懲りずにまた新しいの書き始めました。
1話:兄弟
此処はギリシャ…かつてはオリュンポスの神々を題材としてギリシャ神話発祥の地。
パルテノン神殿を始めとした神話に関する神殿・遺跡も多く存在する。
そんな遺跡の一つを一人の青年が黙々と調査していた。
「…………ふむ。」
つんつん頭が特徴の茶髪…矯正な顔立ちで真剣にあごに手を当てて考え込む。
目の前に記された古代ギリシア文字の解読を終えたが…そこに彼が求める言葉は無かった。
「此処にも手掛かりは無い……か。」
俺は兵藤一星。
考古学…特に神や悪魔などと言った神話に関する記録を調べる所謂【神話学者】だ。
今は親元を少し離れて一人で海外にてこうして遺跡の調査をしている。
日本に居る家族は父と母…そして弟が一人居る。
弟の名前は【一誠】…俺と同じ名前で両親や親しい者は俺達の事を【ホシ】と【イッセー】と呼んで分けている。
一本気で正義感の溢れる自慢の弟だ………少しスケベなのが何とも言えないが。
「ふぅ…あれから5年も経つのか。」
自身の身に付けられた十二の玉を連ねるネックレスに触れる。
此処でなら手掛かりが見つけられると思ったんだが…
「………埒が明かないな、仕方ない。」
これ以上の調査は意味を成さないだろう…一度ホテルに戻ろう。
………そう言えば、長らく両親にも連絡を取っていなかったな。 ホテルに着いたら電話をしよう。 イッセーの様子も気になるしな。
その夜…久しぶりに家族に電話にしようと思った矢先、自身の端末から弟であるイッセーから電話が掛かってきた。
最近は忙しく向こうからも電話は無かった
『もしもし?!兄貴か?!』
「イッセーか…如何したんだ?」
『聞いてくれよ!!俺!!俺!!!ついに!!!彼女が出来たんだ!!!』
「…………………ふむ。」
はて今日は何日だったか―ふむ。
「イッセー…男同士の誓いを忘れたのか?」
『?』
「嘘を吐いていいのは…4月1日の午前中だけだった筈だ。」
『嘘じゃねぇよ!!ひでぇよ兄貴!!!』
「ハハハハハッ、冗談に決まっているだろ冗談だ。」
電話越しに唸る弟の声を聞きながら俺は笑う。
だが、そうか…一誠に彼女か。
「どんな子なんだ?俺にも聞かせてくれよ。」
『え、えっとな!!』
それから電話越しではあるが一誠は俺に彼女のことを話してくれた。
曰く、名前は天野夕麻だと言う。
曰く、黒くて長いツヤツヤの髪が綺麗だった。
曰く、とても可愛い顔だった。
曰く、スレンダーなボディをしていた。
曰く、とても豊かな胸だと
……最後のは弟の性癖ゆえに気にするな。
「そうかそうか…それで、デートはもうしたのか?」
『それが明日デートすることになってよ!!もう今から興奮して寝られないんだ!!』
「ふっ…親父もお袋もお前の性癖には頭を悩ましてはいたが、意外と初心だったんだな。」
『べ!別にそんな事はねぇよ!!…ただ、その上手く行くかなってさ。』
成る程―不安と言うことか。
「大丈夫だよ、一誠…お前なら上手くやれるさ。」
『…そうかな?』
「俺が保証してやる。 お前は俺の自慢の弟だからな。」
『………ああ、ありがとう』
弟の言葉を聞いて俺は小さく笑む。
………此処長い間、こうして調査を続けてきたが、弟の言葉を聞いて、区切りがついたのも感じれた。
「…そうだ。 調査も一段落着いたから、一度そっちに帰ろうと思っている。」
『!本当かよ兄貴!!』
「ああ…お前の言葉を聞いて、決心が着いた。」
無いものを強請っても仕方ないからな。
『?兄貴?』
「いや…何でも無いさ。 それじゃあ、また日本で会おう。」
『ああ!おやすみな兄貴!』
「ああ…お休み。」
電話が切れる…さてっと、今の内に荷造りもしているか。
この時―俺は分かっていなかった。
この日……俺は人間としての弟との最後の会話を交わした事を。
「……………!」
………この気配。
近いな…やれやれ、闇夜に紛れて人を喰らうか。
「……夜通しのサービス残業と言う奴か………【双児(ジェミニ)】」
首に掛けられた玉の一つが輝いた瞬間だった。
次の瞬間、その一室に唯一居た人影は忽然と消えた。
以上になります。
アニメも3期がスタート…いきなりやらかしてくれた乳龍帝に歓喜。
ディオドラ辺りをボッコボコにする話を心待ちにしてます。