「………………」
「………………」
少し時は流れて夕食時。ここまで、紫吹とめうの二人はなんともなかった。
しかし、夕食後、二人は閉口することとなる。
二人の前にある、その物体によって……
ーーちくわパフェ。これが、二人の好物であることは周知の事実である。
そして今、二人の目の前にある物体は、紛れもなくソレだ。
しかし、二人の手は動かない。
普段ならば、喜び勇んで食べ始めるところだが、その手に持ったスプーンはてこでも動く様子はない。
というのも、二人の間に、ある共通の考えが浮かんだからである。
ーー不味い。それが二人の感じる、ただ一つの感情だった。もはやこれはちくわパフェではない。二人は何か、異質なモノを食べていた。
シンプルにして最大の壁、味の問題である。
まだ凛から受けたダメージの残る二人にとって、これはあまりに過酷な試練であることは疑いようのない事実であった。
だが、彼女はまだ諦めていなかった。
「………………はむ」
めうが、その小さな口にちくわパフェのような何かを放り込んだ。小さな一口ではあるが、これは彼らにとっては大きな一口だった。
「………………ぐ」
それに負けじと、紫吹もソレを口に運ぶ。
下手をすればトラウマになり、金輪際ちくパが食べられなくなるかもしれないレベルの拷問ではあるものの、不味いとは言い出しにくい雰囲気の中、無心で二人はちくわパフェを食べ続ける。
「め……めうもう、だめ……」
「!…………芽兎……」
紫吹より少し先にちくわパフェを食べ始めためうは、先に目の前のそれを平らげる。しかし、すでに限界のようで、完食と同時にダウンしてしまった。
一緒にこの苦行を共有していためうという精神的支柱を失った紫吹にとっては、二重に辛い状況となった。
紫吹はいっそ、めうの様にダウンしてしまいたかったが、まだ気絶は出来そうにない。必死でちくわパフェをかきこみ続ける。
「……ごふっ」
紫吹がちくわパフェを食べ終えたのは、そう遠くない時間だった。めうを失った彼は、ヤケを起こしたか一気にちくわパフェを全て食べてしまったのだ。当然、それ相応のダメージを負った紫吹は、すでに満身創痍だ。凛からの物理的ダメージと、ちくわパフェの精神的ダメージ。二つの大ダメージを受けた彼は、やがてその意識を手放した。
「……めう?めうはどうやってお家に帰っためう?不思議めう……おっかしいめう……」
「……大変だったんだからな」
次の日、紫吹が色々詮索されたのはまた別の話である。
ちくわパフェ食べました。ダイアナさんでなく、自分でパフェにちくわぶっ刺した代物ですが。…感想?はは。わかるでしょう?