ぶっつけで書いてはいけない(戒め)
ちくわパフェ、倉野川市、日向美商店街にある純喫茶、シャノワールのオリジナルメニューである。
概要としては、パフェにちくわをぶち込んだだけという、とても前衛的な姿形をしている。
なんでも、このちくわパフェのために、シャノワールではチョコレートパフェがメニューから消えたとかなんとか言われるいわくつきメニューだ。
評判はというと、賛否両論である。
食べればハマる人もいることにはいるが、そのあまりなビジュアル面と、隠そうともしない堂々たるネーミングから、そもそも頼もうとする人もそんなにいない上、合わない人の方が多かったりもするのだ。
が、ハマる人はとことんハマる。
―たとえば、この、山形まり花のように。
「はあぁ……久々のちくパおいしいよぅ……」
やっとちくわパフェにありつけたまり花が、嬉しそうに言う。
「やっぱり理解に苦しむし……」
それを見ているイブは複雑そうな表情だ。
「ねえさきこ、これ、他に頼む人っているの?」
ふと、イブが素朴な疑問を口にする。内心、まあ、いないだろうな、という答えを既に想像していたが、返答は意外なものだった。
「えっと、二人ほど……」
「ウソぉ!?」
「ふふん、イブ?ちくパは既にグローバルな存在なんだよ!」
まり花が得意げに言う。
「なんでまりかが自慢してんのさ……」
まり花を含めて三名でグローバル、というのもなんだかおかしい気がするが、まり花にツッコミを入れていたら日が暮れてしまう。イブは早速本題に入ろうと、咲子に切り出そうとした。
「あのさ、さきこ……」
しかし、またしても邪魔が入る。
ここは喫茶店で、咲子はその店員なのだから、邪魔者というわけにはいかないのだが― お客さんである。
「……おい、月浦、なんでお前俺の後ろから入んの?」
「いや、だって俺、ここ来たことないしさ……」
「うーん……俺もこの時間にここ来たことないんだけどなあ……」
「来たことあるだけでもいいだろ?」
「そりゃな」
男の二人組、服装から学生であることが見て取れる。あの制服は確か、凛の通う天神学園の制服だったような……と、イブがまじまじと邪魔者コンビを見ていると、どうやら片側に気付かれたようだ。
「おい、あそこの子、俺らの方見てないか?」
「いや、ないだろ、フラれすぎてついに幻覚見るようになったか?」
「馬鹿言うな、今の俺はあの子一筋だよ」
「へいへい……すいません、ちくわパフェ二つ」
「俺はチョコパフェで」
「……すみません、チョコパフェはメニューになくて……」
「えええ!?」
イブは、当然の反応だ、と思った、チョコパフェがないことを知らないことと、先ほどの言動から、片方はもう片方に初めて連れてこられたのだろう。あまり考えたくはないが、もう片方の方はさっき咲子が言っていた二人の内の片割れで、そして……ちくパを食べさせるつもりだった?
「まあ、そう言わずに作ってやりなよ、さきこ、前はメニューにあったんだから、新しく値段設定とかはしなくていいんだし」
恐らく、相方に、ちくパを食べさせられることになるであろう男子がいたたまれなくなったイブは、咲子にチョコパフェを作るように頼んだ。
町おこしをするというのに『あれ』でトラウマでも作られてはたまったものではない。
「でも、材料が…」
ああ、それを忘れていた。イブは、心の中であの哀れな男に合掌をした。
「残念だったな月浦、俺の頼んだちくわパフェとかどうだ?……そういや二つ頼んでたなあ……?」
「ぐ……卑怯だぞ如月……」
「ははは、何とでもいうがいい!」
その時、イブに電流走る―
思いつく、起死回生の策……!
「あー、さきこ?私、苺パフェね?」
「!俺もそれで」
やった、なんとか助け舟を出すことに成功した。イブはこの時、間違いなく人を一人救ったのだ。
「くそう、ちくパを広める作戦が……」
もう片方は本当にちくパが好きらしい、もしかしたら、いや、しなくてもまり花と気が合うのではないか……
「ふぅ、おいしかった!」
そうこうしているうちに、まり花はちくパを食べ終えてしまったようだ。
……さて、そろそろ本題に入ろうか。
「さきちゃん!もう一杯!」
「ああ……まりか?本来の目的忘れてない……?」
「?イブ?なんか言った?」
この親友は、本当に真剣なんだろうか、イブは少し心配になった。まあ、こういうふわふわした所もまり花の魅力の一つではあるのだが……
「……まりか、あんたねえ……太るよ?」
「う、それは困るよっ!?ライブとかで衣装が着れなくなっちゃうよ!?」
「そうそう、だからその辺でやめときなって」
「……それで、さきこ、答えを、聞きたいんだけど」
イブが切り詰める。
「…………」
しかし、咲子はまだ答えが出ず、口をつぐむ。
そうしたまま、幾許かの時が流れる。
「ちくパ……」
「さきちゃん……あそこの人、ちくパ待ってるよ?」
またしても邪魔が入る、イブにはほとんど聞こえなかった呟きだが、同じちくパ好きのまり花の耳にはばっちり入ってしまったらしい。
「は、はい!ありがとうございます、まりかちゃん!」
もう一度、咲子が店の内側に入る。
「……ねえ、イブ」
まり花が話しかける。先ほどまでとは打って変わって真剣な表情だ。
「……うん」
「もしかして、さきちゃん、なにかバンドをできない事情があるんじゃないか、って、そう思うの。だから、今日はいったん説得するの、やめた方がいいと思う」
「……でも、待つだけじゃ何も変わらないよ?」
「だから、ね?さきちゃんに、私たちの演奏を聴いてもらおうよっ!」
「まりか……」
名案だ、とイブは思った。
今演奏できるのは、ひなちくんのうただけだけど、それでも、それでもあの時、私たちが感じた感動を、少しでも咲子に伝えられればきっと―
「……わかった!よーし、やってやるしっ!」
「うんうん、その意気だよイブっ!」
なすべきことは決まった。ならば、ぐずぐずしている暇はない。
二人は、お代を置いた後、『サウダージ』で練習を始めたのだった。
「……ちくわパフェといちごパフェ、とってもとってもお待たせして本当に申し訳ありません……」
咲子が申し訳なさそうに言う。
「……あれ、まりかちゃんたちは……」
「ああ、さっきの子たちなら、なんか、急用があるとかで……」
紫吹が咲子の疑問に答える。
「そうだったんですか?ありがとうございます……」
それを聞いて、咲子は少しホッとしたようだ。
「それでは、ごゆっくり……」
「……なあ、如月?}
「……んあ?」
「なんで嘘ついたんだ?別に急用とか言ってなかったろ?」
「まあな、でも、ちょっとだけ、興味が出てきた」
「興味?」
「そうそう、それに、サプライズの方がああいうのは面白い」
「ふうん……」
「……お前、ちょーっとずれてるよなあ、月浦、その内、タキシード着て告白とかやらかしそうで怖いよ俺」
「……えっ?まずいのか?それ」
「…………まずいだろうJK」
「……まずいのか」
とりあえず、二人は明日もこのシャノワールに来ることを決めたのだった。
「…あ、イブちゃんの分のいちごパフェ……」
「あ、それ俺が頂いていいですか、お代払うので」
「えっ……まだ食べるんですか?」
「ちくパといちごパフェは別腹なんで」
「は、はあ……」
今日、初めてギタドラを触ってきたんですが、(といってもドラムマニアだけですが)めちゃくちゃ難しいですね、アレ。
青譜面はそれなりにできるのに黄色譜面になった途端難易度跳ね上がりすぎだろ……
リフレクとかのタッチ系は最初から難易度あってもいけるんですけどねー……
ポップンやドラムマニアはまず配置から覚えなきゃだから、練習しなきゃ。
よーし、めざせめうめう!