感情の無い少女も異世界から来たようです   作:エステバリス

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ブリテンの王の一部をコピペしたから早かった(KONAMI感)




■■、■■生■

それから美月と白鳥は壁を降り、十六夜がいた場所に戻ると、どういうことか巨大な蛇がぶっ倒れてて、何故か黒ウサギもその場にいた。

 

「お、戻ってきたか美月……で、そこの女は誰だ?」

 

「説明はする。だがそれより状況の説明をしてくれ」

 

「それもそうだな。んじゃあ軽〜く状況説明すると……」

 

以下、省略!

 

「……まーわかった。黒ウサギがここにいる理由とデカい蛇が倒れてる理由。あと黒ウサギが俺達四人を箱庭に呼んだ理由……」

 

「この度は私達の都合だけで皆様を勝手に呼び出してしまったことを心より詫びさせてもらいます。ですが、本ッ当に私達のコミュニティは崖っぷちもいいところなんです!美月さんがよろしければ我々のコミュニティに来ていただきたいんです!」

 

「そうか」

 

美月は一言だけ返す。それから美月は自分の少ない言葉のレパートリーから自分の今の感情を伝えるべく暫く思案し、思いつく。

 

「俺は人の感情というものがよくわからない。だから今から言うことはお前には快くないものかもしれない、と先に断わっておく」

 

「……はい」

 

「俺は、そのお前の所属するコミュニティに興味がない」

 

「………」

 

だが、と美月は一呼吸置いて視線を十六夜に移す。

 

「十六夜はさっき俺に沢山感情を教えてくれた。その十六夜といれば、俺はもっと感情というものを理解できるかもしれない」

 

「では……」

 

「十六夜がコミュニティにいる限り、ではあるが俺も"ノーネーム"に所属することに対して異論はない」

 

できる限り優しく言ったつもりではある。やはりニホン語は難しい、と美月は思う。

 

「ありがとうございます!……で、そちらの方は……」

 

黒ウサギは感謝の言葉を述べた後白鳥に目を向ける。白鳥は「あ、私か」と思い出したように反応する。

 

「私の名は白鳥。無論本名ではないぞ。こんな英国風な日本人などいるわけないだろう?」

 

「は、はぁ……」

 

「ニホン人とブリテン人は顔が違うのか?」

 

「そうだね。過ごしていた環境もあるからね……故あって蛇神のいるこの"トリトニスの滝"……のちょっと上のなんの変哲も無い森の中にある盃を守護していた者だ」

 

微妙だろ?と自嘲気味に笑う。だがまぁ実際ホントに微妙なので何も言えない。

 

「白鳥さんがどういう方なのかはわかりましたが……何故美月様と一緒に?」

 

「言ったろう、()()()()と。そこの彼女にギフトゲームで負けて晴れて盃の守護者なんてヒマでヒマでやることのない職務からは解放だ。守護者になる際にコミュニティも抜けて身寄りがないから、どこか引き取ってくれるコミュニティでもないかなーと思っていたところだ」

 

「……え?それってつまり?」

 

「面白そうだから私も同行しよう。なに、さっきは守護者として力をセーブされていたが、今はそのしがらみからも解放されて全力も出せる。元・ギフトの守護者なんて"ノーネーム"に置くにはもったいない存在……と世間では言われるだろうさ」

 

白鳥はニッコリと笑いながらそう言うので思わずたじろいだ黒ウサギは「そ、それでは箱庭に参りましょうか……飛鳥さんと耀さんの他にも私達のコミュニティのリーダーが待っていますので」と言うとだいたい世界の果てに来たくらいの速度で箱庭に向かっていった。

 

◆◇◆

 

で、戻ってくると。

 

 

「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備してる暇もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」「聞いているのですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「だまらっしゃい!」

 

例の待ち合わせ場所に着いてすぐ、どうやら飛鳥達も美月と十六夜が世界の果てまで行って来てた間に"フォレス・ガロ"というコミュニティから十六夜が黒ウサギに問いただしたことの殆どを聞かされたようだ。

 

それに関してなら黒ウサギは焦りこそすれどもこう怒りもしないだろう。問題はその"フォレス・ガロ"に喧嘩を売って大特価セールでご購入なされたことだ。

 

「まあいいじゃねえか。なにも理由ナシに喧嘩売ったわけじゃねえんだし」

 

十六夜の言う理由とはその"フォレス・ガロ" のリーダーガルドが人質や脅し、即ち法外な手段を使ってこれまでのギフトゲームに勝ち続けたということ。

 

そこまでされればさすがの美月もプライドが高そうな性格と理解していた飛鳥がみすみすとそのような男を見逃すとは思えない。

 

「はぁ……十六夜さんが楽しければそれでいいのは先刻承知しております。ですが全く良くなどありません!なんでわざわざ放っておけば罪が公になるのにわざわざ"黙秘権をチップにして"ギフトゲームを挑んだんですか!?」

 

そして黒ウサギの言う通り、飛鳥は黙秘権とコミュニティの誇りをチップに勝負を挑んだ。そしてこうなったわけだ。

 

だが、言ってしまったものは仕方ないと諦めたのだろう、存外すぐに黒ウサギは怒るのをやめて前を向く。

 

「まぁいいデス。"フォレス・ガロ"程度十六夜さんいれば余裕のオーバーキルでしょう」

 

「なに言ってんだ。俺と美月、あと白鳥は参加しねぇよ」

 

「当たり前よ。三人の参加なんて仏が認めても私が認めないわ」

 

「そんな矮小な手で己の力を拡大し続けてきたヤツになど俺も興味はない」

 

「私もそっちが勝手に決めたことなら関わるのはよしとくよ」

 

黒ウサギの言葉に四人は満場一致で断る。あとついでに十六夜は美月が「逆廻や久遠がそう言うのなら」とでも言って断ると思っていたが、意外にも自分の主張をしっかりと見せてきたことに驚く。

 

感情を知らなかったことも手伝って物事を受け身に捉えていた彼女が自分の意見を言ったのだ。その自分の意見がコレなのだから存外彼女も問題児の素質があるかもしれない。

 

「だ、ダメですよ!というかお二人はともかく美月さんに白鳥さんまで!四人はコミュニティの仲間なんですからもうちょっと協力意識とかをですね……」

 

「ちげえよ黒ウサギ。これはアイツらが売って向こうが買った勝負。それを俺達が口出ししようってのが無粋ってことなのさ」

 

「あら、わかってるじゃない」

 

「……もう好きにしてください」

 

がくん、と今日何度目かの項垂れ。とにかく黒ウサギは今日1日でありえないほどに疲れさせられたことは明白だ。

 

「黒ウサギ。俺が昔聞いた話だとこういう時は『もうどうにでもな〜れ』と言うと気が楽になると」

 

「美月。それフォローじゃなくて諦めろってトドメ刺してるようなものだよ」

 

美月が的外れなことを言って耀に突っ込まれる。というかどうして"言霊"云々の事で箱入り娘だというのにそんな言葉を知っているのだろうか。謎は深まるばかりであった。

 

◆◇◆

 

そしてその後全然目立ってなかったコミュニティのリーダーのジンと白鳥の二人と一旦別れ、一行は四人のギフトの詳細を知るためにギフト鑑定なることをしに行くことが決まって……その途中。

 

「……サクラか。噂には聞いていたが、蓮に心なしか似ているな」

 

美月が桜の花を見つけてぽつんと、何気なく呟いた。

 

「え、琴之葉さん、桜を見たことがなかったの!?」

 

「ああ。逆廻には教えたが、俺は物心つく前から決まった場所でしか動けなくてな。その場所が水ばかりで蓮や水草以外の植物をほとんど見たことがないんだ」

 

十六夜に教えた神格化のことを隠しながらその話をする。恐らく箱庭についたばかりの時に湖に関心を向けていたのはそこからきているのだろう。

 

「そ、そうなの……でも変ね。カタチも変わっているし、なによりこんな真夏に桜が咲いてるなんて……」

 

「いや、まだ夏になったばかりだろ。気合の入った花の一つや二つ残ってても不思議じゃねえはずだが」

 

「……?今は秋頃だったはず」

 

「季節か……そう言えばあそこは少し肌寒かったな」

 

おや、と美月はともかく同じ日本出身のはずの三人の会話が噛み合わない。これはどういうことなんだと首を傾げていると……

 

「皆様はそれぞれ違う時間軸から召喚されているのです。だから当然桜一つとっても生態系は大きく違いますし、呼び出された季節も違うのデスよ」

 

「へぇ、パラレルワールドってヤツか」

 

「厳密には違いますが、だいたいはそんなところです。詳しくは"立体交差平行世界論"と言いますが……今ここで話すと余裕で日が暮れてしまいますので、今は説明ナシで」

 

黒ウサギが再び歩を進めた辺りで美月は三人より感情が少ないなりに今の言葉について考えていた。

 

(……なるほど。帰るときに逆廻が「そんなオカルト信仰が顕著な国あったかなー」などと言っていたのはそういうことか。となると久遠達にこの事はあまり深く言及しない方がいいか……)

 

やら、

 

(それにしても今になってあの黒ウサギのウサ……耳?に目が行く。気になって仕方がないし、今はあの耳を逆廻達と一緒に引っ張っておけばよかった。これは……なんていう感情なんだろうか)

 

だの、

 

(それにしても暑いな……もう少しマイナスイオンが欲しい。ずっと水辺にいた弊害か?)

 

みたいに、美月自身若干驚くくらい考え事をしてしまう。

 

考えても考えてもモヤモヤが晴れない。一つの考え事を終わらせればバタバタと次の考え事が頭に浮かんでしまう。当然そんな状況でも感情表現のわからない美月はポーカーフェイスなので四人が彼女の心中を察することはできない。というか……

 

「いぃぃぃいいやほぉおおおう!!久しぶりだ黒ウサギいいいい!!」

 

「きゃあああああ!」

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしたからのぅ!ほれ!ここがよいか!ここがよいかぁ〜!」

 

「……俺が目を離した隙に訳のわからないこの状況になってしまった経緯を教えてもらいたい」

 

美月が考え事している内にどうやら一行は目的地にたどり着いていたようだ。ここはいい。理解できる。

 

だが和服を着た幼い女児が黒ウサギに空中大回転しながら抱きつき、そのまま用水路に二人揃ってダイブしていた、

意味がわからない。

 

「……おい。この店はこういうことやってるのか?」

 

「やってません」

 

「なんなら金払ってもいいから」

 

「やりません」

 

そして十六夜はその店の店員と思わしき女性によくわからないナンパをしている始末。

 

(……なんだか少しムカムカする。この感情はなんなんだ)

 

「どうしたの美月。少し顔が怖いよ」

 

「えっ……」

 

顔に出ていたのか、と耀に言われて美月は少し動揺する。

 

「ふふっ、美月がそういう顔するって思わなかったから、ちょっと意外」

 

「……俺の顔は基本硬いと自分でも思っているつもりだが、その怖いとはなんだ?」

 

「ホントに箱入り育ちなんだね。怖いっていうのは見ると足が震えたり聞くと思わず耳を塞ぎたくなるようなことだよ」

 

「じゃあ、春日部は俺の顔を見て足がすくんだのか?」

 

「うーん、そういうわけじゃないけど……なにも知らない人からみたら怖いと思うよ」

 

「……善処する」

 

耀の言葉には『その顔はやめてほしい』という意図があると感じ取ったのだろう。正しくは『可愛い顔が台無しだよ』であるのだが。どっか見たことのあるようなイケメン臭のするセリフである。

 

まぁそれはともかく、黒ウサギと共に着水した幼女は黒ウサギの胸に顔を埋めてなすりつけていた。

 

「し、白夜叉様!いいかげん離れてください!」

 

黒ウサギは白夜叉と呼ばれた幼女の頭をガッチリ掴んで店に向かって投げつける。

 

「てい」

 

そして縦回転する白夜叉を十六夜が足で蹴り飛ばす。

 

「"壁"」

 

そんでもって締めに美月が"壁"の言霊で受け止める。

 

「あじゃぱアーッ!!お、おんしら飛んできた初対面の美少女を足で蹴り飛ばして壁っぽいので受け止めるとは何様だ!」

 

「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ」

 

「美月様?……だ。以後よろしく、和装ロリ」

 

何様と言われてなんと言えばいいのかよくわからなかったから取り敢えず十六夜の挨拶に則って挨拶する。これがニホン人の挨拶なのか?と疑問に思いながらも。

 

一連の流れに呆気にとられていた飛鳥は思い出したように白夜叉に話しかける。

 

「貴女はこの店の人?」

 

「おお、そうだとも。この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉様だよ御令嬢。仕事の依頼ならその年齢の割に優れた発育の胸ワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

「オーナー、それでは売り上げが伸びません。ボスが怒ります」

 

女性店員が冷静な声で釘を刺す。

 

「それにしても、おんしらが黒ウサギの言っていた新たな同志か。その同志を連れてわざわざ私の元へとやってきたということは……とうとう黒ウサギが私のペットに!?」

 

「なりません!どういう起承転結でそうなるんですか!?」

 

きしゃー!とウサ耳を立てて怒る黒ウサギ。果たしてどこまで本気なのか、白夜叉は笑って店に招く。

 

「まぁいい。話があるなら店内で聞こう」

 

「よろしいのですかオーナー。彼らは旗を持たない"ノーネーム"のはず。規定では」

 

「"ノーネーム"とわかっていながら名を尋ねる性悪店員に対する詫びだ。身元は私が証明するしボスに怒られても私が責任を取る。いいから入れてやれ」

 

どうやら美月が考え事をしている間にそんなことが起こっていたらしい。話は聞いたがそこまで酷い格差なのか、と思いながら美月は他人事のようにそこで考えをやめる。

 

ともかく、暖簾をくぐった五人と猫は店の外観からは考えられない程不自然な広さの中庭に出た。

 

「生憎店は閉めてしまったのでな。私の私室で

勘弁してくれ」

 

一行は和風の中庭を進み、縁側で足を止める。

 

「さて……改めて自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構える"サウザンドアイズ"幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている大きな器の美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはいお世話になってます本当に」

 

「……さっきから()少女()少女と言っているがそれはどういう意味なんだ?女として微妙ということか?」

 

「ぶっ、ヤハハハハ!!んだそりゃあ!やっぱお前おもしれぇよ美月!」

 

「ご、ごめんなさい琴之葉さん……くく、さすがにそれは、私も……ぷぷ」

 

「……(プルプル)美月、面白すぎ」

 

「笑うことはないだろう。俺は真剣に質問をしているんだ」

 

もしかしたら自分もその微少女のカテゴリに入ってるかもしれないのだから、と続けようとしたが、言ってもまた笑われるんじゃないかと思ってそれ以上は言わない。

 

「す、すまん……私もつい噴き出してしまった。黒ウサギ。さっきの金髪ヤンクとのコンビネーションといい、おんしは本当に面白い輩を同志として召喚したのだな……ゥッヒヒヒ」

 

「白夜叉様。その笑い方気持ち悪いです」

 

「そ、それより……"外門"って何?」

 

笑いをなんとか最初に堪えた耀が白夜叉に聞きなれない……正確には先程の"フォレス・ガロ"の時に聞いた単語だったが、質問しそびれたので改めて質問し直す。

 

「くくく……お、おお。いい質問だ。箱庭の階層を示す外壁にある門のことだ。数字が小さければ小さいほど箱庭の中心に近く、力があることの証明となる」

 

黒ウサギが四人に見せた箱庭の図。それを見た四人は声を揃えて───

 

「超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら」

 

「そうだな。どちらかといえば超巨大バームクーヘンだ」

 

「昔一度見た貢ぎ物に似ているな」

 

食べ物ばっかりだ。

 

「ふふ、上手いこと例えるな。その例に則って超巨大バームクーヘンとするならここ第七外門はバームクーヘンの皮だな。更に言うとここは箱庭の東西南北に別れるうちの東側。最下層の外門のすぐ側は世界の果てと向かい合う場所になる。そこはコミュニティに所属こそしていないものの、強力なギフトを持ったものが棲んでおる。その水樹の持ち主や盃の守護者などな」

 

白夜叉は薄く笑って黒ウサギの持つ水樹と水樹が手にしている盃に視線を向ける。白夜叉が差すのはトリトニスの滝を棲家にしていた蛇神とその上にいた白鳥の事だろう。

 

「して、一体誰が、どのようにして蛇神と盃の守護者を倒した?知恵か、それとも勇気か?」

 

「いえいえ水樹は十六夜さんがここに来る前に世界の果てまで行って物理的に倒してきたのですよ」

 

「なんと!蛇神を純粋な力でか!」

 

「ついでに言うならお前の言う盃の守護者を倒したのは俺だ。倒した、というより勝手に挑んできて勝手に降参されたのだが」

 

「なんとなんと……ならばおんしらは神格を持った神童か!?」

 

「いえ、それならば一眼でわかるはずです」

 

「むぅ……確かに、それもそうか」

 

黒ウサギと白夜叉が勝手に納得する中、美月と十六夜はその会話の中に気になる点を見出した。

 

(神格を持たない?なら、俺は普通に人間なのか?)

 

(美月は自分が神格化されたと言っていたが……存在の神格化っていうのは人間の信仰心によって神になった者もいるはずだ。だったら考えられるのは……)

 

美月が信仰されていなかったか、あるいは二人に神格を持っていないと認識されるような何かがあるか。

 

"言霊"さえあれば誰彼構わず神格化されるような場所にいたのだから信仰心が足りなかったのかもしれない。とすると前者が有力か。

 

「それにしても、白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いもなにも、アレに神格を与えたのはこの私だぞ」

 

ふふん、とないむねを張って自慢する白夜叉。そしてその言葉に考え事していた美月以外の三人がピクリと反応する。

 

「……へぇ、それじゃあお前はあの蛇より強いってことだな?」

 

「ああ強いとも。私は東側の階層支配者(フロアマスター)。四桁以下のコミュニティでは並び立つ者などいない東側最強の主催者(ホスト)だからな」

 

「……そう。それじゃあ貴女を倒せば私達が東側最強ということね?」

 

「まあ、そうなるの」

 

白夜叉がニコリと笑いながら十六夜と飛鳥の質問に答える。

 

「へえ、そりゃあいいな。手っ取り早くて助かるぜ」

 

十六夜が腕をパキパキ鳴らし、飛鳥と耀は静かに白夜叉を見据える。一方の美月は相変わらず表情を変えることなく無反応。

 

「ちょ、皆様何を言ってらっしゃるのですか!白夜叉様も!」

 

「よいよい。私は常に"挑戦者"には飢えているところだ」

 

黒ウサギの制止を白夜叉本人が止める。四人とも目は完全に笑っており、こんな状況でも無反応な美月に凄まじい場違い感を覚える。

 

「話が早えじゃねえか。それじゃさっさと始めようぜ」

 

「まあ待て、慌てるでない。そこの女子はどうする?」

 

「……俺か。俺は逆廻がやるならそれでいい」

 

空返事に近い答えだったが、彼女らしい答えだったので四人はスルーした。

 

「ほう、そうかそうか。……だがそのついでみたいな答え方は少し気に食わんな。それでは小娘含め四人に問おう。お主らが私に対して言うギフトゲームとは……試練への"挑戦"か?それとも、対等な"決闘"か?」

 

瞬間、四人の視界は劇的に変化した。

 

目を開くとそこは先程の和室の趣は一切消え、辺り一帯に広がる白の世界。太陽は水平に巡り、その世界は山岳に囲まれ、さながら"白夜"の世界であった。

 

「これが、私の保有するゲーム盤。その一つだ」

 

「嘘……こんなに広い世界が全部ゲーム盤!?」

 

白夜叉の言葉でこの世界がギフトゲームだけのために存在するゲーム盤……そのうちの一つであることに驚愕の声を挙げる。それに満悦の表情を浮かべた白夜叉は今一度同じ問答を始める。

 

「そして私は太陽と白夜の星霊……"白き夜の魔王"──白夜叉。お主らがこの私に挑んでいるのは"挑戦"か?それとも、"決闘"か?」

 

四人は同時に声を失った。星霊とは惑星級以上の星に存在する精霊の総称で、惑星の力を宿しているといってもいい。しかもそれに"魔王"というオマケつき。

 

どう考えてもスケールが違いすぎる。

 

「……やられた。降参だ……今回は黙ってアンタに試されてやるよ」

 

「ふむ、では試練を受ける、ということでよいか?」

 

「ああ、それでいいさ」

 

「そうか、して、残る三人はどうする?」

 

「ええ、私も試されてあげてもいいわ」

 

「右に同じく」

 

「……少し、興味が湧いた」

 

「ほう?お主もヤル気と?」

 

「そうとってもらっていい」

 

美月が少し自信有り気にそう言うと、五人に入るように黒ウサギが割ってくる。

 

「もう!皆様ご勝手はやめてください!それに白夜叉様が魔王だったのは昔のことではございませんか!」

 

「へぇ、元・魔王様ってことか?」

 

「さぁて、どうだったか。それでは試練を始めようか」

 

そうして、試練は始まった。

 

 




美月ちゃんの設定考えてるうちに孤独の狐二部の主人公ブルームの設定がだいたい決まりました。

その結果ブルームは竜胆くんの後続であるに相応しい、素晴らしいレベルの不幸主人公になりました。不運の次は不幸。

あ、でもブルームには不幸主人公としての役割とともに超幸運体質もありますから!
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