凛として咲かせ、大輪の花   作:ビス子

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黒歴史ノートを親に見つかるのとかって、ものすごく恥ずかしいですよね!
……僕は三回ほど見つかってます。今回はそういう話です。
問題は、そこで止めるか、止めないかなんだ!


三十四曲目  目的

「そういえば、バンドやってるんだっけ?おじさんとしては、ものすごーく演奏が聴きたいんだけど……」

みんなのゲーム攻略が一段落したころ、明がついにパンドラの箱を開いた。

あろうことか、自分が女の子のマネをして一生懸命歌っているのを聞かれるなど、まともな神経をしている人間なら、少し自殺を考えてもおかしくないレベルの出来事である。紫吹は、今日は楽器は持ってきていないし、演奏を聞かれることはないだろう。そう、楽観的に捉えていたのだが、現実はそうは甘くない。

「はいっ!録音してきたので、どうぞっ!」

「なっ……!?」

まり花が、明にテープレコーダーを手渡す。いつの間に撮ったのかは知らないが、とにかく、アレを聞かれてはまずいと、紫吹は本能的に感じ取っていた。

「まず一曲目は、私たちの商店街のマスコットキャラのひなちくんのうたです!」

テープレコーダーから、どことなく気の抜けたイントロが流れ出す。

一瞬焦った紫吹だが、よく考えれば、自分はひなちくんのうたは歌ったことがないと思い出し、なんとかこの先の解決策を考える。

が、ひなちくんのうたは思った以上に短く、すぐに終わってしまう。

 

「二曲目は、私たち日向美ビタースイーツの初めての曲、恋とキングコングですっ!」

二曲目は、新曲の恋とキングコング。ボーカルはまり花一人なので、ここでも自分の出番はないと、紫吹は安堵する。

しかし、物事の根底が解決したわけではなく、依然危険な状況であることに変わりはない。確か、フルなら4分20秒くらいあるはずだ、と思い出し、必死にフルであるようにと願う。願う時間があれば考えればいいのだが、そんなことができる精神状態ではない。

そうこうしていると、幸運にもフルバージョンであった恋とキングコングも、すぐに終焉を迎える。策は依然ない。

 

「それでは、三曲目、最後の曲です!この曲は、私たちがバンドを組むきっかけになった曲で、みんな思い入れがあって……大好きな曲なんですっ!『凛として咲く花の如く』です!」

まり花がすごくいいことを言っているが、今現在の紫吹には、思い入れというよりも、むしろトラウマができそうな気持ちでいっぱいである。何を隠そう、この曲は、歌っている。

なんだか、ものすごくいい感じのことを言われたので、強制的に止める、ということはできない。完全に八方塞がりであった。

終わったな、と、紫吹はすべてを諦め、達観したような表情でテープに耳を傾ける。

しかし、明は笑ったりなどは一切せず、ただしっかりと音楽に聞きほれるようだった。

それを見て、紫吹は、これまでのことが、すべて杞憂であると悟った。

一生懸命に行動する人の姿は、他人の胸を打つのだ、と、改めて実感したのだ。自分が、このバンドに加入したのも、きっとそういうところが原因なんだろうと理解した。

 

「…………紫吹、なかなかよかったぞ」

凛として咲く花の如くを聞き終え、明が言う。

「……父さん」

心なしか、晴れやかな表情で、紫吹が応える。

すると、明は、少しだけニヤリと、悪戯っぽい笑みを浮かべて「……女の子のマネもなかなかうまくなったじゃないか」と付け足した。

「…………いやああああああ!やめてええええええ!!!!」

「いやー、ほんと前に比べるとうまくなったよなあ?」

「うわあああああん!マジで!マジでやめて!みんないるから!」

「大丈夫ですよ」

恥ずかしさに悶絶する紫吹に、咲子が優しく声をかける。

「心配しなくても、とってもとっても可愛かったのです。だから、とってもとっても大丈夫なんですよ?」

完全にトドメであった。

 

その後、一連の騒動が収まると、まり花が凛にあることを聞いた。

「……ねえ、りんちゃん、私たちの演奏、どうだったかなっ?」

少々、強引に凛を引きずり出したまり花の目的は、もう一つあったのだった。




書いてて思うんですが、この小説中のまり花は、若干、策士、というか、天才肌ご都合主義というか、入ってる気がする。まあ、リーダーだしいいや!
……最近、感想の返信を書くのが楽しみでしょうがないです。長々と書いててなんかすみません、その分の努力をもうちょっとこっちに割くべきか……
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