場所は移り―俺はリアス・グレモリーの手によって駒王学園に移動した俺は彼女らに招かれて彼女達の活動拠点─【旧校舎】の一室にて自分達の事を話した。
アーシアちゃんも連れられて、今はイッセー達が面倒を見ている。
今ここ場に居るのは俺・リアスさん、そして姫島さんの3人になる。
リアス・グレモリーから自分達が何者であるのかを聞かされる。
何故この駒王町に居るのか―聞いてても信じられないが…やはり彼女達は生粋の悪魔であり、悪魔学においてもっとも有名な伝説の悪魔【72柱の悪魔】の一つ【グレモリー】の家計のものらしい。そしてこの駒王町そのものは──
「信じがたい話でしょうが、これが今私に話せる全てです。」
「ふぅ─まさか俺がこの世に産まれてから既に駒王町では、悪魔が暮らしていたとはな……」
頭に手を置いて頭の中を整理する。
そもそも駒王町が悪魔が日本に滞在するために与えられた領土であり─今まで悪魔がこの街そのものを管理していたらしい。前任者はいたがその者は亡くなり後任として今は彼女とその友人のもう一人の悪魔が分担していると聞く。
そしてこの駒王学園も彼女─リアス・グレモリー達の日本における活動拠点であり、この学園のトップのほとんどが悪魔関係者らしい。
「俺が心底【普通】の思考だったなら─聞いてて目眩を起こすような内容だが……俺自身もこの5年間で異形怪物を腐るほど見て来たからな。信じざるを得ない……」
「……では、貴方の事も話して貰います。」
「元々そのつもりだ」
そして俺自身もこの5年間を主にしたこれまでの経緯を話す。
如何しようもない非現実的な内容─普通の人間に話したところで信じてもらえるわけもなく、頭のいかれた人間の戯言と切り捨てられるような内容を彼女達は真摯に聞いてくれた。
それだけでも─俺の心にあった懐疑心は少しだが和らいだ。
「───。これが、俺の話せる内容だ…っと言っても、信じられるような内容じゃないがな。」
「いいえ─私は貴方の言葉を信じます。とてもつらい経験をされたのですね…。」
「そう─だな。」
この首飾りの事を周囲に話せるわけもなく─父母弟と離れてたった一人でこの正体を調べる以外に俺に選択肢はなかった。
駒王町に帰った後も皆には知られない様にと思っていたのだが─まさか弟が悪魔に生まれ変わってしまっていたなんて予想外にもほどがある。
「貴方がこの町に帰ってこなかったのは─」
「単に怖かったのさ─この力を父さん母さん…弟に知られて拒絶されるのが。結局、この力の根本を知る事は出来なかったが、ある程度如何いった力が備わっているのかを理解する事は出来た。ある程度の自己防衛には役に立ったが」
「……その首飾りを詳しく見せてはもらえないのでしょうか?」
「外れないんだ。如何いったわけかは知らんがこの首飾りには繋目が存在しない。周囲から見えない様に隠す事は出来るんだが俺の首から外す事は出来ない。」
「……失礼しますわね。」
黒髪ポニーテールの少女─姫島朱乃さんが後ろに回り込み首飾りに触れて確認する。
柔らかい指先の感触と豊かな胸の感触が─
「うおッ?!」
「!?ど、如何かなさいましたか?」
突然飛びのいた俺に対して姫島さんは困惑の表情を浮かべる、
「ああ嫌すまない……その、当たっていたんで………」
「?」
「だ、だから、その、む、胸が、ね?」
「私は構いませんけど─」
「お、俺が気にするんだ!!とにかくこの首飾りは俺の首から直接外す事は出来ないんだ、これは諦めてくれ!!」
華の女子高生─容姿もきれいなんだからもう少し貞操概念を大事にしてくれ。
「恐らくですがやはり貴方の持っているその首飾りは【神器】と考えて間違いないでしょうね。」
「【神器】か─今まで戦ってきた異形化け物達も俺の事を【神器持ち】と言っていたな…頭も悪そうだからこれくらいしか聞かずに葬ってきたが…貴方になら安心して聞ける。」
「【神器】は【聖書の神】が作ったシステムで所有者に不思議な力を与えます。これを宿す事が出来るのは純粋な人間か、人間の血を引く者だけです。イッセーやアーシアの場合は人間から悪魔に転生したので【転生悪魔】として神器を操ることができます。アーシアが死んだのは神器自体が持ち主の生命力や魂と密接に結びついているからです。神器は奪う事や移植することもできますが強引な形で奪えば元の所有者は間違いなく死にます。」
「成程─?いや、それならおかしい…イッセーやアーシアちゃんが先天的に持っていたのなら、俺が持つこれは神器として成り立つのか?」
「神器にはまだ未発見のものもあります─恐らくですが、その首飾りもその一つだと思います。」
「………。」
未発見の神器か─
「はっきりしているのはこの首飾りには【12の技】が秘められているという事だ。」
「12の技…貴方があのはぐれ神父を倒したものとレイナーレを殺したあの白薔薇の事ね?」
「そうだ。6種類の武器を召喚しあらゆる武器の使い方を覚える【天秤】と猛毒の薔薇を操り、自身の毒への耐性を強める【双魚】の能力だ。」
「天秤に双魚……それって、12星座の事?でも変だわ」
「そうですわね─本来神器は神話や伝説に由来する能力を少なからず秘めております。ですが天秤座にも魚座にもそのような話はありません。」
「そこは俺も疑問に感じていた事だ。隠された神話があるのではとギリシャの各地を巡って探してみたが……結局、答えは出せなかった。」
「「…………。」」
「──とはいえ今この事を考えても仕方ない話さ。じゃあ次の話題─俺の弟が何で悪魔になってしまったのか聞かせてもらうぞ。」
俺の弟であるイッセーが何故悪魔に転生しているのかについて話して貰った。
答えを簡単にまとめれば─レイナーレによって人間の頃のイッセーは半死半生の状態で悪魔の契約でリアスを呼び出しリアスは彼の命を助ける為に転生悪魔にしたっということらしい。
何でそんな都合よくイッセーが契約の紙を持っていたのか?と尋ねたら彼女の使い魔が人間に化けて駅前でチラシを配っているらしい。
…………………俺の知っている悪魔学の契約方法とは全然違う。何かこう……普通だ。
一応神話関連の内容と同時に悪魔学と言ったオカルト関連にも目を通していたが─魔方陣はあらかじめ書かれているらしい。
「イッセーの神器【赤龍帝の籠手】は神器の中でも特に強力なものの一つ【神滅具】として数えられています。私自身も今まで気づきませんでしたが今回の闘いで見たあの姿は間違いありませんでした。」
「…それ故にイッセーは堕天使に一度殺されたのか。」
「はい。神器を持つ人間ほど、私たちの中では奪い合いになります。悪魔からすれば悪魔に転生させて【強力な眷属】として、天使たちなら優秀なエクソシストとして、堕天使なら神器が覚醒する前に殺してその神器を奪う。この3勢力以外にも各神話関連にはそれぞれの勢力があります。」
「むぅ…………」
聞けば聞くほどに実感を得ない話だ─目が頭が追い付いているが、整理するには相当の時間が必要な内容なのは間違いない。
「……イッセー達が人間に戻れると言う事は?」
「………残念ですが、既に悪魔の駒と彼の魂は融合しています。それを取り除くことは………ごめんなさい。」
「だろうな……分かっていたことだがな。」
人間として死に、悪魔として蘇り─人間に戻る。
そんな虫の良い話が何処にある?ある筈なんて無いと分かっていた。しかし、実際に聞いてみるときついものだ。
だが──はっきりしていことは1つある。彼女達はイッセーの恩人であることだ。
「どんな形であれ…俺や父母がイッセーと死別をしなくて済んだのは貴方達のおかげだ。俺の友人…アーシアちゃんの事も含めて、ありがとう。」
俺は深く頭を下げて礼を言う。
「!顔を上げてください一星さん。イッセーの件は私にも責任があります。堕天使が潜伏しているのを分かっておきながら泳がせ、その結果あなたの弟を一度死なせてしまいました。ですから─」
「それでも貴方は弟を悪魔として蘇らせてくれた。アーシアちゃんの件も、見落とせない部分もあるが彼女はもう一度生を受ける事が出来た。シスターとして悪魔に転生した複雑さはあるだろうが…俺も協力して彼女のそばにいてあげたいと思っている。イッセー一人ではスケベに走りそうで不安だからな。」
「……そうですね。」
苦笑いをするリアスに此方も苦笑いで返す。
「一つ提案がある。アーシアちゃんの住まいについてだ。」
「アーシアの?それでしたら私の方で用意しますけど─」
「折角なら─彼女の事は家で見てあげたいんだ。如何にも箱入りで育てられた傾向があるのかどこか危なっかしくてな。幸いうちは学校にも近いし父や母も健在だ。俺も海外暮らしを長いことやって来たからホームステイさせると言えば両親も納得してくれるだろう。」
「良いのですか?」
「むしろそうしてあげたい。幸い空き部屋も一つある事だし、何よりアーシアちゃんはイッセーの大事な友達だ。そして俺にとってもあんな良い子を放っておく事は出来ない。リアスさんが良ければ─彼女の面倒は俺達【兵藤家】で見てあげたいんだ。」
「………………分かりました。ではお言葉に甘えさせてもらいます。」
「任せてくれ─あのスケベがもしアーシアちゃんを襲ったら─切り落としておくから。」
「「(切り落とすって─何処を?)」」
何故か手刀を構える一星に顔を引きつかせる二人。
ともあれ─これで自分達が敵同士ではないことをはっきりさせる事が出来た。
今後大変だろうが─アーシアちゃんがこの日本で安心して暮らせるように俺自身も頑張らなければな。
「それで─一星さん、此方からも一つ提案があります。」
「?」
「先程も話しましたが神器とは非常に強力なものです。一方で神の力として崇められながらその一方で化物の力として恐れられます。貴方の神器も経歴に関しては謎に満ちていますが…今回の戦いの中で見て非常に強力なものだというはハッキリとわかりました。」
「………勿体ぶらなくて良い……………俺に、【悪魔にならないか?】……………そう言いたいんだろ?」
「!………はい。」
「………………………………………。」
話の内容─何時か切り出してくるのかは分かっていた。
彼女自身は神器自体にそこまで精通しているわけではないのだろう。それでも俺を悪魔にしたいと説得しようとしているのは─俺の神器が【強力すぎる】ことからだろう。
ただの人間が人外を数多く倒してきたこと─そして下部とは言え堕天使の一団を壊滅させたこと。
何てことはない―彼女が先に話してくれた三勢力の枠のど真ん中に俺は立っているのだ。
悪魔からすれば眷属として
天使からすればエクソシストとして
堕天使からすれば強力な神器の危険な存在として
三つの枠が綺麗に重なる【人間】と言う枠の中に俺はいる。
それは分かる。彼女にもその欲は少なからずあるだろう─だが悪魔として長命だろうが、俺は人間としての人生経験をしっかりと積んできたつもりだ。精神面では―自分の方が年上だと感じれる。その上で考えるのなら何といっても両親とイッセーの事だ。
イッセーは自身が悪魔になった事を両親に話したのだろうか?
……愚問だ。話していない。話せるはずがない。こんな事はそれこそ墓場まで持っていかなければいけない案件だ。
当然の事だ─手塩を掛けて育てた自分の息子の一人が殺されて【悪魔】として蘇った。
そんな事を【極々普通の両親】が理解できるはずがない。理解できたとしてもそれを許容できるわけがない。
俺も両親もイッセーのスケベにはうんざりしている部分がある。だが、それ以上にアイツはちゃんと筋を通す男だ。馬鹿だけど馬鹿なりの行動力と人間として生きる中でも必要最低限の善悪のボーダーラインをしっかりと引いている。アイツは誰かに迷惑をかけた事は───一度も無い。
それを知っているから父さん母さんは俺たち兄弟を平等に今でも愛してくれているし、俺達も両親の事が大好きだ。イッセーが悪魔になってしまったのは仕方ない事だ。そうしなければイッセーは死んでた。悪魔に生まれ変わるよりも父さん母さんの悲しむ顔が浮かぶ。
その上俺まで悪魔に生まれ変わる?
そんな真似は─俺には出来ない。
正直に―俺は面と向かいその提案を断った。
本来なら食いつくべき案件であろう彼女もそれ以上は追及はしなかった。
分かっていた事だと─彼女も承知の上で提案したのだろう。
彼女は─悪魔だが、【とても良い人】なんだと言う事はハッキリと分かった。
「悪魔にはなれないが─君には大きな借りが出来た。この借りは必ず返させてもらうよ。」
「分かりました。一星さんの件は此方でもあまり口外しない様にします。」
「そうしてもらえると助かるよ─ではもう夜も遅い。今日は帰らせてもらうよ。」
改めて今回の件に礼を言い、俺はイッセー達の下へと向かった。
悪魔として生まれ変わっても―イッセーが俺の弟であることに変わりはない。
両親に隠すと言う罪悪はあれどこの日常を壊さないためにも奔走しようと俺は心に改めて決めた。
そろそろヒロインとか如何すっか考えないと―後タグを編集しませんと