どうも!問題児書きまくってるのに飽きることなくすぐ飽きるだろとか言われても仕方ないくらい飽き性の甲殻類です!
今回は、そうですね。今まで扱ってなかったジャンルに手をつけるという意味でも、唐突に思いついたという意味でも書きたくなったのです。
今まで僕の作品の主人公、なんだかんだでお喋りですからね。なので今回の主人公は徹底して言葉数が少ない!正しく言うなら感情が無い!
そしてギフトの方も扱ったことのない"言葉"を扱っていきたいと思います!
それでは、はじまりはじまり!
瞳を開けよ。
理由は?
理由?問うまでもない。
あえて言うのであれば、宿命か。
さあ、瞳を上げよ。世界を一望せよ。
其処に、其の求む答えがある。
◆◇◆
瞳を開けた。空は一面真っ青だ。
風切り音が鳴っている。自分の身体と、あと複数。
重力の影響か、頭に血が登る……つまり、今は下を向いている。それも身体ごと。
下……俺から見ると上。そこには湖が見える。
慌てる必要は、なさそうだ。
◆◇◆
ドボン、と複数の物体が着水した音が鳴った。暫くは誰も上がってこなかったが、金髪のブレザーを纏った少年が出てきたのを皮切りに露出の抑えられた服とスカートを着用した黒めのロングヘアの少女、薄紫のロングヘアに裾に黒いフリルのついた下が短めの青いワンピースと黒いストッキングを着こなす少女、茶色のショートヘアにスリーブレスのジャケットとオレンジの短パンと黒いニーソックスで三毛猫を抱えた少女の順に上がって来る。
「まっっ……たく。冗談じゃないわ。人の了解も得ずに勝手に放り出した挙句、空に投げ出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。こんなんならまだ石の中に呼び出された方がマシだぜ」
「……いえ、石の中だったら身動きなんて取れないでしょう?」
「俺はとれるから関係ないね」
「そう、身勝手なのね」
金髪の少年と黒いロングヘアの少女が軽口を叩き合いながら
「……?おいおい、服くらい絞れよ。風邪引くぞ?」
少年は四人の中で唯一そんな行動をとらなかった薄紫の少女を訝しんで声をかけてみた。だが帰ってきた答えは
「……そう」
という素っ気ないものだった。
十六夜は不思議そうに見ていたが、まぁいいか、と自分のことに戻る。
それも暫くした時、流石にこのままなにもナシに進むのはマズイと思ったのか、ショートヘアの少女が話を切り出す。
「ここ……どこだろう?」
「さてな。世界の果てみたいなのが見えたし、何処ぞの大亀の背中の上じゃねぇのか?」
「………」
大亀の話に薄紫の少女の関心が少し向けられていることも少年は気付かず、少女の切り出しに便乗するように話を続ける。
「一応聞くけど、お前らにもあの妙な手紙が?」
「そうだけど、そのお前っていう呼び方をやめてくれないかしら。私には
「
「そう、よろしくね春日部さん。それじゃあ次。さっきから服も絞らず湖を見見ている貴女は?」
「……
「よろしく琴之葉さん。それじゃあ最後に野蛮で凶暴そうな貴方は?」
「高圧的な自己紹介ありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義のロクデナシなので、用法と容量を守った上で接してくれよお嬢様?」
「そう、説明書をくれたら考えておくわ」
「マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけよお嬢様」
十六夜と名乗った少年はヤハハ、と特徴的な笑い方をする。
高笑いをやめない十六夜、ふん、と顔をそらす飛鳥、我観とせずと三毛猫についた水を拭く耀、そして相変わらず濡れた服のまま湖に目をやる美月。
側から見れば超フリーダムな集団。そしてそのフリーダムな集団を見ていたウサ耳がここに一つ。
(うわー……もしかして呼び出す人選間違えちゃいましたか?あの御四人様が黒ウサギ達に協力してくれる姿なんて微塵も感じないんですが……)
ウサ耳をヒョコン、と動かし、四人を箱庭に呼んだ張本人である黒ウサギは早速内心不安でいっぱいになっていた。
◆◇◆
「で、どーでもいいんだがよ、こういうのは案内人かなにかが出てきて説明するっていうのが筋じゃねぇの?」
それから暫くして、ふと十六夜がそう零した。確かにその通りだ。今の四人の状況はまさに行き先もわからず帰り道もわからないという状態。下手すればここで全員揃って仲良く餓死だ。
「そうね。流石にこの状況の説明がなくては動きようがないわ」
「同意」
「……この状況で落ち着きすぎてるのもどうかと思うけど」
(全くです)
落ち着いてるという旨のツッコミを落ち着きながら行った耀にも突っ込むように黒ウサギはこころのなかでツッコミを入れる。
というか、なんでこんなに落ち着いているのかというのが甚だ疑問だ。本来の計画なら困惑してるところをコミカルにジャーン!と登場して一通りのチュートリアルを行うところだったのに。出鼻から直角に挫かれている。
おかげで出てくるタイミングを逃してしまったではないか、とやりようのない怒りを心にぶつける。
「だったらしょうがねぇか……
そんな時にふと、十六夜が黒ウサギの隠れている茂みを指差して質問して来た。
「───!?」
思わず奇声を発しそうになった黒ウサギはなんとか口を押さえてそれを止める。
そして同時に自分はなにか見つかるようなヘマをしたのだろうかと慌てて周囲の確認をするが、それらになんの変化もない。それはつまり、ただ隠れるだけなら完璧だったということなのだが……
「あら、貴方も気づいていたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そこの茶髪も気づいてたんだろ?」
「……風下に立たれれば嫌でもわかる」
「へぇ?面白いなお前。……で、お前は?」
「……知ってた。そこの木が教えてくれた」
そこの木、と美月は黒ウサギの隠れる茂みのすぐ側の木を指差す。
美月が差した方向に四人の視線が集中する。そのジャベリンでぶっ刺すような視線×4に黒ウサギは耐え切れず両手を挙げて茂みから出て四人に近づく。
「ヤ、ヤダナー御四人様。そんな人も殺せちゃいそうな目で黒ウサギを見ないでくださいまし。ええ、元来より孤独と蛇はウサギの天敵。ここは一つ許してはくださりませんでしょうか?」
「嫌だね」
「断固お断りするわ」
「右に同じ」
「興味がない」
「アッハ、取り付く島もないですね!」
ちくしょーバンザーイ、と黒ウサギは降参のポーズをとるが、その実その瞳はクダンの四人をしっかりと見定めていた。
(肝っ魂は及第点。扱いにくいのが難点ですが……)
「えい」
「フギャア!?」
なんて思案していると耀が唐突に黒ウサギのウサ耳を掴んで引っ張ってきた。
「な、なにをなさるんですか!?勝手に触るだけならまだしも、黒ウサギのこのウサ耳をこともあろうに思いっきり引っ張るだなんて!?」
「好奇心の為せる業」
「自由すぎます!」
「へぇ、このウサ耳って本物なのか」
「……じゃあ私も」
「ちょちょちょちょちょっと待ってくださいまし!!あ、美月様!おたすけください!非力で惨めなこの黒ウサギをお助けください!!」
黒ウサギ(のウサ耳)にワラワラと寄ってくる問題児三人に黒ウサギは悲鳴を上げながら美月にHELP信号を送る。だが、案の定というかなんというか、美月から帰ってきた答えは……
「俺はその耳に興味がない」
「そそそそそそそそそんな!?待って!やめてください!そんな風に引っ張っちゃダメですよ!待って!止まれ!ぁぁああああああ!!!!」
黒ウサギの悲鳴をバックコーラスに、波紋を作る湖を見ながら美月はワンピースから垂れる水を放置するのだった。
◆◇◆
「───あ、ありえない。ありえないのデスよ……まさか話を聞いてもらうだけで小一時間も浪費するとは……学級崩壊とはきっと、おそらく、絶対にこのことを言うのデス……」
「いいからさっさと進めろ」
それから黒ウサギのいうとおり小一時間後、ようやく解放された黒ウサギは四人の聞いていた説明をしてほしいという質問に答えるため、黒ウサギはコホンと咳をする。
「それでは言いますよ?定型文で言いますよ?はい言います!ようこそ箱庭の世界へ!皆様にはこれよりこの世界でオモシロオカシク人生謳歌して"ギフトゲーム"の参加権を渡して頂かせようと不肖、私こと黒ウサギが招かせていただきました!」
「ギフトゲームって?」
「はいよくぞ聞いてくれました!皆様は多分恐らく既に気づいているでしょうが、普通の人間ではございません!ギフトゲームとはそんな皆様の先天的、あるいは後天的に与えられた"ギフト"、つまり才能を用いて参加するゲームのことです。箱庭はこのギフトゲームでオモシロオカシク生きて行く皆様のために造られた惑星級、いや、もしかすればそれ以上の広大なステージなのです!」
黒ウサギの大仰な言葉を聞いて次に飛鳥は黒ウサギに質問をする。
「まず聞きたいけど、その口ぶりから察するに皆様というのには私達四人を含めた不特定多数の人間のことを指しているの?」
「YES!ですが勿論人間だけではございません!この広大な箱庭、ドラゴンや人狼、グリフォンなど皆様の世界では伝説、空想上にのみにしか存在しない生き物だって存在します!」
「……グリフォン……」
黒ウサギの言葉に対して耀は小さく確かな笑みを浮かべた。誰もこの耀の表情の変化には気づかなかったが、少なくとも黒ウサギの思惑の一つ、箱庭を気に入らせるというものは一先ず順調なようだ。
「それではまず御四人様にはギフトゲームに参加するためにも"コミュニティ"にご参加していただきます!」
「嫌だね」
「していただきます!そしてギフトゲームの勝者は
「じゃあ、主催者っていうのは?」
「良い質問です!"主催者"とはギフトゲームの"主催者"を務める者の総称なので基本的に我々と同類!さらに言えばギフトゲームに掛ける"チップ"さえあれば皆様も"主催者"となることが可能なのです!」
「報酬っていうのは?」
「はい、それは様々です。土地や金品、皆様のギフトは勿論、ものによっては人身なんてものも掛けられます。当然、そんなものを掛けるコミュニティは余程のことがないかぎりありません」
「そう、中々に野蛮なのね」
「その通り。ギフトゲームとは人知を超えた魔境、飛べと言われて飛べなければ飛べない方が悪い。ギフトゲームクリアの鍵となる伝承があるならば、それを知らない方が悪い。それこそギフトゲームなのです」
耀の質問に答えた黒ウサギにやってくるのは二つ目、飛鳥からの問い。
「じゃあ、ギフトゲームは箱庭の法そのものと捉えても?」
「それに関しては半分正解、半分不正解です。勿論箱庭にも法律はありますので、ギフトゲーム外での殺人や窃盗なども厳禁です」
最低限の法律はないとこんな世界でも簡単に壊れてしまいますから、と黒ウサギは続ける。
「じゃあそのギフトゲームの参加方法は?」
「はっ、それは至極簡単です!コミュニティ内での物をのぞけば期日以内に登録してはい、完了です!」
黒ウサギがパチン、と両手を叩く。それは暗に一通りの軽いチュートリアルが終了したことを意味していた。
「それでは、一通りの質問はこれまでですね。立ち話もなんですし、これからの話は我々のコミュニティの同志となり得るので、私達のコミュニティで」
「おい待てよ俺がまだ質問してないぜ」
っと、黒ウサギが妙にテンポよく話を進めていると十六夜はスッと手を挙げる。
「……なんでございましょう?十六夜様。もう箱庭やギフトゲームについては一通り説明いたしましたが?」
「いんや、黒ウサギ。俺が聞きたいのはそういうことじゃない。心底どうでもいい。だが……お前は俺達をここに呼んだ。なら一つ、はっきりと教えてもらいたいことがある」
十六夜は天を下から一望し、飛鳥、耀、美月をぐるっと見回して再び黒ウサギに視線を戻す。
その姿はまるで、全てを見下したようで、それでも全てに尊敬の念を込めているかのようにも見えた。
「この世界は……面白いか?」
「───YES!箱庭の世界は文字通りの人外魔窟!必ずや皆様のご期待に応えられるものがあると断言できます!」
黒ウサギがパッとセリフを決めた時、それに空気を読まずに美月がさらに質問をしてくる。
「……なら、俺からも」
「なんでしょうか美月様。私どもに答えられる範囲であればなんなりと」
「なら遠慮なく……俺が問うのはただ一つ」
美月はまるでそれを問うのが当然だと言うような顔で、こんなことをのたまった。
「感情とは……なんなんだ?俺はそれがもう何年もわからない」
もしかしたら不定期になるかもしれませんが、ともかく感情の無い少女は今までの体たらくとは違って明確に続けるつもりではありますので、応援してくれれば幸いです!