しかし、我ながらこの商店街、原作より闇が深くなってる気がする。
「論外ね」
紫吹の誘いに、凛ははっきりと『ノー』という答えを示した。
なぜか、と紫吹が聞くが、こればかりは、頑なに凛も答えようとはしない。
そのうち、ついに紫吹が折れて、案内の続きを受けることとなった。
「…………」
「なに?まだ、りんの事引きずってんの?気にしちゃダメだし」
イブが心なしか元気のない紫吹に言う。
「……なあ」
「なに?」
「……いや、なんでもないわ」
「さ、ここが次……っても、まりかの家なんだけどね」
「紫吹さんっ!ようこそ、サウダージへ!」
次の案内場所は、霜月書林の隣――レコード屋、『サウダージ』まり花の実家である。一行がサウダージの前につくと、まり花が前に出て説明を始めた。
「えとえとっ、わたしの家はレコード屋さんで、お父さんの趣味で、今風の音楽はないんですけど、昔のいい曲が沢山あるんですよっ!」
「レコード?CDじゃなくて?」
「はい、レコードですっ!」
「へええ……珍しいな、レコード屋ね……それじゃ、その手のマニアの人は結構来るんじゃないの?」
「そうですね、たまに来ます!」
「……おや、お客さんかい?」
店の前での話し声を聞きつけてか、まり花の父――滋が店から出てきた。
「あっ、お父さん!」
「この人が?……娘さんにお世話になっております、如月 紫吹と申します」
紫吹は、滋に向かってわざとらしいくらいにかしこまって挨拶をした。
「そうか、君が……まり花ちゃんから聞いてるよ、バンドに入ってくれたんだってね」
「はい、『ほかのみんなとは住んでる場所が離れてる』のが少々不便なんですけどね、それに、僕は楽器を始めてまだほとんど経ってないズブの素人ですから、まだまだ力にはなれそうにもありませんが、できることがあれば、僕もこの商店街のために尽力させていただきます」
「ははは。……たくさん練習して、うまくなって、ぜひそうしてくれよ?」
滋が明るい口調で言う。
すると紫吹は、ほうっと深くため息を一つついた。
もとより、多少は商店街の人々に疎まれることは覚悟していた紫吹であったが、もしも、バンドメンバーの親族からそんな反応を取られたらどうしようか、とそんな心配をしていたのだった。
「はい……ぜひ!」
しかし、それは杞憂であった。
「商店街のために、ね……」
それを、横で盗み聞きしていた少女――凛は、噛み締めるようにそう言った。
そして、その後、自身の父のことを思い出す――やはり私は、バンドなんてやってはいけない。――やるべきではない。
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……ま、増えるんだしいいや。
ところで、イチャイチャパートor百合パートって需要あるんでしょうか、ちょっと聞いてみたい気もします。まあ、百合は本家で十分かもですけどね。