────これは追憶。
どうしようもなく過ぎ去っていった、戻れないと知っていても回顧せずにはいられない、ただの懐古迷宮。
世が如何にして移ろうとも、決して忘却に葬ってはいけない愛慕う
本当の意味で、ただそれだけの話である。
頑是なく、只この身一つで跳ね回った。それだけで満たされる心は充足感に包まれて、視界は尚更美しくて。あの日々こそ、まごうことなき愛に触れられた。
だからなのか。この上ない幸せがあったからこそ、分かってしまったのだ。
緩やかになだらかに、身をすり寄せる娼婦のように。
甘露にて残酷な堕落と終焉、それらが徒党を組んで迫り来る実感にまず嫌気が芽生え、次には滅ぼすのも
何時からだったか。
もしかすれば、初めから壊れていたのだろうか。
機械仕掛けの神のように、初めからその結末が必然となるよう──
誰に?
神と名乗るのも
神の一手で悲劇を瞬く間に喜劇に変えてしまうとは、どれだけ滑稽な事だ。そんな
──だが、確固たる事実は揺るぎない。
己が意思で確約した願いに、揺らぎなんて糞食らえだ。
己が──、いや。俺が。
多幸感に溢れる世界を。
かつて、万人が実現は不可能だと締念を余儀なくされた世界を。
この俺が創造してみせようと起こした泡沫の行方に、後悔は一つもありはしない。
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「huuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!!!」
得体の知れない妖異幻怪が己を誇示せんと咆哮を挙げている訳ではない。北風と太陽が旅人の纏う衣服を脱がそうとしてる訳でもない。
というか、そもそも何らかの意味が含まれてすらいない。
ドップラー効果を引き起こしながら地上から数メートル乖離した位置を
因みにIRBMは最も速くなるとされる終末速度だと優に秒速二キロメートルを弾き出すとされている。音速の約六倍──つまり、マッハ6にもなる。そこに巣食う魑魅魍魎とその他にとっては災厄も甚だしい。
彼が今いるのは四方を木々が包囲する鬱蒼と茂った森の深奥だ。
鋪装された通路もない狭い獣道でそのまま我が道を行き続けようものなら周りもただでは済まない。
だが、当の満月は気にせず正面を突き進む。
何故態々高度を低くしているかと言えば、今頃何処かで憤怒を燃やすウサギの追跡に対し見つかる可能性を押さえる為である。上空は視界が開けているから見つかりやすいだろうという心算だ。
──が、周りに多大な被害という爪跡を残しながら進んでいる以上見つかる確率はこっちの方が普通に高い。
そこに気づけない宝 満月は、やはりどうしようもなく宝 満月なのである。
根元から薙ぎ倒されていく木々。余波で半月状に抉られていく地面。時折満月を中心に弾け飛ぶ大気の衝撃波。数十メートルも吹き飛ばされた大樹があちこちに落ちて巻き起こる二次災害。巻き起こる他種族の阿鼻叫喚の嵐。
まさに地獄。
「Huhhuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!!!!」
────────という事にはなっていない。少なくとも、
何故黒ウサギ達と別行動をしているかと言うと、十六夜を探しに出たからだ。
『ちょっくら世界の果てを見てくるZE☆』
と
『ちょっくら世界の果てにあの子突き落としてくるZE☆』
と言伝を飛鳥と耀に宣った直後には二人(三人と一匹)の前から消え去っていたのが事の顛末の真相なのだが、やってる事は大して変わらない。
自分だって世界の果てが存在するのを知っているのに見に行かない程大人しい性格はしていない。どうせなら理想を抱いて溺死するのだって是としちゃう類いの人種である。
つまりこの身は知的探求の権化で、最早化身にすら昇華してるから仕方ないとした。
そんなことを考えていたら精神がマッハした。そして肉体は文字通りマッハしてる。奇声は規制されかねない。『恥も外聞も投げ捨てるもの』とは宝満月の座右の銘の一つである、その様はどこに出しても完全無欠に恥ずかしい。
「Huuuuuuuuuuuuuuuuuuuu────……ふ?」
そうして自然破壊を巻き起こしながらあらゆる意味も兼ねて真っ直ぐ突き進んでゆくと、見覚えのある後ろ姿を特定した。まだ距離は遥か先ではあるものの間違いない、逆廻十六夜だ。
だが様子がおかしい。何故かは知らないが、彼の目の前に見上げる程に巨大な体躯を雄々しく見せ付ける一頭龍が佇んでいるではないか。
そう、龍だ。
伝承や神話の創作物にフィクションの世界で猛威を奮うあの龍だ。
どの世界観でも『強くて格好いい』が共通項になっているが
──龍だ、龍がいる。
「……………………Hu、ふ……hu」
爆発した。芸術は爆発だと言ったのは果たして誰だったか、ならば
そう、もうした、してしまった。溜めて吐き出す前にメーターが振り切れて一挙に大爆発が満月の頭を真っ白に塗り替えた。
とはいってもこれは只言葉に出来ない感動が押し寄せてきただけの話なのだが、ここで思い返すと彼の所業から分かる通り、満月の感性を常人の物差しに当て嵌めてはいけない。これは鉄則だ。
映画を見てスタンディングオベーションをするのが一般人の言葉に出来ない感動を他に示す最適な表現方法で、それを基準とした場合。
宝 満月はその行動の延長線上ではあるものの、それだけで脅威を及ぼす行為にひた走る。
そう、例えば。
「────ンンンンンンンンン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛H U U U U U U U U U U U U U U U a a a a a a a a ドラゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォァアハァアアくぁwせdrftgyふじこlpppppppppppppp!!!!!!」
こうなる。
第一宇宙速度だって軽く越えちゃう。
そして取り敢えず先に幻想生物と接触していた十六夜に突貫しようと考える。
勿論止められる者は、ここにはいない。
いるのは逃げ惑う魑魅魍魎とその他のみだ。
「──あん?」
"トリニトスの大滝"にて、得体の知れない悪寒が十六夜の背筋を駆け巡った。
箱庭の世界を八つに分断する大河の終着点、"トリニトスの大滝"。世界の果てにある断崖絶壁を上から下へ落ちていくその姿はまさに圧巻である。
巨大な水流の壁が目の前を支配し、さらにそれを支配する龍のような三十尺はくだらない異形。
それらを眼前に置いておきながら、十六夜は場違いに感心していた。
──果たして、最後に自分が悪寒なんて感じたのはいつ頃だっただろうかと。
しかし、どうやら悪寒だけでは済まされないらしい。
対面するこの蛇神とやらも薄々気づき始めているようだが、特段気にしたような素振りは見せていない。精々目を細める程度である。
だが何故だろうか、先程から僅かではあるが断続的に伝わってくる足元の揺れといいちらほらと姿を見せる
「(────ああ、なんとなく察しが付いた気がするぞこら。翌々考えればただ大人しくしてるのが気に食わないんですよって野郎が俺の他にもう一人いたじゃねえか。ああ、ああ、漠然とした推測にしちゃあ随分しっくり来るじゃんかよ。こりゃ確定か?)」
未来予知もかくやという憶測だが信じるに値する。いつの間に
で、あるならば。
ここで暢気に突っ立っていては何らかの弊害が我が身に降りかかる可能性も零ではない。だがただお約束を回収するだけというのも面白くない。
淡々と危機回避するよりかは、もっと盛大なのが好ましい。
『何だ…………? ……まあいい、それよか貴様はいつまで待たせるつもりだ、早急に試練を選べ、さもなくば直ちに洗礼を見舞う事となるぞ』
「はっ、誰に向かってそんな口聞いてんだよてめぇは。選ぶのはそっちだろ? 俺を前にして大人しくそのデカイ図体を平伏すか、それとも無様に負けを晒して恥を知るか、二つに一つだ 。ほら、早く選べよ神様」
『ッッ──! き、さまぁああ!! 神を前にしてその尊大にして高慢な素行、人間の分際で許されると思っているのかァッッッ!!!』
激昂する一頭龍、その威光はまさに神を名乗るに恥じない圧力。
しかし、それを前にしても尚大胆不敵に口角を上げる十六夜。周囲に発現した天にも昇るような激しい水の奔流が取り囲もうともその表情は決して崩れる事はない。
より一層笑みを濃くするのみだ。
「おーおーエクスクラメーションの三段活用どうも有り難うございますってか? 随分狭量な器の神様だことで。それよか、気づいてんのか?」
『何を──』
「気付いてねぇってんならてめぇの実力なんざその程度ってこった。おら、そうこうしてる内に来た──」
ぞ、と全てを言う暇はなかった。
ドパァッッッ!!! と、天地を揺るがす爆音よりも速い衝撃の波が、荒ぶる水の柱を悉く吹き飛ばして一人と一体に襲いかかった。
『なん──ッッッ!!?』
大気の壁──そう、風圧だ。ただの風圧の筈なのだ。
だが、これは。
この十メートルを凌ぐ巨体を遥か彼方まで吹き飛ばそうと猛るこれは。
神は
漸く気づいた──いや。
何故今まで気づけなかった?
『(こんな……ッ、こんな馬鹿げた膨大な
顔を手で隠し、押し流されまいと堪える。
「(やべぇ、最高じゃねーかッ!!)」
込み上げるものが止まらない。
笑いが、止まらない!
「ヤハハハハハハハッッ!!」
依然としてその威力が増していく。後方──今は前方にあった木々が風圧でこちらに襲いくる。矢継ぎ早に水辺に突き刺さるそれを尻目に。
開けた視界の先に、見た。
『ヒトの造形をしたナニか』が、
もう一度言おう。
「はっ、しっかり
電光朝露。
全てがゆっくりと流れていく刹那の世界で、十六夜の右足が少し下がる。次の動作に入る前段階だ。
後ろには蛇神。
此方に向かってきているなら丁度いい、たった今最高に面白いプランが完成した。
最早間近に迫った物体──宝 満月へ向けて右足を振り上げる。第三宇宙速度を算出出来るその人外の右足を。
音は無かった。音を置いていったのだ。
向こうと目が合う。滅茶苦茶笑顔だ。腹立つ。
どこでもいい。どこかに当てればいい。
「────しゃら、くせぇ!!! !」
其処ら一帯の水を──一時の間だが滝から流れる水も纏めてほぼ全てを外部に弾き出し、枯渇させたその衝撃を数字で表すならば、TNT換算を用いた方が早いだろう。
もし十六夜と満月が衝突の際に衝撃へ
接触の瞬間は十六夜をもってしても認識できなかった。相互間が余りに速すぎて物理法則すら塗り替えかねない程の衝突は一瞬。速度が減退されるも超高速のそれは軌道を微妙に変動させる。向かった先は──。
『んな────────────』
蛇神。
呆けるあまり半端に構えてしまった結果自由は封殺される。
そして。
流星もかくやという轟音が炸裂、声にならない絶叫が辺りに木霊した。
────────余談だが、宝 満月のファーストキスはここで成される事となった。
全く以て本当にどうしようもなくどうでもいい余談である。
「な、な、なななななななな──、なんっっっ何ですかこの状況は!!!??」
そして
酷い等とチープな表現では事足りない。
屍山血河だ。
ここは災害跡地か何かなのか。
ましてやここらは水神の
この場所に追い付く迄にも黒ウサギは似た光景を目の当たりにしていたが、此処はそれの比ではない。何故高々と並ぶ滝の壁が一部倒壊し陸は水浸しで
何故このような惨状が出来上がったかは今も隣でヤハハと笑っているこの男が知っているだろう。下手しなくても当事者に違いない。
「お、お二方が居なくなった事に気づいて文字通り跳んで来たのは良いものの……、何故にどうしてこのような悲惨な光景が出来上がっていやがるのですか!? ちょっと目を離したらというレベルではありません!! 巨人族が集団で駄々をこねたってこうはならないデスよっ!?」
「お、巨人何てモンも存在するのか。そりゃファンタジーだな」
「食い付くワードがおかしい!!」
スパン! と小気味良い音を鳴らし、何処から出したか不明なハリセンが十六夜の頭を叩く。
呼吸を整えながら黒ウサギが頭を抱える。
「全くもう……。といいますか、ここもアレですが道中も相当酷いですよ。地面は抉れているし、此所に近付くにつれてどんどん被害は拡大していますし……」
「おいおい、全部が全部俺のせいにするんじゃねえよ、黒ウサギ。てめぇの言うそれは十中八九あいつがやったんだろ」
「あいつ?」
無言で十六夜が指を指し示した先へ視線を送る。
そして再び頭を抱えた、嘆息が漏れる。
幻想種である、それも神格を有するここの主──蛇神が死んだ魚のように水面を漂う姿も信じ難い、だがその頭の上で大の字になってへ垂れ込んでる満月に見える物体は一体どうして何がなんなのか。
いや、間違いない。あれは紛うことなき宝 満月だ。
何だこれは。
「……何故、蛇神が気絶して……。それに、何故彼らは揃いも揃ってどこか恍惚とした表情を浮かべているのでありましょうか。嗚呼、黒ウサギにはもう何がなんだか訳が分からないデス……」
「ヤハハハハ」
「あなた方のせいでありますよ!?」
スパーン!と、再び小気味良い音が箱庭に鳴り響いた。
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「……お腹と腰がめっちゃ痛い」
「年だろ」
「んだとオンドリャ貴様のせいじゃ許すまじ──ファッ!?」
「そもそも俺に突っ込んでくんのが悪い。これ結論な」
襲い掛かろうとしたけど腰に響いて断念する。痛い、痛いよ黒ウサギ。起きるまで俺を看取ってくれていた君の優しさが一番の癒しだよ。
確かに本物の龍(竜でもドラゴンでもなく龍。これ重要)をこの眼で見れて感極まって十六夜に突っ込んだ支離滅裂な俺も悪い。だからってそれを問答無用で蹴るなんて思いませんのよ、錐揉み回転って体幹に死ぬほど響くのよ? てか下手したらここに月面のクレーターみたいなの形成するとこだったし。
し、しかもあの時僕、どさくさに紛れて、その、あの、龍と……ポッ。
「キモいぞその顔」
「フンガーッッッ──ファッ!?」
痛い! 癒しが足りない! 黒ウサギのエロコス見れば治る気がする! そして治ったら目の前で爆笑してる逆廻
「……ていうか、黒ウサギは?」
「
「? 何してんのかと思ったらギフトゲームやってたのか? てか打ち倒した事になんのかあれ」
「さあな。だがあれは俺が
「……追い剥ぎだろそれ」
「お前だってその一端を担ったんだぜ? 偽善者気取っちゃいけねぇな満月君よ」
「やかましい。偽善だって立派な優しさだし」
「はっ、そうかよ。……つーかお前そんな時でも浮いてんのな」
仕様だよ。
つーかあれは俺の意思なんて関係無かったろうによ全く。
──ん、どうやら黒ウサギの方は終わったらしいな。手に苗みたいな物持ってものっそい笑顔でピョンピョン
「凄いですよお二方! 見てください! こんなに大きな"水樹の苗"を頂く事が出来ました!」
「"水樹の苗"? それもまた
「YES! これさえ有れば水の供給に困る事も有りません!もう子供達が態々遠くまで足を運ぶ必要も、他のコミュニティにお金を払って交換する必要も無くなったのです! 」
「……そっか。良かったな、黒ウサギ」
「はい!」
だからそんなピョンピョンしちゃったらあぁ^~お胸がピョンピョンしちゃうんじゃぁ^~。結局全部言ってしまったんじゃぁ^~。
…………。
綺麗だな、ほんと。
「そうかいそうかい、そいつは良かった。なら喜びついでに一つ聞いてもいいか?」
「もちろんです!今でしたら黒ウサギは何だって答えちゃいますよ? 何なりと聞いてください!」
「スリーサイズは──」
「んなっ!? 」
「なんでてめぇが言うんだバカ野郎」
「好奇心!!」
めり込んだ。
ひでぇよ茶目っ気出したら思いの外強く叩き落とされたよ、解せぬ。ポークビッツの皮みたいだなお前の器はそれでも人間か────ふぎゅう。
「痛いよー、お前も実は読心系男子の一人なのかよー。よりによって腰を踏むなよごめんってばー」
「たく……。さて、黒ウサギ」
「続けるんかい」
解せぬ(二回目)
「──お前、決定的な事を俺らに隠してるんじゃないのか?」
「──ッ!」
赤くした顔を一転して青くさせていく黒ウサギ。若干赤みが差していた髪はその表情と交わるように徐々に青に戻っていく。
──なるほど。感情に左右されんだなその髪と耳? て事はその状態からして──。
負い目を感じてるのか? 黒ウサギ。
「何故、俺達を呼び出す必要があったんだ? 言ってみろよ、黒ウサギ」
「それは……。皆様に、箱庭の世界で面白可笑しく過ごして頂きたく──」
「その髪、綺麗だよな。黒ウサギ」
「へ?」
そんな呆けるなよ黒ウサギ。髪も耳も一瞬で淡い緋色に戻ったぞ。
瞬間湯沸し器の親族か何かなのかお前は。
「あ、あの……何をいきなり──」
「それに、分かりやすい。その髪と耳、最初に耳を弄っていた時も説明の最中も、そして今も。その髪や耳が感情の高ぶりとかで左右されるんなら、今十六夜が言った事に対しての反応は凄く分かりやすいな。どうだ、黒ウサギ?」
「! ──その、えっと」
あう、そんな悲しそうな顔しないでよ。ああ、青に元に戻っていく…………。
てかさっきから削岩機バリに足をバウンドさせている君は一体何考えてるの、そこ俺の腰なんだけど? アスファルトじゃないんだけど? おこなの? 会話遮られておこなの?
でもその割にはいい笑顔してるよこの子。どんどんめり込んでるよ俺。
「へっ、まあそれもあるしな黒ウサギ。純粋な好意とかで招待されたにしては随分必死になってるように俺には見えたぜ? こいつがあの時言っていたようにな」
「う……、」
「──そうだな、これは俺の勘だが……、お前の所属するコミュニティは弱小チーム。もしくは理由はどうあれそれに準ずるコミュニティにならざるを得なかった事情を持っている。違うか?」
「…………、」
苗を持つ手は震えている。青い髪に耳はそのままの感情を示して──つまり、肯定を示している。
そう言う事なんだろう。
沈黙は是なりと告げる十六夜はあくまで淡々としている。対する彼女は哀しげだ。
駄目だろ黒ウサギ。
さっきもそうだったけれど、そんな必死にならずとも、哀しげな顔をせずとも、少なくとも俺は入る気しかしないし、抜ける気はこれっぽっちも有りはしない。この意志は決して変わりはしないんだ。
──動機はたった今変わったけどな。
んでもって後はお前次第だ。十六夜も飛鳥ちゃんも耀ちゃんも、後あの三毛猫も。
箱庭に連れてきたからには責任持ってガッツ見せてみろよ。あれ、ちょっと矛盾してないこれ?
──まあ、そういうこった。後は分かるな?」
「つー訳だ。分かったか?」
「! ──、」
「聞こえただろうし、分かっただろ? 言いたい事も、するべき事も」
「…………はい!」
『黒ウサギの頭に手を置き、目線を合わせて』
後ろで十六夜が笑う声が聞こえる。なんじゃい今シリアスだぞこら、んなに笑ってたら俺だってシリアスをものの一瞬でブレイクしちゃう禁じ手乱用すんぞコラ。
「ふは……あーやべぇ、認めるわ。お前すげえよ」
「喜べ、そのまま全力でブーメランしてやる」
それどころか乱獲ならぬ乱投だわ、多方面に投げちゃる。お前ら皆スゲーよ、何でどいつもこいつもこんなに綺麗で澄んでやがるんだ。何でお前らはこんなにキラッキラした顔出来んだよ。眩しいんだよ全く。
さて、どうなるかは天で見当もつかない。この天でって誤字に扱われがちだけど正規文字なんだよね。天でどうでもいい。
でもさ、良いんだよ。皆笑え笑え、沢山笑え。暗い顔すんな、悲しい顔すんな、笑ってろ。
それだけで俺は救われる、周りも救われる。これ程幸せな事はない。
それこそが第一歩となる。間違ってなかったと思える。それが最高のスタートになる。マイナスがプラスになる。
さあ、
きっと、それだけでめっちゃ綺麗に輝くからさ。
十六夜さんヒロインで良いんじゃね(錯乱)
やめろォ(建前)、ナイスぅ(本音)
でも黒ウサギの搾乳はちょっと見たいかも(ドゴォ
やっぱり疲れてるな僕
今後ともよろしくお願いします。