仮面ライダー吹雪鬼   作:三澤未命

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三之巻『導く運命』

○東星音大・実技教室

 室内には、十人ほどの学生が楽譜を眺めながら座っている。

 鳴り響くフルートの音色。

 学生の一人が、壇上の芙美(=フブキ)の前でフルートを吹いている。

芙美「……そこ!」

 学生の演奏をストップさせる芙美。

芙美「無理に音を出そうとしないの。必要以上に力を入れると、流れが止まってしまうわ」

 芙美、自ら持っているフルートを口元にあて、同じパートを吹き始める。

 美しい音色が室内に鳴り響く。

 感心して、その音に聴き入る学生たち。

 

○同・教室外の廊下

 鳴り渡るチャイムの音。

 教室から出てくる芙美。

 と、廊下に待ち構えて立っていた右京の姿が。

右京「……先生」

芙美「(微笑んで)あら、おはよう」

右京「おはようございます」

 廊下を歩く芙美。

 そして、その横を併歩する右京。

右京「先生。俺、諦めませんよ」

芙美「何のことかしら」

 平然とした表情で前を見つめたまま歩く芙美。

右京「俺、先生に認めてもらえるよう努力します。音楽の方は、やっぱり俺、オーボエが好きですから、このまま今の教授についてしっかり勉強します。でも、例の仕事については、フブ……じゃなくって、先生についていきたいんです!」

 返事をすることなく、歩き続ける芙美。

右京「まずはもっと体を鍛えなきゃいけないと思って、トレーニングジムにも通い始めました。……俺、本気ですからね」

 そう言って、芙美の眼をジッと見つめる右京。

 動じない芙美。

右京「じゃ、失礼します!」

 元気に走り去っていく右京。

 芙美、その後ろ姿を見送りながら立ち止まり、

芙美「……体が資本ってのは、確かなんだけどね」

 

○オープニング曲

 

○サブタイトル

 三之巻『導く運命』

 

○たちばな・店舗前

 ヒビキの専用バン・不知火のバックラックで、キャンプ装備品をチェックしている香須実。

香須実「……よし!」

 パンパンと手を叩き合わせる香須実。

 たちばなの入口の扉から、ヒビキが出てくる。

香須実「あ、ヒビキさん、準備OKよ!」

ヒビキ「おう! ……しっかし、ホントに大丈夫かい? 香須実サン」

香須実「あったり前でしょう! 運転免許も一発合格! 任しといてちょーだい!」

日菜佳「その一発合格ってのが、怪しい要素ですね~」

 いつの間にか出てきていた制服姿の日菜佳。

 その後ろには、勢地郎の姿も。

 香須実、日菜佳をキッと睨んで、

香須実「日菜佳、アンタは早く学校行きなさい!」

日菜佳「ハイハイッ。じゃ、頑張ってくださいね~」

 いそいそと登校していく日菜佳。

香須実「(笑顔で)全く……」

勢地郎「……香須実、気を付けてな」

香須実「あ、はい!」

 勢地郎に向かって敬礼する香須実。

ヒビキ「よ~っし! じゃ、行くかあ」

 助手席に乗り込んでいくヒビキ。

香須実「じゃ、行ってきます!」

 バックラックを閉め、運転席へと向かう香須実。

 不知火に乗り込んでシートベルトを閉め、バックミラーに映る勢地郎に向かって軽くポーズ。

香須実「レッツ、ゴー!!」

 勢い良く発車する不知火。

 それを笑顔で見送る勢地郎。

 

○とある海辺

 音撃弦・閻魔を片手に、大きくジャンプする裁鬼。

 そして、海辺を走って、バケガニの怪童子と妖姫に斬りかかる!

 裁鬼、華麗に立ち回り、妖姫を閻魔で突き刺して粉砕!

 と、そこを背後から怪童子に羽交い絞めにされる。

裁鬼「ウッ!」

 そこへ上空から降り立つ影一つ。

 裁鬼の弟子・蛮鬼だ!

 ベース型音撃弦・刀弦響で怪童子にひと太刀浴びせて裁鬼を助ける蛮鬼。

 のけぞって裁鬼から離れる怪童子。

裁鬼「おう、サンキュ!」

 蛮鬼、無言で頷いて怪童子に止めの一撃を浴びせて粉砕!

 と、海岸からバケガニが出現!

裁鬼「ようし、行け! 蛮鬼!」

蛮鬼「はい!」

 バケガニに向かって走る蛮鬼。

 刀弦響でバケガニの脚を次々と切り落としていき、その腹元へ潜り込む。

 蛮鬼、刀弦響をバケガニに突き刺して、音撃震・地獄を取り付ける。

蛮鬼「音撃斬・冥府魔道」

 刀弦響をかき鳴らす蛮鬼。

 その重厚な音色がバケガニに伝道!

 そして……、爆発!!

蛮鬼「ふぅ……」

 刀弦響を地面に置いて、一息つく蛮鬼。

 そこへ、裁鬼が顔の変身を解きながら歩み寄ってくる。

サバキ「だいぶサマになってきたな」

 顔の変身を解くバンキ。

バンキ「あ、ありがとうございます」

    ×   ×   ×

 ベースキャンプ地へ戻るべく歩くサバキとバンキ。

サバキ「で、どうすんだ? 大学の方は」

バンキ「……正直、決めかねてます。やっぱり、二束の草鞋ってのは、甘いもんじゃないでしょうからね」

サバキ「しかし、大学でやりたいこともあるんだろ?」

バンキ「それはそうですが……」

サバキ「ま、決めるのはお前自身だからな」

 サバサバと言い放つサバキ。

 そして、真剣な表情でその後ろを歩くバンキ……。

 

○トレーニングジム

 ベンチプレスを上げている右京。

右京「……九十九……、ひゃ……く!」

 一息ついて、トレーニング器具から体を起こす右京。

 首からかけたタオルで汗を拭いて、軽く体を動かす。

右京「……よし!」

 立ち上がり、続いてランニングマシンに乗る右京。

 設定ボタンを押して、ランニングを始める。

 と、そこへ近寄ってきた女性インストラクター。

インストラクター「薄葉さん、張り切ってますね!」

右京「(そのまま走りながら)は、はい! そりゃあもう!」

インストラクター「でも、無理しちゃダメですよ。筋肉にも休息が必要ですから」

右京「あ……、はい」

 立ち去る女性インストラクター。

 右京、一度マシンを止めて、設定を一段階軽く調整する。

 

○たちばな

 入口からフブキが入ってくる。

フブキ「こんにちは」

 中には、勢地郎が奥の椅子に腰掛けていた。

勢地郎「おやおやフブキ君、珍しいね。……そういや、大学で臨時講師やってるんだって? 相変わらず忙しいねぇ」

フブキ「ええ。相変わらず忙しいです」

 すまし顔のフブキ。

 ちょっと咳払いをする勢地郎。

フブキ「……ところで、ディスクのメンテナンスが出来てるって聞いたんですが」

勢地郎「ああ、研究室の方だねぇ。……そうか、フブキ君は、みどりと会うのは初めてだったね」

フブキ「はい」

勢地郎「じゃ、紹介がてら、一緒に行くか」

フブキ「お願いします」

 勢地郎、棚から『準備中』のプレートを取り出して、出入口の方へと進む。

 扉を開け、表にそのプレートを掲げる勢地郎。

 閉められる扉。

 

○同・地下研究室

 ディスクをチェック中のみどり。

 そこへ、勢地郎とフブキが入ってくる。

勢地郎「みどり」

みどり「(振り向いて)あ、お疲れ様です」

勢地郎「こないだ話してたフブキ君だ。……こちら、新しく研究室長として来てくれた滝澤みどりさん。元々こっちの出身で、ヒビキとは中学の同級生なんだ」

フブキ「そうですか。どうぞよろしく」

 軽く頭を下げるフブキ。

みどり「よろしく~。そう……、あなたが、フブキさん……」

 マジマジとフブキを見つめるみどり。

フブキ「何か?」

みどり「いえいえ! 何でもないの!」

フブキ「(周囲を見渡しながら)ディスクのメンテは出来てるのかしら?」

みどり「ああ、そこに置いてあるわ」

 みどり、そう言いながら席を立つと同時に、机の上で山積みになっていた書類がバサッと床に落ちる。

 みどり、気にせず別の机の上にあるディスクを手に取り、

みどり「フブキさんは……、茜鷹と、黄赤獅子だったわね」

 フブキ、ニコニコしながら話しているみどりに向かって真顔で、

フブキ「あなた……、ガサツね」

みどり「え?」

 苦虫を噛み潰したような表情になる勢地郎。

フブキ「それに何? これは。あなた、モノを食べながら仕事してるの?」

 フブキ、そう言いながら机の上にあったスナック菓子の袋をつまみ上げる。

みどり「よ……、余計なお世話よ! 私は、ちゃんとした仕事をしてます!」

 勢地郎、慌てて二人の間に入り、

勢地郎「まあまあ、みどり。落ち着いて」

 フブキ、自分のディスクを手に取り、疑念の表情で見回す。

みどり「……あなたこそ、何なのよこのシフト! ちょっと休みが多すぎるんじゃないの!?」

 みどり、そう言いながら机の上にあったシフト表をつかんでフブキに示すように掲げる。

フブキ「そっちこそ余計なお世話ね。シフトについては、他の人たちと調整済みよ」

勢地郎「……その間、フブキ君は北海道のコンサートに帯同してるんだ」

みどり「何よソレ!? 猛士の仕事はどーでもいいってわけ!?」

フブキ「他の時期にその分働いてるわ。一点だけを見て判断しないでほしいわね」

勢地郎「まあまあ、二人とも……」

 冷や汗をかきながら、二人を分ける勢地郎。

 フブキ、冷たい表情でみどりを一瞥しながら、

フブキ「では、私はこれで」

 研究室を出ていくフブキ。

 プイッとふてくされるみどり。

勢地郎「あ……」

 ガックリとうなだれる勢地郎。

 

○同・店舗前

 扉から外に出てきたフブキ。

 店の前に駐車してあった専用バン・結晶に乗り込む。

 運転席でディスクを再度眺め、それを助手席にあったケースにしまって、結晶のエンジンをかける。

 発車していく結晶。

 と、そこへ入れ替わるようにやってきたサバキの専用バン。

 たちばなの前に停車して、助手席からサバキが降りる。

 サバキ、結晶が走り去る方を見つめながら、

サバキ「今のは、確か……」

 

○同・店頭

 入口から入ってくるサバキとバンキ。

サバキ「こんちは!」

 誰もいない店内。

サバキ「ありゃ?」

バンキ「誰も、いませんね……」

サバキ「おーい、おやっさーん!」

 奥の方を覗き込むサバキ。

 

○同・地下研究室

 イライラした表情のみどり。

勢地郎「まあ、そうカリカリするな」

みどり「だって……」

 そこへ、ひょこっと顔を出すサバキ。

サバキ「お、いたいた」

 研究室内に入ってくるサバキとバンキ。

勢地郎「おお、サバキか。バンキ君も……。ご苦労さん、ご苦労さん」

サバキ「よっ、みどり。室長就任、おめでとさん!」

みどり「……ありがとうございます」

 ふてくされた表情のまま、チョコンと頭を下げるみどり。

サバキ「……あれ? 何かあった?」

 みどりの様子を見て、勢地郎の方を見遣るサバキ。

勢地郎「いや、その……」

 言いにくそうに、みどりをチラ見する勢地郎。

みどり「はあ……」

 溜め息をつくみどり。

 顔を見合わせるサバキとバンキ。

 

《CM》

 

○とある山中

 ベースキャンプを張っているフブキ。

 机に広げた地図をジッと見つめる。

 と、振り返って、結晶のバックラックからディスクアニマルのケースを数個取り出し、地面に置いて蓋を開ける。

 十数枚並んだディスクの中に、数枚の空間が。

フブキ「あ……」

 フブキ、結晶の助手席の方へ歩き、ドアを開ける。

 そこから、先程受け取ったディスクを取り出し、地面に並べたケースに差し入れる。

 腰から音笛を抜いてひと吹き。

 ディスクがキラキラと光り出し、順々にアニマル化して、十数匹の茜鷹が空へとはばたいていく。

フブキ「よろしくね」

 茜鷹を笑顔で見送るフブキ。

 

○たちばな・地下研究室

 事情を聞いて、身を乗り出すサバキ。

サバキ「俺もな、アイツのやり方は前から気に入らねーと思ってたんだよ!」

みどり「でしょ? あれで満足な仕事が出来てるのかしら、全く」

勢地郎「ん~まあ、やるべきことは、ちゃんとこなしてるからねぇ……」

みどり「でもやっぱり、あれじゃあどっちつかずなんじゃないかな!」

 みどりの言葉に、ちょっと恐縮気味になるバンキ。

 勢地郎、そんなバンキに気付いて、

勢地郎「……そう言えば、バンキ君も迷ってるところなんだよねぇ?」

 ハッとした表情になって、思わず頭を掻くサバキ。

みどり「え? どういうこと?」

勢地郎「バンキ君は、もう独立の内定が出てるので早々にコードネームも取得したんだけど、大学進学っていう希望もあるんだよねぇ」

バンキ「はい」

みどり「そ、そうなの?」

 そう言って、バンキの方を見るみどり。

 サバキ、大きく息を吸って、乗り出していた腰を椅子に下ろす。

勢地郎「……で、例の資料には目を通したのかい?」

バンキ「はい」

サバキ「何だ? 例の資料って」

 バンキの方を振り向くサバキ。

バンキ「その……、僕自身のことを考えるにあたって、事務局長にお願いして、フブキさんの記録を送ってもらっていたんです」

サバキ「フブキの?」

バンキ「はい。……あの人は、今、サバキさんやみどりさんが言ったようないいかげんな人ではないと思うんですよね」

 バンキの言葉に、思わず表情を変えるサバキとみどり。

 そして、わずかに口元を緩める勢地郎。

バンキ「あの人はプロのフルート奏者として活躍しながら、猛士の仕事でも、ミスらしいミスは一切ないんですよね。……それに、関東支部でオフになっている間も、演奏会に参加する傍ら、他支部の魔化魍退治のサポートに入ったりもしてるんです」

みどり「サポート?」

勢地郎「まあ、あの武器の使い手は少ないからなあ……」

 みどり、勢地郎の言葉を聞いて、机の上にあった関東支部メンバーのファイルをパラパラッとめくる。

 フブキのページを見つめ、真剣な表情で固まるみどり。

サバキ「(重い空気をかき消すように)……ま、どっちにしろ、アイツは性格悪いからな。バンキ、そういうトコは見習うんじゃねーぞ?」

バンキ「(笑って)はい」

 にこやかにそれを見る勢地郎。

 そして、一人考え込んだ様子のみどり。

 

○右京の自宅

 部屋で、オーボエのリードを手入れしている右京。

 綺麗に拭いたリードを隅々まで確認し、オーボエ本体に差し込む。

 ひと吹きしようとしたところで、ふと時計を見る右京。

右京「……あ、もうこんな時間か。バイトバイト!」

 立ち上がる右京、クローゼットを開いて上着を出す。

 

○とある山中

 ベースキャンプ中のフブキ。

 椅子に座って、資料を読み耽っている。

 と、そこへ探索から茜鷹が戻ってくる。

 空中でディスク化して、フブキのもとに落下。

 それをキャッチして、音笛で再生するフブキ。

フブキ「(ディスクを読み取って)……これか」

 音笛からディスクをはずし、少し感心したような表情でそのディスクを眺めるフブキ。

フブキ「ふーん……」

    ×   ×   ×

 茜鷹の先導で山道を走るフブキ。

 と、大きな木のある辺りで茜鷹が空中旋回。

 立ち止まるフブキ。

 木の陰からウブメの童子と姫が現れる。

姫「鬼……ですか」

フブキ「ご名答」

 フブキ、腰から音笛をはずして口元へ。

 ひと吹きし、フブキの周りを真っ白な吹雪が包み込む!

 手刀でその吹雪を断ち切って、仮面ライダー吹雪鬼、見参!

 そして、童子と姫も、それぞれ怪童子と妖姫に変化する。

 吹雪鬼、手裏剣を飛ばして怪童子と妖姫を威嚇。

 そして素早く走り寄り、銀色に輝く右拳で妖姫にパンチ!

 そのヒットした箇所を中心に、妖姫全体に銀色のヒビが延びていって、爆発!

 しかし、そのスキに怪童子が吹雪鬼の腰元に絡みつき、ベルトの音撃鳴・さざれを取られてしまう。

吹雪鬼「ハッ……」

 そして、怪童子は吹雪鬼から離れると、大きく口を開けてさざれを飲み込んでしまった!

吹雪鬼「ええっ!?」

 吹雪鬼にアッカンベーをする怪童子。

 と、次の瞬間、怪童子の腹に数箇所、針で刺したかのような穴が開き、体内から銀色の光が噴き出した!

怪童子「アワワワワワ……」

 困惑する怪童子、全身がブルブルと震え始める。

 そしてついに……、爆発!!

 四散した怪童子の辺りに、半分ほどに砕けてしまったさざれが、カランと舞い落ちる。

 吹雪鬼、近寄ってその砕けたさざれを拾い上げる。

吹雪鬼「なんてことでしょ」

 

○たちばな・店頭

 店内の奥で電話している勢地郎。

勢地郎「……そうか。そいつは大変だったねぇ……。うん……」

 そこへ、入口の扉が開いてヒビキと香須実が帰ってくる。

ヒビキ「いやあ、なかなかやるじゃないの、香須実さん!」

香須実「そりゃ私だって、この日のために修行してましたら!」

 にこやかに店内に入ってくる二人。

 勢地郎、電話しながら、ご苦労さんの合図。

 勢地郎の様子を見て、口を閉じて顔を見合わせるヒビキと香須実。

勢地郎「……分かった。いま、丁度香須実が帰ってきたんで、すぐ、そっちへ行かせます」

 香須実、ギョッとした表情。

勢地郎「……はい、じゃ」

 電話を切る勢地郎。

香須実「え、何? なんかあった?」

勢地郎「いや、フブキ君からだったんだが、さざれを童子に食われちまったってことなんで、代わりを持っていってやってほしいんだ」

ヒビキ「ありゃま」

勢地郎「疲れて帰ってきたとこ、悪いんだけど……」

香須実「OKOK! 任せといてよ!」

みどり「……私も連れてって」

 いつの間にか地下から上がってきていたみどりが一言。

みどり「あの人の現場、一度見ておきたいの……」

 みどりの様子を見て、アイコンタクトで微笑み合う勢地郎とヒビキ。

香須実「……よし! じゃ、急ぎましょ」

 

○とある山中

 上空を飛び回るウブメ。

 山岳地帯を走る吹雪鬼、手裏剣を投げてウブメを威嚇。

 大きく旋回したかと思うと、吹雪鬼の方へ急降下してくるウブメ。

 吹雪鬼、咄嗟に転がり込んでこれを避ける。

 再び飛び上がるウブメ。

吹雪鬼「……結構、育っちゃったわね」

 

○道路・不知火の車中

 運転席に香須実、助手席にみどり。

香須実「……フブキさんと、喧嘩しちゃったんですって?」

みどり「まあねぇ……」

 苦笑いするみどり。

香須実「とっつきにくい人ですけど、悪い人じゃあないと思うんですよね……」

 黙っているみどり。

 所在なげな様子の香須実。

香須実「……ところで、ヒビキさんは何しについてきたのよ?」

 後部座席には、寝っ転がるようにくつろぐヒビキの姿が。

ヒビキ「何しにってことはないでしょ。護衛ですよ護衛!」

 野次馬根性丸出しのヒビキ。

 不知火、さらにスピードアップして疾走していく。

 

○とある山中

 丘の上に静かに立っている吹雪鬼。

 と、左の林からウブメが飛び出す!

 フルート型音撃管・烈雪で鬼針を吹射する吹雪鬼。

 一発、二発とウブメに命中する鬼針。

 ウブメ、軽く旋回して右の林へ逃げ込んでいく。

 と、またすぐに林から飛び出すウブメ。

 その後ろには、茜鷹が数匹飛び回る。

 再度鬼針を吹射して、ウブメに打ち込んでいく吹雪鬼。

 と、その時、後方に不知火が到着。

 ドアを開けて飛び出す香須実。

香須実「お待たせ!」

 香須実、手に持っていた音撃鳴・さざれを吹雪鬼に向かって投げる。

 さざれをキャッチする吹雪鬼。

吹雪鬼「ありがと」

 吹雪鬼、さざれを烈雪に取り付けて、目の前で旋回するウブメに向かってジャンプ!

 不知火の助手席から、みどりがゆっくりと降りてきて、吹雪鬼の動きを真剣な眼差しで追う。

 吹雪鬼、動きの素早いウブメに合わせ、音撃の響きやすい位置へとジャンプ移動しながら、烈雪を吹き鳴らす!

 四方八方から響き渡る烈雪の音色。

 まるで、この山岳地帯の一角がコンサートホールと化したように、美しいフルートの音色で包まれる。

 思わず中空を見渡すみどり。

 忍者のような動きで烈雪を吹き続けていた吹雪鬼が、元いた丘の上に着地。

 上空のウブメは、空中でブルブルと震えながら動かなくなり、……ついに爆発!!

 身体を上げる吹雪鬼。

 そこに舞い降りてくる茜鷹、吹雪鬼の右肩に止まってひと鳴き。

ヒビキ「よっ、ご苦労様!」

 不知火に寄りかかったままで、吹雪鬼に向かってシュッのポーズを送るヒビキ。

 顔の変身を解くフブキ。

フブキ「あら、ヒビキ君まで」

 と、そこへ歩み寄るみどりにフブキが気付く。

みどり「……悔しいけど、ちょっとだけ感動しちゃった。……ご苦労様!」

フブキ「……フッ。あなたもなかなかいい仕事、してるわね」

 フブキ、そう言いながら右指に移った茜鷹に軽くキス。

 微笑むみどり。

香須実「……よ~し! じゃ、帰りにおいしいもんでも食べに行きましょう! ……ヒビキさんのオゴリでね」

ヒビキ「……ええ!?」

 ズッこけるヒビキ。

 霧でかすむ山岳地帯に、四人の笑い声がこだまする……。

 

○三之巻 完

 

○エンディング曲

 

○次回予告

 たちばなで話す勢地郎とバンキ。

バンキ「挑戦、というほどのものではありませんが……」

 右京と話すフブキ。

フブキ「中途半端な覚悟では、大怪我するだけよ」

 部屋で思いに耽る右京。

右京「鍛えなさい……か」

 四之巻『開かれる道』

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