蹴る。だが雪羽の横腹に衝撃が走った。戦闘不能までは行かなかったがかなりの大怪我を負った。

 

「能力が働くのは私の手元だけじゃないのよ。」

 

デビルトリガーでも回復しきれない程の傷を負い意識を手放しかける雪羽。このままだったら今までと変わらない・・・!雪羽の心臓の鼓動の音が段々大きくなる。倒れる直前で雪羽の意識が完全に戻り傷が完治した。さっきまでの姿と少し違う雪羽に少し困惑する玲。今の雪羽はデビルトリガー時の見た目を留めたまま赤いオーラを発し、金色に目が光り大剣を持っていた。玲が瞬きをした瞬間、雪羽が後ろに回り掌底で玲の体を吹き飛ばした。

 

「二人から貰った全ての力を失おうともこの異変は終わらせる・・・!」

 

今の雪羽は覚醒とデビルトリガーと狂気を同時に使用していた。このまま続けて体が無事である保証は無い。だがここまでしなければ玲を倒せない。雪羽の力に耐えられなくなってきた刀華。限界を超え気絶する刀華。そんな刀華を抱えるとスキマを開き中へ入れる。その隙を玲が逃す訳も無くナイフを作り、投げたが全て止められた。

 

「どうした?お前が焦るなんてらしくないな。」

「なっ・・・!」

「悪いが少し眠ってて貰うぞ。」

 

全ての魔力妖力をブルーローズに込める。このまま放てば確実にブルーローズは耐えられないだろう。だが撃たなければ勝てない。じゃあな狂気、アスモデウスさん。赤黒い弾を玲に放つ。玲が急いで壁を作るが破壊される。弾が爆発しその衝撃で玲が吹き飛ぶ。衝撃に耐えられずそのまま岩まで飛んでいき頭を強打した。この弾に全ての力を使った雪羽の姿が戻りそのまま倒れる。その手に持っているブルーローズは跡形も無く壊れていた。雪羽にとって最も長く悲しい夜が明けていく。雪羽の目からは涙が流れていた。




はいというわけで第75話どうでしたか?
「ええと・・・これで俺は狂気と悪魔の力を失ったんだよな?」
まあそうだね。だから雪羽の今の力は単純な妖力だけ。弱くはなってないけど能力を何個か失ったね。
「私が耐えきれない程の妖力が流れ込んできましたから気絶しちゃいましたしね。」
刀華って体が弱い訳じゃないのに妖力で気絶するって雪羽の力はどれくらいの強さなの?
「ええと・・・私を1とするとあの時の雪羽さんは10ですかね。」
え・・・10倍!?アスモデウスと狂気の力強すぎでしょ!?
「因みにその内訳は俺3狂気2アスモデウスさん5だぞ。」
アスモデウスが雪羽二人分・・・。じゃあベルちゃんは雪羽1.5人分かな?
「ありえそうで怖い。というより百花繚乱は使わなかったな。」
忘れてたよちくしょう。では次回も良ければ見ていってくださいね(見ていってくれ)
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